第40話 ロバートの受難
本日2回目の投稿です。お読みいただければ幸いです。
さて、ケメトでの騒動もおわり、いよいよ帰国です。
すっかり留守にしてしまったので、仕事がたまっているかすごく不安です。
その時キャサリン姉さんが僕たちに声をかけてきました。
「おじいさまがロンを呼んでるわよ」
「おまえ、何したんだよ」僕はロバートに聞きました。
「何もしてないよ。いったい何の用なんだ。悪い、バード一緒に来てくれるか」
「いいけど、俺、役に立たないよ」
「とりあえず、的は多い方が良いから」的って何ですか、的って。
ベンジャミン様のところに行くと、笑顔でベンジャミン様は待っていました。
「なあ、ロン、俺の孫娘と見合いしてみないか。お前はわがフライ家に近いものを感じる。ぜひ一族に加えたい」笑顔でロバートに言いました。
「孫娘って、キャサリン姉さんのほかにはジェミニしかいないはずですが」僕が訪ねました。
「そのジェミニだよ」ベンジャミン様は笑顔で言いました。
「ええっと、すでに僕には妻が3人いるのですが」ロバートは断ろうとしました。
「ああ4人目でも構わないから。まあ、ジェミニが君を気に入ったらな」
「いちおう、妻とも相談してからでよろしいでしょうか」
「いいが、とりあえず見合いだけはしてもらうぞ」
「……」
二人で部屋を出てから、ロバートは僕に言いました。「なんとか断れないかな。バード力を貸してくれよ」
「見合いの方は大丈夫だと思うよ。ジェミニが気に入ることはないと思う。でもロン、見合いが決まったら言ってくれよ。アント家が総出で護衛に付くから」
ロバートは一瞬で青ざめました。
「おいおい、一人一人が一個軍団並みの戦力を持つアント家が総出で護衛に作って、どういうことだよ」
「フーシのイエロー王から聞いていただろう。狂気と謀略を司るフライ家と。ジェミニはその集大成というべき存在なんだ。俺から見てもあの子は狂ってる。目的のためなら、民族まるごと皆殺しにして平気だし、人としての道を外れた謀略も平気で実施する。目的のためなら親兄弟さえ犠牲するのに、何の躊躇もないじゃないか。ロマーン王国の情報機関はフライ家のキャサリン姉さんの叔父が機関長なのだけど、事実上ジェミニが指揮しているんだ。僕らは何回もあったことあるが、やばい奴としか言えない」僕はロバートに忠告した。
「なんで、俺が選ばれたんだ」ロバートは思わず言葉を口にした。
「ロン、前から思っていたんだが、君はフライ家とよく似ている。僕と気が合ったのもそういうわけなんだろう。ベンジャミン様が気に入ったのもうなづける。でも相手がジェミニとは」
「もし見合いに失敗したら」
「あいつは他人を信用しない。フライ家とアント家の人間以外顔すら見せたことがないんじゃないか。少なくとも個人情報を知ったお前を生かしておくとは思えない。だから俺たちが護衛に付くと言っているんだ」
「ごめん、頼む、お前だけが頼りだ」
「おじいさまにも言う。なんとしても命だけは守るからな」僕はロバートと約束した。
ロバートは妻たちに話をしました。ジェーン姉は「バードの関係者なんでしょ。ミリアもお世話になっているし、仕方ないわね」と言ってしぶしぶ認めてくれました。
「バードの関係者か、まあ仕方ないな。でも可愛がってくれる回数は減らさないでくれよ」
ミーアもやむなく同意しました。
二人とも子供が生まれてから、ひどい嫉妬がなくなったなとロバートは思いました。あと、バードの人徳かな、奴とは期間は短いが濃い付き合いをしているからな。
「ご主人様は妻が3人なんて少なすぎますから、もう一人増えることは歓迎こそすれ、反対する理由はありません」アーリヤも同意しました。
お見合いは、ロマーンにあるとある公園で行われることとなりました。公園は遊ぶ親子、散歩する老人、恋を語らうカップルなど雑多な人々で、にぎわっていました。
ロバートはぼーっと椅子に座っていました。あちらから指定された見合い場所はこの公園でした。
ロバートは緊張していました。どんな奴が来るのだろう、あのバートがあそこまで言うなんて、よっほど恐ろしい人物なんだろう。
待ち合わせ時間が来るのを恐怖とともに待っていました。
そんな状況で、僕の目の前を一人の少女がボールを追って走っていきました。年は10歳ぐらいだろうか、ボールを追いかけて、僕の目の前を通り過ぎていこうとしました。その時、その女の子がころんでしまいました。思わずロバートは飛び出して、「大丈夫?」と尋ねました。
「うん、大丈夫。ありがとう。お兄さん、いっしょに遊んでくれる?」女の子は笑顔で僕に言いました。
「約束した人が来るまでならいいよ、ボール遊びする?」
「うん!」
ロバートとその女の子は仲良く遊び始めました。遊んでいるうちに見合いのことはすっかり頭から抜けてしまいました。
ボール遊びに飽きたら、追いかけっこしたり、ブランコで遊んだりした。そのうち夕方になりました。
「遅くなっちゃったね。早く家にお帰り」
「うん、お兄ちゃんありがとう。じゃあね」そう言って、その女の子は走って言きました。
ああ、結局見合い相手は来なかったな、そう思いながら公園を出て、ロマーンにあるスカイ・グランド連合王国の大使館に向かいました。
ある程度まで進むと、バードが血相変えてやってきました。
「おい、ロン大丈夫だったか?」バードの顔は青ざめていました。
「大丈夫も何も見合い相手来なかったぞ」
「おまえ、何も気が付いていなかったのか。お前のいた公園は完全に隔離されていて、誰も入れないようになっていたんだぞ。フライ家の特務が周りを囲んでいて、俺たちアントも中に入れなかったんだ」
「ということは、本人が中にいたということか」
「ジェミニと会わなかったのか」
「会わなかった」
「おかしいな。どういうわけだ」
そして気が付いた。あの公園にはたくさん人がいました。バードの話だと、あそこにいたのはみんなフライの特務か、ロバートはそれを知ってゾ~としました。
「お頭、あの男どうでした」公園にいたカップルの男の方が訪ねた。
「普通の男だったわ」ボールを持っていた女子は答えた。女の子は腕を組み、目は先ほどの少女の目ではなかった。
「消しますか」子連れの母親役の女が言った。
「でも底が見えなかった。あれは神に魅入られている者だわ。というか、私が気に入った。さすがバースの親友だけあるわね」ジェミニは笑った。その笑いは狂気に満ちたものだった。
「うん、決めた。あの男、私の夫にするわ。そうおじいさまには答える」
「ほかにも妻がいるとのことですが、皆消しますか」散歩していた老人が言った。
「不要よ。私別に独占しようとは思っていないもの。それに、私を知って逃げ出す可能性の方が高いわ」そういって、ジェミニは微笑んだ。
「私はフライ家の狂気と謀略の体現者。ロバートは私を妻にして狂わずに済むかしら」
公園に高笑いが響いた。
何故か知らないうちにロバートはジェミニに気に入られたらしく、結婚が本人から了承されたらしい。ベンジャミン様は大変ご機嫌で、早々に結婚するようロバートにせがんできました。ベンジャミン様の押しに負けて、とうとう結婚することとなりました。
「これで4人目だよ。もう勘弁してくれよな」とぼやいていました。
結婚式当日、ロバートは相手の顔を見て、大変びっくりしていました。
「バード、ジェミニちゃん、まだ子供じゃないか。こんなの手を出してもいいのか。まあ、余余二姫の前例もあるから、手を出さなければよいか」ロバートは混乱しているようでした。
「ロン、悪いけど、ジェミニは僕たちいとこの中で一番年上だぞ。確か、22、3歳ぐらいだったと思う」
「えっ!」
「キャサリン姉さんの叔父さん、名前をアポロというのだけど、世話役のメイドに12歳の時に子供を産ましていて、バース義兄さんが生まれるより3、4年早いはずだよ。だからジェミニが一番年上なんだ。ちなみにアポロ様とその方は正式に夫婦となって、仲良くやっているみたい」
ロバートは「僕より年上…」と言ってから、ふらふらと式場へ行きました。
僕とキャサリン姉さんはジェーンさんやミーアさん、アーリヤに今回の件について、謝罪しました。
「ロバートちゃんも偉くなったということだよね。私の膝でみーみー泣いていた時とは変わってしまったのよね」と言ってジェーンさんは少し寂しそうでした。
「ロバートがこんなに偉くなるなんてね。私が惚れた時は下級官吏で私は宿屋兼飯屋の娘に過ぎなかったのに。今じゃ、ロバートは大国の王、私はその妃とは。今度来る嫁は、大国の侯爵家の血を引く令嬢だって。なんか気後れしてしまう」ミーアさんも昔を思い返すように言いました。
「ロバート様なら当然です」アーリヤはぶれないです。
初夜はつつがなく行われました。翌日、様子をロバートに聞きに行くと、「なんか楽しい子だね。話は面白いし、夜の生活はいつも妻たちに襲われて、力づくでやられるばかりだったから、普通に仲良くできたのは初めてだよ」とニコニコしていました。
まあ、相性がいいならいいのですが、とりあえずよかったということで、僕とキャサリン姉さんは胸をなでおろしました。
ジェミニは布団の中で顔を真っ赤にしていました。昨夜のことを思い返すと、頭がぐるぐるしてきます。自分にされた行為の数々を思い返すと、身もだえしそうになりました。
最初はどう脅かしてやろうかと思っていたのですが、ニコニコするロバートの顔を見て、おもわず「お兄ちゃん!」と言ってしまいました。
そうしたら、ひざに座らせてくれて、頭をなでてくれて、いろいろ話をしました。
ロバートはニコニコと話を聞いてくれました。なでられた頭は心地よく、ひざは暖くて気持ちがよかった。
そして一つの決意を固めました。この男、絶対に逃がさない。また、可愛がってもらおうと。
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