第28話 入学と同時に卒業ですか!
本日も9時と18時に投稿します。お読みいただければ幸いです。
軍学校には無事合格できました。これで晴れて軍学校の生徒です。
入学まで、しばらく時間があるので、グランドに帰りました。ミリアが僕に抱きついてきました。「おかえりなさい。旦那様」
「おかえりバード」とロバート達も言ってくれました。
しばらく留守にしたことので、とりあえず業務をこなします。統治自体はロバートと官僚組織に任しているのですが、決裁を要するものがいくつか溜まっています。
特に軍関係の業務は僕がかなり決定する必要があります。何か月かに一回ぐらいは帰ってくる必要がありそうです。
学生と王と大将軍の兼任とはなんとも大変だと思いましたが、やむを得ません。
仕事が終わって、みんなと一緒にご飯を食べました。
「4月から学校なんだよね。それまではここにいられるのかい」ミーアさんが聞いてきました。
「入学式の前には帰らないといけないでしょう。制服であるロマーン王国軍の軍服とかの寸法あわせもあるはずですからね」そう言ってふと父に言われたことを思い出しました。
「入学式で講演をしなければならないそうです。なんか今までの戦いについて、しゃべるように言われました。人前で話をするの苦手なんですけどね」
ロバートも言いました。「俺も苦手だよ、でもまあ立場上やるしかないからな」
「王様は大変だな」
「お前もだろ!」
他のみんなは二人の会話を聞いてくすくす笑っていました。
それからしばらくは国の統治に力を注ぎました。余余二姫のところにも顔を出しました。
余余二姫は、左真人自治区の人口も増えていろいろ問題も出てきているためか、忙しく働いていました。僕は余余二姫に頼まれて、土木工事をしたり、争いごとの仲裁をする手伝いをしました。
夜は「わらわも早う世継ぎを作りたい」と言って、僕のベッドに潜り込んで寝ていました。断っておきますが、本当に寝ただけです。どうも男女が一緒に寝ると子供ができると思っているようです。そのうち本当のことを知ると思いますが、今は黙っておきましょう。
そんなこんなで楽しく過ごしていると、間もなく入学式です。ロマーンに帰って、入学準備をしなくてはなりません。
国に帰るとき、ミリアはとても寂しそうでした。
「大丈夫だよ。少なくとも夏には帰ってくるから」とミリアに声を掛けました。
「でも、旦那様のことですから、きっと軍学校で彼女をおつくりになると思われます。そちらに夢中になって私のことを忘れてしまったらと、とても心配です」
「大丈夫だよ。彼女なんて出来ないから」と言ったのですが、「うん、ありうる」「あり得ますね」「ありうるな」とロバート、ジェーンさん、ミーアさんがミリアに同意しました。
アーリヤさんは「大魔導士様なら女がほっとかないですからね。私どもの部族の女でしたら、大魔導士様の側室に10人以上志願すると思いますよ」と断言しました。
そんなにもてるはずないだろう、第一旅に出るまで、キャサリン姉さん一人しかいなかったんだぞ、と思いながらミリアに絶対に夏に帰ってくることを約束して慰めました。
入学式当日、僕はローマン王国軍の軍服に身を包み、屋敷を出ました。今日から寮生活です。着替えなど寮生活に必要なものをもって、屋敷の門を出ました。
父と母はニコニコしながら見送りしてくれました。ただ、父のニコニコは何か企んでいる顔でした。
学校に行くと新入生たちが集められ、隊伍を整えると講堂へと導かれました。
入学式が始まりました。入学許可、校長の挨拶、代表生徒の宣誓、来賓の祝辞が行われました。ちなみに代表生徒はその年入学の王女、マリアンヌ・ロマーン様が行いました。
その後、僕が講演する番になりました。
「バース・アント候補生前へ」校長が言いました。外の候補生たちは何事かと思い、ざわつき始めました。
校長が僕のことを紹介し始めました。「彼、バース・アントは2年の間旅をしていた。旅の間、名を変え、バード・グランドと名を変えていた。その名を皆も知っている者が多くいると思うが、多くの戦いで常に勝利をおさめ、2つの国を征服し、大国スカイ・グランド連合王国を作った王にして大将軍だ。他の国でも彼を大将軍にしたいと言わしめるほどのものであり、『常勝将軍』の二つ名を持っている。彼に講演してもらえるのは、本校校長として、大変な栄誉であると考える。それではお願いしたい」
講堂いっぱいに拍手が轟きました。
上から見るとみんながよく見えるな~。あっ、ヒネクレ―すごく悔しそうな顔をしています。
マリアンヌ王女なんか僕を見る目が怖い、まるで草食動物を狙う肉食獣の目だよ。
僕は現実逃避していました。
講演という名の戦争苦労話を終え、僕はふらふらと自席に戻りました。
気が付くと入学式は終わったようです。僕のそばに校長がニコニコしながら立っていました。
そして、別室に連れていかれると、そこにはニヤニヤした両親と呆れた顔のキャサリン姉さんがいました。
「これより卒業式を行います」校長が言って、僕を立たせました。
「バース・アント、軍学校の全課程を修了したことを証明する」そう言って、僕に卒業証書を渡してきました。
そのあと、父上が出てきて、「バース・アント士官候補生、本日付けをもって少尉に任命する。バース・アント少尉、本日付けをもって中尉に任命する。バース・アント中尉、本日付けをもって大尉に任命する。バース・アント大尉、本日付けをもって少佐に任命する」
そういって、少佐の階級章を渡されました。
僕に何が何だかわからず、流されるままになっていました。
校長と両親がいなくなってから、キャサリン姉さんが近寄ってきて、「バース大丈夫?」と聞いてきました。
「何が何だか全然わからない。姉さん説明して」僕はキャサリン姉さんに縋り付きました。
「あなた、自分がどういう立場だか全然わかってなかったでしょう。私もこっちに帰ってくるまであなたが軍学校に入る必要があるのか疑問だったのだけど、あなた自身がそう言っていたし、アント家の方で何か決まりがあるのかと思っていたのだけど」そう言って話をつづけました。
「あなた、例えば大国の大将軍で、数々の実績もある人物がいたとして、それがスカイ・グランド連合王国の軍学校に生徒として入りたいと言ってきたら、あなたの立場だったらどうする?」
「僕だったら、生徒じゃなく、教官となってほしいと言うな。できれば、軍の将軍として働いてもらいたいとお願いするかな」僕が答えると、キャサリン姉さんはあきれたように言いました。
「あなたがその立場なの!スカイ・グランド連合王国の大将軍で『常勝将軍』の二つ名を持ち、数々の実績を持ったあなたが、生徒に収まるはずないでしょ!」
「そんな大したことしていないと思うけどな。冒険がしたくて旅に出て、たまたま戦争に巻き込まれて、戦っていただけなんだけど」
「あなたがどう考えるかではなくて、他人がどう見るかなの。それでどうするの。スカイ・グランドに帰る?ローマン王国にいる?少佐になったから軍学校の教官として働けるわよ」
「キャサリン姉さんはどうするの?」
「私は子供が生まれるまでこっちにいるわ。私たち絡みでなんかいろいろすごいことになっているみたいだしね」
「すごいこと?」
「もう少し調べたら、バースに話すわ。ひょっとしたらあんたのモラトリアムの旅がこの世界にとんでもない影響を与えたのかもよ」とキャサリン姉さんは言いました。
「その話は今度聞くよ。もう、頭がいっぱいだ。卒業したということは寮にも入れないのだよね。実家に帰って、休んで頭を整理するよ」そう言って、キャサリン姉さんに先導されて一緒に裏門から出ました。
家に帰ると、にやにやした両親がいて、「お帰りなさい」と言って迎えてくれました。
「ただいま」と苦虫をつぶした顔で言えと、部屋に戻ってふて寝しました。
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