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第9限目「おじさんたち、地球温暖化を止めたい!」


「地球温暖化ってどうやったら止めることができるんだろうな」


 赤都葉レミドが呟いた。


「いや、ほんと最近気温が限界突破してるからなー」


 テレビでは40度を超える気温の地域もあるくらいで、酷暑こくしょ日や超熱帯夜なんて新語もできあがるくらいだ。


「ほんと俺らが子どものころから教科書に地球温暖化がどうとか載ってたけどさ、ようやく地球さんも本気出してきたって感じだよな」


 淡々と一人でこの地球の行く末を憂う赤都葉。


「じゃ、お前死ねば? 一人分の二酸化炭素が節約できるぞ」


「骸期さん、やっぱり極悪人でござる」


 骸期のブラックジョークにすかさずツッコむ忍冬。忍冬は忍者でも優しい忍者である。


小鴉こがらすちゃんが苦しまずに殺してくれるってよ」


「しません、しません、小鴉は人殺したことないので……」


「アイエエエ!? 『汚いさすが忍者きたない』って名言があるくらいなのに」

――しかも、忍冬流は無辜むこの民をも殺めることで有名でしょ?


「『有名でしょ?』じゃないでござる。忍冬流は無殺主義にて候」


「無殺系主人公って嫌われるからやめた方がいいよ。これからはどんどん殺していこ……」


 骸期が話をしている最中に、忍冬の姿が一瞬にして消え、骸期の喉元に刃が突き立てられる。


「ちょ、待って、冗談だって、たんま、たん……」


――ズバシャ!


 骸期の喉から血が噴き出す。さながらバトルアニメの戦闘シーンの如く、鮮烈で凄惨な現場を目の当たりにした赤都葉は、


「ぎゃああああああああああああああああ!」


 思い切り叫ぶことしかできなかった。殺人現場に鉢合わせした人間は往々にして腰を抜かし、その場から動くことができないものだ。


「こ、小鴉ちゃん、忍冬流は無殺……なんだよな……」


 声色から恐怖が伝わってくる。全身で命乞いの姿勢を見せる赤都葉、小鴉の目は血走っており、到底その願いを聞き入れる様子ではなかった。


「赤都葉さんも、地球温暖化防止のために一役買ってくれるよね?」


「怖い怖い怖い怖い、怖いから、小鴉ちゃん、いや、やめよ。落ち着いて、話せば分かるから」


――ズバシャ!


「があああああああああああああああ」


 赤都葉の心臓を忍冬の小刀が貫く。痛みを感じないまま、赤都葉は昇天し……


「てない!!!!」


「忍冬流は無殺だって言ったでござる」


「いやこれマジシャンだろ! 確実に俺の心臓刺さってたんだけど!」


 バーチャルの世界では殺しても死なない。


「骸期さんは本気で殺すつもりだったのに……」


「いやー、怖い怖い。普段温厚な人ほど怒らせると怖いって言うし……」


 骸期は不用意に忍冬の逆鱗に触れるべきではないと学んだ。


「んで、何の話してたんだっけ?」


「夏の怪談話だよ。グッと背筋が凍るような話……」


「忍者はるときはるってことで」


――次回もよろしくっ……


――ズシャ!


「たまには小鴉が締めてもいいでござるなぁ!」


 忍冬は恍惚の眼差しでギラリと刀を光らせて言った。

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