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前回のあらすじ
レンちゃんをからかう
「……冗談だ。レンちゃんも誘って欲しいんだろ? 一緒にお菓子作りしようか」
「そうねぇ〜、マナブがどうしてもっていうのなら考えてもあげないことはないわ!」
ニヤ〜っと笑みを浮かべ、偉そうに腕組みをするレンちゃん。イラッとくるが美少女だから全然許せる。これがそこら辺の男の冒険者にやられたらあまりのイライラで血管がぶち切れそうだ。
「そうか、まぁ俺は無理にとは言わないが……」
「──ちょ! ちょっと!? なんでそこで諦めるのよ!? もう少しねばりなさいよ! ……………………わかった! わかったわよ! 私も本当はお菓子作したいのよ!」
すぐに引き下がると、レンちゃんはアワアワと大慌てでそう言ってくる。……まったく、最初からそう言っていればいいものを。相変わらず素直じゃない子である。
「なら、決まりだね♪ ……だけどレンちゃんは相変わらず素直じゃないなぁ。ま、そこがレンちゃんの可愛いところでもあるけど」
ロココちゃんがパンっと両手を叩くと、ニコッと笑う。
「そうだな、レンちゃんは可愛いからな。それは同意する。……ところで、日取りや場所はまた今度決めるってことでもいいか? シルクちゃんや協会のみんなの予定も聞いておかないといけないからな」
「そうだね♪ 私はいつでも大丈夫だから決まったら教えてね!」
「ああ、助かる」
「……ちょっと、ちゃんと私も呼びなさいよね」
俺の服を引っ張りながら、心配そうに眉をハの字にしてそう口にするレンちゃん。なんていじらしくて可愛いんだろうか。
あまりの可愛さに、思わず頭を撫でてしまった。
「ちゃんと呼ぶからそう心配するなって」
「──べ、別に!? 心配なんかしてないんだけど!? あんたの小さい脳みそがちゃんと覚えているか、それが心配だっただけよ!!」
「心配しているじゃないか」
「──心配は心配だけど、そういう意味の心配じゃないて──ってもう頭がこんがらがるような事言わないでよ!!」
ガーガーと顔を真っ赤にしながら叫ぶレンちゃん。こうオツムが足りない感じの美少女を見ているとなんだか和む。思わずほっこりしてしまった。
「はいはい、そう叫ぶなって。落ち着け落ち着け」
「──!?」
レンちゃんの後頭部に手を回し、優しく抱き寄せる。美少女特有のいい香りがした。
俺の胸にしな垂れたレンちゃんは最初だけビクッと身を震わせていたが、今は頬をピンク色に染め、ただただ黙りこくっていた。
この小動物っぽさがまた堪らない。
しばらくの間、頭を撫でたり、背中を撫でたりとレンちゃんを小動物を愛でるように可愛がっていた。
「……どうだ、落ち着いたか?」
「……………………し、知らないっ」
俺の問いかけに、よくわからない返事をして胸にギュッとうずくまるレンちゃん。おいおい、そう胸をグリグリしないで欲しいのだが……。少し痛いし。
レンちゃんの胸グリグリから逃れるため、肩に手を置き少し離して目線を合わす。
「レンちゃん、ちゃんと呼ぶからそんなに心配するなって」
「……絶対よ……?」
「ああ、もちろんだ。約束する」
そういってまた頭を撫でやると、今度は嬉しそうにはにかみながら、胸グリグリしてきた。何これ恋人同士の逢瀬かな?
……いやあ、何だがこの試験でだいぶレンちゃんになつかれたなあ。こんな美少女に好かれるとは男冥利につきますな。
「……あのレンちゃんがここまで男の人に従順になるなんて……やっぱりマナブくんに任せて良かったよ♪」
「そうなのか?」
「そうだよ? レンちゃんは若干男の人が苦手だったからね。今、マナブくんにしているように抱きつくなんて考えられなかったよ」
「……そうか」
再びレンちゃんに視線を向けると、まだ胸グリグリしていた。通りでさっきから胸に違和感があるわけだ。……しかしこの赤髪はいつまでやるつもりなのか。そろそろやめてほしい。可愛いけれど。
「ほら、レンちゃん。マナブくんが困ってるよ。そろそろ離れたら?」
「いや」
……いやってまたキャラ変わってないですか? あなたはそういうキャラじゃなくないですか? こうツンデレみたいな感じだったはずなのに。何故こうなった……。
「いやって……レンちゃん、あなたもしかしてマナブくんとパーティを解散するのが嫌になったとか……?」
「──!?」
ビクッと震えるレンちゃん。
俺の胸の中でそれをやられたものだから、俺のつられてついビクってなってしまった。
レンちゃんは急に振り返ると、ロココちゃんの方に真っ赤な顔を向け、焦った様な口調で口を開く。
「──そ、そそそ、そんなわけないでしょうが!!? な、ななな、何で私がこ、こんなやちゅと!!?」
「……………………」
かみかみだった。
これはもういうまでもなく、レンちゃんは俺とパーティを解散したくないらしい。
レンちゃんの顔見れば一発だ。
図星を突かれて焦っている表情である。こんなん見たら、誰だってわかってしまう。
わからないのは鈍感系主人公だけだ。
……しかし、美少女が恥じらいながら、噛んだ事を、しまった! みたいな姿で佇んでいるのを見るのは結構いいものだな。
やはり羞恥心というものはとても大事だと俺は思う。
例えば、美少女のパンツを見るにしても、ただめくってはいどうぞ、それで無表情。
それはまったくのナンセンス。ありえない、まったくもっていただけない。そんなパンチラにはほんの少ししか興味がわかない。(まったく湧かないというわけではないので注意)
俺が求めるパンチらというものは、顔を真っ赤に染め、自分の顔を手で隠し、恥じらっている表情を見ないで……みたいな感じでパンツを見せてくれる美少女なのだ。(……俺は一体なにをいっているのだろうか?)
と、まあそういうわけで何が言いたいのかというと、美少女の恥じらいは最高という事だ。
……おっとパンツをついつい熱く語ってしまった。自重自重。
「え、そうなのか? ……俺はてっきりレンちゃんは俺とパーティをこのまま組んでくれるものだとばかり思っていたが……そうか、レンちゃんが嫌ならしょうがない。俺は一人寂しく、またソロで冒険者をやっていくことにするよ」
「──えっ!?」
レンちゃんに向けて、俺は悲しそうに項垂れる演技をした。
すると、どうだろうか。
レンちゃんの様子が目に見えて変わった。顔面を蒼白にし、目には目一杯の涙を溜めて今にも泣きだしそう表情で俺に縋り付いた。
「……レ、レンちゃん……?」
そのいつもとはだいぶ違う様子に俺はちょっと気後した。何だかやりすぎた感じがして冗談だと伝えようと口を開こうとした時。
ギュッ──。
優しい香りが鼻をくすぐる。
女の子の柔らかな体が今、俺は全身で感じられる。今まさにレンちゃんに現在進行形で抱きつかれているからだ。
首の後ろに手を回し、まるで絶対に話さないとばかりに抱きついてきた。
「……ちょ、ちょっとレンちゃん」
「……………………から」
頭の横で、か細い声を発するレンちゃん。
「……な、なんだ?」
「……マナブ、が初めてだったから」
「……どういうことだ?」
……さて、初めてとは一体どういう事なのだろうか? 何か知らぬ間にやってしまったのか? と自問自答を繰り返していると、まあ出てくる出てくる。俺がレンちゃんについたウソの数々。もしかしてこのことがバレてしまったのかと俺が内心冷や冷やしていると。
レンちゃんは意を結した様に、俺を正面から見つめた。
「マナブだけなの! 私を馬鹿にせずに最後までこうして付き合ってくれたのは! 何だかんだ言ってもちゃんと最後まで私に付き合ってくれた! 向き合ってくれた! 初めて一緒に冒険して楽しいって思えたの!」
そう真摯に訴えてくるレンちゃん。
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