06 それって詐欺じゃん!
「おいパチカスこら」
「いだーーーーっ!!!!!」
僕はモモエルのシリを蹴飛ばして地面に墜落させる。おやおや堕天使らしくなりましたねぇ! いや、駄目な天使こと駄天使でしたねぇ!?!?
「何すんのよ!」
「パチンコで僕の貯金スったってロゼッタが吐いたけど、弁解アルフォンス?」
モモカスにおでこをグリグリと押し付けヤのつく自由業みたいな顔しながら睨みつける。
「あはー↑ 知らないわね〜↑」
なんだそのムカつく裏声。
「大体! あたしとあんたは運命共同体なんだから、財布の中身も共有に決まってんでしょ。あたしがあんたの金使ってもいーでしょうが!」
そこで僕はフライパンを手に持った。
「ひぃっ! 待っ、待ちなさいよ! 落ち着いて! 暴力は何も生まない!」
泣きながら名女優みたいに言うけど、お前だけは言うな。エンジェリックビームを容赦なく店長に撃った、お前だけは言うな。
「どれもこれも時空の同期の時に連帯保証人になったとこすら同期したクソ天使のせいなんですけどねぇ?」
「それを言うならスカンジナビアでしょうが!! あいつの魔剣なんだから!」
「……言っとくけどな、スカンジナビアさんは朝から開店準備、掃除洗濯、朝ごはんの準備、それから出勤してインフェルノ五層までの荷運びをやって、帰ってきたら風呂の準備して、閉店準備、夕飯作って、その後やっと武器のメンテとか自分の時間とってんだぞ!!!!!!!! それに比べてどうだ俺たちの惨めさったら!!」
「うるっさいわねー。ロゼッタだって子どもと遊んだり浮浪者に仕事斡旋したりボランティア活動したり動画編集ソフトの練習したりあれあたしよりスペック高くね?????????」
ふたりとも泣いちゃった。
「ま、まあ僕はモモエルよりは働いてるから。南京玉すだれの内職とか店番とか」
「南京玉すだれまだ作ってんだ……てかそんな暇あるなら撮影の練習でもしときなさいよね」
「寝る前に色々やってるって。それより借金がさぁ……」
「あー、オルガンローンならもう完済したわよ」
「カンサイ???」
「スカンジナビアの魔剣で使ってないの売ったら意外と高くなってさー。まあちょっと足んなかったけど。あ、許可は取ってあるわよ」
「お前にそんなまともなことが出来たのか……」
「ぶちころがすわよ」
「でも完済って言ったよな? 残りはどうしたんだ?」
「いやー、それがさ、シスターのガーターベルトに『使用済み五年もの』ってタグつけたらオークションでバカ売れてwww」
僕はモモカスの顎を蹴り飛ばした。
「お前に人の心は無いのか!!!!」
「いってぇわね!! 無いわよ! 天使だもん!!」
あ、そっか天使だもんね。とはならねぇよ???
「ちゃんと許可は取ったんだろうな」
「当然じゃない。ちょうど買い替え時だったって言ってて」
「売り方についてもか?」
「それがお金になるのならどうぞってね。あの子いい子よねー」
それ、ピュアなだけだ。この世の黒さを知らないっ!!!!
僕は唇をかみしめて涙した。許せねぇ。許せねぇよ。許せねぇよなぁ! 僕も欲しかった!!!!!!
「まーいいじゃない。これで肝臓が持ってかれることなくなったんだから」
「腎臓持ってけよ二個あるんだから!!」
「で、あとはサキュバスローンだけねー」
「それは自分でなんとかしてくれよ?」
「うん! シスターに数回夜のジャーニーに行ってもらえば」
「このボケ天使が」
「冗談よ! 流石に! あたしにだってラインはわかるわ!」
ガーターベルト売ってるじゃねぇか。ライン超えだわ。
「しっかしそうなると本格的にダンジョン配信で儲けなきゃね」
「ああ、それなら、収益化通ったぞ」
「うそっ!? 千人も視聴者ついたの?」
「うん。ロゼッタがオロロロロって吐いたシーンが切り抜きでバズって」
「あんたも大概じゃない……」
「まてまて。こっちは許可とってるから。ダンジョンの危険性を伝える素敵な啓蒙動画ですねって言ってたぞ」
「あの子にこの世の闇について教育した方がいいと思うわ」
と、二人で考え、目を合わせる。
「いや、あのままでいこう」
「そうね、ありのままを愛しましょう」
僕もモモエルも通底するクズさは同じなので心で握手をした。
「ならその顧客が逃げないように施策を立てなきゃね。アブノーマルな映像が好きな変態紳士がメインターゲット」
「決めつけ良くねぇ……」
「でも間違ってはないんじゃない?」
「そうだなぁ……。でも毎回ロゼッタに際どいことさせるの流石に気が引けるんだよな」
「神に仕えてる子をいじめたら罰が下るとか?」
「いや、あの子不運属性だから、あの子メインに据えたらチャンネルが終わる気がする」
「ああ……」
ロゼッタに関してはキノコ事変からも度々問題を起こしている。肥溜めに落ちたり、スカンジナビアの髭を燃やしたり。
悪意は無いのだが、呪われてると言っていいほど運がない。
「じゃ、あの子のこと一回診てもらう?」
「見てもらうって誰に?」
「その道の専門家よ!」
モモカスが僕に内容を説明すると、ひとまず納得して僕はそれに同意した。
「ちょっと面白そう」と思っていただけましたら……!
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