第64話 ジハードと預言者
本日も12時と18時の2回投稿します。お読みいただければ幸いです。
私とロバートが政務を行っているとき、緊急の報告が入りました。イム教カリフ派が偽預言者追討・処刑と、旧パラス領の解放を訴え、ジハードを宣言しました。バクダット、ルミラの王はその宣言に基づき、軍を起こしました。
しばらくして、フーシ王から緊急の使者が来て、救援依頼がなされました。
ジェミニからの情報だと、フーシ王もいきなりの攻撃にびっくりしているようです。なんせ、やっと領土の採算が取れるようになって収益がプラスになったのに、その途端いきなり領土を奪われては元も子もありません。
しかもイム教徒にとって従わなくてはならない「ジハード」が出されては、パラスの安定は失われたと同意です。
私も他人事とは言えません。偽預言者として死刑命令が出されたため、命を狙われることとなりました。僕とキャサリン姉さんは急ぎエルサムの地へ向かいました。
エルサムはスエズとつながっており、スエズを責めるには、必ず通る必要がある場所だからです。
私はローマ連邦軍5万人ととともに、エルサムに向かいました。ただ、5万人ともなると移動が大変なので、私は先行することにしました。
「本当に気を付けてね。行くのを止めたいけれど、言って止めるあなたではない者ね」とキャサリン姉さんは言いました。
「大丈夫だよ、とりあえず敵を足止めするには、私が行かないと」
敵の進行は相当早くなりそうです。なぜならジハードを宣言したことで、パラスの民が敵に協力するだろうし、目的はスエズの占領ですから、一直線にこちらに向かってくるでしょう。最悪、数日もあれば敵がエルサムの地に殺到してくることが考えられます。
とりあえず、私は10人程の風魔法使いとともにエルサムに向かいました。
風魔法で船を進め、それを日夜を継いで行わせました。そのため、エルサムの海岸にはローマを出立してから2日で着きました。
そのあと、まだ魔力の残っている風魔法使いを連れ、リニア魔法で、エーサイムの街に向かいました。
エーサイムの街に着くと、夜が明ける寸前でした。
門が閉じられている時間なので、開くまで待つのも面倒と思い、城壁を飛び越えようと思い立ちました。土魔法で地面をばねのようにして自分を跳ね上げ、風魔法使いに風で吹き上げてもらいました。
無事に城壁は越せたのですが、少し高度を間違えてしまい、このままだと身体強化魔法を使っても体に怪我を負ってしまいそうです。
なので、火魔法を横に噴射することで、落下速度を緩和しようと考えました。
火魔法を使って、斜めに落ちるように進んでいくと、一段高いところに、寺院の屋根でしょうか、建物がありました。
私はその屋根の上に着陸しました。気が付くと、寺院の周りに多くの人が集まっていました。
敵かと思いましたが、敵意はありません。それどころか、跪いて祈っている人もいます。そういえば、この寺院は見覚えがあります。そうです、ここはイム教の聖地に建てられている寺院でした。
まずい、大切な寺院を足蹴にしてしまい、皆怒っていないかなと思いながら、恐る恐る地面に降りると、みな私にひれ伏しました。
どういうことかと驚いていると、一人の老人が進み出て、「預言者様、お言葉をいただきたい」と言ってきました。
私は預言者らしく、なるべく重々しく言いました。「私はわが敵、ルミラとバクダットからこの街とスエズの地を守るために来た。君たちは私と戦うか、それとも私と共に戦うか」
すると老人が皆に向かって言いました。
「預言者様はジハードを宣言なされた。すべてパラスの民に伝えよ。神の名のもとに敵を打ち破れと」直後ものすごい大歓声が沸き上がりました。
正直何が何だかわかりません。とりあえず、私はその場を離れ、町の警備隊を掌握し城壁の警備を強化しました。
偵察隊を郊外に撒いて、敵の接近があったら、すぐにわかるように手配しました。
数日たって、キャサリン姉さんが来ました。ローマ軍5万が陣地を構築し、防衛線を固めました。
しばらくたって、情報収集にあたっていたキャサリン姉さんから呆れたように言われました。「バース、あんた何をやったの?」「特に何もやっていないよ。ただ、寺院の屋根に降りて、集まっていた人々に対して私の敵かどうか確認しただけだよ」と言ったら、「すごいことになっているわよ。預言者が帰ってきて、ルミラとバクダットを敵と認定された。そしてジハードを宣告されたと。おかげで、パラス人たちだけでなく、ルミラとバクダットの一部でも反乱がおきているわ。ルミラとバクダット両国の軍も動きを止めたり、中には反乱を起こすものもあらわれて、とてもこっちに攻め込んでくる余裕はないわ」そう言って、私に問いかけた。「今が敵をせん滅するチャンスよ。どうする?」
私は、ローマ軍5万を率いてルミラに攻め込みました。私の配下には、ローマ軍5万のほか、フーシ軍5000人、そしてパラス人義勇兵5万が付いていました。
わが軍の侵攻に抗する者はほとんどなく、あっても微弱なものでした。
ルミラはわが軍に占領され、ルミラ王はバクダットに逃げ出しました。この勢いで、我々はバクダットに攻め込みました。
補給はキャサリン姉さんが完ぺきにこなしてくれました。ロジスティクスは完璧です。
私は何の心配もなく、敵に攻めかかりました。
バクダット王国の首都、バクダット郊外で、敵の大軍が待ち構えていました。
敵軍の前に一人の老人が立ち、何かわめいております。
遠すぎて聞こえないですが、何かうざったらしいので得意の土魔法で地割れを起こしました。
地面が砂状の土であるので、非常にもろかったため、何本かの地割れを起こすことができました。
浅く、かつ地割れのスピードも遅かったため、ほとんど敵には被害が出ていないと思われます。
しかし、敵は慌てふためき、軍の一部が逃げ出すと、次々とそれに倣う部隊が続出し、敵はバクダットの街に逃げ帰ってしまいました。
この機に乗じて、わが軍は町の中になだれ込みました。略奪、放火を厳禁としたため、バクダットの民には、被害が出ていない様子です。
我々は王宮に侵入しました。王族たちやイム教の高位の指導者が王宮にいました。逃げる間もなく、我々の侵入を許したからでしょう。彼らは全員捉えられました。
とてもあっけなかったですが、戦争は終わりました。
旧ルミラと旧バクダットはローマ領としました。
旧王族のうち、男たちは全員処刑、女は実家に帰すか、実家のない者はローマで教育を受け、仕事先を斡旋する形で処理しました。
男に厳しいのでは?
しかし旧ルミラと旧バクダットは男尊女卑が厳しく、男は平民であっても4人まで妻を持つことができ、更に貴族ともなれば妻の数に制限がなく、また、妾や女奴隷を好きなだけ囲うことができ、女に人権がないという世界でしたので、当然責任もそれだけ重くなるということで、男にはそれ相応の責任を取ってもらうことにしました。
また、カリフ派の高位指導者たちは背教者として処刑されることとなりました。
とりあえず、穴に放り込んで、丸焼きです。
縛った男たちを穴に放り込み、僕の火魔法で焼き尽くしました。
数が多いので、何グループかに分けて焼いていきましたが、顔を青くはしていましたが、泣き叫ぶものはおりませんでした。
前のケメトの時とは違い、それなりの貫録を示して皆死んでいきました。
敬意を表して、骨は残るように焼いて、埋めてあげました。
さて、ルミラとバクダットの開発です。ルミラは街道の整備を行い、砂漠地帯は乾燥に強い植物を植え、井戸を掘って水を確保しました。
バクダットは土地がとても痩せていましたが、土魔法を使って土の中の塩分を除去し、植物魔法使いを使って、林を幾つも作っていきました。
また、調査の結果、北の山岳地帯と南の海に魔石が発見されました。
これを燃料として供給することで、木の伐採を減らすことができました。
バクダットは豊かな農業地帯へと変わりました。魔石もバクダットに必要な分以上に取れるため、パラスや東隣の国ペルスに輸出しました。
パラスとバクダットがつながったことにより、ルミラの交易都市としての重要性も増し、よい経済循環が起こるようになりました。
宗教問題では、再来派という組織が勝手に出来上がっていました。預言者が再来したという宗派です。エーサイムの宗教指導者であったマホメド・バットゥーが各地の宗教指導者たちをまとめ、開いた宗派です。
それで、その予言者は当然私です。まあ、砂漠の民たちとの関係で慣れているのですが、やはり少しこそばゆいです。
細かい指導はバットゥーに任せて、私はいくつか指針を設けました。
女を所有物扱いするのはだめ、教育の重要性、争いを控えることなどです。
更にイム教は、宗教的な部分と生活一般を律する法的な部分があり、いままでこの法のもとで彼らは生活してきました。
イム教の特殊性からローマ法を下にこの地域の慣習や考えを反映させた法を作るよう、ローマ官僚と宗教指導者の間で内容を詰めさせました。
法の一次執行者は宗教指導者、二次執行者はローマ法廷、最終解決者は私と義兄であるロバートとしました。
少しずつですが、ローマ連邦の一部として平準化できればいいと考えます。
さて、開発しつつ、観光です。ロバートと妻たちを呼んで観光です。キャサリン姉さんは少しあきれていましたが、まあしょうがないかとあきらめたようです。「ピラウ」というコメを肉や野菜、香辛料を混ぜて炊いたものや羊肉の香辛料をかけて焼いた「ゲバブ」という料理を食べました。
あと、小麦を練って平たくした皮の中に肉や野菜をミンチにして混ぜたアンを入れ、スープで煮た「モモ」という料理も食べました。果物はいろいろありますが、イチジク、ナツメヤシの実、マンゴーは最高でした。
後、古代の遺跡があちこちにあり、見て回りました。
スカイ・グランド大学の古代研究者を呼び、これら遺跡の研究に当たらせようと思います。ちなみに前にミリアが見たがった契約の箱ですが、さらに東にもっていかれたことが分かり、ここでは見ることができませんでした。
こうやって無事に観光を終え、ローマに帰ることになりました。
バットゥー総主教は泣いて私をここにとどまるよう願い出てきました。
100人の美女と贅沢な宮殿を用意するので、とどまってほしいと言われました。
100の美女の話が出た時、まさか受ける気ではないでしょうね、と妻たちの目がとても怖かったです。
何かあれば戻ってくると言って慰め、ローマにもどりました。
船の中で、100人の美女分頑張りますと言って、妻たちが私を搾り取りました。ロバートの妻たちもそれに触発されたのか、同様にロバートを搾り取っていました。
もう何人か子供ができそうです。私はロバートに恨みがましい目で見られながら、二人でぐったりと甲板の日陰で転がっていました。
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あともう一話で今回は終了です。最後までお読みいただけますと大変うれしいです。




