第67話 エラムからの使者
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エラム王国首都ペルセポリス
エラム王国はイム教メシア派が国教となる王国である。その発祥は預言者の弟子であったアケメネスが預言者の昇天後、預言者は再び現れると主張し、他の弟子が預言者の子孫を奉じて国を建てるべしという思想と対立したことから始まる。
アケメネスはほかの弟子から異端として追放され、彼を慕う信者とともに、東方の地に自らの信じる宗派を立て、国家を建設した。
その国家がエラム王国である。
この国では王はあくまで預言者の代理人にすぎず、メシア派を統括するものという意味で、ラフバルと言われる。
王と重臣たち、そして各地区の宗教指導者たちは一堂に会して、会議を行っていた。
「西方にあらわれた預言者と言われる存在について、皆はどう思う」王は尋ねた。
「バクダッド、ルミラ、パラスでは、すでに預言者は再来したとしてそれまでのカリフ制度を廃止し、預言者による統治が進められています。数多くの奇跡が起こされ、多くの宗教指導者がかの者の言葉に従っています。エルサム地方で最も権威ある指導者が、これに従い再来派を名乗っていて、今や西部イム教徒はみなこれに従っております」重臣の一人が言った。
王はため息をつきながら言った。
「アケメネス様のおっしゃった通りとなった。メシア派としては自身の正当性が確立されたことは喜ばしいが、問題は我々の取るべき道だ」
「アケメネス様のお言葉であれば、預言者様が再来した時、その旗下にはせ参じ、預言者様を害するものを打ち払わなくてはならないとありました」宗教指導者の一人が何を当たり前のことをとばかりに発言した。
「我々は、今いる預言者が真実の預言者かどうか、それとも偽物かどうか判断できずにいる。西部で起きた戦いでも我々は傍観していた。もし真の預言者であったら、我々はアケメネス様の言葉に背いたことになる。偽物だったら、我々は預言者を名乗るそのものを打倒しなくてはならない。よって我々が一番にすべきは預言者と名乗る者が、本物か偽物か判断することが必要だ」
「もし本物だったら」
「我々は我々の首をもって罪を償い、あとは預言者様に従うまで」
王は言った。「まずはローマ連邦に使者を送り、預言者と名乗る者に我が国に来ていただく。そして真偽を確かめる」王はそういって、皇太子に対し言った。
「お前、使者としてローマ連邦に向かえ。そして我が国への来訪を取り付けてくることを命じる」
皇太子は礼をしていった。「必ず我が国に来ていただくよう約束を取り付けてまいります。約束を取り付けてくるまで帰りません」そう宣言して、会議場を出て行った。
会議が終わり、王とメシア派の指導者数名は地下へ続く階段に降りて行った。
階段を降り切った先、大きな部屋に出た。その部屋には家具や装飾の類は一切なく、一枚のカーテンが壁にかかっているだけだった。
イム教では、偶像崇拝を禁止しており、人物を描くことは禁止されていた。
しかし、一枚だけ例外があった。それは預言者の第2夫人であり、アケメネス様を支持したザキーヤ様が命じて書かせたものだ。
それは、預言者様が復活された暁に真の預言者かどうか確認するために書かせたものだった。
王は自らそのカーテンを挙げ、預言者の姿を確認した。
預言者は金髪、色白で外国人の風貌をしていた。王都指導者たちはその絵に祈りをささげ、その姿を目に焼き付けた。
ローマ連邦首都ローマ
エラム王国の使者がローマにやってきました。ローマ連邦との修好を求めてのことだそうです。ロバートと私、ルート宰相と副宰相のキャサリン姉さんの4人が対応しました。
使節の代表はエラム王国の皇太子だそうです。名をアイハムと言いました。
彼は国交の樹立と、ぜひとも預言者様に我が国に来て欲しいと訴えてきました。
国交の樹立については、問題なく受け入れるようです。
エラムと国交を結ぶことで、現在治めている東方の領土の安定につながりますし、東方貿易もより安全になります。
東方貿易は我が国に莫大な富をもたらしており、それがより安全確実なものになることはローマ連邦にとって利益になります。
ただ、問題は私がエラムに行くことです。私はいろいろ行き違いから預言者として崇拝されており、それが統治に大変役立っているため、そのままにしていますが、エラムに行って、偽物だとばれたら動揺が走ることが予想できます。
こういう時はキャサリン姉さんに相談です。
「行っても大丈夫よ。観光気分で言ってくれば」キャサリン姉さんは気楽に言います。
「本当に大丈夫かな」と心配そうに言うと、「このローマと事を構えるなんて、普通考えないわ。それに、旧カリフ派とメシア派は対立していたのでしょ。今は再来派に代わっているけど、対立の根は深いはずよ。もしあなたが偽の預言者とばれても再来派の教徒は信じないでしょ。とりあえず、エラムがあなたに対してばかなことをしなければまず問題ないわよ」
キャサリン姉さんの助言に従い、エラムに行ってみることにしました。
皆に声をかけると、ロバートは行きたそうですが、臣下から「仕事が滞ります」「危険なところに行かれてもし何かあったらどうするのですか」と言って阻止され、キャサリン姉さんは忙しくていけないとのこと、余余二姫は左真人対応で忙しく、マリアンヌは「戦うわけじゃないのよね。神様関係はややこしいからあまり興味がないわ」と言って、今回はパスだそうです。
ミリアに聞いたところ、すごい食い付きで「ぜひ行ってみたい」とのことです。エラムは歴史も長く、ペルセポリスにある大神殿はぜひ見たい場所だそうです。
そういうわけで、私とミリアの二人でエラムへ行くこととなりました。
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