第34話 ジャルマンとスカイ・グランド連合王国の戦い
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三国同盟締結後、旧バルバドス北部の防衛網の強化を進めていきました。道を整備し、要所要所に防衛拠点を作り、物資の集積を行いました。物資の集積には、廃坑を利用しました。
僕は思い切った作成を実施することにしました。今回の戦いが始まるとしたらその原因はジャルマンです。これを取り除かない限り、あの国はロマーンや我々に何度でも挑戦してくるでしょう。
今現在、スカイ・グランド連合王国には勢いがあり、カリオス王国に対して同盟を結んだため、警戒する必要がないこの時期にきっかり処理する必要があると思いました。
僕は北のアルプ大山脈を超えるルートをこっそりと作りました。さらに北にある人跡未踏と呼ばれる黒の森も隠し通路を建設しました。
兵員郵送のためのゴーレム車も多量に用意して、10万人近い人員が異動できる体制を整えました。
そのうち、ジャルマンから破壊工作員が侵入してくるようになりました。
厳重な警戒網に彼らはすぐに引っかかりました。僕たちはその光景を魔道具で撮影するとともに、彼らを捕虜にしました。
するとジャルマンはこれ等の映像は世間を欺瞞するフェイクニュースで、逆に正当なジャルマンの国境を侵していると宣伝してきました。
このことに義憤を覚えたジャルマンにいるバルバドスの亡命貴族たちにより、バルバドスを解放し平和を達成するため、亡命政権を設立、義勇軍を作りバルバドス解放を行うことを宣言、ブレイド王国もそれに協力することを発表しました。
ブレイドに亡命政権が設立され、義勇軍という名のジャルマン派遣軍10万がアルプ連邦を通り、ブレイドに移動しました。
さて、反撃の開始です。
北部の山々を越えて、軍の進撃を開始しました。8万の軍で一挙に山脈を抜けて、ジャルマン南部の黒い森と呼ばれる場所を抜け、ジャルマンに攻め込みました。
いくつか計画との齟齬もありましたが、作成した道は有効に機能し、補給物資の供給も円滑に進められ、兵士たちを乗せた多量のゴーレム車は山を越え、森を突き進んでいきました。
さらに多くの土魔法使いを動員し、先遣隊として敵地での地図の作成を行い、迅速な作戦行動ができる準備をしました。
スカイ・グランド連合王国軍はほとんど抵抗なく、敵の国土の中心まで進出しました。
ジャルマン王宮にて
「敵が山を越えて攻めてきたぞ。それだけじゃない。軍勢が通り抜けることは不可能と言われた黒の森も抜けてきた。これはどういうことだ」王は叫んだ。
「我が国とバルバドスの境になる東アルプ山脈は人の出入りが難しく、本来であればとても軍勢が通れるものではありません。しかし、奴らは道を作り、魔石鉱山の廃坑を使用して物資の集積所やトンネルを作り、さらに多くのゴーレム車を使用して山脈を突破した様です。さらに、黒い森も土魔法使いを使って土地を整備し、火魔法使いで木々を焼き払い、そこもゴーレム車で突破したようです。黒の森付近の貴族軍はたちまち敗れ、今敵は首都シュタインブルクに向けて進軍しています」軍務大臣が報告した。
「ブレイドに派遣した軍を呼び戻せ」
「アルプ連邦が通行の許可をいたしません。きっと、スカイ・グランド連合王国から何らかの圧力があったものと思われます。さらにブレイド王国に軍を派遣した時に、アルプ連邦通過を通過するため、一時的に武装を封印したのですが、ブレイド王国がその封印を解かせないようにしています」
「ブレイドめ、裏切ったな」
「王よ、もう一つ言わなくてはならないことがあります」内務大臣が言った。
「これだけ悪い話を並べておいて、まだあるのか」
「ポートランドが裏切り、東部ジャルマンに侵攻を始めました」
王は崩れ落ちた。「首都防衛のための軍はどのぐらい集められる」王は弱弱しくいった。
「あと数日で敵はこの町に攻め寄せてきます。貴族たちに兵を集めて支給参集するよう緊急招集をかけていますが、敵の進行速度が速く、集まりはとても悪いです。敵が攻め込んでくるまでに集まっても千人ほどかと。とりあえず、役人たちを根こそぎ徴兵し、兵員をそろえています。武器はとりあえず町中の鉄製品を集めて、武器を作っています」軍務大臣が答えた。
「勝てそうか」王は放心したように言った。
軍務大臣は何も答えなかった。そして、「王よ、可能であれば首都から退避して、別の地で捲土重来を期していただけるよう臣下としてお願いいたします」
「逃げろだと、わしに逃げろだと。ジャルマンを滅ぼした王として一生の辱めを受けろというのか」
「生きていればチャンスはあります。北のスカンナ王国にお逃げください。まだ北には敵が来ていないので、急げば逃げられます。王妃と王子たちをお連れになって、ジャルマンの血をお残しください」内務大臣は涙ながらに進言した。他の重臣たちも同意見だった。
王は、机の上に両手をついて、顔を下に向けて、黙ってしまった。水滴が机にぽたぽたと落ちていた。
「すまぬ」王はそう言い、その場を去った。
「さて、ジャルマン貴族としての誇りをここに示そうではないか」内務大臣が言った。
「法衣貴族たちを集めよ。官僚たちを集めよ。女たちを集めよ。子供を集めよ。どうしても戦えぬものは北へ逃げよ。戦えるものは武器を取れ。この地にてジャルマンの誇りを奴らに見せつけてやる」軍務大臣は皆を鼓舞した。
シュタインブルクは焦土と化しました。貴族や役人たちとその家族は王城に立てこもり、必死に抵抗しました。しかし、スカイ・グランド連合王国軍8万が包囲、猛攻撃を行った結果、城門は破られ、連合王国軍が侵入してきました。わずかな守備兵と貴族の子弟、役人とその家族による義勇兵は粗末な武器を手に集団で特攻攻撃をしてきました。
10死1殺の掛け声とともに、10人が死んで敵を一人殺すというもはや戦法とは言えない戦いを行ってきました。女子供たちは石や包丁、鋏をもって敵に突っ込んできました。
中には体に油を塗り、火をつけて火だるまになりながら、兵に抱きついてくるものもいました。
子供達は背中に油の入った壺を背負い、火の魔石を持って駆け寄ってきました。子供を殺すのを躊躇った者は子供と一緒に火だるまになりました。
降伏を度々呼びかけるが、降伏するものはなく、ただ死が積み重なっていった。
街のあちこちには火がつけられ、大火となって燃え上がった。
スカイ・グランド連合王国軍の死傷者は千人を超えました。そして、シュタインブルクの半分以上が焼け落ちました。ジャルマン側で戦いに参加し生き残った者はほとんどいませんでした。
僕はこんな悲惨な戦いは初めてでした。絶対的不利な状況にもかかわらず降伏せず、死ぬまで戦う者の恐ろしさを、身をもって知りました。千人以上の死傷者が出たほか、かなりの兵が精神的に不安定になり戦闘意欲を失いました。
ジャルマン人の強さを自覚したとともに、自分の認識の甘さに嫌気がさしました。今まで比較的楽に勝ててきたことで、慢心していたようです。
僕は心身ともに不調となりました。食事ものどを通らず、責任感だけで業務をこなしていました。
死者を埋葬し、負傷者や戦闘不能者を後送するとともに、新規兵員の補充を進めました。武器や食料、医薬品などの補給も進めていく必要がありました。
そんな折、キャサリン姉さんが来てくれました。二人きりになった時、僕は抱きついて泣きました。
キャサリン姉さんは頭を優しくなでてくれました。
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