サキュバス襲来
夕食を終えた後、自室に戻り、今の状況を整理していた。
ここがゲームの世界である事は間違いなかった、そして乙女ゲームならまだしも、よりによって18禁のエロゲーである。
問題なのはこのゲームは未プレイなのでシナリオの進行が全くわからない事だった。
これからどうしたものかと途方にくれていると、ふとお尻に違和感を覚えた。
まるで誰かに撫でられているような……
「安産型の良いお尻ですね」
私は「ひゃんっ」と声をあげ、あわてて振り返ると際どい衣装を身に纏ったプロポーション抜群の美女がお尻を撫でまわしている。
さっきまで誰も居なかったのに、何の前触れも無く突然現れたのだ。
「初めまして、私はサポートキャラクターでサキュバスのリリスと言います、困った事があったら相談してね」
「現在進行形でお尻を撫でまわされて困っていますが……」
「これは私たちの挨拶のようなものだから気にしないで」
いや気にしない方がおかしいよね?
「それで、サポートキャラクターって何なの?」
「ゲームの進行でわからなことがあったらヒントを出したり、攻略したい女の子の好感度を知らせしたりするキャラクターよ」
「それに、貴女はこのシャイニングラブストリーを未プレイで不安なのでしょう?サポートキャラクターが居れば安心だと思うわ」
確かに、今の私にサポートキャラクターがついてくれるなら、安心できるような気がする。
「どうすればサポートキャラクターからアドバイスしてもらえるの?」
「サポートキャラクターを取得するには契約の儀式が必要なの、どうするか決めてちょうだい」
リリスがそう言うと、空中に選択肢が出現した
- サキュバスが現れた、契約の儀式を選択してください -
1.キスをする
2.肉体関係を持つ
3.契約を断る
肉体関係は論外として、最低でもキスがノルマなのね…
しばらく固まった末に決断した私が1を選択すると、リリスがじっとこちらを見てくる
「どうやら、同性の接吻に抵抗感をお持ちのようね、なので少々魔力を使わせていただきます……」
「魅了レベル3」
リリスが何かの魔法を行使したらしい
「力を抜いてリラックスしてね…精神に抵抗されると契約が上手くいかないから……そう…とても良い娘ね」
リリスがそう言うと、魔法のせいなのか少しずつ緊張が解けて楽になり、嫌だと言う感情は溶けて行った、それに少し体が熱くなってきたみたい……
リリスの赤い唇が迫ってくる、私は目瞑った。
「処女の接吻ごちそうさまでした、契約成立です」
リリスに言われて、私は少し顔を赤らめた。
契約を完了するとサキュバスと人間は魔力的に繋がりを持った状態になると言う、必要な時にリリス召喚できるようになったらしい。
リリスは女の子の基本パラメータを把握しており、性格、身長、体重、スリーサイズから喘ぎ声のサンプルボイスまで持っていると言う、とにかく女の子の事は何でも知っているらしい。
ここでハッとある事に気が付く
「私のデータもあるの?」
「当たり前じゃないですかー」
「今すぐ消しなさい!」
「また無茶な注文を…でも消す事はできないけどロックをかける事ならできるわ」
そ言うとリリスは光る魔法陣を展開して呟く
「デバックモード展開……エリス・バリスタのプロフィールをロックします」
作業を終えてからリリスは私のプロフィールを表示してくれた。
私のデータが空中に浮かんでいた。
- エリス・バリスタのプロフィール -
身長:???
体重:???
スリーサイズ バスト:???、ウェスト:???、ヒップ:???
年齢:本作品の登場人物は全て18歳以上です
サンプルボイス:非公開モード
登場人物の紹介
魔法学校高等部の1年生で主人公のクラスメイト。
バリスタ家の長女であり、次女ミリア・バリスタの姉である
バストが控えめだと言うコンプレックスで巨乳のヒロインに辛く当たり……
(ちょっとまって、私がヒロインを虐めるのってそう言う理由なの?)
(まぁ前世でもバストは控えめだったから、気持ちはわからないでもなんだけど、あまりと言えばあまりな人物像だった)
リリスが私の状況を説明してくれた
「本来なら貴女は男性の主人公キリトとして転生するのが正しいのだけど、何故かエリスとして転生してしまったので……」
「この世界の主人公が書き換えられてしまいました、それによりパラダイムシフトが起こっているの」
要約すると、私がこの世界の主人公として上書きされたらしい。
女の子のキャラクターなのに、女の子にモテモテになると言う運命が待っているのだとか
リリスは主人公にも死つながるバッドエンドがあると言う事を教えてくれた、回避するためには女の子と仲良くして好感度をあげなければいけない。その中にヒロインも含まれるらしい。
「巨乳は敵…」
「わがまま言わないの、ちゃんとヒロインとも仲良くしなさい」
「それに悪役令嬢としての設定も失っていないから、悪役令嬢として振舞うならば、イベントも発生するわ」
「でも心配しないで、サポートキャラクターが居ればバッドエンドは回避できるはずよ」
とリリスは言う
私の運命を握っているのはリリスって事になるのね、今はリリスを頼るしかなかない。
「初日のブリーフィングはこんな所かしら、明日から女の子とラブラブな学園生活が待っているはずよ、頑張ってね」
とリリスは笑顔でそう言った。