閉話29 タドン君の学園生活その2 結婚騒動
これで一旦終了です。お読みいただければ幸いです。
寮に帰ると、僕の部屋がなくなっていました。荷物はなくなっており、寮監からはカギを返すように言われました。
どういうことか尋ねたら、女生徒が来て、荷物をすべて持って行ってしまったとのこと。
どういうことだと思って、混乱していると、タリンちゃんが現れました。タリンちゃんは同じグランド族で、僕の正室候補です。すごくニコニコしていますが、長年の付き合いの僕はわかります。これ間違いなく怒っています。
「タドン、あなた側室をもらったそうですってね」
「ああ、タリンも知っているよね。僕の専属メイドのコリンだよ。側室になってもらったんだ」
そうしたらつかつかと僕に近寄ってきて、胸ぐらをつかまれました。
「あんたのデビュー戦の相手は私が勤めるはずだったのよ。それを父様が卒業するまで待てと言われたから、我慢していたら別の人間に奪われるとは。もう我慢しないわよ。私たちいっしょに暮らすから。寮だけど夫婦寮に変えてもらうからね。引っ越し済ませておいたから、一緒に来なさい」と言って僕をつかんで引っ張っていきました。
この学園は貴族が多く、早い年齢から政略結婚する者もいて、夫婦が一緒に住むための大部屋がある寮があります。そこに入るというのです。
タリンちゃんは嫌いじゃないですが、いきなり夫婦寮なんて、せっかくの自由が奪われます。全部タリンちゃんの監視下に置かれることになります。せっかくのボッチ生活が奪われてしまいます。
グランド族の女は働き者で、情が深く、美人が多いのですが、性欲が強いのが特徴です。
おまけにタリンちゃんはそれが斜め上にぶっ飛んでいて、僕の女性関係を完全に支配下に置こうとします。
恐らく昔なじみのコリンのことは認めると思いますが、何人かの側室はタリンちゃんが選んで、僕に強制してくるはずです。
というか、もう選定されているかもしれません。
当然他の女と接触する機会のある自由な旅なんか許すはずもありません。
このままだと、僕はタリンちゃんの支配下に置かれて、すべての自由を奪われてしまいそうです。
寮に着くと部屋に引っ張って連れていかれました。そこには、タリンちゃんのほかに3人の女子がいた。そのうち一人は見たことのある子だった。
「この子たちはタドンの側室候補ね」コリンは言いました。
「この子はアリア、昔一緒に遊んだことがあるわよね。この子は筆頭側室になるから」
「久しぶりです、タドン様」確か、グランド族の有力部族の娘です。ちょっと待て、有力部族からは一人ずつ妻にもらうことになっていたはずです。さもないと、継承問題でもめる元になりますからね。それに筆頭側室はコリンです。
「コリン?それなりに顔なじみだし、愛人の地位ぐらいは許してあげるわ。でも側室なんてとんでもない」とタリンは言います。僕はムッとしました。
「この子は南グランドの商人の娘で、こっちがニューランドの大農園主の娘ね」
グランド族の支配層は、北グランド人に偏っているのは紛れもない事実です。南グランドの開発は現在も進められており、多くの人々が商売や農地経営で成功する者も出ています。
また、南大陸のニューランドや新大陸には、グランド人移民が数多くおり、中には大変な金持ちになる者もいます。
いずれはそこからも王家に血を入れなくてはならないだろうと言われていますが、それはまだ時期早々だと父上も母上も判断されています。
更に、これら新興階級は倫理的に問題のある商売に手を染めている場合もあり、遠隔地の場合十分な法規制が行き届いていない問題があります。この二人の実家の背景は確認したのでしょうか。
「この子たちはいい子よ。実家は関係ないわ」タリンはそう言いました。
これはまずいです。この子何もわかっていないみたいです。僕はトイレに行くと言って逃げ出しました。
タリンの計画は何としてでも阻止しなければ、僕はそう思い、とりあえずオモイ兄さんに相談しに行くことにしました。
オモイ兄さんは話を聞いてくれました。そして言いました。
「僕はタリンさんのことを、弟の婚約者として知っていて、同級生だし挨拶ぐらいはするけど、成績もよく礼儀正しい女性だったよ。下世話な言い方をすると、同い年とは思えないぐらいスタイルがよく、美人な女性だった。グランド族が中心だけど友人も多くいて、この学校のグランド人の中心人物の一人だね。しかし、正室としてうかつとしか言いようがないね。すぐに父上に連絡しよう。タドンもミリア母さんに言って、対応してもらった方がいい。今日はここに泊まるといいよ」そう言うと、直ぐに父上に連絡を取ってくれました。
僕も母上に連絡しました。
翌日、父上も母上だけでなく、祖父のプルテンおじいさん、ブルウ村のタリンの父のガルフさんも来ました。
ガルフさんはタリンを捕まえて、「お前は何かってなことをやっているんだ。馬鹿野郎」と言って拳固を食らわしていました。
「痛い!父さん突然何をするの」と涙目になって抗議していました。
「お前が何をしでかしたかわからないのか」
「タドンの側室を決めてあげただけじゃない。それの何が悪いの。私は正室なのよ」
父上も母上もすごく冷たい顔をして、ガルフさんに「この婚約は一旦取り消しだ。これではグランド王国の正室は務まらないな」と言いました。
ブルテンおじいさんはいつも優しいのだが、この時は恐ろしい顔をして、「お前はグランド王国を滅ぼしたいのか。有力部族の妻が二人いたら、どちらの子供が後を継ぐかで騒動になるだろう。それに出自もまともに調べていない側室なんて妻の家に王家の名を利用される可能性があり、場合によっては王家の評判を大きく落とす可能性がある。それにコリンを追い出すようなことを言っていたそうじゃないか。王が認めた側室で、更に皇帝陛下の第二正妃の妹をないがしろにするなんて皇帝家と対立するつもりか。更に我がグランド王家はローマ連邦の公爵家であるアント家の分家のような立ち位置だ。ローマ連邦での地位も高い。それが側室をすべてグランド族で固めたら、他民族の反感を買うことになるぞ」と言いました。更にお爺様は「そういう政治的な部分を考えて行動するのが正室の役割だ。とてもタリンでは務まらんな」と言い捨てました。
ガルフさんは平謝りです。「ブルテン殿、本当に申し訳ない。私の教育が不十分だった」
タリンは半泣きになりながら床に座り込んでいました。側室候補の三人はいつの間にかいなくなっていました。
結局、同居はなくなり、僕は元の寮に戻ることができた。タリンは、学校には残ることができましたが、婚約の件は白紙に戻されました。
この騒動の所為で、友達がほとんどいなくなってしまったそうです。かわいそうだし、悪気はなかったと思うのですが、やり過ぎたと思います。そのうち落ち着いたら声をかけてみようと思います。しかし、同情はしますが、僕は自由を手に入れることができ、満足です。
僕は冷たいやつでしょうか。
お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。
星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。
ここまでお読みいただきありがとうございます。11月末には何話か投稿したいと思っています。サムライも最低1話は投稿したいと考えています。
思いついた妖怪退治もの、こちらも投稿したいと思っています。5~6話ぐらいであまり読まれなかったら打ち切りも考えています。
本当に素人作家で申し訳ありません。書きたいものを書く、こんな作者でももしよろしければお読みいただければ大変ありがたいです。




