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第15話 シルク王国での戦闘

毎日18時に投稿します。お読みいただければ幸いです。

 僕らがフーシの首都ダスコーに着くと、すでに軍は出撃していました。僕はこの国のイエロー王に謁見を申し込みました。

 「おう、久しぶりだな」そう言って、イエロー王は迎えてくれました。

 「それで、そばに控える二人の女性は誰かな」「はい、二人とも私の妻です」

 「キャサリンと申します。スカイ軍の兵站を監督します」「ミリアと申します」二人は頭を下げました。

 「王よ、お願いがあるのですが、閲覧できるものでいいので、ミリアに公文書を読ませていただけないでしょうか」僕がそう言うと、イエロー王は少し怪訝そうな顔で「公文書だと」と言いました。

 「我が国は今度バルバドス王国から独立し、新しい国を作ることになりました。そのため、国づくりの参考までにこちらの文書を読ませていただければと思いまして」というと、破顔し、「おう、貴公ら独立するのか。それは重畳、ぜひ協力させてくれ」と言って、ニヤリと笑いました。


 僕はイエロー王からフーシ軍準大将軍に任じられました。イエロー王自ら大将軍として出陣するので、事実上、フーシ軍の兵権を預かったようなものです。

 更にスカイからゴーレム馬車を使って、1万の兵もやってきたので戦場に向かうことになりました。


 フーシとシルクの軍はカヌー河で対峙していました。

 シルク軍は10数万の軍をカヌー河に建築しているコロウ要塞に配備しています。さらにカヌー河に沿って、のろし台が設置されており、カヌー河を超えようとすると、直ちにのろしがたかれ、騎兵を中心とした部隊が急行し、敵を粉砕するようになっています。

 食料等の補給は後方のガーテイの街に集積してあり、随時補給がなされ、ずっと戦い続けられる体制になっています。

 いわく、難攻不落と言っていいでしょう。


 こちらの兵力はスカイ軍も含めて約10万ですが、農民主体の軍なので、春先の農作業の関係もあり、長期の動員は困難な状況です。

 シルク王国は、この防衛ラインで時間を稼ぎ、我々が後退したら一挙に襲い掛かってくるつもりだと思われます。


 僕は土魔法を使って地域を探査して正確な地図を作成し、作戦を検討しました。

 すると、カヌー河から分岐して、ケーリュー川というのが流れており、それが敵の補給基地のガーテイまでつながっていました。


 この川を使って、ガーテイを落とすことを考えました。ただ、この川を使ってガーテイの街に行くには、川を遡らなければならず、さらにこの川は渓谷を流れているため、高低差も大きく、また蛇行しており、更に川底は岩があちこち飛び出しているため、船舶の利用はとても不可能な川でした。

 そのため、川をさかのぼることは不可能だとシルク王国は判断し、守備兵をほとんど置いていませんでした。


 僕はイエロー王に言い、土魔法使いと水魔法使いを100名づつ用意してもらいました。

 彼らに僕の土魔法で人工的に作成したケーリュー川と同じ形の川で1週間練習を積んだ後、ガーテイ攻めを行いました。


 1隻につき、50名の兵士を乗せ、それが50隻、さらに1隻ごとに土魔法使いと水魔法使いを2名づつ乗せ、ケーリュー川を夜に遡りました。

 その日は月が満月で月明かりが有る夜でした。さらに魔法使い達は昼の間目隠しをさせ、暗やみに目を慣らさせました。水魔法使いが川の流れを操り、土魔法使いが川底の岩や障害を取り除く。それを2名で交代でやらせました。


 朝になる前にすべての船がガーテイの街の面前に到着しました。

 魔法使いたちはへとへとになっていたので、その場に休ませて、船酔いで動けない兵を残して兵1200名とゴーレム兵1万でガーテイの街に突入しました。

 早朝の急な攻撃に敵は慌てふためき、対処できないうちにガーテイの街を占領しました。


 兵をその場に留め、町の掌握を命じると、私は20名ほどの兵と水魔法使い数名を引き連れて、のろし台に向かいました。敵の軍服を着て敵に化けて、のろし台のそばに近寄りました。


 「どうしたんだ?」のろし台の兵が聞いてきました。

 「のろし台の確認の命令を受けたんだ。ちょっとのろし台を見せてくれ」そう言って、中に入りました。

 台長は不機嫌そうに「のろし台を整備していないなんて俺たちを馬鹿にするのか」と言って怒っていました。まあ、任務なんでと持ってきた酒を渡したら、しぶしぶのろし台に案内してくれました。


 のろし台に着くと、水魔法使いに合図しました。水魔法使いはウォーターボールをのろし台に打ち込み、のろし台を使えなくしました。同時に部下たちがのろし台にいた兵士たちに襲い掛かり、皆殺しにしました。

 この調子で、次々とのろし台を無力化していきました。


 そして、フーシ軍に伝令を派遣して、軍を渡河させました。のろし台が死んでいるため、シルク軍はフーシ軍の渡河に気づきません。また、フーシ軍1万に本隊がシルク軍の前面に展開しているよう偽装してもらいました。たくさんの藁人形を用意し、旗も用意して、10万の兵が駐屯しているように見せかけました。


 あとは、シルク軍をカーテイの街におびき寄せるだけです。

 捕虜を何人かわざと逃がそうかと考えましたが、敵もばかではないらしく、ガーテイの街の補給が途絶えたことに疑問を持ったのか、偵察隊がガーテイの街に向かってやってきました。


 僕たちはガーテイの街のそばでその隊を襲撃し、ほとんどを殺して、数名だけをわざと逃がしました。

 ガーテイの街が占領されていることに気づいたシルク軍は町を奪回しようと10万の兵を進めてきました。


 僕はスカイ軍1万、ゴーレム兵1万でガーテイの街のそばで敵を迎え撃ちます。

 土魔法で陣地を作り、敵の足止めに努めました。

 「守りを固めるんだ。ゴーレム兵を前面に置き、時間を稼げ」と命じました。

 敵が攻撃に集中し、側面への注意がおろそかになった瞬間、フーシ軍8万が突入してきました。シルク軍は大混乱に陥り、打ち取られるか、降伏しました。


 更にフーシ軍はシルク軍の城砦に攻撃を仕掛けました。城砦は河に向かって防衛陣地が設けられており、裏からの攻撃は想定しておらず、そのため、すぐに陥落しました。

 僕はイエロー王に進言しました。「すぐに首都に攻撃をかけるべきです。今、首都に至る街に兵はおりません。首都にもわずかな兵がいるだけです。ガーテイの街で得た補給物資がありますし、ロンからの補給線も機能しているので、もうしばらくは戦うことができます。決断をお願いします」

 イエロー王は首都への進撃を決断しました。


 シルク王国の首都は大都といい、4層の城壁に囲まれる堅固な街です。

 とりあえず、ゴーレム馬車を使い、フーシ軍の兵を運べるだけ運びました。


 そして輸送した兵を使い、町を包囲しました。敵の反撃はなく、町にこもっているようでした。時間を稼ぎ、援軍を待つつもりなのでしょう。


 僕は土ゴーレムを何体も作り、敵の城壁のそばで土に返しました。そうすると、城壁に上まで登れる土の坂ができました。僕はフーシ兵とゴーレム兵に突入させました。


 第4城壁はあっという間に落ちました。次は第3城壁です。これも先ほどと同じ、土ゴーレムを何体も作り、敵の城壁のそばで土に返し、城壁に登れる坂を作り、兵士を突入させ、落としました。


 夜、イエロー王がやってきました。「第3、第4城壁を1日で落としたのか。つくづく恐ろしい男だな、お前は」と王は言いました。


 キャサリン姉さんも来て、補給や給食の準備、輸送路の確保、傷病兵の治療と後送など必死に働いていました。今回ロバートは本国で、我々の補助をしています。西部戦線での苦労を思い出しつつ、ロバートとキャサリン姉さんが組むとロジスティクスは完璧に機能すると感心するとともに、二人の能力の高さをしみじみと思い知らさせれました。


 忙しく働くキャサリン姉さんが僕のところに来て言いました。

 「兵士たちを村に返す必要があるわ。食料等はまだあるけどそちらもそんなには補給が続かない。あと1月ほどで戦力の維持が難しくなるわ」

 「大丈夫。あと数日で終わらせるから」と僕は言いました。

 「ほんと、アント家の人は戦争のプロよね」と言い、「早く終わらせて、村の結婚式に行くわよ」と微笑んで言いました。僕はがんばってさっさと終わらすぞ、と決意を固めました。


 翌日第2城壁に向かいます。第2城壁は貴族街を守っており、城壁の上には結界が張られ、外部の侵入を拒んでいます。


 北は土魔法を使って、城壁の下に通じるトンネルを作りました。そして火魔法を使い、不完全燃焼させた空気を急速に城壁内に送り込みました。


 一時間もしたころでしょう。突然城門が空き、降伏の使者がやってきました。軍が侵入すると、第2城壁内は外傷のない死体があちこちに転がっていました。

 次々と原因不明で倒れる人々を見て、降伏を決意したみたいです。


 イエロー王は首都陥落に気をよくし、さらなる進攻を提案して来ました。

 この国の中央には、大河という巨大な川が流れています。現在、その西側で戦っているのですが、東側に進攻しようというのです。


 キャサリン姉さんはイエロー王に言いました。「補給が続きません。渡河するには相当な準備が必要で、1月はかかるでしょう。その前に補給が尽きます。現地で徴用しようにも敵地での略奪は住民の敵意と兵の分散による各個撃破の対象になります。被害に対する十分な補給が得られる可能性は低いでしょう。それよりも大河の西側を完全に占領し、フーシ王国のものにすることをお勧めします」


 「しかし、東側を放置すれば、シルクが息を吹き返してしまうぞ」イエロー王は疑問をぶつけました。

 「イエロー王のおっしゃる通りだと思います。しかし、東側には、旗印になる王子が複数います。彼らをうまく使って、東側を分裂状態にしておけば、こちらに攻め込んでくることはありませんし、その間に西側の占領地を完全にフーシ化してしまえばいつでも東に攻め込むことができます」僕とキャサリン姉さんはそう進言しました。


 「完全なフーシ化とは?」「治安維持、そして課税の単純化と公正化による民衆の支持を取り付けることです。民衆をこちらの味方に着けてしまえば、反抗的な豪族などつぶすのは容易です」

 イエロー王は考えた結果、その案を採用し、大河より西側の占領を優先的に行うことにしました。


 「バードを大将軍に、キャサリン嬢を宰相にしたら、この国は安泰なのだがな」とこぼしました。

 「ロバートさんがバックアップしてくれたから、私が働けるのですわ。それを言うなら、ロバートさんを宰相に私を副宰相にというところですよ」と笑って言った。おそらくキャサリン姉さんはイエロー王が冗談を言ったと思ったのだろう。

 僕もそう思い、「それを言うならフット兄さんとブルネット姉さんがいたら完璧じゃないかな。二人とも僕らより優秀だからね」と言いました。

 「俺は絶対にロマーンとは敵対せんぞ」とイエロー王はつぶやきました。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら、星かブックマークをいただけると大変ありがたいです。第3章に続けるかどうか判断材料にしますので、少しでも続きが読みたいとお考えでしたら、ぜひとも評価をいただけると感激です。

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