閉話24 グランド王国王子の憂鬱
連載再開しました。今回はバートの息子のタドンの話です。書いていたら、タドン君がいろいろ動きたそうになっていたので、一話載せてみました。
読者の皆さんがよろしければ、またタドン君の話を載せられたらと思います。
お読みいただければ幸いです。
僕の名前はタドン、タドン・グランドと言います。年は12歳です。タドンって変な名前だと思いますが、母から聞くと意味があるそうです。
「タ」の字は、今はグランド族と名乗っている我々は昔、南人と呼ばれ、差別の対象となっていたそうです。その時代、自分たちのことを被差別名である南人とは自称せず、沢山の部族からなる連合体という意味で、ターン人と自称していたそうです。
ところが父がグランド王国を建国し、ターン人である母を妻にしたことで、民族名もグランドと変えたそうです。
僕が生まれた時、祖父のブルテンは狂喜し、古い部族名の「タ」と、リーダーであることを表す「ドン」を組み合わせて「タドン」と名付けました。
まあ、僕以外にも母の姉のジェーンおばさんの家には、二人男の子がいるから、どちらかが王家を継いでいいと思うのですけどね。
僕の生い立ちを話すととっても複雑なので省略しますが、僕自身は普通の男の子です。
僕のうちは軍事の家系なので、剣を学んでおり、また、魔法も使えます。魔法のうち、家伝魔法の土地魔法と、水魔法が得意です。あと空間魔法も使えます。
残念ながら土魔法は父ほど得意ではなく、せいぜいゴーレムを1000体ほどしか操れません。キャサリン母様とマリアンヌ母様の子供はゴーレムを10000体操れるのですが、僕や妹、あと余余二母様の子供も1000体ほどしか操れません。
まあ、その代わり、得意の属性以外の魔法もそれなりに仕えます。
あと、長年僕の面倒を見てくれた女性と側室としてですが結婚しました。12歳で結婚って少し早くないかと言われるかもしれませんが、父は13歳で母と知り合い深い仲になったそうですし、相手の女性はメイドですが、ローマ連邦皇帝ロバート様の第2正妃の妹ですから、政治上の問題は何もありません。まあ、単純に誰にも渡したくなかったというのが本音ですが。
こんな感じで僕の未来はほぼ決まっています。正妻になるのも同じグランド族で、有力部族の一つであるブルウ村のタリンちゃんが決まっています。
彼女とは幼馴染で、小さい時からの知り合いで僕が8歳の時に婚約が決まりました。
タリンちゃんは一つ年上で、今はローマにある連邦基礎学校に通っています。
この学校は、ロマーンにあった王立学院を改変したもので、貴族や平民でも優秀なものを集めて、基本的な教育を3年に渡って行い、卒業後専門的な学校に通って専門的な知識、技術を身に着けることが義務付けられています。
僕の場合、学校を卒業すると、父かロバート様のもとで、王としての知識、気構えを学び、そののちグランド王となることが決まっています。
こんなことを言うと贅沢だ、何を考えていると言われるかもしれませんが、僕自身王となることにこだわりはありません。
それよりも僕は世界が見てみたいのです。曽祖父は若い時から旅をして、旅のいろいろな話をしてくれます。
そして父も、ロバート様とともにいろいろな冒険をして、国を興し、今のローマ連邦を作り上げました。
僕は曽祖父と父の話を聞くのが大好きなのです。
僕ら父の子供たちとロバート様の子供たちで、父やロバート様の話を聞くのが大好きでした。
いつかこんな冒険をしてみたいと思うのは、男の子だったらよくあることでしょう。
だけれど、自分の立場も分かっています。そんな冒険はかなわないと。
ある日のことです。僕がそんなことを考えていると、「どうした。物思いにふけって。コリンとうまくいっていないのか?」と父がニコニコとしながら声をかけてきました。
僕は父に思っていることを言いました。怒られることは覚悟の上です。でも、思い悩んでいても仕方がありませんし、父が一人の今しかチャンスはありません。
父は、僕の話を聞いてきょとんとした後、破顔一笑しました。「お前もアントの血を継いでいるのだな。私もお前ぐらいの年、そう考えて旅に出たんだ」
そのあと少し考えだしました。「私の時は3年分の単位を1年で取ることができたんだが、今はその制度はなくなってしまったからな。とりあえず、連邦基礎学校で、いろいろなことを学びなさい。旅は楽しいけれど過酷だぞ。色々な知識、経験の有無が自身の生死を分けることがある。無事卒業できたら、2年ほど旅に出て来い。絶対にいい経験になる。根回しは任しておきなさい」と父は、請け負ってくれました。
そのあとぽつりと「俺も旅に出たい」と小声でこぼしていたのを僕は聞いてしまいました。似た者親子です。
「何を任せるのですか」そこに母のミリアが現れました。父は少し慌てた風に、「いや、タドンが旅に出たいと言ってきたので、基礎学校を卒業したら、何年か旅に行って来いと言ったんだ」と答えた。
母は目を丸くして、「あなた何を考えているの。タドンはグランド族の王となるのですよ。軽々しく旅に出すなど言語道断です」と怒り出しました。
父は「そう怒るな、旅にあこがれるのはアントの血筋だ。それに私が旅に出なかったら、ロンやミリアにも知り合えなかったのだぞ」と言いました。
母はその言葉に一瞬黙りました。そして考え込むように言葉をつづけました。「そうよね。もしあなたが旅に出なかったら、ロン義兄さんも生きていなかったし、ジェーン姉さんも結婚していなかったわ。私だって、あなたと会えなかったと思う」そういって、顔を赤らめていました。
「わかったわ。旅に出ることは認めましょう。でもタドン約束してね」母は真剣な顔で言いました。危険なことはしないでねとでもいわれるのかと思い身構えました。
「あんまり側室を増やしちゃだめよ」
「えっ」側室?なんで旅と側室の話が出てくるの?
「アントの血には女が寄ってくるの。幸い私が一番に手を付けたから他のグランド女性は手を引いたけど、そうでなかったら、取り合いが起きていたかもしれないわ」
「はあ」その話は初耳です。
「砂漠の民にも持てたよね。側室10人でも20人でもご用意しますって」
「えーとミリアさん?」父が話を止めたそうに話しかけました。
「東のエルサムでは100人の美女を用意すると言われていたわよね」
「そろそろそのあたりでご勘弁いただければ」
母はほかにも父の武勇伝を話してくれました。どれも初めて聞きました。
父は顔をまっかにして、とても恥ずかしそうな感じで正座していました。
「まあ、浮気したわけではないのですけどね。とにかく女が寄ってくるのよ。おかげでロン義兄さんもとばっちりを食って、4人も奥さんもらう羽目になったじゃない」たしか、ジェーンおばさんとミーアおばさんは最初からロン様が手を付けたと聞きましたが、それ以外はどうも父が原因だったみたいです。
母は、僕の方を向いて、「正室はタリンさん、筆頭側室はコリンさんで決まっているから、増やしてもあと一人か二人にしときなさい。いいわね」と念を押してきました。
「わかりました。でも身分を示していればいざ知らず、隠しておけばでも僕がそんなにもてるとは思えないのですが」
「私がバードをものにした時、冒険者としか知りませんでしたよ」と堂々と言いました。
グランド族の女はこれと決めたら一直線です。逡巡はありません。僕は母ながらかっこいいなと思いました。
コリンには夜にこのことを話しました。
「そうですね。確かにアント家の方は冒険好きですからね。タドン様もやはりアントの血を継いでいらっしゃるのですね」と言って、僕を包み込むように抱き着いてきました。
「タドン様はおいしそうですからね。食べられないよう注意してくださいね」と言って妖艶に微笑むと、僕の唇をパクっと口で覆いました。
食べられるのも悪くないかも、とつい思ってしまいました。
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この連休で書き込もうと思ったのですが、土曜出勤になってしまい、昨日今日で書き上げました。
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