休日
久しぶりの休日、商店街にやって来た。
気分転換にウインドウショピングを楽しむのもいいだろうと思って来てみたのだ。
以前の私は貴族用の高級ショップを回ってお買い物をするだけだっのだが、前世の記憶を取り戻してからは平民向けのお店にも興味を持つようになっていた。
「そこのお嬢ちゃんバナップはどうだい」
と威勢の良い声が聞こえる
バナップとはバナナに似た果実をメイプルシロップのような木の樹液でコーティングしたものだ。
前世で言うところのチョコバナナの親戚のようなものだった
「おいくらかしら?」
「銅貨5枚だよ」
(高!)
これはいわゆる二重価格だ、店主も銅貨5枚で売れたらラッキーぐらいにしか思っていない
「銅貨3枚って所よね」
「じゃあ銅貨4枚にまけとくよこれ以上は無理だ」
「お話になりませんわ」
「まいったねぇ3枚はさすがに厳しいんだよ」
と難色を示す
「あら3枚で交渉ができたら2枚にチャレンジする予定でしたのに」
「ま…待ってくれさすがに2枚じゃ利益がゼロだ」
「2枚で利益ゼロならなら3枚だと利益が出ていると言う事ですわ」
「…… わーったよ、嬢ちゃん俺の負けだ銅貨3枚で持ってけ!」
と言ってバナップを私に手渡す
「ありがとうございます」
私はバナップの先端をチョロチョロと舌で転がした。
先端から唾液が糸をひく。
「おっきい…」
それは立派なサイズだった。さすが5枚を要求するだけある。
私の長い髪が邪魔になるので、片手で髪をかきあげた。
側面から先端に向かって舌を這わせる
口の中に甘味が広がった
「もっと欲しい…」
この世界に甘味は少ないのだ。体が甘い物を欲している。
一心不乱に舌先で果実のコーティングを舐め取る作業に没頭した
「はむっ」
先端を口にくわえてみたが、コーティングが硬くて歯が立たない
「んっんっ」
しばらく口に出し入れしつつ味わいながら
「んっんっ」
リズミカルに動かしていた
気が付くと周辺に少し人だかりができていた、特に男性が少し前かがみになって見ている。
(私また何かやらかしたかしら…)
と思いつつバナップの先端を噛みちぎると、ギャラリーから悲鳴が上がった。
商店街で買い物をした後、新しい店を探そうと散策していると、オシャレなカフェが並んでいる通りに出た。
そのカフェが並んでいる通りに、とある興味深い看板をみつけた。
看板には猫カフェと書いてある。
嫌な予感がしたので窓からそっと店の中を覗いてみた
「よかった…ちゃんと四足歩行の普通の猫だ」
私はほっと胸を撫でおろした。
色々な柄の猫たちがカフェのお客に撫でられている姿が見えた。
「いいなぁ…」
最近、色々なイベントがありすぎて精神的にまいっていたのだ。
「猫と触れあって癒されたい…」
私は猫カフェと書かれた扉の中へフラフラと入って行くのだった。
「いらっしゃいませー!…… ニャ」
私が店に入った瞬間、目にしたのは、頭に猫耳、お尻にシッポをつけた美少女の姿だった。
店内は獣人の女の子だらけだったのである。
(何でだー!!)
「すみません、店を間違えましたわ!」
と言って逃げようと回れ右をすると
「そんなー御無体ニャー、せっかく来たのニャー」
獣人の少女は、私の腰を足でカニ挟みにしつつ、両腕で胴体にしがみついた。
だいしゅきホールドと言われる技である。
(その技は伝統の技なのか)
「離して!わたしは猫カフェに行きたいのですわ」
「ここがその猫カフェだニャ」
「四足歩行の猫が居るカフェが、猫カフェじゃないのでしょうか?」
「それは隣のラビットハウスニャ」
(何でだよ!何で猫だらけなのにそのネーミングなんだよ!)
「ドリンク注文してくれるまで離さないのニャー」
「痛たた、爪を立てないでー」
最終的には私が折れたので、入って飲み物を注文する事にした。
獣人の女の子は水着だったりメイド服だったり、私がかつて着ていたギリギリアウトな制服のようなものを着ている。
「どう見ても風俗店にしか見えないんですけど…」
「大人の都合で18歳以上の女の子しか働いてないから大丈夫ニャ」
「やっぱり風俗店じゃない!」
「お客さんも、女の子の好きな部分をナデナデしてもいいのニャよ」
「それで癒されてもらうのがウチのお店ニャ」
「それで癒されるのは男性の特定の部分よね!」
「猫をナデナデするのが猫カフェにゃ、何も間違ってないニャ」
(間違いだらけだよ!)
胸の大きな娘は苦手なので、胸が控えめな娘をお願いした。
しばらくすると背が低くて、とんでもなく幼い顔の女の子がやって来た。
どう見ても18歳以上には見えない。
胸に”パトラ”と書いてある名札をつけている。
「お姉ちゃん!いらっしゃいなのニャ!」
なんだか妹と一緒にいるみたいな感覚だった。
「パトラちゃんって言うのね」
「そうなのニャ」
「パトラちゃんは何年生?」
「小学校5年生なのニャ」
(後で衛兵に通報しよう…)
この三日後、周囲から惜しまれつつ、この店は閉店したのだった。
小ネタ
年齢が18以上から小学校5年生の流れは昔、実際に発売された18禁ゲームをネタにしています。
中学2年生と言うのもありましたね。




