閉話13 祝賀会における王たちの会話
本日最後の投稿です。お読みいただければ幸いです。
スカンナ王とフィン王が立ち話をしていた。「今回の戦争で、西方はロマーンを中心にまとまった。スカンナ王のところに逃げたジャルマン王たちはどうするおつもりですか」フィン王は聞いた。スカンナとフィンは同じ北方国家で国民もお互い行き来もあり、王家同士も血の交流を重ねてきた関係で、とても近しい存在であった。
「彼らにはラップ地方の開拓に努力してもらうつもりです」スカンナ王は言った。
ラップ地方はスカンナ王国の北にある地域を指しており、寒さのため作物は育たたず、夏は日が沈まず、冬は日の上らない、人の住まない極北の地だった。
「つまり流刑のようなものですか」フィン王はおかしげに問うた。
「いえいえ、流刑なんてとんでもない。開拓できれば領地にしていいと言ってありますので、新天地を与えたのですよ」スカンナ王は心外なとばかりに答えた。
「凍てついた大地とひたすら寒い気候、万が一でも開拓出来たらスカンナ王国としては、万々歳ですな」
「生産物が取れるだけでも我が国が潤いますからな」北の国は農業生産力が低く、多くの民は漁業や交易により生活しており、国の収入もそれに依拠している。
「まあ、頑張ってもらいましょう。我々の懐が痛むわけではないのですから。まあ、ロマーン王には、辺境へ追放したと言っておきましょう。そうすれば追及されることはなさそうだ」そう言って、二人は笑いあった。
ロマーン王家の顔ぶれが一同に会していた。そこには、ロマーン王と皇太子、そして二人の王女たちがいた。
「ロバートとバース、お前たちはどう見た」ロマーン王は王女たちに聞いた。
「バースだけど、あの場では全然目立たないわね。姉上がお熱を上げるのがよくわからないわ」エリザベスは言った。
「彼は、アント侯爵家の正当な血を引く嫡子よ。数々の戦争で無敗の名を手にし、大国を作った男なの。身分上もつり合いが取れているし、経歴も王女の配偶者として問題のない、容姿性格もまあまあ、こんな男ほかにいる?私は何としてでも嫁になって見せるわ。でもキャサリンはフライ家の女らしく考えを読めないし、どう策略を立てているかわからない。ミリアさんは真面目な優しい方だし、余余二姫様はさっぱりとした気質で性格のいい子なので、仲良くなれば私を支持してもらえそうだけど、キャサリンの攻略が難しいわね」マリアンヌ王女は言った。
「ロバートはどうだった?」
「特に特徴がない男よ。もともとバルバドスの下級貴族の側室の子で、下級官吏だったのよね。本来なら私に釣り合う身分ではないのだけど、今や大国の王ですもの。まあ、他の妻たちは雑魚ばかりだし、楽勝じゃない。スカイ・グランド連合王国の王位は私の子が継ぐことになりそうよ」エリザベスは自信ありげに言った。
「エリザベス、もう少し相手のことを調べて行動しなさい。いいか、スカイ・グランド連合王国はスカイ王国を治めるロバート・スカイとグランド王国を治めるバード・グランドが連合国家として組むことで成立している国だ。そして、グランド王国を継ぐためには、グランド人の血を引いていることが絶対の条件だ。さもないとグランド人たちが納得しない。すなわちグランド王家はお前たちが手を出してはいけないところだ」王は王女たちに噛んで含めるように言った。
「スカイ王国はそういう縛りはないが、ロバート殿はバルバドスの王も兼ねている。事実上は、バルバドスとジャルマンはスカイ・グランド両国の共同統治だが。さらにスカイとグランドは莫大な富を生む土地を共同統治領として多く持っている。お前たちが嫁いだとしたら狙いはバルバドス、ジャルマン、共同統治領たる南方領のあたりだな。いいか外の王妃たちと争うな。そして可能な限り多くの土地をお前たちの子が継げるよう努力するのだ。わかったな」そして少し声を潜めて言った。
「ロバート殿は我が王家にとって将来に渡ってアント家、フライ家に影響力を与えて行くためには必ず取り込むべき人物だ。エリザベスお前の双肩に王家の浮沈がかかっていることを忘れるな」エリザベスは言われていることが、理解できず、不満そうな顔をしていました。
そして皇太子に向けて王は言った。「いいか、お前はこの西方統治機構のバランスをとるだけでなく、いずれはロマーンの国内のことも見なくてはならない。フライ家とアント家の扱いには十分気を配れ。お前のことを信じているぞ」
三人は頭を下げて、努力することを誓った。
フーシ王国イエロー王は少し疲れていた。キャサリン妃との会話で頭をフル回転させてかなり疲労したところで、東シルク攻略について知恵をもらうための餌のつもりでケメトへの旅行に誘ったら、カリオス王国の要人とロマーンの伝説が付いてくることになった。
彼らを殺せたら、という誘惑もあったが、殺したところで西方社会に大変な混乱が発生する可能性が高く、その中でフーシが生き残れるか疑問である。それに、第一殺しそこなったら間違いなく国が滅ぼされる、そして失敗する可能性がかなり高い。バルバドスがいい例だ。そして、今回同行するアント家の人間は一人一人が軍団並みの戦力を持っていて、それが3人、皆二つ名を持っている強者ばかり。
イエロー王は大変用心深かった。フーシ王家の三男として生まれたことで、いつ殺されても不思議のない環境に生きていたせいもあるのだろう。
とにかく、最高の旅行を提供して、フーシの国威を示すとともに、皆に好印象を持ってもらうのが、一番ベストだと考えた。そして、機会をとらえて、シルク攻略の方法を聞いてみようと考えた。
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第3章も半分まで来ました。皆様からの応援にすっかり調子に乗って書き進めといきましたが、第4章を書くかどうかで迷っています。正直、もう構想は固まってます。でも、もうこれってモラトリアムっていう主題に沿った話じゃないよなと、気づいて少しショックを受けています。自分の文才のなさ、経験の薄さにひどく反省しております。
読んでいただいている皆様はどうお考えか直接聞ければよいのですが、それも難しいので、ブックマークと本の数、いいねの数で判断したいと思います。
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