第30話 再びバルバドス西部へ
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僕はグランドに帰ってきました。ロバート達が迎えてくれました。
ロバートから「どうしたんだ。何かあったのか」と聞かれたので、軍学校に通う必要がなくなったこと、王女に迫られたことを伝えました。
「いろいろあったんだな。こっちもお前に話さなくてはならないことがいくつかあるんだ」
ロバートは言いました。
「それっていい話?悪い話?」
「両方あるけどどっからがいい?」
「まず、いい話の方を教えてほしい」
「ミリアに子供ができた」
「本当か!」僕はミリアに聞くとミリアは恥ずかしそうにうなずいた。
「やったー!うん、すごくうれしい。ミリア体は大丈夫?」
「うん、大丈夫。妊婦としての生活の心得は、ジェーン姉さんやミーアさんにいろいろ教えてもらっているの」ミリアは言いました。
「うん、体を大事にして、ミリアも子供も健康に気を付けてね。僕もできることはするから」僕はニコニコしながら言いました。
「さて、バード」ロバートがおもむろに発言した。
「今度は悪い話を聞いてもらわなくてはならない」
「どういう話だ」
「西部にいるホール伯爵が反乱を起こした」
ロバートが言うには、現在バルバドスの貴族のうち、明確に立場を示さず日和見したものは身分を取り上げられ、力のある一部の貴族はその地域に指導力を持つ土豪となり、そのほかは海外に逃亡するか、持っている財産を食いつぶして生きているらしい。
ホール伯爵は西部の防衛を任されていたが、今回のバルバドス王国の事実上の滅亡により爵位及び領土の剥奪が決定しており、かなり不満を募らせていました。
そこで、バードがロマーンに帰国したという情報を聞き、西部の土豪化した貴族やバルバドス復活を夢見る元貴族たちが集結し、反乱を起こしたとのことです。
旗頭として修道院から逃げ出した元皇太子ら数名の王族が合流して、新生バルバドス王国を名乗っており、ブレイド王国とジャルマン王国に援助を依頼しているとのことです。
後厄介なのが、最近ベリア半島をほぼ統一したカリオス王国にも支援の要請をしているらしいです。
ベリア半島の小国だったカリオス王国をたった一年でベリア半島統一に導いた王配にして宰相のウッド・カリオス、女大将軍でウッドの妻であるブルー・シーはその戦いぶりから「暴風将軍」と呼ばれているそうです。
とても侮れる相手ではありません。
この反乱を早急に解決しないと、不平を持つ元貴族に先導されてバルバドスに内乱が起きる可能性が高いです。
まず、ホール伯爵を早急につぶす必要があります。ロバートに軍の編成を依頼しました。
常備軍を中心にスカイ・グランド軍で4万、旧バルバドス軍1万の合計5万を使います。
今回の動員には、カムイ侯爵もついてきてもらい、旧バルバドス軍の指揮をお願いしました。「引退したのに引っ張り出すなよ。もう面倒なことにはかかわりたくないんだ」と言って渋っていましたが、旧バルバドス軍がホール側に寝返ったら、せん滅させる必要が出ることを伝え、それを防止できるのはカムイ殿だけだと伝え、出陣を促しました。
カムイ侯爵はため息をついて、「こんなことになったのも俺たちのせいだしな。これで、俺の元部下たちが反乱でも起こしたら、バルバドスは内戦になってしまう。バードお前のことだ。反乱を起こしても何とかする算段は付いているのだろうが、無駄な手間を増やしたくないわけだろう。仕方がない。俺も付いて行くよ」と言って、将軍格でついてきてくれることになりました。
軍が出発する前にキャサリン姉さんに手紙を送り、カリオス王国とブレイド王国、ジャルマン王国の動きについて、情報があれば教えてほしいと、伝えました。
ロジスティクスはロバートにお任せです。僕は戦うことに集中します。
こちらに味方する貴族や土豪たちも集まってきました。前にいっしょに西部で戦ったホーン卿とクロード卿も駆けつけてくれました。
「おひさしぶりです。グランド殿」「お元気そうで何よりです。グランド殿との縁で、我らは身分を維持することができました。この恩をお返しできればと思い、はせ参じました」
僕は大喜びで、今後参集してくる者たちの指揮官として、二人を任命しました。
スカイ・グランド・バルバドス連合軍は西部地域に侵入しました。西部にてコール伯爵側で参戦したものは、我々の早急な進攻のため、まとまることができず、いくつかの砦や町に立て籠もって抵抗しました。
僕はまず、砦や町の相互の連絡を絶ち、補給を断絶させました。
後は魔法使い部隊で処理します。火魔法を打ち込み、風魔法で火を広がらせて、土魔法で城壁を崩します。相手も魔法使いを雇っているようですが、数が全然違います。相手の魔力が尽きてもこちらの攻撃は止むことなく、砦は降伏しました。
他の砦や町も次々と落としていきます。西部の砦や町をすべて陥落させるのに3日で終わりました。
今のところ、旧バルバドス軍の反乱の兆しはありません。圧倒的な力を見せつけているし、更にカムイ侯爵がうまく導いてくれているようです。
その後、わが軍はホール伯爵の首都ニールに向かい、これを包囲しました。
ニール市内ホール伯爵邸にて
ホール伯爵は焦っていた。部下たちを怒鳴りつけていた。「こちらに味方する者はいないのか。他の貴族たちはどうした。知り合いに手紙を送って反乱を呼び掛けているのだろう」
部下の一人が言った。「ダメです。こちらに味方した貴族たちから親戚縁者に侵略者に対して戦いに立つよう手紙を送っていますが、全く反応がありません。逆に最初はこちらに味方した貴族たちも降伏したり、逃げ出す始末です」
「皇太子たちはどうした。彼等には兵を鼓舞してもらい、敵に投降を呼びかけてもらわなければならない」
別の部下の一人が言った「部屋に閉じこもって出てきません。敵に投降を呼びかけるように促しましたが、城壁には魔法や矢が飛んできて危険だと言って出て行きませんし、兵たちの鼓舞も前線近くに行くことを嫌がりやっていただけません」
「魔道具を使って、録画しておき空中に投影してはどうか」ホール伯爵はバルバドスでの出来事を思い出し、提案した。
「録画する魔道具もなく、時空魔法使いもいません」魔法関係を取り仕切る部下の一人が言った。
「他の王族はどうした」ホール伯爵は頭を抱えながら言った。
「皆部屋にこもっております。中には話が違う。どうしてくれると詰め寄ってくる方もいらっしゃいます」王族の世話を担当している部下が言った。
「外国の助けはどうだ」
「ジャルマン王国、カリオス王国からの返事はありません。ブレイド王国からは比較的いい返事をもらっていますが、直接兵を出すことは拒否されています」外交を担当する部下は言った。
そのとき、大きな音がして、地面が揺れた。ちょっとして更にもう一度さっきよりも大きな音がして地面が揺れた。
「どうした!」ホール伯爵は叫んだ。その時、血まみれになった部下が飛び込んできた。
「すべての城壁が崩されました。敵が侵入してきています」
ホール伯爵は意気消沈して椅子に座り込み、「どこか脱出口はあるかね」と聞いた。
「周辺は包囲され、脱出できるルートはありません。全滅するまで戦うか、降伏するかどちらかです」部下が言った。
「降伏する。その旨敵に伝えよ」ホール伯爵はうなだれながら言った。
爆裂魔石を使った特攻ゴーレムは大成功でした。この町は2重の城壁に守られているのですが、爆裂魔石を抱えた大型ゴーレムを用意し、何体かを一度に城門に突っ込ませ爆発させたら、城門が吹っ飛びました。そこからまた同様に特攻ゴーレムを突っ込ませ、もう一つの城門も破壊しました。
一挙に兵をなだれ込ませます。敵の攻撃は微弱でした。爆発で吹き飛ばされ、半死半生になっている者や呆然自失している兵士があちこちにいました。
そして、ついにはホール伯爵から降伏する旨の知らせがあり、これにて反乱は鎮圧しました。
反乱軍に参加した貴族、元貴族、軍の将校以上の者、王族は捕らえられ、バルバドスに連行されました。彼らはみな死刑となるでしょう。
今回反乱に加わらなかった王族たちの監視は強化され、もっと山奥の人里離れた修道院に移されました。
元バルバドス王夫妻も場所を移され、スカイ王国北部の人里離れた場所に屋敷を建てて、そこに監禁されるようになりました。
反乱に参加した貴族、元貴族の家族は屋敷と財産を没収され、山奥の修道院に送られました。
反乱に参加しなかったが、味方にもならなかった元貴族、土豪は家族とともに国外に追放されました。
味方になった貴族は、貢献度により評価されました。
兵を出し、活躍したもののうち、元貴族、土豪には男爵の身分と領地が与えられました。
貴族には一階級爵位を上げてやりました。
そして、全員に戦費として金銭を与えたうえ、勲章を授与しました。
なかには、今回捕らえられた親族の救命を願うものがいたので、それをかなえることで褒賞としました。
味方になるとの宣言だけで動かなかった者は、降格か貴族位を剥奪しました。ただ財産の保持のみ認めました。
なお、カムイ侯爵は、息子を子爵から準伯爵に陞爵し、軍に地位を与えました。
カムイ侯爵もスカイ・グランド連合王国上将軍として任用しようとしましたが、「俺はもう隠居だから」と言って、固辞しました。
ホール伯爵の反乱は終了しました。
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