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男の子が悔しがる角度

学校の校舎の裏に花壇がある。

色とりどりのつぼみが膨らんだ状態で、もうすぐ開花するだろう。

私は待ち遠しくて毎日通い、体育座りで観察するのが日課になっていた。


スカートの女の子が体育座りをした場合、正面から見るととんでもない事になる。

だから私は、体育座りの時は足の角度を、男の子が悔しがる角度に調整していた。

何回、男子に舌打ちされた事か。


いつものように、私が校舎の裏の行くと、ローラが数人の女子に囲まれて揉めていた。


「下級貴族が上級貴族に生意気な口を利いて、ただですむと思ってるの?」


「学園内では、皆平等に扱われるはずです」


どう見ても虐めの現場である。


私はローラに駆け寄った。

「おやめなさい!!」


「貴女は、エリス・バリスタ!?」

()()()()()なの!」


「この娘に手を出したら容赦しないわ!!」

「ローラは私の友・・・」


「貴女がローラに目をつけていたなんて、知らなかったの、本当よ」

何故か動揺して青ざめている。

「あ…あなたの獲物を横取りする気はなかったの」

(獲物?何の事だろう…)


なんか

「名前を言ってはいけないあの人」とか

「ビビってちょっと漏らしちゃった」とか

「既に金髪の女の子(キャサリン)を奴隷に落としたらしい」とか

聞こえてきた


「ローラの手を離してもらえるかしら?」

と言って集団のリーダーと思われる女の子の腕を掴んだ時だった


「ひっ」

と悲鳴を上げてその女の子は後ずさった


「その手の紋章は…従属魔法の…」


私に触れられた女の子は

「やめて! 私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」

とパニックを起こしていた。


(はぁ…何でこんな事になってんだろう)


彼女たちはローラに2度と近寄らないと誓わせて解放してあげた。



「エリスさんありがとう!」

「むぎゅ」


ローラに正面から抱きしめられ、私の顔がローラの豊満な胸に押し付けられた

「くっ苦しい…」


「本当は怖かったわ」

「ギブ、ギブ…」


「貴女も上級貴族なのに…でも今までずっと普通に接してくれた」

「酸素がー、酸素がー」


「私、貴女には感謝しているの、身分の差があっても友達になれるってわかったから」

とローラは涙ぐんだ


私は色々な症状が出始めた

「わぁきれいなお花畑ー、おばぁちゃん3年前に死んだはずじゃ…えっお前にはまだ早いって?」


意識を失う直前、ローラの胸から解放された私は青白い顔で新鮮な空気を吸い込む

「ぜー、ぜー」


「ごめんなさい、嬉しくてつい、全力で抱きしめてしまいました…」

とローラは少し頬を赤らめながら言った。



「私は、ローラさんの胸をはだけ(ポロリ)させてしまったので、嫌われているかもと思っていましたわ」


「仲の良いお友達同士、ふざけ合って良くある事じゃないのですか?」

ローラは女の子同士のじゃれ合い程度の認識だったらしい。


「え?友達同士ってそんなエッチな事するものなのですか?」

「え?しないんですか?」

「え?」


「エリスさんはマリーさんと胸を触れあっているので、てっきり愛情表現なのかと…」

(触れあってないよー、一方的に揉まれてるだけだよー)


「マリーさんには負けません、私の胸に触れたくなったら、いつでも…」

何故かマリーに対抗意識を燃やしているローラであった。




ある日の事

「マスター、本当にごめんなさい」

とキャサリンに謝られた。


「急にどうしたのかしら?」


キャサリンが初めて教室に来た時の事だと言う。


「最初、私はエリス・バリスタの悪い噂を聞いて、ローラを救おうと思ったの」

「でもそれは誤解でした…」

あの時、ローラ本人が悪い噂を否定して誤解を解いたと言う。

「自分で真実を確かめなかったのは、本当に軽率だったわ…」


「マスターと行動を共にするようになって私も気付いたのよ,マスターは信頼できる人よ」

「だから、ごめんなさい」

といって頭を下げた。


「いいのよ、気にしないで…でも、そろそろ契約解除しない?」


敗者が勝者に服従する契約だが、私が契約を解除しようと言っても、キャサリンが首を縦に振らないのだ。

双方の同意が必要なので、私一人では解除できない。


(本当は一日で解除するつもりだったんだけどなぁ…)

軽い罰ゲームのつもりだった、何日もキャサリンを従属させる気は全く無かったのである。


「これは私の償いなの、このままマスターを守らせて」

とキャサリンは真剣な表情で言う。


「わかったわ、でも、無理をしないでね」


この娘は騎士を名乗るだけあって、正義感とか責任感とかが強すぎるのだ。

本人が納得しない限り、契約を解除してくれないだろう。


無理に契約を解除したら、償いの機会を奪ってしまう、それはキャサリンの負担にもなると思った。

ならば、このままの関係を続けるのが良いだろうと諦めたのだった。

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