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81 プロローグ
前回のあらすじ
イルガとアップルパイ
「よーす、ミミカちゃん。今日も重そうなの抱えているね」
イルガとの話を切り上げた俺は、ギルドへと来ていた。
ギルド内には、酒場が併設されているため、昼間っから酒場で酒を煽っている奴もいた。
と、そこで小さい体を一生懸命に動かして、何やら重たい荷物を抱えているのはネコ耳獣人のミミカちゃんだ。
彼女が目に入ったので声をかけてみた。
「あ、マナブさんです。今日は少し遅かったですね、何かしていたんです?」
「ああ、ちょっとイルガっていう冒険者に食事に誘われてな。何でも俺を一緒のパーティに入らないかと誘われた」
俺の言葉にミミカちゃんは目を見開き、驚きをあらわにした。
「えぇ!? イルガさんのパーティというと、このギルドで特に有名なところじゃないですか! それでマナブさんはイルガさんのパーティに入ることにしたです?」
「いや、断った。俺は群れるのは嫌なんだ」
「そうなのです? 勿体無いです。イルガさんのパーティに入りたいっていう冒険者の方は結構たくさんいらっしゃるんですよ?」
「へえ、そんなに人気なのか、あの強面のおっさんは。まあ確かに雰囲気が以下にも強者って感じだよな」
「そうですね、確かにイルガさんは見た目強面で体がすごく大きいから、私も初めて会った時はびっくりしちゃいましたです。ですが話してみると礼儀正しくてとても好感のもてる人だったです」
「そうだよな。あの見た目にはびっくりするけど話すと以外といい奴なんだよな。イルガって」
「マナブさん、意外だなんて言っちゃイルガさんに悪いです」
ふふっと笑いながら、そう注意するミミカちゃん。彼女も笑っているから、実は心の中でそう思っていたに違いない。
俺がそうおもいながら、ミミカちゃんを見つめていると、何やら思い出したようにミミカちゃんは俺に話しかける。
「あ、ところでマナブさん。マナブさんに聞きたいことがあったです」
「聞きたいこと?」
何だろう? 俺に聞きたいことって。
俺のスリーサイズだろうか? それならミミカちゃんのと交換でなら教えてやってもいいと思っている。しかし俺は自分のスリーサイズなど計ったことないけどな。
というか、男で自分のスリーサイズを知っている奴なんているのだろうか? 俺はそんな奴には会ったことないからわからん。
「はいです、実は最近ギルドにプレ教の司祭様が高ランクの冒険者を集めているという噂何ですが、マナブさんはその方に誘われたりしましたです?」
「へえ、高ランクの冒険者をね……いや、俺にはそんな話は来ていないな」
……しかし、何だかどこかで聞いたことのある話だな。
そんなのです?──とミミカちゃんが呟くと話を続ける。
「何でもその司祭様はキペの街周辺に最近出現した迷宮へ潜るための仲間を探しているらしいです」
「迷宮にねえ、それはまたどうして?」
迷宮とはまたタイムリーな話だな。さっきイルガと話したばかりだぞ。迷宮ってのはこうも盛り上がる話なのだろうか?
「はいです、何でもその迷宮に先行で入った冒険者の方からの情報なのですが、どうやらそこの迷宮主が装備しているマジックアイテムが相当にいい品らしくてですね。それをどうやら手に入れたいみたいなのです」
「……迷宮主か」
迷宮にはそんな奴がいたのか……知らなかった。一体どんな姿をした奴なんだろうか? 気になるっちゃ気になるな。
「ミミカちゃんはその迷宮の迷宮主の姿って知っていたりするか?」
「はい、知っていますです。冒険者の方の情報によると、何でも相当厄介そうな《リッチ》らしいです」
……リッチって確か悪い魔法使いが死んでアンデットになったやつのことだったか?
あまりよく知らんが。
「リッチってのはそんなに厄介なのか?」
俺の問いにミミカちゃんは、それはもう仰々しく答えてくれた。
「はいです! リッチというモンスターはこの世に未練を残した強大な力を持った魔法使いの成れの果てなのです! その力は並の冒険者ではまったく歯が立たないです! 最低でもBランクは欲しいところですです!」
「そんなにか強いのか。その迷宮主がそとに出てたら色々と不味いことになるんじゃないか?」
迷宮から出てきて、周辺の街とかを襲い出したら、やばいんじゃないか?
しかし、ミミカちゃんの様子を見るに、それはどうやら杞憂のようだ。
「いえ、それは心配ないです。迷宮主は迷宮からは出ることが出来ないのです」
「へえ、そうなのか。……しかし、それは誰かが調べた結果なのか?」
「なんでも百年以上前の冒険者の方が迷宮から迷宮主を誘い出そうとしたそうなのですが、入り口のところまで来た迷宮主はすぐに引き返して行ったらしいです」
「……よくもまあ、そんなことをする奴がいたな。ある意味感心するわ」
迷宮主に追っかけられながらとか、考えただけでなんか嫌だ。まあその百年前の冒険者がどんな迷宮主に追っかけられたのかは知らないが、俺は絶対にごめん被る。
しかも、今回の迷宮主は骸骨がローブを羽織っているアンデットのリッチというじゃないか。
そんな超怖そうな見た目のやつに追いかけ回されるなんて想像するのすら嫌だな。
「昔の冒険者の方は破天荒な方々が多かったらしいですからね。でもそのおかげで今のギルドがあるようなものです」
「まあ確かに誰もしなかったような事をしているよな。よく考えつくもんだな、その昔の冒険者ってのは」
「もしかしたら、たまたまだったのかもしれませんですよ? 迷宮主から逃げていて、入り口をでたら、それからは追ってこなかったとか、あるかもしれないです」
「ああ、それはありそうだな。というか、実際のところそうなんじゃないか? 新しい発見ってのは案外そんなもんだとおもうけどな」
「そうかもしれないです」
といってお互い少し笑い合っていると、ギルドの入り口の方が何やら騒がしくなっていた。
そちらへと視線を向けてみると、そこには二人の男女が言い争っているのが見える。
一人は冒険者然とした男。
そしてもう一人は、桃色の長髪と白を基調としたゆったりとした法衣が特徴的な女性。
「……あれは、一体何をいい争っているんだろうな」
俺がそうミミカちゃんに問うと、彼女はあっと声を上げ、法衣を着た女性の方を指差してこういった。
「……さっき私が言っていたプレ教の司祭様というのは、今あそこで言い争っている女性の方です」
噂をすれば何とやら、その噂の人物が今まさに俺の前に現れていた。
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了




