第45話 第2皇子の苦悩と憎しみ
本日2回目の投稿です。お読みいただければ幸いです。
ロマーン王国第2皇子ギルフォードは大変苦悩していた。
彼は皇太子に何かあった時のスペアとしての人生を定められていた。しかし彼はそのことに満足していなかった。皇太子より能力的に優れていることを示して、兄を蹴落としてロマーンの世継ぎになる、その目的のために必死に努力した。
武芸の才も、学問も兄に勝る実力を示した。しかし父王は皇太子を変えようとはしなかった。ならば近隣国の王になろうと考えた。ロマーンの力を使えば、近隣の小国ならば、私を婿に迎えるかもしれないと、いろいろ運動してみた。
しかし、それは徒労に終わった。
ロマーンには有力貴族としてフライ侯爵家とアント侯爵家があった。この二つは王家を支える柱であるとともに、王家をもしのぐ力があり、王も大変気を使っていた。
その二つの家の者が、近隣の国々を次々征服してしまったため、継ぐべき国がなくなってしまったのだ。
今ロマーン周辺には、スカイ・グランド連合王国とカリオス王国があり、その他の国としてはブレイド王国と、アルプ連邦、スカイ・グランド連合王国の東にはフーシ王国とポートランド王国、北にはスカンナ王国とフィン王国が現在西部地域で残っていた。
スカイ・グランド連合王国とカリオス王国はアント家とフライ家が作った国であるし、ポートランド王国はスカイ・グランド連合王国の事実上の属国である。スカンナ王国とフィン王国は北の小国で、スカイ・グランド連合王国の影響力が大きく、フーシ王国は王自身が若く、すでに世継ぎもできていて、入り込むスキはない。アルプ連邦は村長たちが合議制で物事を決める共和制で、国自体がアルプ山脈の中に築かれている小国だ。
ブレイド王国は、何回かの戦争により、国土の3分の1を失い、海への出口だった町もカリオス王国に取られてしまった内陸の小国だ。ただ、それでも独立を守り通し、独立国家としての意識も高く、王も老練で、他国の王族を婿入りさせて国を譲るなどありえない。
王子はロマーン王国の権威をちらつかせながらいくつかの国に婿養子について問い合わせたが、スカンナ王国やフィン王国ともにすでに世継ぎがいる旨言われ、拒否された。
ポートランドは東の小国で、蛮族の襲来もあるうえ、大変貧しい国らしく、さらに臣下に当たるアント家の家臣扱いになるなど私の方からお断りだった。
ブレイド王国からは婿に来るのは遠慮するが、ブレイド王の側室の娘を正室として迎えるならば嫁がしてもいいという返事があった。
正室の娘ならともかく、側室の娘では王位継承権はない。それを正室に迎えろという、小国のくせに馬鹿にした態度を取られ、私は怒り狂った。
ならばと、アント家とフライ家にスカイ・グランド連合王国かカリオス王国のどちらかの王位に私をつけるよう依頼したが、けんもほろろに断られた。
王子たる私の願いを阻害し、更に無視するアント家とフライ家に憎しみが沸いた。
ならばと私は父王や兄にねだり、ロンディニウムの征服に望みをかけた。
そして、自分の派閥づくりに力を注いだ。ロンディニウム征服の暁には、地位や利権を与えることを餌にして、貴族たちを募った。
アント家やフライ家に従う主流派の貴族や、それ以外の非主流派の貴族は靡こうとしなかった。なぜか、反主流派の貴族たちが集まるようになった。かれらは先々代の時代に起こした宰相の反乱に参加し、途中で寝返ったが、力を失った者達で、ロマーンの政治にかかわることができなくなっている連中だった。
私に組することで、何らかの地位を得られるなど今までの立場からの逆転のチャンスを狙っているようだ。
私は彼らを引き連れ、ロンディニウムに進攻した。ところが進攻はうまくいかなかった。
現地にいたケルト部族たちは我々に卑怯な攻撃を仕掛け、我々は兵を失い、分断され、私自身も危うく命を失うところだった。
その時になって、我々の危機を傍観していたアント侯爵が動き出して、この戦争を我々にとって不本意な形で処理した。恩にでも着せる気なのか、進攻当初は何もしないで、我々を放置しておき、危機的状況となり命の危険が出てから助けるなど、どう見ても自分の手柄欲しさの行動としか思えない。
それに勝手に現地の蛮族どもと講和を行い、罪もない兵士を処刑するなどして自身の人気取りを行った。
結果として、私は何の利権も手に入らず、領土も得られず、形として南部ロンディニウムがロマーンの影響下に置かれた形にしただけで終わった。
取り巻きの貴族たちは私に対し、口々にフライ家とアント家の非を唱えた。私もそれに賛同した。
すべて、アント侯爵とそれに協力したフライ侯爵の所為だ。私は彼らに対し、復讐を誓った。
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