第38話 いきなりの戦闘とケメトとの戦争
本日2回目の投稿です。お読みいただければ幸いです。
夜中のことです。ロバートが僕たちを起こしに来ました。「アーリヤがラクダの大群の音が聞こえると言っている。おそらく砂漠の民が攻めてきたのだと思う。みんな用意してくれ」
同行していたフーシ王も起こしたが、「見張りからは特に名の報告も届いていないが、気のせいじゃないか」と言ってきました。
「いいえ、この風に流れてくる音は確かにラクダの大群です。自然にこんな集団がいるはずかありません。間違いなく攻めてきています」アーリヤは断言した。
「我々がいる街に攻めてくるとは、運のないやつめ。ブルネット、バース、ゴーレム兵を用意しろ」ジョージおじい様が鋭い口調で僕たちに命じました。
僕と姉さんは祖父の命令に応じて、ゴーレム兵を用意しました。3万のゴーレム兵が整列しています。僕らも得意の武器を持って、戦闘態勢に入ります。祖父は大剣、姉は槍、僕は両手に蛮刀を持ち、用意しました。
しばらくして、砂漠に砂煙が見えてきます。
「来ました。数は、5千ばかりだと思います」アーリヤは言った。
「ゴーレム兵突撃、左右は土を盛り上げ、逃げられないようにしろ」おじい様の命令が飛びます。
ゴーレム兵が突入します。敵は真正面からゴーレム兵に当たります。左右に展開しようにも壁があり動けません。我々三人は突撃し、敵陣の中に躍り出ました。破壊されたゴーレムを再び作り出しながら、敵を切り殺していきました。
僕ら三人は戦の興奮に身をゆだねていました。
敵は我々の攻撃におそれをなし、逃げだそうとしましたが、そうは問屋が卸しません。
後方に砂の壁を作って敵を逃げられなくした後、我々が敵陣の後方に陣取り、逃げる敵を片っ端から殺していきました。
1時間しないうちに敵は少数の重傷者を除いて全滅しました。重傷者は情報を取ると、とどめを刺しました。
「これが死の絨毯か。恐ろしい、なんて恐ろしい、俺はこの光景を一生忘れられない」フーシ王はつぶやいた。フーシ王のそば付きの者たちもみな黙りこくっていた。
つぶしてもつぶしても復活してくるゴーレム兵、そしてゴーレム兵は躊躇せず殺してくる。術者をつぶそうにもその術者が圧倒的な強さを誇っている。
ジョージ殿の大剣は一振りでラクダごと敵を切った。ブルネットの槍は次々と敵を串刺しにしていた。バードの双刀はまるで剣舞のように戦場で敵の首を掻き切っていた。
だが恐ろしさはそれだけじゃない。戦が終わった後、フライ家の面々とロバートが後始末をしだした。ばらばらになった死体を漁って情報を回収し、魔石を用いて骨まで残さず焼却して、たちまちのうちに戦場だったところは何の痕跡もなく、元の静寂した砂漠に戻った。
ロマーンの二人の王女はその姿を見て、ただ震えていた。
「ロマーン王家はとんでもない者達を家臣にしていますな」フーシ王は王女たちに言った。
「うそよ、うそ。あんな頼りない男が、ぐちゃぐちゃになった死体の山に対して淡々と処理を進めるなんて。顔色一つ変えなかったわ。まるで、狂気と謀略を司るフライの連中みたいじゃない」エリザベス王女はうろたえていた。
「あはは、初めて見たよ。虐殺鬼アントの戦いを。アント家の3人、笑いながら殺していたわ。あと、ゴーレム兵たちが黒い絨毯のように続いて、前線は血が噴き出して噴水のようだったし、敵の断末魔の叫びが…」そこで、マリアンヌ王女は胃の中のものを戻した。
フーシ王は二人を寝室に運び、メイドに様子を見るように言った。
しばらく休ませなくてはだめだな、とフーシ王は思った。しかし、ロマーンはいったい何を飼っているんだ、狂気と謀略のフライ、虐殺鬼アントとか言っていたな、「おい、あいつらと戦って勝てる自信のある者がいるか、いれば取り立ててやるぞ」側近にフーシ王は言った。
「失礼ですが、我々は人には勝てる自信があります。しかし、化け物と戦って勝つのは不可能です」側近のうち、一番の猛者と言われる男が言った。
「そうか化け物か」フーシ王は言葉少なげに言った。
戦闘は終わりました。おじい様もブルネット姉さんもとても強いです。僕も見習わなくてはなりません。
「バード、こいつらどうも砂漠の民らしい」ロバートは言いました。「アーリヤさんと同じ部族だったのかい?」
「いいえ、彼らは東にいる別の部族です。私は西の部族で、彼らとは関係はありません」とアーリヤは答えました。
「死体から手紙を見つけたんだが、どうもフーシ王を殺すように依頼されたようだ」ベンジャミン様が言いました。
「誰に依頼されたのですか?」僕は尋ねました。
「ケメトの大臣だな、ヘルホトというやつだ。ご丁寧に名前が書いてある」
フーシ王に言うと「ヘルホトか、確かあいつはシルクと交易で関係があったはずだ。金をもらって俺を殺すように依頼されたのではないか」と、苦い顔をしながら言いました。
「シルクは北シルクのことですか?」僕が尋ねたところ、「南シルクの可能性もある。あいつら今は我が国にしっぽを振ってフーシの援助をもらっているが、いずれは力を蓄え、西シルクを取り返したいと考えているからな。最近は北シルクの力が落ち、南シルクの力が伸びてきて力関係が逆転しているので、フーシが邪魔になってきた可能性がある」
「こいつを追求しますか?」僕は尋ねたが、フーシ王は首を横に振って「この国の上の連中は皆血縁でつながっていて、追及したところでもみ消されるのがおちだ」と忌々しそうに言いました。
「我々も襲われた以上、ただ泣き寝入りするわけにはいかんな。それなりの報復はさせてもらう」おじい様は薄笑いを浮かべながら言いました。
「そうだな、なめられるわけにはいかん。それなりに痛い目にあってもらおう」ベンジャミン様は邪悪な笑みを浮かべて言いました。
どうもただではすみそうではないです。
アーリヤに砂漠の民たちは放っておいていいか聞いたのですが、「おそらく、これだけ死んだとなると各部族の戦士たちは全滅でしょう。後居るのは女子供と老人ばかりで、ふただび攻めてくるのは、難しいはずです。もし攻めてきたとしてもごく少数です。まあ、放っておいて大丈夫です」と言ったので、そのまま放置することにしました。
王女二人が寝込んでしまったので、しばらくここで宿泊です。
この周辺の遺跡を見たり、ケメトの料理に舌鼓を打ちました。マリアンヌ姫は翌日には復活し、相変わらず僕にまとわりついてきますが、エリザベス妃は部屋に閉じこもったまま、出てきません。たまに出てきて、偶然ロバートに会うと、ギャーと叫んで泣いて逃げてしまいました。
ロバートは「どうしてこんなに嫌われたんだ」と首をひねっていました。
ケメト王宮にて、ヘルホトはとても困っていた。
ヘルホトらこの国を支配する彼らにとって元々フーシ王は気に入らない奴だった。蛮族のくせに我々神の国の支配者たる我々をあがめる気持ちもなく、対等な相手のようにふるまっていた。
今回、別の蛮族の連中を連れてきて、国を見せろと言ってきた。
蛮族どもが我が国の進んだ文化を学びたいという気持ちはわかるし、それなりの謝礼も受け取ったので、大目に見るつもりだった。
そこに、シルクからフーシ王を暗殺するよう依頼があり、かなりの貢ぎ物を持ってきた。
丁度フーシ王は少数の部下しか連れておらず、他の蛮族たちも召使がわずかばかり連れているだけだったので、これは絶好の機会だと考え、支配下にある砂漠の蛮族どもに命じて、襲撃させた。その代わり、奴らにはフーシ王が滞在している町の略奪を許可してやった。
どう考えても失敗するはずのなかったのだが、アレキサンドリアに駐在しているフーシの公使から詰問の使いが来た。
フーシ王が砂漠の蛮族に襲われたが、撃退した。その時、ヘルホトからの命令書を手に入れた。この件についてどういうことか説明いただきたい。納得いかない場合、それ相応の対応をすることとなるという、無礼極まりない文書だった。
無視するつもりでいたが、襲わせた砂漠の民は全滅させられたらしい。どうやったのかはわからないが、このままだと私の命が危ないのではないか、そう思い立ったので、他の重臣たちと相談して、正規のケメト軍を出してフーシ王を殺すことにした。
砂漠の民にも命じて、ラクダ騎兵を出させることにした。そもそも失敗したあいつらが悪い。責任を取らせるが、もし、フーシ王を打ち取れば、多少罪を軽くしてやっても構わない。
もし殺せなかったら、私は神殿に匿ってもらおう。神殿は不可侵の領域だから奴らが帰るまでそこに逃げ込んでいれば良い。
後はすべて王の責任にしてしまえば、王は神で不可侵の存在だから罪に問うこともできまい。
そう結論付けて、私は朗報を待った。
フーシ王からの情報で、ケメト軍が我々に向かってきていることを知りました。ケメト軍は歩兵中心の軍隊で、騎兵は砂漠の部族を雇っているとのことでした。
僕はおじい様とブルネット姉さんの三人で偵察に行きました。
リニア魔法で進んでいると、「隠れろ」おじい様が突然言いました。
僕らは土魔法を使って地面の中に隠れました。
空に鷹が飛んでいました。鷹はぐるぐると周りをまわると、去っていきました。
「魔力の気配がした。動物を使って偵察しているらしい。敵には魔法使いがいるようだ」
僕らは気を付けながら進みました。
敵の姿が見えます。驚いたことに敵兵のほとんどは鎧も兜も着けていません。サンダル履きに槍を持っているのがほとんどです。中にラクダに乗り、鎧をつけている者もいますがおそらく指揮官クラスなのでしょう。
また、派手な服を着た一団がいます。気配を探ってみると、そこから魔力が感じられました。「あいつら魔法使いね」とブルネット姉さんは言いました。
とりあえず、一撃をくらわすことにしました。僕は火魔法で魔法使いの集団のど真ん中に火炎弾を何発も打ち込みました。同時にブルネット姉さんは風魔法で竜巻を起こしました。
お爺様は竜巻に火をまとわせました。竜巻は火柱となって天まで届きました。
敵は大混乱です。僕はめぼしい指揮官クラスに火炎弾を撃ち込みました。
「一回撤退するぞ」おじいさまがそう言ったので、僕たちはそこから逃げ出しました。
すると、前に戦った砂漠の民の騎兵隊がこちらにやってきていました。僕らを追いかけようとしてくるので、お爺様は小さな玉にした火炎弾を一度に百以上ばらまきました。
火炎弾は敵に向かい、敵に当たるとそのまま突き抜けました。突き抜けた後は、大きな穴が開いていました。頭に当たったものはごっそり一部が削られていました。
「すごい魔法ですね」僕はおじいさまに言いました。
「年の功じゃな」と言っておじいさまは笑いました。
何回かその魔法を砂漠の民たちに放つと、彼らは追撃をやめました。
僕たちは夜になるまで、砂漠の中に隠れました。砂漠の地中に空洞を作り、そこに隠れるのです。
そして夜になると再び敵陣に向かいました。
敵は混乱から立ち直り、思い思いにテントを張り、宿営の準備をしていました。
夕食でしょうか、食べ物の匂いが漂ってきます。
さらに陣地のはずれに負傷者たちが寝かされていました。かなりの数の兵士たちが引いた布の上に寝かされていました。治癒術師でしょうか、何人かが負傷兵たちの世話をしています。
さて、攻撃です。負傷兵たちは手を出さずにおきましょう。まずテントの中でも大きく立派なものに火炎弾を撃ち込みます。さらにブルネット姉さんは風を起こし、テントを吹き飛ばします。おじいさまは補給物資を積んである集積所を灰にしました。
そして、ゴーレム兵を突入させます。3人分で3万のゴーレム兵が敵に突入します。
僕らもそれにまぎれて敵陣の中に進みます。そして指揮官クラスを狙って殺していきました。
砂漠の民がラクダに乗って突入してきます。彼らは別のところに宿営していたのか、僕たちの攻撃の被害がなく、救援に駆け付けたのでしょう。
僕らは彼らに標的を変え、次々倒していきました。前に戦った者達よりもラクダを乗りこなす技術も未熟で、戦闘能力はほとんどありません。中には12・3歳の子供もおりました。
でもこれは戦争です。僕らは次々と倒していきました。
僕らはある程度敵を倒したところで撤退しました。リニア魔法でもといた街に戻りました。
アーリヤに砂漠の民の様子を話すと、大人の男は戦士階級ではなく従者階級らしく、戦闘に不向きなものばかりで、子供たちは戦士見習いではないかとのことでした。
一日休んでから、再び様子を見に行きました。
敵兵の死体が多く転がっていましたが、敵の姿はありませんでした。その時、砂漠の民たちが襲ってきました。その数100を超えるぐらいです。正直我々の敵ではありません。
ゴーレム兵を使い包囲して、あとは串刺しにしていきました。
子どもらしき数名が、体の小ささを利用してゴーレム兵の包囲網を抜け出して、逃げられそうになりましたが、難なく取り押さえました。
このまま処理してもよかったのですが、見ると10歳程度の子供たちが3人ばかり、身を震わせていたので、殺さずに、ケメト軍の様子を聞きました。
ケメト軍は指揮官も殺され、物資も失ったため、撤退することにしたそうです。そして、砂漠の民たちに殿としてのこり、足止めするよう命令したそうです。
砂漠の民たちはケメトの命令で、戦闘に不向きなものや子供も集めて何とか騎兵を500名そろえたのですが、最初の戦闘で半数の騎兵を失い、更に夜戦で残った数の半数を失っていました。
最後に残った100名ほどで、ここで我々が来るのを待っていたそうです。
それだけ聞くと3人を逃がしてやりました。
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