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第61話 運河づくり

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 スエズ地峡をローマ連邦の領土に組み込んだ私たちは、工事を開始しました。

 魔法使いを動員し、私も率先して働きました。ローマ軍の兵士や現地で雇った人夫も使って工事を進めました。

 まず、私が運河予定地でゴーレム兵を作り、持てるだけの土を運河予定地の外の土砂捨て場まで運ばせて、その地でゴーレムを土に返しました。

 そして、再びゴーレムを作り、土砂を持たせてを繰り返し行いました。

 予定した運河の幅と深さを確保した後、土魔法使いたちに土の表面を硬化させました。

 そのうえで土地を整える際、余った砂や土砂は、風魔法により一か所に集め、人夫や兵士たちに運ばせました。

 更に途中何ヵ所か、船だまり兼すれ違い出来るよう人口の湖を作りました。

 爆発魔法を連発し、舞い上がった土を風魔法使いが吹き飛ばす。これを何回も繰り返し、

細かい部分は人力で対応しました。

 

 工事は魔法使い全員の魔力が切れるまで行いました。私の魔力も空っぽです。へとへとになって帰ってきた我々に、宿営地が用意され、そこでは水浴びができるようになっており、食事もふんだんに供給されました。テントも用意され、安眠も保証されていました。

 これを私や魔法使いだけでなく、兵士や人夫にも提供されていました。

 本当にキャサリン姉さんやロンの力は素晴らしい。私じゃ絶対無理です。


 工事はすごい勢いで進んでいきました。ロンは、アレキサンドリアに仮皇帝府を建築し、そこで統治をおこないながら、運河完成のための執務を行っていきました。

 ケメトの横やりを防止するためです。ケメト政府の連中は、運河がすごい勢いで出来ているのを見て、利権の一部に食い込みたいと思い、いろいろな動きをしています。まあ、政治顧問団に全部情報は抜けなんですがね。

 あまり目立つ行動をするものは、ジェミニの組織で、物理的に消えてもらいました。


 フーシも焦っているようです。フーシは東方ガンダーラとの直接交易を目指して、ルミラ、バクダット両王国と戦争状態になっていました。

 攻防は何とかフーシの優勢で進んでいるようですが、3年にもわたる外地での戦争は莫大な費用と兵員を消耗してフーシの国力を減退させていました。

 ローマ連邦からの借款も嵩んでおり、返済のめどはたっていません。ケメトへの影響力も低下しており、ローマが影響力を増しています。

 スエズ運河の建築は、ガンダーラとの直接交易が容易となり、フーシの国家戦略が崩壊する危険があります。

 しかし、フーシはローマと戦う気はなさそうです。ローマに逆らい、多くの国が滅んできたのを見てきたので、武力を使って妨害する気はないようです。

 

フーシ王宮にて

 フーシ王イエローは重臣たちを集め会議を行っていた。議題は今後の方針であった。

 「すでに、東方諸国を占領して、東西を直接つなぐのは意味がありません。ガンダーラとの交易はローマ帝国がほぼ独占しています。我々フーシの商船も交易に参加していますが、関税その他でローマ連邦より不利な状況に置かれています。すぐに東方との戦争を終結させ、東方貿易に力を注ぐべきです」

 「戦争終結というが、これまでどれだけの費用をつぎ込み、犠牲を払ってきたと思う。これで、撤退などという事態になったら、国が内部から崩壊するぞ」

 「ローマ連邦から受けている莫大な借款はどうする?すでに国家予算の数年分となっているぞ。ケメトへの影響力も落ちているし、シルクでのローマ商人たちの活動も我々の権益を犯しつつある。この際、一度清算して、新たに国家を構築しなおすべきではないか」

 イエロー王は、重臣たちの話をじっと聞いていた。

 「スエズ運河も開通しそうだ。そうすればローマとガンダーラの交易はさらに盛んになるぞ。ヌビアから海岸地帯の割譲も受け、補給と避難港の整備を行っている。フーシの船が運河から締め出されれば、もう東方交易は不可能だ。われわれは、西方統治機構の一員でもある。このことからスエズ交通の権利を求めることは可能だろう。一度、ローマ連邦と話し合いを持ってはどうか」

 ある重臣が声を上げました。その重臣はまだ若く、最近フーシ王のもとに仕えることになった軍務官僚でした。

 「いっそ、ローマ連邦に攻め込んではいかがでしようか。スエズを奪い、ケメトの支配権を掌握、奪われた西フーシを取り戻し、東方のダマスカス、エルサム地方を奪い取るのです。奴らは油断しています。我々が攻め込んでくるとは夢にも思っていないでしょう。そのすきを突くです」得意満面にその重臣は主張した。

 最近仕えることとなった重臣たちその意見に賛同したが、フーシ王や古くから王に仕えてきた重臣たちは頭を振って言った。

 「お前、アントの死の絨毯は知っているか。虐殺鬼アント、狂気と謀略を司るフライの名は聞いたことがあるか。我々はそれをまじかで見た。お前の言うとおり、緒戦は勝てるかもしれない。しかし、そのうちアントが襲ってくるぞ。アントには、不死将軍、暴風将軍、常勝将軍と二つ名を持つ将軍が多くいる。そして、謀略と狂気を司るフライ家には、キャサリン殿やジェミニ殿がいる。キャサリン殿の知恵は本当に恐ろしい。味方に付ければ心強いが、敵にしたらその智謀に我々はかなわない。更に狂気のジェミニ殿は父親すら処分するのに躊躇しない。暗殺やテロがフーシ中で起きるぞ。気が付いたら、フーシは国としての体裁を保てなくなり、ローマに併合されるのがおちだ」

 若い重臣は、少しひるみながらも、更に言い募った。

 「フライとアント以外、そうロバート・スカイ皇帝を狙ってはいかがでしょうか。少なくないダメージを与えられると思いますが」

 フーシ王は震えながら言った。「お前、この国を地上から消滅させたいのか。ロバート殿とバース・アントは親友で義兄弟だ。もし殺せば、アントが文字通り、フーシを焦土にするぞ。それにジェミニはロバート殿のことを溺愛している。我々と我々の家族はこの世の地獄を見ながら、殺してくれと願うことになるぞ」

 「大げさではないでしょうか」その重臣は言った。

 「私は、アントの死の絨毯を見た。文字通り虐殺だ。ゴーレムに槍て突かれて吹き出した血が徐々に地面を染めていくあの光景、断末魔の声、許しと助けを叫び泣きわめいて殺されていく光景、アント家の者は笑いながら殺し、それを平然と処理するフライの狂気、今でも夢に出る。あれをフーシで再現したいのか。お前は」王と一緒にケメトに行った重臣が言った。

 

 フーシ王は決断した。「東方の戦場を終わりにする。講和の使者をルミラ、バクダットに送る。条件は、現状の国境維持だ。とりあえず、王の側近たちに金をばらまけ。我々の味方を増やすのだ。あと、講和が成った後、ローマを尋ねて、スエズの使用を認めさせよう。そのためには、ケメトの利権をすべてローマに譲ってもいいだろう。借金の問題は、東方領土をすべて譲ることで、帳消しにできないか、話してみよう」

 フーシ王は言った。「今ある領土の開発に力を注ぐ。しばらくは国力を高め、時を待つ。あと、スカイ、アント、フライのどれでもいい、我が国と縁戚になっておきたい。外務担当はそちらの工作も進めておくように」そう言って、席を立った。他の重臣たちはみな一礼し、部屋から退出していった。

 「ローマの繁栄はまだ続く。ただし、永遠ではない。その時、我々フーシが生き残っていれば、今度表舞台に立つのは我々の子孫かもしれん。チャンスは残しておかねばな」フーシ王イエローは一人ささやいた。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


現在、「討死したサムライが異世界に転生し、領地を手に入れ腹いっぱい飯を食べるため、いろいろ働いていたら、いつの間にか有力領主となり、天下を狙うことになる話」と「名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうとする話」を連載しています。

もし、ご興味を持たれましたら覗いていただけるとありがたいです。


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― 新着の感想 ―
[一言] 魔法で運河を造るとは…船が大型化すると拡張工事も視野に入れないと大変ですね、その手の魔法の専門家はしっかり育てないと維持も大変ですね
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