第9話 西部での戦争と大変な苦労
本日はあと、午後7時に投稿します。お読みいただければ幸いです。
ロバートに連絡を入れてから、僕は単身西部に向かいました。西部戦線にたどり着くと、西部地区の中心都市ニールが陥落寸前でした。
こればまずいと思い、僕は急いで対処することにしました。ゴーレム兵1万を出し、横から突入させるとともに、ファイヤーストームを何発も打ち込みました。敵が混乱しているところで、単身敵陣に潜入、敵兵の身ぐるみをはぎ、敵の兵士に化けて本陣に潜入しました。
本陣はつい先ほどまでは楽勝ムードだったためか、警備が薄く、将軍らしき男の姿も確認できました。隣に何人かいるのは魔法使いかな、おそらく魔法攻撃に対する防御のためだろう。
ただ、突然の反撃で混乱しており、人の出入りも激しくなっていました。それにまぎれて、敵に近づき、とりあえずバーニングファイヤーであたり一帯を薙ぎ払いました。突然のことで、防御魔法の魔法使いは将軍と自分たちを守るのが精いっぱいで、あたりは焦土となってしまいました。すかさず僕は凡人に剣で突入しました。驚く魔法使いたちを皆殺しに、将軍を捕虜にしました。
「将軍を捕虜にしたぞ。すぐに降伏しろ!」敵は大混乱です。そこにニールからも味方の兵士たちが突入してきました。
敵は次から次へと倒され、ついには降伏を受け入れました。
「本当に助かった。私の名前はクロード男爵、この西部地区の派遣武官だ。本当に九死に一生を得たとはこのことだ」と言って大喜びしていました。
「私の名前はバード・グランド男爵です。カムイ軍務大臣の命令で皆さんを助けに来ました」そう言って礼をしました。
もう一人の男がやってきて、「私はホーン男爵、クロード卿と同じく派遣武官だ。ありがとう、助かったよ」とにこやかに笑いました。
「初めまして、ホーン卿、今回はお役に立ててよかったです」そう言ってから尋ねました。
「この地区の司令官である伯爵様はどちらに。ご挨拶をしなくてはと思うのですが」
二人は顔を見合わせて、僕に伝えました。「遊撃戦をすると言って、100人ほどの兵を連れてどこかに行ってしまった。今はどこにいるのか」
ここも逃げたか、この国の軍の上層部はやばいな、と僕は思いました。
「とりあえず、間もなく食料や増援が来ることになっています。後処理をしておきましょう」そう言って、二人に捕虜や負傷者の対応を依頼しました。
捕虜にした将軍への尋問というか記憶の抜き取りをして、敵が二つの軍に分かれて活動していることが分かりました。
一つの軍はニールを包囲し、もう一つの軍はバルバドス西部を荒らしまわることになっていました。
ニール攻撃に失敗したことを知れば、敵は必ずこちらにやってくるでしょう。
現在の敵の位置、攻めてくる経路を予想し、迎撃ポイントを選定しました。
そこは右には大きな湖、左には大きな森がある土地でした。二人の男爵も同意しました。
なお、これまでの経過は逐次カムイ大臣に伝えてあります。カムイ大臣は二人の男爵にバードに従うよう命令してくれました。二人も命の恩人である僕の指揮下に入ることを承諾してくれました。
「ホーン卿とクロード卿は配下の兵1000人余りと森に隠れていてください。合図をしたら敵に矢で攻撃するとともに、敵に攻め込んでください」
「敵が森に攻め込んできたらどうする」ホーン卿は聞いてきました。
「森は守りやすく攻めにくい土地です。少しづつ後退しながら矢や石で敵の戦力を削っていってください。木の間に縄を張っておけば、騎兵は動けなくなりますし、歩兵たちも動きにくくなります。そこを矢で狙えば、大打撃を与えることができます」
「グランド卿はどうされるのか」クロード卿が聞いてきました。
「私はゴーレム兵10000とともに敵を正面から迎え撃ちます。大臣から送られた騎兵1000名と水魔法使いは湖の後ろに配置します」
「ゴーレム兵は融通が利かないというが、敵に対応できるのか」
「魔力の続く限りいくらでもゴーレム兵は生み出せますから減った分は逐次補充していきます。しばらくは持つでしょう。それに少しづつ押しこまれるようになった方が、敵はこの作戦にうまく嵌ってくれることになるでしょうから」
「しかし、かなり危険な作戦だな」ホーン卿は言った。
「仕方がありません。兵は足りない、物資も足りない、補給の管理はうまくいってない。ないない尽くしですからね」ああ、ロバートがいてくれたらどんなに楽だろうか、僕はそう思いました。
なんせ補給量も十分じゃないのに、それの管理をできる者もおらず、とりあえず僕がニールの市民を使って、なんとか取り繕いながら兵士たちの給食などの補給事務を行っている状態です。
さらに悪いことにニールの官僚たちも大部分が逃げ出しており、町の行政機能すら危うい状態になっています。
二人の男爵は軍人でそちらの方では全然使い物にならず、そちらも僕が頑張っていました。また、ロバートの仕事をそばで見ていて、いろいろ教えてもらっていたおかげで何とか回せていますが、全部一人でやるのは辛くて辛くて、もう早く終わりにしたいと正直思いました。
敵が予想通り進撃してきました。これで作戦の半分は成功です。約2万の兵力が我々に向かって突進してきました。敵の魔法兵たちもファイヤーボールを打ち込んできました。ゴーレム兵は次々打倒されていきます。僕も魔力を振り絞り、ゴーレムを作り、敵の魔法を防ぎ、反撃しました。
しかし、ゴーレム兵たちは単調な動きしかできないため、敵の激しい剛撃に少しずつ後退を余儀なくされました。
敵も馬鹿ではないようで、森の方を警戒しながら進んできました。森から敵がでて来れば、すぐに返り討ちできるようにと考えていたのでしょう。その代わり、湖側は全く警戒していませんでした。
ゴーレム兵がかなり押し込まれて、防衛線だった森と湖に挟まれたあい路を敵が抜けそうになったその時、作戦を発動しました。
水魔法使いにより、湖に氷の橋を架け、そこを騎兵が駆け抜け、敵の側面から攻撃をかけました。同時に森からも兵が突入しました。僕はゴーレム兵たちを使って最後の力を振り絞り、必死に突入させました。いつの間にか、鼻血が出ていました。
湖から敵が来るとは思っていなかった敵は大混乱に陥いりました。騎兵に攻め立てられ、後方にいた魔法使いたちは次々と倒されました。さらに騎兵たちは敵の本陣に突入しました。狭い地域に押込められ、指揮権もめちゃくちゃになった敵は良い的でした。
本陣が落ち、敵は降伏しました。
僕は後始末を2人の男爵に任せて、ゴーレム兵に捕虜の監視を命ずると、魔法の使い過ぎでそのまま気を失いました。
目を覚ますと、僕はベッドに寝かされていました。起きたことを知らされたのだろう、ホーン卿とクロード卿が飛び込んできました。
二人は深刻な顔をしていました。これはやばい件だ、ともうろうする頭で思いました。
二人の話では食料が全然足りないとのこと。理由は捕虜が急増したためだそうです。都に急使を送るも、すぐには手配できないとのことでどうにも困ってしまってしまい、僕に泣きついて来ました。
ため息をつきながら、疲れた体に鞭打って、打開策に乗り出しました。
情報を集めたところ、敵の侵攻作戦の基地であった都市には食料があり、周りも穀倉地帯で、食料の調達が容易であるとのことです。
いま、侵攻軍が壊滅したことで、非常に手薄になっており、占領して食料を手に入れるチャンスだと思いました。
とりあえず、カムイ軍務大臣に捕虜を管理をする人員を至急派遣するよう依頼しました。人員が付き次第、敵の食料を奪いに行く作戦を実施するつもりです。
しばらくして、カムイ大臣自ら人員を連れてやってきました。「よくやったな、あと一頑張りだ」と気楽に言われ、思わずあんたが何とかしてよ、と思いました。
兵1000人を率いて、敵の基地のある町、ガイロ―に来ました。守備兵も少なく、ゴーレム兵で取り囲んだら戦わずに降伏しました。
食料を馬車に積み、ゴーレムに引かせて、ニールの街に届けました。とりあえず、僕が兵1000名を指揮して、この街の防衛にあたりました。本当はすぐに撤退するつもりだったのですが、カムイ大臣からそのまま占領するようにと指示があったためです。
しばらくして、王都から部隊が派遣され、町の占領を替わりました。我々はニールへ戻ることにしました。
ニールの街につくと、ひと騒動起きていました。遊撃戦に出ていた伯爵が帰ってきていたのです。
ホーン卿とクロード卿の前で、自分の遊撃戦がいかにニール防衛と敵の攻撃に役に立ったのかひたすら話しており、今回の戦功はすべて私の功績だと言い張っているようです。
僕を見つけた伯爵は「お前か、成り上り者の男爵は。お前が余計なことをしたから、私の作戦を大きく邪魔したことが分かっているのか。この償いはさせてやるからな」と言い放ちました。
「ほう、誰に償いをさせるのかな」カムイ大臣がそっと近寄って伯爵に聞きました。
「こいつだこいつ、皆役立たずばかりだ。わしこそがこの戦の最大にしてただ一人の戦功者だ。こんな奴をよこしたのはどこの誰だ」と喚きました。
「私が派遣したんだ」カムイ大臣はそう言いました。
「お前だと、わかっているのか、こいつが……」振り向いて、文句を言おうとした伯爵は大臣の顔を見て急に言葉を止めました。
「これは大臣閣下、このようなところまでなぜいらしたのですか」こびるように伯爵は尋ねました。
「西部戦線が崩壊寸前だったから、私が派遣したんだ。さて、お前、いろいろ言っていたが、とりあえずすべて内容を確認する。嘘を言っていたら、それ相応の処分が下ることを覚悟しておけ。衛兵、伯爵を連れて行け。丁重にな」伯爵は何やらわめいていたが、カムイ大臣に連行されていきました。
「よくやったな、バードよ。次に呼び出すまでしばらく休んでいいぞ」笑顔で大臣は言いました。
「帰ります。疲れました」そう言って、僕はロバートのもとに戻りました。
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