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登校初日

初登校の日、講堂に新入生が集まっていた。

学校長の長い話で18人が貧血で倒れ、やっと話が終わった頃ようやく自分のクラスに向かった。


クラス編成は既に決まっており、席順も決められている。


私が自分のクラスの扉をくぐると、女の子が信じられない恰好をして立っていた。


ピンクの髪の女の子が制服を着て立っていたのだが、彼女の制服は上着の丈が異常に短い、ヘソ出しルックな上に豊満な胸に視線を移すと、制服から下乳がはみ出している。


スカートの長さはタオルを腰に巻いたような長さしかない、これでおじぎをしたら後ろでパンツが全開になるパターンだ。


(いや、その制服ってどう考えても倫理的にアウトだよ!てか、これだけのサイズの胸でブラつけてないとかあり得ないんてすけど)


頭の中にプロフィールが流れ込む、この娘がヒロインのローラ・グラスハートだ。


不自然なのが教師も含め、クライメイトの誰一人としてその服装を咎めようとしない事だった。


私は慌てて彼女に駆け寄ると

「ローラ・グラスハートさんよね?ちょっと宜しいかしら」

さすがに同性としてその格好は注意すべきだと思ったのだ。


男子の目を避けるために人の少ない所まで連れ行き、必死に説得するが本人はキョトンとしている。


「だから若い女の子がそのような格好を…」

「洗濯をしたら縮んでしまって…でも、学校側からも問題ないと言われておりますし、何か問題なのか全くわからないのですが」


結論を言うと、この世界ではこの格好が許容されており、何も問題のない服装なのだそうだ。

(誰だよローラのキャラクターデザインした奴…)


私はローラに認識阻害の魔法をかけてあげた。

肌色面積が増えたり、スカートからパンツがはみ出したりすると、靄がかかったり、強い光で対象が見えなくなると言う魔法である。

しかも、その魔法は男子にのみ発動する限定条件をつけてある。

(ふー、この世界の治安を維持するのも大変だわ)



教室に戻ると女の先生が待っていた

「ちょうどあなたたちで最後ね、これでクラス全員が揃いました。自分の席に名前が掲示されています、席に着きなさい」

と席に着くように促された


「おや、君は今朝の…」

と隣の席の男子に話しかけられた。例の前髪で目が隠れている男の子が座っていたのである。

おそらく主人公のキリトだろう。


キリトの左隣が私の席で、キリトの右隣がローラの席だった。

軽く立ち眩みのような感覚を感じつつ、私は席に着いた。


全員が着席したのを確認すると先生が言う。

「私はこのクラスを担当する事になりました、セシリア・エイベルです」

「これから自己紹介をしてもらいます、前の席から順番にお願いしますね」


順番に自己紹介が始まって気付いたのだが、このクラス、女子の比率がかなり高い。

女子3につき、男子1ぐらいの割合である。


「魔法の適性は男子より女子の方が適合者が多いのよ、別に不自然な事ではないわ…」

とリリスから音声のみの注釈が入った。


「あと、一人だけ女装男子が混じっているわね、本人は隠しているみたいだけど」

女装してどれだけ美人でもさすがにサキュバスには通用しない。

(いわゆる男の娘って奴ね)

特定までは至ってないが、クラスメイトの中に居るらしい。

リリスに聞いても制限事項(ネタバレ禁止)に該当しますって言って誰なのか教えてくれない。



私の順番になったので静かに立ち上がる

「エリス・バリスタと申します、趣味は舞台鑑賞など嗜んでおりますわ」

(前世では2.5次元の舞台鑑賞だったけどね)


私は薄い紫色の髪の色が高貴な雰囲気を醸し出している、いかにも「お嬢様」と言う感じだった。

私の自己紹介は女子からの反応が好意的だった、私って主人公補正がかかるらしいよ、ずるいよね…


隣の席に順番が移ったので例の男子生徒が立ち上がる

「俺の名前は………」

(君のプロフィールは知ってるよ、キリト君、元主人公の男の子…)


「俺の名前はタカポンだ」

私はブハッとむせかえった


キリトと言う名前は、名前を決めてくださいと表示される時に、最初から記入されている名前だったのだ。

名前の変更が可能ならば、感情移入するためにむしろ積極的に変更するだろう。


「どうかしましたかエリスさん」

と女教師が不思議そうに言う


「い…いえ、別に……」

(タカポンって誰だよ!誰のセーブデータだよ!)

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