第11話 平和が来たと思ったら因縁を付けられた
本日はあと2回投稿します。お読みいただければ幸いです。
戦争も終わり、間もなく春がやってきます。軍の訓練を進めつつ、土木作業にいそしんでいました。ちなみに伯爵として与えられた領土はロバートに基本お任せしようと思っていましたが、「お前も勉強しろ」と言われて、統治の方法を学びながらロバートの仕事をポチポチ手伝っていました。
まあ、それでもとても気が楽でした。だって困ったら、助けてくれる人がいるのだから。あの西部戦線での地獄の日々に思いをはせながら、僕はロバートに感謝しました。
ミリアとも仲良く暮らしていました。ミリアはいきなり上級貴族になったので、礼儀作法とか貴族として必要な勉強をしていましたが、もともと優秀な子なので、結構しっかりと学んでいます。そして本を読むのが大好きで、いろいろな本を買い与えたところ、大変喜んで読みあさっています。
姉のジェーンさんも結構優秀で貴族としてのマナーや礼儀作法をすぐにマスターして、二人でお茶を飲む姿はとても貴族らしいです。
ちょっと困ったのが、ミーアさんでした。礼儀作法が苦手らしく、なんとか頑張っているがたまにストレスがたまり爆発しているようでした。
爆発するとどうなるかって。ロバートが相手をして搾り取られることになります。詳しいことは僕は知りません。
今まで忙しかった分、ロバートはミーアさんからもジェーンさんからも求められているらしいです。たまに死ぬほど疲れ切っているので、回復魔法をかけてあげています。
春近くになり、僕たちは王宮に呼ばれました。
春の祝賀会兼戦勝祝賀会兼この戦争での功労者表彰が行われるとのことです。
王命もあり、今回の主役である僕たち2人には絶対に出てくれとのことで、僕らは妻たちと一緒に首都バルバドスに向かいました。
本来、こういう祝賀会は身分の低いものから順番に入るものなのですが、僕は二つの国に両属しているため、辺境伯であるロバートともに入場することになりました。
すでに下級貴族は入場し終え、上級貴族たちが次々と入場して行きました。
ちなみにロバートの辺境伯の地位は、候爵相当に当たるそうです。
案内役が前につき、ロバートを先頭に僕が後ろに控えながら会場の奥に歩いていると、一人のおばさんが立ちはだかりました。
誰だこいつと思っていると、ロバートとジェーンさんとミリアの顔がこわばっていました。「あんたら何しに来たのよ。ここは、あんたたち下賤なものが立ち入っていい場所じゃないのよ」と偉そうに言いました。
アッ思い出した。こいつロバートの父親である男爵の夫人だった奴です。
「誰に呼ばれたか知らないけど、空気が汚れるからさっさと出て行きなさい。わかっているの?今日は男爵家の正統な後継者である孫の社交界デビューの日なのよ。そんな晴れがましい時をあなたたちのようなごみのような連中にけがされたくないの。わかったらさっさと消えなさい。周りを見てごらんなさい。みんなあなたたちのことを見ているでしょ。場違いだってことが分からないの。ほんとどうしょうもない奴らだわ」
ロバート達は黙っていました。仕方がない僕が対応するか。
「失礼、私はロバートの部下のバードなのですが我々に帰れとあなたは言うわけですね」
「ああ、たしかそんなのいたわね。アリ程にも関心がないので今まですっかり忘れていたわ。何度も言わせないでよ。本当に知性のかけらもない連中ね。帰れと私が言っているの。これで分かった」
「ロン、帰ろう。案内役殿、そういうわけで帰ります。カムイ殿によろしくお伝えください」そう言って、踵を返しました。「少々お待ちください」そう言って、案内係は走り去っていった。
すぐにカムイ軍務大臣が飛んできました。
「帰るって本当か」珍しくカムイ大臣は焦って言いました。
「此方のご婦人が我々がいると空気が汚れると、帰れと命じてきたのでそれなら無理にいる必要ないなと思いまして」僕はそう答えると、カムイ大臣は「貴様は誰だ」と男爵夫人に言いました。
「はああ、私のことを知らないなんて、あなたこいつらの仲間なの。同じく知性も何もない顔をしているのね。私はね、こいつらに帰れって言ったの。そういうあんたも邪魔だから出て行ってくれない」そう男爵夫人は言いました。
「おい、こいつは誰だ」カムイ大臣は付き人に聞きました。
「元伯爵のバルボア子爵の妹でスペリオル男爵夫人です」そう答えると、「バルボア子爵を呼んで来い」と付き人に命じました。
男爵夫人だが、この会話を聞いて、あれ少しまずいことになったのかなと思ったのか、黙ってしまいました。
バルボア子爵が走ってやってきました。そして「これはこれは侯爵閣下お久しゅうございます。お元気でしょうか」と言った。「こ、侯爵閣下!」男爵夫人が叫びました。
「これはお前の身内か」カムイ大臣は子爵に尋ねました。
「はい、わたくしの妹でございますが、何か粗相をいたしましたでしょうか」
「わしの顔を知性も何もない顔と言った上に、この侯爵であるわしに向かって邪魔だから帰れと抜かしおった」
子爵の顔が、一瞬で青くなりました。
「それだけでない。こちらにいる辺境伯と伯爵、そのご夫人に対し罵詈雑言の上、帰れと言い放った。王が表彰のため、直接呼んだ者をだ」
子爵の顔が白くなりました。そして気絶しました。
男爵夫人は誰か助けてくれる人はいないか周りを見回しました。誰もが目をそらしました。
子爵は侯爵の付き人にたたき起こされました。子爵は気が付くと同時に土下座しました。
「お許しください。侯爵様。なにとぞご慈悲を」
「バルボアお前に選択肢を与えてやる。一つ目は準男爵に降爵したのち、南方の権益防衛のための派遣武官補佐に任命する。一生をそこで過ごせ」一息ついてカムイ侯爵は言いました「もう一つは爵位はく奪の上、国外追放だ。どちらかいい?」
「南方派遣がいいです」絞り出すように言いました。
「もう帰ることはないのだから屋敷は没収だ。まあ、頑張ることだな。ほら、準備があるだろう。さっさと帰れ。身内を連れてな」カムイ大臣はそう言って戻ろうとしました。
「孫の件はどうなるのですか?」男爵夫人は声をかけました。カムイ大臣は「孫の件とは何だ」と付き人に確認しました。付き人は「この方の夫と息子が戦死し、孫が男爵位を継ぐことになっておりました」と答えました。カムイ大臣は「ああ、成人したら男爵にする約束か。これだけの不始末をしでかしたのだ。当然なしだな。本来ならば上位貴族に対する不敬罪に王命への反逆罪が重なって、死刑になるはずが男爵位の取り消しで済むのだから、十分に感謝しろよ。みんなで一緒に南方に行って暮らすのだな。あと、お前たち、もう二度と我々の前に顔を出すな。不愉快だ」そう言って、「それでは行きましょう。辺境伯殿と伯爵殿」といって、我々を奥に案内しました。
後ろでは、「お前のせいで、お前のせいで」と言って男爵夫人を責める子爵の声が聞こえてきました。
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次は午後2時に投稿します。よろしくお願いいたします。




