第32話 カリオス王国訪問
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カリオス王国の港、バルセロに着きました。まだ4月だというのに、結構暑く、男女とも薄着で、カラフルな服を着ていました。
町はとても活気があり、商いの声があちこちに轟いていました。
僕らは船から降りると、一人の男が待っていました。
「お初にお目にかかります。私、カリオス王国にて外交を担当しておりますバスコ伯爵と申します。スカイ・グランド連合王国のグランド国王にして大将軍、バード・グランド殿でござますか?」
「いかにも、私がバード・グランドと申します。この度はカリオス王国女王ソフィア・カリオス様への会見をお許しいただきありがとうございます」
「我が女王もグランド王にお会いできるのを楽しみにしています。何せ、『常勝将軍』の名高きお方でございますから。あと、宰相殿とわが国の大将軍もお会いしたいと申しております」にこやかにバスコ伯爵は言った。
「名高き名宰相のウッド様、『暴風将軍』のブルー様にお会いできるとは光栄です」僕はにこやかに言ったが、内心とても緊張しました。
この二人は強敵です。特にウッド宰相は大変な切れ者といううわさで、とても僕では太刀打ちできないでしょう。これは心して掛からなくてはならないぞと、身を震わせました。
港町バルセロから内陸に入り、首都であるリッドタウンに着きました。
バスコ伯爵に先導され、謁見場に導かれました。
謁見場に入ると、奥に座っているのが女王のようで、その左右に立つのが、宰相と大将軍のようです。
僕は前に進み、礼をしました。女王はダークブラウンの髪をした小柄な美しい方でした。
「初めまして、グランド王国国王にして、スカイ・グランド連合王国大将軍バード・グランド殿」ニコニコとした顔で、僕に声をかけてきました。
「お初にお目にかかります、カリオス王国女王ソフィア・カリオス様」僕はまっすぐ女王の顔を見て答えました。
「お元気そうで何より」宰相が声をかけてきました。僕はその顔を見てびっくりしました。
「元気そうね」その声を聴いて、思わずブルー将軍の方へ顔を向けて、将軍の顔を見て絶句してしまいました。
3人はみんな僕の顔を見てにやにやとしていました。
3人と僕は別室に移りました。
「バース・アント殿とお呼びしてよろしいですか」ソフィア様は言いました。
「私的な場ではバースでいいです。僕はソフィア姉さんと呼んでもいいでしょうか」
うふふ、と微笑みながら「ええ、結構ですよ」と返事をもらいました。
「ところで」僕はウッド宰相とブルー大将軍に向かって言いました。「何でフット兄さんがここにいるの。ブルネット姉さんもいったい何をしてるんですか」
「バースが旅に出てすごい楽しそうだったじゃないか。うらやましくなって僕たちも旅に出ようと、両親から許可をもらって旅に出たんだ。そうしたら、縁あってソフィアと知り合って、国興しすることになって、今に至るんだ」
「フット兄さんが宰相、ブルネット姉さんが大将軍、すごくしっくりくるけど、本当にびっくりしたよ」
「僕自身びっくりだよ」フット兄さんは笑って言いました。
「ブルネット姉さんは『暴風将軍』だって?」
「私って風魔法が得意でしょ。前線で風魔法を使って敵を吹き飛ばしていたら変なあだ名付けられちゃった」ブルネット姉さんは苦笑いしていました。
それから僕は疑問に思っていたことを聞きました。「ブルネット姉さん、フット兄さんに自分以外の側室は認めないと言っていたのに、ソフィア姉さんとの結婚は認めたんだね」
その問いに二人は顔を合わせ、「ちょっと関係が違うのよ」と姉さんは言いにくそうにしていました。
「ええ、正確には、私が二人を妻にもらったのですわ」とソフィア姉さんは言いました。
「えーと、どういうことですか?」
「私が、ブルネットとフットが好きになって、私が口説き落としたのです。いつも三人で仲良くしていますよ」ソフィア姉さんは胸を張っていました。
「はあ」僕は少しびっくりしていました。
つまり、ソフィアさん両方ともいける方なんですね。まあ、それは個人の自由なので、皆が良ければよいのですが。
「さて、バース、今この国には、いろいろな国から我が国と関係を持とうと、使者がやってきているんだよ」フット兄さんが言いました。
「具体的にはどこなんですか」僕は聞きました。
「ブレイド王国、フーシ王国、そしてジャルマン王国」
「ジャルマンですか」
「ジャルマンはかなり高圧的だったな。同盟というより、従属に近い立場を要求してきたし、逆らえば我々が征服した国の元貴族たちをたきつけて内乱を起こすと言ってきたな」
「それでフット兄さんはジャルマンとの同盟を受けるのですか?」僕は単刀直入に聞いた。
「バース、お前少しは外交を学んだ方がいいぞ。普通そんなことを聞かれて答えるやつはいないぞ」フット兄さんはあきれたように言いました。
「僕もそう思うよ。だけど、フット兄さんに僕が政治や謀略で太刀打ちできるはずないじゃないか。それにもともと僕はこの国に御機嫌伺と情報収集に来たのであって、何か外交的な成果を期待されているわけじゃないんだ。でも、カリオス王国に来たら、兄さんと姉さんがこの国の重要人物になっているし、この際だから聞いておこうかと思ってね。だって、最悪僕ら戦うことになるんだろ」そう言って一度言葉を切ってから、僕らの立場を伝えました。
「ちなみに言っておくと、ジャルマンはロマーン王国の宿敵であり、スカイ・グランド連合王国はロマーンの影響の強い国なんだ。官僚たちもロマーンからきているものが多いし、なんせ王の片方がロマーン貴族、その妻もロマーン貴族の出でスカイ・グランド連合王国一の政治と謀略に秀でる宰相補佐、スカイ・グランド連合王国はロマーンにつくよ」
フット兄さんは、「安心しろ、俺たちはお前らと戦わない。母国であるロマーンを裏切るつもりもないし、仮にも俺たち夫婦はロマーンを支える侯爵家の一員なんだぞ。はっきり言って、大宰相と言われたベンおじい様や名宰相と言われる父、そして『不死将軍』と言われるジョージ様、ロマーン軍をまとめるブルネットのお義父様、そして「常勝将軍」のバース、絶対に戦いたくないね」
ブルネット姉さんも「血を分けた姉弟や親子で戦うなんて、私だってヤダわ」と言っていました。
「ブレイドも同盟の機会を探っていたようだが、あの国はジャルマンの同盟国だ。ジャルマンの意向を気にしてこちらに使者を送ってきたのだろう。最終的にはジャルマンを中心にした、ブレイド、カリオスによる3国同盟を考えているのではないか」フット兄さんは考えを述べました。
「3国同盟?」僕が尋ねたところ、フット兄さんは「おじさんがロマーンの情報部長だしね。そこから情報をもらっているよ。それなりの情報と、今とっている行動を考えれば判断できるからね」とこともなげに言いました。
「ジャルマンは前の戦争のリベンジマッチを考えている。ロマーンを倒し、この地域の覇権を握るつもりなんだろうな」
「フーシも来ていたんだよね。何か企んでいたの?」僕はイエロー王の顔を思い出しながら言いました。
「フーシはご機嫌伺い程度だったから、そんなに警戒する必要はないだろう。まあ、あの国はお前たちの恐ろしさをよく知っているし、よっぽどのことがなければ攻め込んでくることはないだろう」フット兄さんは言いました。
「さて、ジャルマンは亡命貴族たちを集め、他国への干渉を始めようとしているのは間違いないな。そして宿敵であるロマーンとの戦いを起こして、勝利を収める。我々ロマーンが対抗するためにはどうしたらいいと思う?」フット兄さんは問いかけました。
僕は考えて、「ロマーン王国を中心にカリオス王国、スカイ・グランド連合王国は3国同盟を締結する」と答えました。
「うん、とりあえず正解かな」フット兄さんは言いました。「僕らが同盟を結ぶことで、おそらくブレイド王国は周りを敵に囲まれて中立的立場をとることになるだろう。そうすれば、ジャルマンもロマーンに手が出せないと思う。ただ、問題は、バルバドスとカリオスへの干渉は可能だということだな」
「バルバドスとカリオスに干渉してくる可能性があるのですか」僕は尋ねました。
「ジャルマンとしては、3国同盟を崩壊させるのが一番の目的となるだろうからな。さもなければ、自分たちが攻め込まれると思っている。方法として、ブレイド王国を通して、滅ぼされたバルバドス王国とベリア半島にあった王国復活を唱え、侵略者として我々を弾劾して国土回復戦争をおこす。その場合、ロマーンとしては大義名分を重んじれば直接的な軍事行動は起こしにくい。さらにブレイド王国の南に位置するベリア半島への干渉は距離的にジャルマンは難しいけれど、ジャルマン王国の南に位置し、ブレイド王国の東にあるバルバドスは攻め込むのに絶好の場所になるだろう」
「どういうやり方で干渉してくると思いますか」
「ブレイド王国内に亡命政権を作り、それをブレイド王国が支援する形にする。そして、物資の供給と傭兵か志願兵としてジャルマン兵の供与を行い、戦争を起こす」
「ブレイドが従いますか?」
「ジャルマンとブレイドは長らく友好関係にあり、ブレイドに対していろいろ支援も行っており、影響力も高い。また、反ジャルマン派のブレイドの貴族は、この前フーシと結んでバルバドスと戦争を行い、敗北したことで主だったものは粛清され、力を失っている」
大変なことになったと思いました。
ロバートやキャサリン姉さんとも相談して、対応を考える必要があるが、とりあえず3国同盟について、国内で検討しよう。
「僕たちがここにいることは父上に知らせてある。きっと父上も同様なことを考えるだろう。いずれ、カリオス王国とスカイ・グランド連合王国に同盟の依頼が来ると思う」
フット兄さんは言いました。
ふと、僕はソフィア姉さんの方を見ました。国の方向性について話をしているのに、フット兄さんは女王であるソフィア姉さんに何の了解も得ていません。気を悪くしているのではと思ったのですが、こちらを見てにこにこしています。
疑問に思ったので、「ソフィア姉さんに了解を得ずに色々話してしまいましてお気を悪くしたら申し訳ありません」と誤ったところ、「大丈夫です。私はウッドのことを信じてます。それに難しいことを言われても私ではよくわかりません」と言いました。
「私も無理~」ブルネット姉さんも我関せずとばかりにお菓子を食べて、お茶を飲んでいました。わが姉はそういう人だと良くわかっているのですが、国の大将軍としてそれでよいのでしょうか。僕はやや疑問に思いましたが、口に出せばおっかないお説教が待っているので黙っておくことにしました。
その夜は我々に対する歓迎会が開かれ、大いににぎわいました。
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