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第73話 私とロンの冒険旅行その4 差別の村

11月は仕事や用事で休みがなく、投稿できるかわからないので書けるところまで書きました。お読みいただければ幸いです。

 ロバートは私に小声で言いました。「この村やばいぞ」

 「どうしたんだ」私も小声で返しました。

 「こいつら商売っていう観念がない。俺が当座として、塩と酒、飴玉みたいな簡単な菓子を置いていたら、男たちが来て勝手に全部持っていこうとした。それで、これは商品だ。欲しいなら金を払うか、物と交換だと言ったら、いきなり怒りだして『こんなにたくさんあるのだから分けるのが当然だ!どうして邪魔する!』と言い出したんだ。そうしたら、一人の男がやってきて『おい、みんな、これは市と同じだ。欲しいものがあるなら交換しなくちゃならないだぞ。長老がこの男にここで市を開く許可を与えているからな』と言ってくれたんだ。そしたら、男たちは不承不承物を返してくれたよ」そう言って、誰かに聞かれていないかどうか確かめるようにふたたび周りを見ました。

 「俺はお礼に塩の小壺を一つ上げて、感謝の言葉を言いつつ、いろいろ話を聞いたんだ。その男は親切でいろいろ教えてくれたよ。聞くと、その男は市での交換担当で、村から出ることがたまにあって外のことを知っていたそうだ。それでこの村には私有の観念が薄いらしい。多く持っている者はみんなに分けなくてはならないし、分けられないものは村のものとして村のために使うらしい。自分のものは身の回りの物わずかで、必要に応じて長老が管理する共有物の中から分けてもらうそうだ」

そして言葉をつづけました。

 「しばらくして、男たちが物を持ち寄ってきたよ。ぶっちゃけ壊れた者や粗悪品ばかりだ。使えないので家に置いていたものなのだろう。『これでいいだろう!』と上から目線で、俺にものを放ると、塩とか、酒を勝手に取って言ったよ。男たちがいなくなると、今度は女子供が寄ってきた。子供たちはとっても人懐っこい子ばかりだったが、女たちは冷たい目で、布切れを出してきた。子供達には、飴玉を与えて、女たちには残った菓子類をやったよ。ちなみにお礼一つなかったな」苦笑いしていいました。

 「市担当の男に聞いたのだが、この村には明確な階級があるらしい。一番上は、長老衆でこの村の決定権を持っている。その次が戦士階級だ。戦いが専門で、すべてに優先して物を受け取れるらしい。その下が職人階級だ。色々なものを生産したり働いている者達だ。市での交渉担当もここに入るらしい。その下が女子供だ。そして更に下がいて、いわゆる戦いもできず何かを作ったり村の役に立てない者達、これは捨て人と呼ばれるらしいが、俺たち外国人はここに位置するらしい。下の者が上のものに何かするのは当たり前で、逆らうなんて許されることではなく、俺が文句を言ったから激高したらしい。これから宴会というが果たしてどういう扱いを受けるか。とりあえず顔だけ出して、さっさと引っ込もう」そうロバートは言いました。


 私は気になって、こっそりと気配を消して長老のテントの側に行きました。ちょうどそこではグリファス殿と長老の一人が話をしていました。

 「あの者たち、役に立つ。一人はシャーマンで治療が得意だ。あいつを使えば他の村から貢ぎ物をとれる。もう一人の商人も読み書きができるようだから、市担当と一緒に働かせれば役に立つ」

 「それでは明日長老衆を集めて会議を開こう。その際、お前が長老たちを説得してくれ」

 「わかった。絶対村のためになる」

 冗談ではありません。ただ働きさせられた挙句、得たものはすべて没収されるなんて。こりゃ、さっさと出て行くに限るな、と思いました。

 ロバートと相談すると、とりあえず今逃げると印象を悪くする恐れがある。明日朝堂々と門から出よう。もし、阻止されるならその時は実力行使だ、と言われ私もそれに同意しました。


 しばらくして宴会が始まりました。私たちが取った大イノシシが広場の中央に吊り下げられています。

 私たちは広場のはずれ、老人たちや病弱で働けないような者が集められた場所に追いやられました。

 老人に話しかけると、比較的気さくな感じで、年を取って使えなくなって、捨て人にされたらしい。

 長老に成れなかったのかと聞くと、長老に慣れるのは戦士階級のもので、何か功労を立てないと成れないらしく、もともと職人階級だった老人には縁のない話だそうだ。


 その時、つかつかとグリファス殿が近づいてきて「お前たち、酒もっているだろ。すべて出せ」と言ってきました。

 ロバートは「すべてここで交換されてしまいました。皆さんが持っているはずですよ」と答えると、舌打ちして職人階級の者達に「酒を交換したものはすべて出せ」と言いました。

 すると、職人階級の中で一番偉そうな男が、交換した時にすべて飲んでしまいました、一本も残っていません、と言いました。

 グリファスは怒り顔で「ビール職人、今あるビールを出せ」とひげ面の男に言いましたが、「この前、戦士の皆さまにすべて飲まれてしまった。材料となる穀物がなく、ビールを仕込むことができずビールはありません」と言いました。

グリファスの顔は真っ赤になり、ビール職人の顔を殴りました。

ビール職人は黙って殴られていました。


 「塩は残っているだろう。すべて出せ」と言ったところ、しぶしぶとばかりに男たちは塩壺を持ってきました。


 大イノシシの肉をおそらく肉を焼く役割の職人が焼き始めました。柔らかく、美味しいところから焼いていき、まずは長老衆に捧げ、そのあと戦士階級の者達が肉を食べ始めました。職人階級、女子供、捨て人はそれをじっと見ています。

 戦士階級が腹いっぱい食べたところで、今度は職人階級が食べ始めました。

 肉はみるみるなくなっていきました。

 職人階級が食べ終わった残りは、女子供が食べ始めました。

 骨を砕いて、わずかについている肉をかじり取っていました。骨の髄までしゃぶられ、残ったのは、砕かれた骨や食べることのできない筋ばかりです。


 捨て人達は、あきらめたようにその場から立ち去ろうとしていました。

 可哀想になった私たちは、彼らを出入り口近くに私たち用に用意されていたテントに皆を集めました。骨を集めて、一回魔法で浄化した後、鍋に入れて煮込みました。高火力で一気に煮込み、そこに山菜や干し肉を入れ、やわらかくなった腱や固い肉の部分を骨から外して、スープの出来上がりです。それに旅用に買った固いパンをばらして投入し、皆に分けてあげました。香辛料も内緒で少し使いました。

 皆は涙を流してスープをすすっていました。私たちもパン入りスープで腹を満たしました。


 皆が食べ終わった後に一人の職人階級の者がやってきました。「お前ら何を食べている。おいしそうな匂いをさせているじゃないか。俺にもよこせ」

 「もうすべて食べてしまいました。最後に残った骨を集めて作ったスープで、そんなに量がなかったのです」とロバートは言いました。

 「なんだ、骨をスープしたのか。そんなんじゃいらないな」と言って去っていきました。


 みんな顔を見合わせて、「食べ終わった後でよかった」と喜んでいました。

 聞くと、自分達が食べるものより下の階級のものがおいしいものを食べているとその食べ物を奪われたうえ、身分不相応だとして殴られる可能性があったそうです。

 本当にひどい村です。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


連載再開しました。毎日18時に投稿しますので、お読みいただければありがたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] この村に来るのは主人公の様な世間知らずの物好きかそれ以外は世捨て人or犯罪者だけですね 滅びる未来しか見えない村ですね
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