第21話 南の島観光と砂漠の民との戦い
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この群島はバルバドスから割譲された場所で、スカイとグランドの共同統治領となっています。
なお、両国の条約で、管理はグランドが行い、必要経費を除いた利益の2割をスカイに収めることとなっています。
本当は内政の得意なスカイに任せようと思っていたのですが、お互いに譲らず、止む得ず、くじで決めました。籤運が悪かったのか、グランドが管理することになりました。
ロバート曰く「こんな遠くの領土、管理するだけでも大変だからな」と言って、僕に丸投げするつもりです。
この群島の名前ですが、ロバートが「キャサリンさんの名前にすれば」というので、キャサリン諸島としました。
キャサリン諸島は緑に囲まれたとてもきれいな島で、もっと行き来が楽になれば絶対に観光地として流行りそうですが、何分かなり遠く、気楽に観光に来れないのが残念です。
さて、この島に来てミリアが大発見をしました。フーシの文献に出てくる砂糖水の出る葦を見つけたのです。外にも珍しい果物も発見しました。丸く黄色い果物で、種が大きいのが難ですが、果肉はねっとりしていて甘くジューシーでした。この果物はマンゴウという食べ物だそうです。あと、周りに家のようなものが生えている茶色い果物なのですが、中は緑色で、ちょっと酸っぱいですが、これもとてもおいしい果物です。この島にいる動物でキューキュー鳴く羽のない鳥に形が似ているので、キューとなずけました。
早速、部下に命じて果樹園とサトウ葦の畑を作りました。土地の探査もしたのですが、特に資源はなかったので、この島はサトウ葦と果樹園をメインの産業に定めました。
「ミリア、ありがとう。よくやったね」と僕はミリアをほめちぎりました。
「たまたまフーシの古記録に探検記があってそれに載っていたのを読んでいただけ。そんなに褒められることではないです」とミリアは謙遜していました。
さて、次は対岸の陸地に上陸です。バルバドスから対岸の陸地には、蛮族が度々攻めてくるとの情報があり、過去に入植したものもいるのですが、すでに放棄しているとのこと。
上陸して、探してみると入植した後がありました。緑地は海べりに少しあるだけで、あとはがれきの砂漠がありました。
元あった井戸を掘り返し、ゴーレムたちを使って入植地の整備と開拓をしていると、見張りでもいたのでしょうか、ラクダに乗った蛮族が攻めてきました。
僕は土魔法でゴーレムたちを作り出し、周りを包囲して足止めした後、土から作った大きな手を使い、彼らの乗っているラクダを捕まえさせて、攻めてきた蛮族たちを全員を捕虜にしました。
「なぜ攻めてくるのか。何が欲しいのか」と尋ねたところ、蛮族のリーダーらしき男が「この場所にはわずかだが湧き水がある。我々の部族の井戸はすでに枯れてしまい、他の部族のものを奪うしかない。しかし、他の部族は同盟を組み、我々では歯が立たない。ここの湧き水はまずく、わずかではあるが、乾いて死ぬよりましだ。なので、この地を取ろうとする者がいれば我々は攻撃して追い出すしかない」と言いました。
「じゃ水があればいいんだね」と僕が言うと「ああ、水さえあれば家畜も養うことができるし、子供たちが渇きに苦しむことがなくなる」とリーダーが言いました。
「じゃとりあえず、井戸を掘りますか」と言って、土魔法で探知して水脈を見つけ、何本も井戸を掘った。ふんだんに湧き出る水を見て、その蛮族のリーダーは口をあんぐりと開けて、びっくりしていました。
「とりあえず、好きなだけ持っていきなよ。落ち着いたら、君たちの土地に井戸を掘るよ」
僕がそう言ったところ、「何が望みだ。我々は誇り高きイムの民だ。施しは受けぬ。しかし力では負けた我々だ。代償をいえ」リーダーはそう言って、こちらをにらみつけてきました。
「それでは、我々に従え。私の名はバード・グランド、ここにいるのはわが義兄にして親友のロバート・スカイ。この二人のもとに従えば、報酬を支払おう」僕は少し格式高く言いました。そして、小麦やお茶、砂糖などの食料や医薬品を分けてあげました。
「わが名はブラハム。この黒き部族の族長だ。水と貴重な品々を報酬としてもらったからには、われら部族は命を主殿たちに捧げよう。とりあえず、これらの品を部族に届けたい。しばらく時間をもらえるか」そう言って、頭を下げた。了承すると、彼らは砂漠の中に消えていきました。
僕らは、更に井戸を掘り足して、緑地を広げました。ここにも果樹園や砂糖葦の畑を作るつもりで整備を進めました。
何日かして、ブラハムたちは戻ってきました。「主殿からもらった品々で、我々は生きながらえることができた。部族の長老が主殿とお会いしたいと言っている。来てもらえないだろうか」と言ってきたので、護衛や魔法使い、文官ら約10名を伴い、僕とロバート、ミリアは黒き部族の元へ出向くことになりました。
ラクダに乗るよう言われたが、僕らはそれを断り、リニア魔法で彼らについていくことにしました。
ロバートは「この魔法は久しぶりだな」と言って喜んでいました。
僕がブラハムたちの後についていくと、ブラハムから「主殿は大魔導士なのだな。我々は大魔導士を相手に戦いを挑んでしまったのか。大変な非礼を働いてしまった。強くお詫びをする」と言ってきたので、訳を聞くと「我々は魔導士を神に近きものとして尊敬し、あがめている。主殿はその中でもとびぬけた存在だ」と言って、尊敬のまなざしで僕を見てきました。
部族のもとについて、僕とロバートは早速長老のもとに案内されました。「大魔導士様、この度は我々をお救いくださりありがとうございます。お礼にこのような物しかご用意できませんが、お受け取りください」と言って、何人か娘たちが入ってきました。
「この部族でも器量がよく、まだ男の手が付いていないものでございます。おそばにお仕えさせていただければと思います」長老が頭を下げてきました。
僕はロバートに小声で言いました。「これ、断っても大丈夫かな」
「いや、まずいだろう。せっかくの贈り物を断るのは、相手の顔に泥を塗るようなものだろう」
「じゃ、ロン任せた」
「ちょっと待て、お前に対しての贈り物だろ」
「来年はローマン王国に帰らなくちゃいけないのに、これ以上嫁を増やしてどうなる。この前の余余二姫で3人だぞ。ロンはまだ2人だろ」
「冗談じゃない。嫁はこれ以上いらない。ジェーン姉さんとミーアは俺の自業自得だけど、これ以上は無理。第一新しい嫁を連れて行ったら、二人にめちゃくちゃ怒られる」
「僕もこの前キャサリン姉さんにものすごく絞られたから、これ以上無理。じゃ、よろしく」
そういって、長老に「ありがたい申し出なれど、わたくし国にも妻がおり、またここにも連れてきています。できればわたくしは辞退したく思います」と僕は言いました。
「なんと、我々の精いっぱいの贈り物を断るというのですか」長老はものすごく怒った声で叫びました。
「ここにいるわが義兄にして、盟友たるロバートがおひとりだけいただくことでよろしいでしょうか」
「ちょっ…」僕はロバートを羽交い絞めにして、口をふさぎました。
「大魔導士様の兄上で盟友とな。それならばこちらとしても納得できますな。アーリヤこちらに来なさい」そう長老が呼ぶと一人の女の子が進み出てきました。
「この子はブラハムの妹で、わしの孫娘でもある。この子を兄君に差し上げよう。お前からも挨拶しなさい」
「よろしくお願いいたします。ロバート様」そう言って、微笑みました。
ロバートは恨みがましい目でこちらを見て、「よろしくお願いします。アーリヤさん」と言いました。僕が了解の返事をしてしまったので、断わったら大変なことになるのが目に見えています。それで、ロバートは空気を読んでやむなく了承したようです。まあ、アーリアさん、とてもきれいな人でしたから、そのこともあって了承したのかもしれません。
「さて、それでは約束の井戸掘りをしましょうか」そう言って、その場を逃げ出しました。
外でミリアが待っていて、何があったのか聞いてきました。今あったことを伝えると、「旦那様は新しい嫁をもらわなかったのですね。私は嬉しいです。でもロバート義兄さんがもらったのですよね、やむを得ないとはいえ姉さまたち怒るでしょうね」といって、複雑そうな顔をしていました。
さて、井戸掘りです。探知の魔法を使い、水脈を発見、土魔法で井戸を掘りました。
すると、部族の人々が僕を神のごとくあがめ始めました。
その状況にあわてていると、長老が来て「大魔導士様、あなたの神のごとき力に我々は感銘を受けました。あなた様はきっと、神の言葉を伝えたという預言者の末裔に他ならない」と言って、祈りをささげてきました。
ロバートはさっきの仕返しのつもりか、「皆よ、我が弟は大魔導士にして、預言者の末裔の一人である。従うものは救われ、逆らうものは業火に焼かれるであろう」と大声で言った。
僕は赤面し、いたたまれなくなり、そこから逃げ出しました。
その夜は、その部族のところに泊りました。部族の女が夜這いに来ないようミリアがずっと一緒にいました。
翌朝、青い顔をしたロバートと会った。なんか前にも見たことがあるなと思いながら、どうしたのか聞いたところ、「すごかった…」と言って、ふらふらと立ち去っていきました。
僕は周りの土地の魔力の流れを調べました。すると、北に向かって、魔力が吸い取られていることが分かりました。そういえば、北の山脈に魔石鉱山があったことを思い出しました。
地面の地下深くには、魔力が流れる魔力道があり、大きな魔石に向かって流れています。
吸い上げられた魔力は魔石を大きくし、魔石が大きくなればなるほど、その魔力を吸い上げる道がどんどん太くなり、土地の魔力が吸い上げられ、土地が枯れていきます。そのため、魔石量が多くなればなるほど周りの土地が枯れてくることになります。
この地域一帯が枯れた土地になったのは、大きな魔石の鉱脈が北にあり、それが土地の魔力を吸い上げているのではと推測できました。
土魔法を使い、土地の魔力の流れを絞りました。そして、土地の魔力を循環させると、あたり一面に草が生えてきました。それを見て、部族の皆は大喜び、また僕をあがめてきました。
長老とブラハムが来て、「預言者様もぜひ妹を娶っていただけないか」と言い出したので、丁重にお断りしました。このままでは、いずれ娘を押し付けられそうなので、すぐに海岸地帯に戻ることにしました。
僕たち一行は部族の人々に別れを告げ、海岸まで戻ることにしたところ、長老たち部族の人たちにすごく引き止められました。また、部族の娘たちから「行かないでください。預言者様」と周りを取り囲まれてしまいました。
彼女たち、とてもきれいなのですが、目が肉食獣のようで今にも食われてしまいそうです。ミリアが「この方は私の夫です。他にも2人妻がいますので手を出さないでいただきたい」と言うと、娘たちは「これだけの方を3人だけで独占するのは神が許さない。我々にも分けるべき」と言い返してきて、ミリアと言い合いになりました。この隙をついて、女の子たちの囲みを抜け、ミリアをつかんで、逃げ出しました。
ロバートはアーリヤさんと一緒にやってきました。アーリヤさんはロバートにべったりです。
僕はロバートにジェーンさんとミーアさんのことは話したのか聞いたら、「話したさ。でもそれがどうしたのかと逆に問い返されてしまったよ。どうもこの部族は一夫多妻が普通で、力のあるものはたくさん妻をめとることが一種のステイタスになっているらしい」と言った後、「バードが俺をはめたのだからな。アーリヤの件はお前の責任で何とかしてもらうぞ」と言ってきました。
「分かった、わかった。僕から二人には話をするよ」と言いました。
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