第24話 フーシに行こう
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僕たちは時空魔法を使って、フーシの首都ダスコーに向かいました。時空魔法は便利なのですが、使い手が少なく、また、転送ポイントが限定されているので、雇用経費が高くつくし、使い勝手があまりよくありません。まあ、今や国王なので、必要経費ということで、時空魔法使いを雇っています。
フーシでは、イエロー王子自身が迎えてくれました。「久しぶりだな、バード、ロバート、キャサリン嬢、そして初めましてかな、ミリア嬢に余余二姫、そしてアーリヤ嬢」
イエロー王は侮れません。我々の情報を正確につかんでいる様子です。「お久しぶりです。イエロー王」キャサリン姉さんは貴族としての正式な例をしました。僕とロバート、ミリアもそれに倣いました。余余二姫とアーリヤはすこしぎこちなく挨拶しました。
「しかし相変わらずすごいな。アサシン国の姫も妻にしたのか。バード、俺の妹も妻にしないか?」と聞いてきた。
「いや、結構です。これ以上は勘弁していただきたい」と僕は断りの言葉を言いました。
「あはは、わかっている。冗談だ。ところでキャサリン嬢、お子ができたそうだな。おめでとう」「ありがとうございます。これでロマーン侯爵家は安泰でしょう」とにっこり笑って、答えた。
イエロー王は引きつった顔で「キャサリン嬢、我々は決してグランド公国に干渉する気はない。けん制しなくでも大丈夫だ」と言って、「今日は、新年の祝いだ。楽しんでいってくれ」と言って、その場を去った。
僕は、どういうことか聞きました。すると「グランド公国は、バース、あなたとミリアとの子かロバートとジェーンさんの子が継ぐことになっているでしょう。イエロー王は、私の子に継がす気があるのなら、協力するぞと言いたかったのよ」と言いました。
政治の世界は複雑怪奇だなあ、と思いました。
フーシでの祝賀会はつつがなく進みました。ごちそうが出て、フーシの貴族たちも多く参加しました。シルクから帰順した貴族もいましたが、みなにこやかに僕らに話しかけてきました。
口々に僕らの戦いを誉め、友諠を結びたいと言ってきました。
キャサリン姉さんは「油断しない方がいいわよ。みんな私たちを恨んでいるでしょうから。でもいま反抗的な態度を取れば、イエロー王に粛清される可能性が高いからね。でもすこしでも頭の回る人だったら、フーシ王に取り入って出世するのに、私たちの力を利用しようと考えているかもしれないわ」とこそっと言っていた。
翌日はフーシとの会談です。
シルク情勢や新たに得た領土の統治について、話がありました。
魔石について、ある程度生産が安定したら輸入したいことと、値段の割引について求められました。キャサリン姉さんはミリア山脈周辺部の所有権について干渉しないことを条件に、他より安価での輸出を約束しました。
南シルクに送った左真族について聞いたところ、南シルク防衛に活用されているようです。それて、余余二姫に頼まれていた手紙の件を頼みました。また、手紙を受け取ったもので、希望者がいれば、グランドへの移住を受け入れることの許可をシルク王に依頼したいことを伝えました。
「ああ、構わない、手紙は南シルクに送っておこう。移住の件も話しておこう。フーシから人を派遣して対応しよう。ところでこれは興味からなんだが」とイエロー王は言ってから、北シルクの現状について話をしました。
北からの蛮族侵入、少ない国内生産力や人口、南進に対する圧力など、もし為政者であればどのような対応をとるかについてです。キャサリン姉さんは答えました。「いくつか取る手段はあるわ。もし、私とバースがいれば、あっという間に南北シルクを統一し、フーシと戦う準備を進めていたでしょうね」
イエロー王はびっくりして言いました。「この状況から、どうやって挽回するのか」
「蛮族との和平が一番簡単かな。金や食料を与えて、そのまま雇ってもいいかもね。そして、その兵力を使って、南に進攻する。蛮族の力とバースがいれば、あっという間に占領できるでしょう。そして、捕らえた南シルク兵を使って、西シルクに攻め込む。ざっと考えただけでこのくらいは思いつくわね」
イエロー王は感動したように言いました。「キャサリン嬢、我が国の宰相になってくれないか。あなたの智謀が心底ほしい」
「それは無理ね。私はロマーンのアント侯爵家嫡男の正室ですもの。あと確認のため言っておくけど、味方にならないなら邪魔と思って私を殺そうとしても、フライ家には私なんか及びもつかない智謀を持つ兄もいるし、アント家も黙っていないわよ。アント家の『死の絨毯』は知っているわよね」と言いました。
僕も言いました。「キャサリン姉さんを殺せば、我々はフーシを敵とします」ロバートも付け足します。「バードと俺は兄弟で親友ですからね。スカイも敵になりますよ」
イエロー王は、焦ったように言いました。「すまない、つい口走ってしまった。キャサリン嬢を害する気は全くないし、スカイとグランドに敵対する気もない。ロマーンのアント家の『死の絨毯』は聞いたことがある。通った後に何も残らないと言われるアント家秘伝の魔法だとか。フライ家の智謀とアント家の武力、ロマーンにかなう国などないのではないか」
キャサリン姉さんは微笑みながら言った。「やり方はあるわよ。教えないけどね」
イエロー王は驚愕した表情で何か言おうとしましたが、慌てて口を閉じました。
あとは、差しさわりのない話で会談は終わりました。
「フライ家とアント家について詳しく調べろ。敵にする気はまったくないが、とても危険な存在だ。その気になればあっという間に我が国など滅ぼされかねないぞ」イエロー王は言った。
「あと、キャサリン嬢の言っていた『死の絨毯』、私は大変危険な魔法とは聞いているのだが、詳しいことは知らない。だれか詳細を聞いたことはあるか」すると、軍務関係の重心が答えました。
「軍関係者の中では有名です。普通土魔法使いは上級者でも100体程度のゴーレムしか一度に使えませんが、アント家の人間は10000体のゴーレムを一度に使えます。アント家の人間が何人か集まってゴーレム兵を一緒に運用すると、数万のゴーレムたちが一度に運営できます。ゴーレム兵はつぶしてもつぶしても術者の魔力がある限りどんどん補充されますし、それが攻め込んでくればどんなに強固な陣地を構えていても破られてしまいます。一度突破されてしまえばあとは死の蹂躙です。ゴーレム兵には手加減も情もありません。ただ、目の前の敵を殺す道具です。よって、ゴーレム兵が通った後は死以外はありません。なので『死の絨毯』と言われています」
「ゴーレム兵は術者を殺せば瓦解するのではないのか」別の重臣が聞いた。「アント家の連中はみな一騎当千です。不死将軍と言われたジョージ・アント殿は一人で一万の敵兵と戦い、皆殺しにしたと伝えられています。誇張だとは思うが相当な強さであることはわかります」軍事関係の重臣は答えた。
イエロー王は言った。「とりあえず化け物の集まりだということが分かった。グランドとスカイの王家には気を付けて事に当たれ。絶対に敵対するな。絶対にだぞ」
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