Report 12 ロンリーガール・クロス・ロンリーガール(6)
※ 本作はフィクションです。当エピソードの登場人物の一部の行動は現実社会において、グルーミング(手なづけ行為)に相当する恐れがあります。これらの行為を、賛美・奨励する意図は一切ございません。
【2014年 桐野 13歳】
場末のゲーセンには、不釣合いな賑わいが巻き起こっていた。
わたしを取り囲むギャラリーが沸き立っていたのだ。
その見事な完封勝利に。
――挑戦者の完封勝利に。
「すげえ! すげえな兄ちゃん!」
「あのJCが手も足も出ねえなんて!」
「つーか、リンって弱キャラじゃなかったのか!?」
「対空最強のジェローム相手に、飛び込み主体のリンがこんなにめくる戦いなんて、見たことねえぞ!」
口々に感想を述べる観客たち。
「……」
わたしは呆然としていた。
一戦一敗。
今日初めての黒星で、初めての完全敗北。
(あり得ない……、こんなこと……)
「めくり」は格闘ゲームの用語であり、相手を飛び越して、後方からジャンプキックを繰り出す技術だ。ケツ蹴りとも言う。
だが、この「めくり」には危険が伴う。相手が対空技を放ってきたら、失敗して逆にダメージを受けるからだ。
そして観客の言うとおり、ジェロームはこのゲームで最もジャンプ攻撃に対して強いキャラクターだ。ジャンプが主体のリンは、相性最悪のはずなのだ。
それなのに、この男性の操作するリンはことごとく「めくり」を成功させた。
業を煮やしたわたしが動こうとしたら、その隙を突かれて連続技につなげられ、あっという間に完封されてしまったのだ。
「……くそっ!」
――ROUND TWO, FIGHT!!
二戦目が始まった。
(こうなったら、なりふり構っていられない!)
開始早々、わたしはジェロームも画面ぎりぎりまで後退させた。そして、しゃがむ。
ギャラリーの一人が「あっ……」と声を漏らす。
これからわたしが何をするのかを、察したような声だった。
(――そうだよ。あれをやるんだ)
しゃがんだままのジェロームに、飛び技であるムーンキャストを連発させる。リンはジャンプでムーンキャストを避けながら近づく。わたしはすかさず、ライジングサンという対空技で撃墜しようとした。鼻先で逃げられる。
「……たしかにこれなら、めくられなくなるけどよ……」
ギャラリーの一人が言った。周りの空気の温度が見る見る冷え込んでいくのが肌でわかる。
飛び道具と対空技を兼ね備えるジェロームのこの戦法は「タートル・ジェローム」と呼ばれている有名なもので、『街伝3』において最も凶悪な戦い方といわれている。相手次第では一方的な試合になることが多く、この戦法を禁ずるというローカルルールを設けているゲーセンがあるくらいだ。
わたしも、このような措置は仕方がないと思っている派だ。だから、さっきは積極的に攻めにいったのだ。
しかし後がないわたしには、もうこれしかなかった。背に腹は変えられない。
2Pのリンの体力はあっという間に削られ、もう8ドット分しかなかった。
(――あと少しだ。このまま押し切る!)
しかし、であった。
ムーンキャストが発動終了したわずかな隙に――弱キックを差し込まれた。
そのまま投げられる。
「待ち」を崩された。
「くっ……!」
再び沸き立つギャラリー。
投げられて、ジェロームはダウンした。よかった。ピヨってたら連続技に移行されて、そのまま終わっていた。
わたしは早く復活させるためのレバガチャをせず、コマンドを入力する。
このゲームには、ダウン中にのみコマンド可能で、ダウンから立ち上がった直後に出せる「起き上がり必殺技」というのがある。
わたしはジェロームの起き上がり必殺技、エクリプス・マシンガンを発動させる。これは計10回の弱キックと同じスピードとパワーの攻撃を十回当てる必殺技。必殺技はガードしても、1ドット分のダメージを受けてしまう。全てガードしたら、10ドット分のダメージを受けることになる。残り体力が8ドットしかない相手のリンは、ガードしたら確実に負ける。
そのためガードではなく、レバーを相手の攻撃方向に合わせて入力することでダメージ0にできる機能、「ブロック」を使わなければならない。
(……だが、エクリプス・マシンガンの一回の攻撃におけるモーションの速さは、30分の1秒。対応しきれる訳がない! 勝った!)
ジェロームは、エクリプス・マシンガンによるキックを繰り出した。
しかし、
――ガチャン。
ガチャン。ガチャン。ガチャン。ガチャン。ガチャン。ガチャン。ガチャン。ガチャン。ガチャン。
「……」
十回全て、ブロックされた。
わたしはあまりのことに、だらしなく口を開いてしまった。
エクリプス・マシンガンを発動し終えたジェロームに、大きなスキが生まれた。
そのスキに連続技をキメられ、リンの必殺技・双脚陰殺でフィニッシュされる。
信じられない光景だった。
この対戦相手は、30分の1秒というシビアなタイミングのプレイングを、10回連続で成功させたのである。
「うおおおおお!! すげえすげえ!!」
「まさに背水の陣!!」
「どっかのデカい大会の入賞者じゃね!? 情報ねえか!?」
拍手が起こるギャラリー。
「YOU LOSE」と表示されるゲーム画面。
呆然とするわたし。
細い影が、わたしの横に立つ。
目線を横へ向けると、男が立っていた。
「――さあ。お家に帰りなさい」
帰る。
あの宇都宮のマンションに。
家族とは名ばかりで。わたしは異物でしかないあそこに。
義母と子の、両方から厄介者の邪魔者と認識されているわたしが。
稼ぎ頭である義父はいなくなり、わたしの自由は奪われて。
学校では爪弾きにされて。陰口に堪えながら。
成人して叩き出されるその日まで、忌み嫌われながら――
「……いやだ」
「ん?」
自分らしくなくか細い――それから悲鳴のような声で叫ぶ。
「わたしはっ、あそこにだけは、帰りたくないッ!!」
転がる丸椅子。勢いよく立ち上がって、そのまま出口へ駆け出した。
★
ゲームセンターから出て、県道61号をひたすら南へ走る。
1キロも走ったかと思うと、また海が見えてきた。交差点の横断歩道を直進したところで、息が切れた。
「ハァハァ……。いくらなんでも、もう諦めただろ……」
白のタンクトップが汗で身体に貼りつく。デニムのジャケットを脱ぐと、潮風が嬲った。目の前には円島の左半分。そして、漆黒の相模湾が広がっていた。
「やあ」
わたしは思わず、ずっこけてしまった。
東側の歩道橋から、さっきの男がスタスタと歩いてきたのだ。
全力疾走してきたわたしが追いつかれた。直進したから、これ以上の最短ルートはないのに。徒歩で。息も切らさず。汗の一滴もかかずに。
――あり得ねえ。
「あんた……、化物かよ」
「化け物とは失礼な。私は何の変哲もない非常勤講師ですよ。そこの円島にある五色高校で古典を教えている、徳長涼二と申します」
すらすらと、訊いてもいない自己紹介をする徳長。
「……教師。なるほど、逆らうなら補導するってか?」
「仕事柄、放って置けませんからね。約束を違うというのなら、交番につれていきますよ」
徳長と名乗る男はそう言いながら、尻餅をついたままのわたしに手を差し伸べる。
この……アニメやライトノベルなんかでよく出てきそうな、いかにもな先生キャラというか敬語キャラ的な飄々した態度が、妙にしゃくに障った。
「……触るな!」
わたしは、その手を払い除ける。
立ち上がり、ファイティングポーズを取る。
「補導するってなら、力ずくでやってみろ……!」
「鬼ごっこの次は、リアルファイトですか。いいですよ。また私が勝ちますから」
わたしは「うるせえッ」と吠えて、正拳を繰り出す。
しかし、徳長は難なく躱した。
ブンブン、ブンッ。
――続けて三発ほど振るったが、全て空を切った。
ここでわたしは、早くも違和感を覚える。
徳長はまるで、わたしの攻撃する位置を完全に読み切って、予測しているかのように動いているのだ。
「ふむ。殺気がある。拳筋も鋭い。ある程度、場慣れしているようですね。しかし――」
徳長の涼しげな鼻っ面めがけて繰り出したわたしのハイキック。
とん、と右足のかかとを手の平で軽く突かれた。
「――!? わ、わわっ!」
たったそれだけなのに、わたしはバランスを崩して倒れそうになった。
「軸がふにゃふにゃです。これでは、押し倒してくれといっているようなものですね」
「……ッ! ムカつくんだよ、その悟ったような上から目線な物言いが!!」
大振りの右フックで、脇腹を狙う。
右手首をつかまれた。
ゆるい。
(はんッ! これなら抜け――)
グンッ――瞬時に引っ張られ、半回転させられる。
背中に右腕を背中に回された。
わたしはいとも簡単に、固められてしまった。
「くっ――、くそっ。くそーッ!」
思ったとおり、わたしはまったく動けなかった。足を動かしても、すぐにさばかれてしまう。
「これで三戦三敗ですね」
徳長が言った。
観念したわたしは、力を抜いて抵抗を止める。
「……」
黙ってうなだれるわたし。
「……親御さんには、わたしが電話で説明します」
徳長が背後から、ささやくようにそう言った。
「それから、ご自宅まであなたを届けてさしあげます。それで、よろしいでしょうか?」
それは、嫌悪とも憐れみとも違う。あくまで、わたしを諭すような口ぶりだった。
「……」
わたしは、素直にこくりとうなずいた。
すると徳長は、スッとわたしを解放してくれた。
見知らぬ男に完全に敗北し、黙って言うことを聞かされた。
けれども不思議なことに、屈辱感はあっても憎悪は湧かなかった。
この人の声遣いや、言葉や、しぐさが、どういうわけか素直な気持ちにさせてくれる。
こんな不思議な印象を持つ人は、初めてだった。
キキッ――。
ミニバンが、わたしたちのすぐそばで停車した。
そこから、頭を十文字に刈上げたドレッドヘアーの男が出てきた。似たようなガラの悪い男三人がその後ろに連れ添って出てくる。
「――よー。こんなところにいたかあ、お嬢ちゃん」
十文字頭は、わたしの顔を見ながら濁声で言った。
わたしはこいつが誰だかわからなかったが、敵意を向けていることは一発でわかった。
「さっきは、よくも彼女の前で恥を欠かせてくれたなあ。あん?」
(……ああ。そういやいたな、女連れのヤツが。三十秒で完封決めてやって、彼女にフラれてたヤツが。何か吠えていたけど、無視したんだった)
「このさみしさ、ちィと付き合って紛らわしてくれねえかなあ。ええ?」
大の男がフラれた腹いせに、仲間引き連れて女子中学生を脅す。こんな絵に描いたようなクズ、現実には結構いるもんだよな。
「捕まえておいてくれてありがとよ、兄ちゃん。さ、そいつを引き渡してくれ」
十文字頭が、徳長に向かって言った。
「嫌です」
徳長は、きっぱりと断った。
十文字頭は眉間に皺を寄せ、上目遣いで徳長にメンチを切る。
「――あ?」
「あなた、負けたんでしょう? そういうのを、往生際が悪いというのですよ」
しれっと徳長がそう言うなり、十文字頭は懐に手を入れた。
バタフライナイフを取り出し、間髪入れずに徳長の鼻先で展開した。
(何だこいつ……! いきなり光るものを出すか……!?)
「てめ……。チョシこいてっとぶっ殺すぞ。渡せっつってんだよ」
そうすごむ十文字頭の目は、瞳孔が開いていた。ほかの四人も、飛び出そうなほどに目力が入っている。
「テメー夜回り先生ですかァ? 夜の街にうろつく未成年を見守ります、かぁ? ――そのオリコウな脳みそぶちまけたろか、オラァ!」
仲間の金髪が、バールのようなものでガードレールをぶっ叩く。ガードレールは凹み、バールのようなものを握る右手は震えていた。
(……コイツら全員、異様に目がイッてて力が入りすぎている……。変なハーブかヤクでもやってんのか?)
男たちを注視するわたし。
そして、わたしはそれを見た。
(……! 全員、何か小さな虫のようなものが首の横に乗ってやがる!)
男たちの首筋あるいは肩で、小さな影がうごめいている。
小人だ。
角を生やした小人の影が乗っかっている。
火照ったわたしの身体から、見る見る血の気が引いていく。
(……違う。ヤクなんかじゃない。この雰囲気、あれは――)
そう思ったわたしは堪らず、徳長にこう叫んだ。
「ダメだ! そいつらは取り憑かれている! 首筋に何かいる!」
わたしは叫んだ。
誤魔化しや言い換えを一切せず、見た通りのことを。
男たちの何人かが、わたしの方へ視線を動かす。
「うっせえ、黙ってろ!」
注意が、徳長からわたしに逸れた。
その一瞬を、徳長は見逃さなかった。
風が凪いだ。
そして、吹いた。
男たちの間を、静かな陣風が通り抜ける。
止まる男たち。気づくと、徳長が右後方に二歩退っていた。
――男たちの目に、理性の光が戻る。
「……」
そして全員顔を見合わせ、「自分いま、何してたんだっけ?」とでも言いたげな表情をしていた。
「――どうかしましたか?」
にっこりと笑ってそう言う徳長。
男たちは「あ……。いや、その。悪かった」などと、取り留めのない言葉を口々にする。そして、怪訝な顔をこちらに向けつつミニバンに戻り、発進させた。
見送る徳長。その右手には黒い、小さな影が蠢いていた。虫が四、五匹いるような感じだった。
「……それ」
わたしが声を漏らすと、徳長は振り向いた。
「天邪鬼、でしょ……?」
おずおずと、訊くわたし。
わたしは前に、その「お化け」を一度見たことがある。
小学三年のとき、わたしに掃除を押し付けようとした女子に反抗したとき、同じような瞳孔をむき出しにした表情で逆ギレされたのだ。そいつらの首筋には、小さな鬼のようなものが蠢いていたのだ。そして、暴れるだけ暴れたら、小鬼は虫が飛んでいくように去っていった。そしたら、女子たちの様子が元に戻ったのだ。
「アンタがそいつを取ったから、アイツら大人しくなったんだよね?」
質問を重ねるわたし。
しかし、徳長は黙ったままだ。
夜の湘南の海。向かい合う二人。ほかに、住人のいないセカイ。
徳長はようやく、ゆっくりと口の両端を吊り上げて……優しげな声でこう言った。
「……なるほど、あなたも見える人なんですね」
その言葉が、心臓が高鳴らせた。
目頭が、じわじわと熱くなる。
わたしはこのとき、初めて出逢ったのだ。
わたしの見ている景色を、そのまま受け取ってくれる人に。
★
「術視界……?」
私は、徳長が口にした単語を繰り返した。
「はい。そこでは、私やあなたのような力を持っている人は術師と呼ばれ、社会を営んでいるのです」
わたしは、これまで自分の身に起きた話を徳長に話した。
小さい頃から、他の人には見えないものが見えること。そのことをきっかけに、家や学校で迫害を受けたこと。親戚で厄介者扱いされて、転々としたこと……。
そんな話を徳長は、ときどき頷いて適当な相づちを入れてくれながら聴いてくれた。同情するわけでもなく、否定するわけでもなく、ただただわたしの話を聴いてくれたのだ。
わたしはついつい話し過ぎてしまい、気づけば時間は22時半を過ぎてしまっていた。
「しまった! 今からだと、終電間に合わない……!」
わたしが困ったように声をあげると、
「それなら、送って差し上げます」
と徳長は言った。
「車でも停めてあるの?」
「いいえ。今日はこれに乗ってきました」
それから徳長は、辺りを見回した。
そしてキャリーケースから何かを取り出した。
一つはフルフェイスのメット、もう一つは尾部がラッパのようになっている管であった。管は真ん中にはタッチパネルのようなものがついていて、先端はゴムグリップで何か操作するような形になっている。何に使うものかさっぱり分からない。
徳長がじっと見つめると、信じがたいことが起こった。
それは突然光り出し、電卓からラッパの間の部分が勢いよく伸びたのだ。
徳長はキャリーケースをハーネスで柄に括りつけ、それからまたがった。
すると、ラッパのように広がっている排出口から、虹色の光が箒のブラシのような形を描きながら噴き出した。
そして、ふわりと浮いた。
「……それ、まさか『空飛ぶ箒』?」
「ご名答。さあ、これを被って乗ってください」
メットを渡されたわたしはそれを言われるままに被る。
だがわたしは、空飛ぶ箒にまたがるのをためらった。
「大丈夫ですよ。この通り、落ちないようになっていますから」
徳長は両手を離して、身体を左右に揺らす。そればかりか、柄を軸にして天地を一回転さえしてみせた。
「……あ、あんた。魔女なのか?」
「男性を『ウィッチ』と呼ぶとは、なかなか勉強されていますね。しかし私は、いわゆる『魔女術』の術師ではありません。これは飛行箒といって、流派や種族に限らず誰でも乗れる、術師界においてポピュラーで安全な乗り物です」
わたしはヘルメットを被り、恐る恐る浮かぶ飛行箒の柄にまたがった。
すると、へその下から箒に引き寄せられるような、不思議な感覚を覚えた。
「ほ、本当に大丈夫なんだろうな……」
オートバイの二ケツの要領で、わたしは先生の胴体に腕を回す。
「大丈夫です。術師界の魔術は、科学と変わらないくらい進んでいます。使い方さえ間違わなければ、怖がることは何もありません。……さあ、上昇しますよ。しっかりつかまってください」
ぐんっ、とわたしの身体が上空へ引っ張られた。
さっきまでいた道路が、糸のように細くなっていく。そして、ある程度上昇したところで停止した。
「……」
わたしは眼前の光景に圧倒されて、言葉がでなかった。
ものの数十秒で、湘南から横浜にかけての夜景を一望することができたのだ。
その中でも、ひときわ色とりどりにきらめいているのは、スカイクルーズで有名なみなとみらいの夜光だろう。
「このくらいでいいでしょう。推進します」
徳長がそう言うと、箒は前に進んだ。
「な、なあ……。ずいぶん高く飛んでいるのに、空気がほとんど地上と変わらないんだけど……」
「ええ。飛行箒には、高度に対して気圧差や温度差を自動的に調整する、エアー・ディフューザーが組み込まれているんですよ。あと普通の人からは見られないように、アンチサイト・バリヤーも張られています」
私たちは、あっという間に横浜を超え、東京へ入ろうとしていた。
京浜工業地帯の星の海が、わたしたちを迎え入れる。
「……すごい」
わたしは思わず感動の言葉を漏らすと、徳長はやわらかく微笑んだ。
術師界へ行けばこれからもずっと、こんな景色を見られるのだろうか。何を見ても心を動かされない灰色どころかドス黒い世界から抜け出し、誰かと「キレイだね」といつでも言い合える、そんな素敵な世界に行くのだろうか。
宇宙を旅する一艘の箒に揺られながら、そんなことをわたしはこのとき考えていた。……




