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頑丈チートで異世界最強!  作者: 瀬戸くろず
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前回のあらすじ

 ドジっ子シアン。


 


「はーい。──それでお兄ちゃん。そのハチミツで何を作るのかもう決めたの?」


「そうだな、俺はお菓子作りにはあまり詳しくないからな。……マリーは何かいい考えはないか?」


 俺の隣で紅茶を口にしているマリーに話しをふる。

 カップをテーブルに置くと、マリーは顎に指を当て、可愛く考えるポーズをした。


「ケーキとかいいんじゃないかな! せっかくマットの誕生日だし!」


「それはいいな、もうそれに決定するか」


 マリーの意見に俺は早速賛成の意思を表明する。


「マリーはどんなケーキを作ろうと思っているのですか?」


 と、そこでシアンから声が上がった。

 確かに何ケーキにするのか決めてなかったな。これは早とちりをしてしまったようだ。


「んとね〜、……んとね〜。……う〜ん」


 両目をぎゅっと閉じて、両指を頭の側頭部に当てるとグリグリ押しながら、うーうー、と唸りながら悩んでいるマリー。


 ……どうやらあまりいい考えは浮かばないようだ。

 それを見たシアンは何か考えがあるのか、自信ありげな表情で俺とマリーを見た。


「パウンドケーキを作るのはどうでしょうか」


「「パウンドケーキ?」」


 マリーと声が揃った。

 

 パウンドケーキとは中々にいい選択ではないだろうか。生クリームとかこの街では見た事ないからな。

 それにパウンドケーキであれば材料を混ぜて、型に入れて、窯で蒸し焼きにして冷やすだけだからな。


「シアンはよく作るのか?」


「はい、私の得意料理の一つです。作り方もそこまで難しくないのでオススメですよ」


 自信があるのかシアンは胸を叩いて見せる。その際に、たゆん──と揺れたのを俺は見逃さなかった。


 男として動くものに視線がいくのは当然である。遥か昔、狩猟をしていた男にとって、動くものは獲物か危険なものと相場が決まっていた。


 本能的に動くものを見てしまうのだから、俺がシアンの豊満な胸に視線を奪われるのはしょうがない事なのである。 

 

「シスターのパウンドケーキ美味しいんだよ!」


 マリーがニコニコ笑顔で見上げてくる。

 その笑顔を見ただけで、俺は心を癒される。子供の笑顔っていうのはなぜこうも安らぎを与えてくれるのか。不思議なものである。


「そうか、それは是非とも食べてみたいな。よしっ、それじゃ、マットの誕生日にはパウンドケーキを作るってことで決定だな」


「やったぁ! 楽しみ! 早く誕生日こないかなぁ!」


 ソファーの上でぴょんぴょんとはしゃぐマリー。俺はそれを和やかな目で見ていると、シアンがマリーはしょうがないわね──とでもいいたげな表情で見ていた。


「おいおい、マリー。今度やる誕生日パーティーはマットが主役だぞ? まるで自分が祝われるような喜びっぷりだな」


「だって嬉しいんだもん! 誰の誕生日でもこうして祝われるのって素敵な事だと思うの!」


 ぱあっと花咲く笑顔でそう口にするマリー。

 なんと、可愛らしいのだろうか。同じ孤児院に住む仲間のマットをここまで思ってやれるとは、これはシアンの教育がいいに違いないな。


「よしよし、そうだな」


 ニコニコ笑うマリーの頭を撫でる。


 赤みの入った茶髪はふわっとした感触で撫でていて、とても心地がいい。このままずっと撫で続けていたいくらいだ。


 おっと、そういえばお菓子作りにシルクちゃん達をを呼んでいいかシアンに聞かないとな。


 向こう側のソファーで紅茶を飲んでいるシアンへと話しかける。


「ところで相談なんだが、そのお菓子作りに俺の知り合いを呼んでもいいか? 四人ほどいるんだが」


「もちろん構いませんよ。マナブさんのお知り合いの方でしたら何人でも大丈夫です」


 胸の前で両手を合わせ、笑みを浮かべる。


 俺は残りの紅茶を飲み干すと、ゆっくりカップをテーブルへと置いた。

 そして、ソファーから立ち上がる。


「よし、じゃあまたマットの誕生日に教会へみんなで来るよ」

 

「はい、お待ちしておりますね」


「お兄ちゃん、待ってるよ!」


 さて、これであとは皆の予定を聞いて回るだけだな。







「あ、マナブさんです。どうしたのですか?」


 ここはギルドの受付前。


 俺がギルドのホールに入ってすぐにミミカちゃんに声をかけられた。

 ふんわりとした膝下ロングスカートタイプの清楚な制服に身を包み、両手には何やら書類をたくさん抱えていた。


「いや、ちょっとミミカちゃんに用があってね。少しいいか?」


「あ、はい。全然構いませんです。ちょうど休憩を取ろうかと思っていたところでした」


 ネコ耳をピコピコと動かしつつ、ミミカちゃんはニコリとはにかんだ。かわいい。


 おっと、いけない。

 こんな小さな体のミミカちゃんに、重そうな書類を持たせておくわけにはいかない。

 紳士としてここは俺が持つべきだろう。


「あ、それ持つぞ」


「いいのですか? ……助かりますです」

 

 さっと書類を持つと、ペコリと綺麗なお辞儀をするミミカちゃん。こういう所作が綺麗な女の子ってポイント高いよね。


「それじゃあ、裏の休憩室でお話しするです」


 そういうと、トコトコと歩いていくミミカちゃん。


 毎度のことながら受付嬢の休憩室に俺は入ってもいいのだろうか? という疑問が浮かばないわけでもないが、誰からも注意されないし特に問題なだろうと、勝手に解釈をする。








「それでお話とは何ですか?」


 休憩室には俺とミミカちゃんの二人っきり。

 どうやら他の受付嬢の方々はまだ休憩ではないようだ。


 簡素だがしっかりとした造りの木製のテーブルと椅子。

 俺とミミカちゃんは横並びに座った。身長差的に俺の目線はネコ耳に釘付けだ。ピョコピョコと動くネコ耳は一体どういう仕組みで動いているのか気になって話をするのを忘れてしまいそうになる。


「……いや、話というのはだな」


「……?」


 揺れるネコ耳。


 俺の視線もそれと同じように揺れる揺れる。

 何だが、ミミカちゃんが瞬きするたびに、連動して揺れている気がする。そういうシステムなのだろうか。


 しかし、これはもう、一旦このネコ耳を触ってモフモフしてからでないと、とてもじゃないがお話をするという気分になれない。


「……ミミカちゃん、ちょっと失礼する」


「……です?」


 触れるネコ耳の感触はふんわりモフモフ。


 それでいて、毛並みはサラサラ。いつまでも触っていたくなるほどの手触りだ。


「……マ、マナブさん……?」


 突然、耳を触られたミミカちゃんは困惑しているご様子。まあ無理もない。いきなり耳を触ってくる奴なんて大体は変態と相場が決まっているからな。そしてそんな俺もかくゆう変態です。変態紳士だ。


「……悪いがもう少しだけ、このまま触らせてくれ」


「……わ、わかりました……です」


 目線を横へとずらしながら、照れ臭そうに顔を赤らめるミミカちゃんの表情はとんでもなくかわいい。その顔を見たら、もっとモフモフしたくなる。


 両指でくりくりとネコ耳をこすってやると、それに反応するかのように、ミミカちゃんの体がピクンと軽く跳ねる。


「痛かったか?」


「……いえ、痛くはないです。……続けてもらって大丈夫です」


「……そうか、痛かったら言ってくれ」


 結構な反応だったから、少し驚いたがミミカちゃんの顔を見る限り、どうやら杞憂のようだった。

 しかし、何故こうもネコ耳というものは人間を惑わすのか。

 

 隣同士の椅子に座り、向かい合わせになりながら、俺にネコ耳をモフモフされているミミカちゃん。彼女は俺にこんなにモフモフされて嫌じゃないのだろうか?


「……ミミカちゃんは俺にこう、耳を触られるのは嫌じゃないか?」


 俺の質問にそっと顔をあげる。

 その顔はいまだ赤く染まっていた。


「……別に、嫌ではありませんです。マナブさんの触り方は何だが安心できますし、それに……」


「……それに?」


 小声で小さく、うーっと唸ると、ミミカちゃんは真っ赤な顔を俯かせながら、こう言った。


「……………………気持ちいいのです」


「……気持ちいいんだ」


 言ってすぐに、ぎゅっと拳を握りしめ、その拳は恥ずかしさを紛らわすかのように、膝の上でプルプルと震えていた。


 


 


「……さて、話なんだが」


「……はい、です」


 ミミカちゃんの癖っ毛茶髪にひょっこりと生えるネコ耳をひとしきりもふもふを堪能した俺。


 今は一つのテーブルに四つある席の隣同士に俺とミミカちゃんは座り、向かい合っていた。


 先ほどのネコ耳もふもふのせいなのか、頬が上気していて、とても魅力的な猫耳幼女である。


「パーティーの誘いに来たんだ」


「……パーティー……ですか?」


「そう、パーティーだ」


 俺の言葉に不思議そうに小首を傾げると、言葉足らずだったのか、くりくりとした大きな瞳で俺を見つめ、何のパーティーです?──と疑問の視線を送ってきた。


「ほら、この間のランクアップ試験の合格の祝いをさ、やろうと思っているんだよ。あ、でもあくまで、教会でやる誕生日パーティーのついで何だがな」


「なるほどなのです、それは是非とも参加させていただきたいです。でも教会でやる誕生日パーティーとは誰のなのですか?」


「ああ、教会の子供だ。マットっていう名前の男の子何だが、その友達の精霊に少し世話になったから、それのお返しがしたくてな」


「その子は精霊のお友達がいるのですか……それはまた珍しいですね。冒険者として働いてくれないでしょうか」


 椅子の上で可愛くチョコンと座りながら、感心したようにまだ見ぬ、マット少年の冒険者姿でも想像しているのだろうか、ミミカちゃんはうんうんと目を閉じてうなづいている。


 いつでも冒険者の勧誘とは、受付嬢として仕事熱心なものである。


「マットはまだ子供だからな、まだ難しいのではないか? まあ、将来はどうか分からんけどな」


「そうですね、私、将来のギルドのために、軽く勧誘してみることにします」


 むん、と張り切るミミカちゃん。


 よし、これで一通り誘えたな。あとはマットの誕生日を待つだけだ。


 読了いただき、ありがとうございます。


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