猫の習性?
今日も私は、ギリギリアウトの制服で登校していた。
学校で自分の席についた時、隣の席のタカポンから声をかけられた。
「エリスは最近、イメチェンした?雰囲気変わったね」
(そりゃあ、前世では倫理上許されない制服着てますけどね)
私をじーっと見て
「わかった髪を切ったでしょう?」
「切ってませんわ」
(いや、切ったのは制服だから!)
最近どうもおかしい、今まで私に全く話かけてこなっかったタカポンがやたらと話しかけてくる。
不審に思った私が、リリスに音声を繋いで聞いてみると
「好感度が上がってるわ」
との事だった
「エッチな恰好だから気にかけているわけではないの?」
「この世界では普通の恰好だもの、誰も気にしていないわよ」
「でも、原因はこの制服しか心当たりがないんですけど…」
「そうね…貴女のその恰好は、原因のひとつでもあるのだけれど…」
「貴女自身も攻略キャラなのよ、自分が美少女だと自覚をもったら?」
とリリスに言われた。
「貴方もヒロインと主人公を奪い合う事ができるレベルの女の子なのよ」
ゲーム内のとあるルートでは、あのローラから主人公を奪い合うんだっけ。
悪役令嬢が頼りない容姿だったら勝負にすらならないでしょうけど…それでもこの容姿だけでローラを圧倒できるとも思わない。
「さっき言った私の恰好が原因のひとつってどう言う事?」
「悪役令嬢が主人公を誘惑するとしたら、色仕掛けが定番でしょう?」
「表では誰も気にしてない恰好だけど、裏では好感度を上げているのよ」
主人公を取り合いになった時、ヒロインに対抗できる手段がこれなのだろう。
今の恰好で基本パラメータにブーストがかかる、それが悪役令嬢の特性なのだと理解した。
今の私は全方位に色仕掛け発動中と言う状態らしい、認識阻害魔法をかけていても抑えきれないのだ。
「レベル2魅了の魔法相当よ、タカポンだけではなく男子全般に効果が出ているわ」
「魅了のパッシブスキルとか凶悪すぎる」
私は頭を抱える、誰もそんな事は望んでいないのに…
私は学校の階段をスカートを抑えながら注意深く降りて行く。
「やぁエリス今日も日差しが眩しいくらい良い天気だね」
階段の下にアリエルが居た。
「それは私のスカートから、パンツがはみ出してると言う事なのね」
(やはりこのスカートの丈では無理だったか…)
ローラの時、私には認識阻害無しでバッチリ下着が見えたので無駄な抵抗だとわかっていた。
制服の上の方は心配はしていない。ぶっちゃけると、はみ出すほど胸が大きく無いからだ。
それでもバンザイをするとブラが見えてしまうので気を付けてはいる。
この学校の女の子はガードが甘い、日常的に下着がチラチラ見えているし
私もその一人と言われれば納得……
(できるかー!)
「妹のドロワーズを借りよう」
行きついた結論はそれだった。
帰宅して私が妹の部屋を訪れた時のこと。
妹の部屋のドアを開けると
ミミが妹のスカートの中に頭を突っ込んでスーハースーハーしていた。
(何をしとるかぁこのエロ猫がぁー)
私はミミのシッポをガシっと掴むとスカートの中から引きずり出す。
「ペットが女の子のスカートの中に頭を突っ込むなんて良くある事ニャ」
「それが許されるのは四足歩行の動物だけよ」
私は鬼の形相で近寄る
「待つニャ、誤解ニャ、これは猫の習性みたいなものニャ」
「ミミの言っている事は本当ですわ、お姉様」
と横からミリアがフォローを入れる。
「ミミには私の状態が匂いでわかるようですの、お医者様に検診して頂いているようなものとご理解くださいな」
(まぁお医者の前なら胸とかポロンと出しても平気ですけどね)
「そうだニャ、ご主人様の体調管理もペットの勤めニャ」
そうは言ってもあの絵面は凶悪だ。
「でもスカートの中に顔を突っ込むのはちょっと…」
「スカートを脱げば問題ないのでしょうか?」
と言ってミリアはスカートをするりと脱いで、パンツ一枚になった。
(違う、そうじゃない!)
私はサングラスをかけたおっさんが言うようなセリフを叫びそうになった。
「ミミ、今後はスカート上から検診なさい、頭を入れるのは禁止よ」
「チッ」
「今舌打ちしなかった?」
「気のせいニャ」
「ミミの検診は、太ももをペロペロ舐められるからくすぐったくて」
とミリアが言った。
私はミミのうなじをガシっと掴む、ここを掴むと大人しくなるのだ。
「検診の内容を詳しく話を聞かせてもらいましょうかねぇ」
「な…なんの事かニャー」
「そ…そうだ、毛づくろいしていただけなのニャー」
(それ今思いついただろう)
「体毛の無い獣人には無い習慣ね」
私は知っている、人間の肌と変わらないミミの種族に、毛づくろいと言う習慣はない。
「ペ…ペットの猫がペロペロするなんてごく普通の事だニャ」
「だからそれが許されるのは四足歩行の動物だけよ」
「に…人間の常識で縛られるは不本意ニャー、太ももをペロペロするのは猫の権利ニャー」
(お前は何を言っているんだ)
私は妥協案を提示してミミを解放した
「胸と、あとは腰から太ももにかけて全面的にペロペロ禁止ね!」
「お前の血は何色だニャー」
ミミが血の涙を流しながら抗議をする
「家から叩き出されたくなかったら遵守の事」
「YESロリータ NOタッチニャ」
ミミは渋々条件を受け入れたのだった。
「そう言えば、ミリアにお願いがあって来たのよ」
と言って私は妹に今までの事情を話した。
「お姉様の頼みとあれば」
と妹は快くドロワーズを貸してくれたのだ。
「ありがとうミリア、ちゃんと洗って返します」
「そんな!水臭いですわお姉様!…」
「くれぐれも洗わないで返して下さいませ!」
と何故か念を押された。
エリスは知らなかった。
後でこのドロワーズは、ミリアのお姉ちゃんコレクションのひとつになるのだった。




