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頑丈チートで異世界最強!  作者: 瀬戸くろず
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80 プロローグ


前回のあらすじ

 イルガと酒場




「どうだ? この店のアップルパイは絶品だろう?」


 イルガに紹介された酒場、銀杯亭の隅の席。

 それで俺は強面の冒険者イルガと二人でアップルパイを食すという奇妙な体験をしている最中だった。


「いや、まあ確かにオススメるだけのことはあるな」


 手作り感満載で美味しい。

 りんごのシャキシャキとした食感とザクザクとしたグランブル生地がまた絶妙にマッチしてなかなかに奥行きのある味わいである。


 これはおみあげにシルクちゃん達に買っていくべきだな。

 俺が心のメモ帳に書き記していると、イルガから声がかかる。


「マナブくんは最近、出現した迷宮(ダンション)のことは知っているかい?」


迷宮(ダンジョン)? 何だそれは」


 というか、この世界に迷宮(ダンジョン)とかあったんだな。初めて知った。

 いやまああるのではないかなとは思っていたが、自分で積極的に探してまで知ろうとは思わなかっただけで興味がないわけではない。


 イルガはアップルパイを一口食べ、飲み込むと喋り出した。


迷宮(ダンジョン)は、このプレの街から東にあるキペの街近くの森に出現したらしい。丁度、マナブくん達がランクアップ試験でスクロースの森へ言っている時だな。出現がわかったのは」


「へえ〜、そうなのか。ってそういうことを聞きたいんじゃなくてだな。迷宮(ダンジョン)について基本的なこと教えて欲しいんだよ。迷宮(ダンジョン)では何が採れるとか、どんなモンスターがいるとか」


「……マナブくんは、もしかして迷宮(ダンジョン)に潜ったことがないのかい?」


 少し驚いたような視線を向けてくるイルガ。

 

「そんなに驚くようなことか? 俺はついこの間までEランクの冒険者だったんだぞ?」


「いや、しかし、あのバジリスクを単身で撃破してしまうほどの冒険者であるマナブくんが、まさか迷宮(ダンジョン)に潜っていないとは思わなくてだな」


「何だそれは、迷宮(ダンジョン)に潜ると冒険者は誰でも強くなれるってのか?」


 俺の問いに、イルガは少し考えるような素振りをすると、やがて納得したように口を開いた。


「……マナブくんは知らないのかい? 迷宮(ダンジョン)には高ランクのスキルロールがとれることがあるんだ」


「へえ、それはいいことを聞いたな。スキルロールがとれるのか。しっかし、それはまた冒険者が潜りたくなるわけだ」


「そうなんだよ、新しい迷宮(ダンジョン)にはこぞって近くの冒険者が押し寄せてくるからね。みんな我先にと潜っていくよ。……しかし、私はてっきりマナブくんは迷宮(ダンジョン)で高ランクのスキルロールを何かしら手に入れていると思っていたよ」


 アップルパイを口に入れながら、イルガはそう言った。


「何だ? 俺の強さの秘密は迷宮(ダンジョン)産のスキルロールだとでも思ったのか?」


「そうだね、最初はそう当たりをつけていたんだけど、マナブくんの口ぶりからするとどうやら違うようだ。その強さは一体どこからきているのか気になるところだね」


 アップルパイを食べる手を止めて、俺へと視線をやる。


「さあてな。俺にも自分が何でこんな力を持っているのかわからないな。きっと普段の行いがいいから神様からのプレゼントかもな」


 わざわざ馬鹿正直に教えてやる必要なない。

 しかし、ほんの少し真実を混ぜてやった。が、きっと冗談だと思われるだろうな。神様からのプレゼントとか信じるやつはいないだろう。


「……やはり正面から聞いても教えてくれないか。ま、そうだな。冒険者にとってスキルは奥の手だからな。おいそれと他人に言うはずもないか」


「そう言うことだ、だからこの話はこれで終わりな」


「わかった、これまでにしよう。……では話題を変えて……マナブくんは今日はこれからどうする予定なんだい?」


「……今日の予定ね」


 今日の予定を聞かれても、俺はいつものようにギルドへ向かい、美少女であるミミカちゃんやロココちゃんと世間話を小一時間してから、適当な依頼を見繕ってもらって、


 やっとギルドをでるというルーティーンなんだが、それをそのまま、この見た感じカタブツそうな強面冒険者のイルガい言うことは何だか憚れる。


「……まあ適当な依頼を見繕ってもらうかな。一日ですぐに終わりそうなやつをな。あまり長期の依頼だとちょっと近々予定があって、そのために空けておかないといけないからな」


「……そうか、私としては迷宮(ダンジョン)の探索に同行してもらおうと思っていたが、厳しそうだな。キペの街は馬車で行っても片道四日はかかる距離だ。さらにそこから迷宮(ダンジョン)まで一日は歩くことになる」


「そんなに遠いのか。……まあ今回の予定が済んだら一緒に行ってやるよ。ここのアップルパイを紹介してくれたお礼にな」


 俺がそういうと、イルガは子供が見たら、泣きじゃくりそうな顔でニヤリと笑う。

 だからその顔はやめろって……。


「そうか、それは助かる。マナブくんに来てもらったら前衛がかなり楽になりそうだからな」


「おいおい、イルガ。俺にまかせて自分が楽しようって魂胆じゃないだろうな?」


 俺もイルガに負けじと、ニヤリと笑いながら、いう。


「い、いやいや、そんなわけないだろう」


「本当か?」


「本当だとも」


 しばらくジッと睨むが、別段焦った様子もない。この強面は表情筋が死んでいるのではないだろうか。


「……まあいいか」


 俺は最後に残ったアップルパイを口に放り込んだ。


「……マナブくん、もし気が変わったら声をかけてくれ。あと三日くらいまで私たちは、この街にいる」


「ああ、わかった。気が変わったらな」


 グラスに入った水を飲み干すと、俺はイルガに顔を向け、こう一言。


「ところでここっておごりだよな?」


 読了いただき、ありがとうございます。


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