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閉話4 コリンの野望?

お読みいただければ幸いです。

 私はコリン。このマキリ伯爵家の下級メイド。そう下級メイドなの。私の仕事は掃除洗濯その他雑用で日々こき使われる毎日。こんなはずじゃなかったというのが正直なところ。

 私の計画だと、私の美貌で伯爵様を篭絡し、側室としてメイドたちに傅かれる日々なはずだったのに、篭絡どころかお姿を見ることすらない日々を過ごしている。

 それに、周りのメイドたちは私か私以上の美人ばかり、これじゃどう考えても篭絡なんて無理、正直このままこの屋敷で働き続けるべきか悩んでいる。


 私の上司である下級メイドの班長に伯爵家の方にお目にかかる機会があるかどうか聞いたら、そんなものあるはずないじゃないと笑いとばされた。

 班長曰く、伯爵家の方のお世話ができるのは上級メイドたちだけ。中級メイドだとお姿を拝見できるけど、話すことなど無理だそうだ。

 下級メイドから中級メイドになるには何年も働いて働きを認められて、そのうえでかなりの幸運が必要らしい。

 つまり、下級メイドは一生下級メイドのままだそうだ。まあ、下級メイドは何年か働くと、伯爵家で働いていたという経歴が付くので、そこそこ上のレベル、平民ならまあまあ富裕層の平民クラスから縁談が来るらしい。

 実際、班長もいいところから縁談が来て、もうすぐやめるそうだ。


 あと、もう一つ伯爵様の顔を見るチャンスがあると言っていた。

 それは重要なお客様を迎えるときに、メイドたちが並んでお迎えするのだが、私たち下級メイドも後ろの方に並ぶそうだ。その時に遠くに伯爵様のお顔を見ることができるそうだ。


 親や姉に偉そうなことを言って家を出てきたのに、こんなことになるなんて。そういえば、ロバートの親友と言っていた冒険者、確かバードだったかしら、こんなことを言っていたわね。あ~あ、あの時真面目に聞いていればよかったわ。


 やめるにやめられず、1年近くがたっていた。今日は、お客様を迎えるので私たち下級メイドも整列してお客様の到着まちです。

 お客様が到着しました。今回のお客様は辺境伯様と伯爵様、伯爵様は英雄の称号も持つすごい方らしい。そんな方々に見初められて、側室になれたらいいなと、妄想しながら到着をお待ちしました。

 馬車が到着しました。伯爵様ご自身が直接馬車に向かわれました。まず、最初に降りてきたのは、辺境伯様、ってあれロバートじゃない、続けて降りてきたのって姉さん!もう一人は知らないけど、これってどうなっているの?

 頭はすっかり混乱していました。伯爵様は「辺境伯様よくいらっしゃいました」と言って、礼をしています。隣の馬車からは伯爵様、ってあれロバートの友人でバードって言っていた冒険者よね、なんか気品のある女性と普通の女性を連れているし、どういうことなのか、まったくわかりませんでした。

 6人は伯爵様に連れられて、屋敷に入っていきました。

 私はすごく混乱しました。すぐにでも姉に事情を聴きたいところですが、下級メイドが主人のお客様と話す機会などありません。

 やむえず、実家に行ってみることにしました。


 ずっと休みを取らずに働いていたので、なんとか休みをいただくことができました。

 休みを取った当日、すぐに実家に帰りました。

 実家に帰った私を見て、両親はびっくりしました。両親に対して縁を切ると言って出て来たのですから当然です。でも私もびっくりしました。家がすごく大きく立派になっていたのです。あのおんぼろ宿屋はすっかり立て直され、敷地も広くなって高級ホテルになっていました。


 「よく帰って来たな。もう会えないかと思っていたよ」父は微笑むと私を向かい入れてくれました。母も喜んで、「お帰りなさい」と言って、涙ぐんでいました。

私も「ただいま」と言いました。

 私は、両親に近況を話しました。働きに出て現実を知ったことも話して、二人に謝りました。二人は「大人になったね」と娘の成長を喜んでいました。


 それで、姉たちのことを聞いてみました。「ああ、ミーアなら、ロバートと結婚して、一緒に暮らしているわよ」母は言いました。

 「ああ、ロバートはミーアのほか、地元の女性とも結婚して、二人奥さんがいるよ」父が言いました。そして続けて言いました。

 「あと、びっくりだが、ロバートは戦争の功績で辺境伯になったんだよ。ミーアは正室並になったんだと。町娘が、大貴族の正室様だって、町中の噂になっていて、物語にもなっているんだぞ」


 「あと、覚えているかしら、ロバートの友人のバード、戦争で活躍して、伯爵になったのよね」

 「そうだ、それに内緒の話だが、バードはローマン王国の貴族だったんだと。なんか雰囲気が違うと思ってたよ」

 「父さん、母さん、お姉ちゃんに会いたいのだけど」私が言いました。

 「たしか、ミーアもロバートも王都にいるはずだよ。場所は貴族街よ。すごいお屋敷に住んでいるわ。一度招待されたのだけど、驚きすぎて声が出なくなったわ」母は言いました。


 私は姉に会うため、屋敷に向かうことにしました。

 姉に会ってどうするかって?

 ロバートとは顔なじみだし、うまく取り入って側室にとも考えのだけど、姉の性格から絶対に許さないだろう。姉はロバートに対してかなり執着していたし、私はロバートの悪口を姉の前でも、ロバート本人の前でもさんざん言ったから、いまさらそんなことを言えば、姉の性格から激怒すること間違いない。

 とりあえず、姉に失礼なことを言って謝りたいという名目で会って、うまく屋敷の使用人にでも潜り込んで、友人のバードでもいいのでなんとか側室に潜り込めないか、算段しようと考えた。


 母が場所を教えてくれて、更に姉からもらった通行証を貸してくれたので、屋敷に行くことができた。門番に妹が来たことを伝え、通行証を見せたら、屋敷から執事が来て、姉のところまで案内をしてくれた。姉はゆったりとしたドレスを着て、私を招き入れてくれた。


 「久しぶり、元気だったかい」姉は笑って迎えてくれました。

 「姉さん、お久しぶり。なんかすごいことになっているね」私も笑って言いました。

 「そうなのよ。ただの町娘が今じゃ辺境伯様の正室なんて1年前なら考えられなかったわね」そう言って「そういえば、あんた伯爵の側室になるって話どうなったの?」と聞いてきました。


 「思った通りには全然いかなかったの。社会の厳しさを思い知ったわ。今日は姉さんに謝りに来たの。あの時は姉さんに偉そうなことを言ってごめんなさい。」と頭を下げました。

 姉は驚いて、「あなたも大人になったね。いいさ、気にしていないから」と言って許してくれました。


 そのあと、姉妹でよもやま話をした。姉が妊娠したこと、貴族の生活は暇なんだけど、礼儀作法や社交が面倒だと愚痴を言っていました。

 私は妬みで少しイラっとしましたが、ここは我慢です。

 私も下級メイドの仕事について話をし、メイドはもうしばらく続けたいが、今の仕事にやりがいが感じられないことを話しました。姉は性格的に世話焼きなので、身内が悩んでいると、解決に手を貸そうとします。メイドの仕事がつらいという話をすれば、何か手を貸そうとしてくるはずです。


 「下級メイドは毎日毎日雑用ばかり、これが何年も続くと思うと気がめいるの」そういうと姉は 「うーん、それじゃ旦那に相談してみようか」と言ってくれました。

 うまく話に乗ってくれたと思いながら、「できれば、バードさんのところでお願いします。姉さんのところだと、完全に甘えてしまいそうだし、それに、できれば、伯爵家の方に直接お仕えしたいの。当然、私みたいな下級メイドが不相応な望みなのだけれど、一生懸命努力するわ」そして気に入られて側室になるの、と心の中で呟きながら言いました。


 「でもバードのところはやめた方がいいよ」と姉が言いました。

 「どうしてなの?」思わず大声で言いそうになったが、何とかこらえて冷静を装って聞いてみた。

 「バードは実はローマン王国の侯爵家の嫡男なんだ。それで、妻の一人のキャサリンさん、この人もローマン王国の侯爵家の娘で、メイドも執事もみなローマンから連れてきていているのよ。側室のミリアちゃんは、私と同じロバートの正室のジェーンさんと姉妹で、村からメイド希望の女の子を連れてきているのだけれど、彼女たちの教育もキャサリンさんのメイドたちがやっているんだ。だから、うちもバートのところもすべてローマン式で、バルバドス式じゃないからつぶしが聞かないよ」と姉が言いました。


 「そんなに違うものなの?でも、私の身分だととてもお世話係になんてなれないから、ローマン式でもいいので働かせてください」

 「分かったわ。バードに頼んでみるけど、かなりきついと思うわよ。それでも大丈夫?」

「うん、姉さんありがとう、頑張ってみる」


 早速話をしてくれたのか、キャサリン奥様と対面しました。一目見て、この人オーラが違うと思いました。顔立ちは美しく、姿振る舞いも貴族としての気品を備え、私は思わず身震いしてしまいました。「ミーアさんから聞きました。上級メイドになりたいのね」と優雅に言いました。


「あなたには特別に優秀な講師を付けるわ。一日も早く一人前になってね」と言って微笑みました。

 私の教官はロマーン王国のフライ侯爵家でキャサリン様が生まれたときからお側に仕えていたフローラ様でした。今はバード家の上級メイド長を務めていて、この方に教えていただけることは大変な栄誉だとか。


 「コリンさん」フローラ様は厳かに言いました。「キャサリン様からあなたを上級メイドにするため、教育を仰せつかりました。厳しくしっかりと教育させていただきます。ミーア様の妹ということですが、メイドとして一人前にするため、一切遠慮は致しません。ミーア様からもそういわれています。くれぐれもミーア様の顔に泥を塗ることがないように」

 ねえさん、余計なことを言いやがって、それでも私の側室計画を何としてでも成功させるため、死ぬ気で努力して見せる!「はい、上級メイド長様、よろしくお願いいたします」と言って頭を下げた。すぐにお説教が飛んできた。「頭の下げ方がなっていません。態度も優雅ではありません。あなたには一から教え込む必要がありますね」

 

 それから地獄が始まった。一挙一動ごとに注意され、仕事も徹底的に仕込まれた。ミスをしたり、注意されたことが治らなければ、完全に身に着くまでそれだけをひたすらやらされた。

 朝は早くから深夜まで、メイド長が忙しいときは副メイド長や幹部が私を教育してくれた。さぼる暇なんで全くない。休みもなし、仕事がないときは教養の授業を受けさせられた。

 私は歯をくいしばって耐えた。一人前の上級メイドになってみせること以外、何も考えられなくなった。ついには寝ている間もメイドの修行に明け暮れる夢を見るようになった。


 そうやって教育を受けて1年、メイド長から「だいぶ良くなってきました。上級メイド見習いとして独り立ちしてもよいころでしょう」と言って先輩メイドのもとで、見習いとして働くようになった。先輩は指示は出しません。自分のすべきことは自分で把握し、考え、行動するのが、上級メイドの立ち回りだそうです。


 私は先輩メイドの仕事を見ながら一生懸命学びました。

 自分のふがいなさに夜、ベッドで泣くこともありました。

 そうやって2年の月日がたちました。メイド長から、「よく頑張ったわね。上級メイドに昇格よ」と言われました。思わず涙が出てきました。

 いま、私はミリア様のお子である若様付のメイドとして働いています。毎日やりがいのある仕事に満足しています。

 あれ?私がメイドを目指した理由ってなんだったかしら?あっと若様がお呼びです。急いで行かなくては。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら、星かブックマークをいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

もし、星とブックマークが多くいただければ第2章に続けたいと思います。ご支持いただけるとすごくうれしいです。

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