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頑丈チートで異世界最強!  作者: 瀬戸くろず
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「そ、そうだ。ところでシルクちゃんのおばあちゃんは何時ごろ帰ってきそうなんだ?」


「先月は帰ってきていないので、今月中には帰ってくると思いますが……お婆さまですから分かりませんね」


 なんて自由なおばあちゃんなんだ。Bランクともなるとそれだけ自由な性格にでもなるのか?


「まぁ、それはいいか。ところで《ミモザ草》って何なんだ? おばあちゃんがとりに行ったって言う薬草は?」


「はい、《ミモザ草》は上級治癒ポーションを作るために必要な薬草です」


「なるほど、上級ね。因みに《アサツキ草》で作る治癒のポーションよりどのくらい効果が違うんだ?」


「《アサツキ草》で作られる治癒のポーションは、分類で言うと下級になります。効果が期待できるのは精々、浅い切り傷、火傷、軽い腹痛くらいですね」


「なるほどなぁ」


 《アサツキ草》では、下級治癒ポーションが作れて《ミモザ草》では上級治癒ポーションが作れるのか。


「お婆さまが作られる上級治癒ポーションはプレの街ではとても人気なんですよ! いつも冒険者の方々の予約でいっぱいです」


 シルクちゃんがハッスルしている。おばあちゃんの話をするときのシルクちゃんは本当に楽しそうだ。おばあちゃんがかなり好きなんだろう。


「因みに上級治癒ポーションっていくらするんだ?」


 めちゃ高そう。


「上級治癒ポーションは大銀貨五枚ですね」


 うわ、やっぱり高いな。《アサツキ草》で作る治癒ポーションより百倍高いわ。


「やっぱり高いなぁ〜上級治癒ポーション。シルクちゃんは作れるのか?」


「私はまだ、お婆さまに製造方法を教えていただいてませんので作ることはできません。それに材料も自分で取りに行かないと教えて貰えないので」


「おばあちゃん、厳しいなぁ」


「はい、厳しいです。ですがそれ以上に優しいので、それにいまの目標は中級治癒ポーションですから」


「中級治癒ポーション?」


 まぁ、上級、下級ときたら中級もあるよな。シルクちゃんはコツコツと日々目標を向けて真摯に取り組んでいるんだなぁ。偉いぞ。


「はい、次にお婆さまが帰ってきた時に修行の成果を見て頂きたいのです。やっと納得いく中級治癒ポーションが出来たので」


「へぇ〜それは凄いねぇ。中級治癒ポーションはどのくらいの効能なの?」


「中級ですと、下級じゃ治らない深い切り傷、火傷も癒すことができます。飲むと傷の治りが早くなる効果もあるんですよ」


 そんな中級治癒ポーションをこんな可愛い美少女が作れるなんて……なんて賢い美少女天使なんだ。


「冒険者の方々がよく購入されるのは、中級治癒ポーションからが多いですね」


 まぁ、確かに下級じゃなぁ〜。木の枝で掠った傷くらいしか治せないのであればいらないよなぁ。でも一般の人が使うにはかなり便利な代物だよな。傷とか早く治せるし、自然治癒だとこの世界だと衛生的に日本と比べて悪そうだからなぁ〜。


「中級治癒ポーションは、いくらなんだ?」


 やはりこういう情報収集は大事だと思うんだ。情報は力なり。


「はい、わたしが作る中級治癒ポーションでしたら銀貨五枚頂いております」


「銀貨五枚ね〜。因みにシルクちゃん以外にポーション作る人って値段とか自分で決めてる感じなの?」


「そうですね。作る人によって値段はまちまちですね。中級治癒ポーションでしたらプレの街であれば銀貨三枚から八枚ってところですね」


「え? なにそれは、なんか味とか違ってくるの? 値段が違うのは」


「まぁ、多少は味も効果も違ってきますが錬金術師ギルドで規定があるんですよ。中級治癒ポーションの効能はこれくらいの範囲内のものにしなさいみたいな感じで」


 なるほどなぁ〜。決まりがあったのか。錬金術師ギルドって物初めて知ったよ。そんなんあったのね。


「んじゃ、その範囲内であれば味とかも見た目の色とか入れ物とか自分の好きなものにしてもいいんだ?」


「そんな感じですね。美味しく加工できれば飲み時に便利ですからね。基本的にはポーションは苦い物ですから、味の美味しいポーションは好まれますよ」


「シルクちゃんの作るポーションは美味しいの?」


 全く怪我をしないおれはまたシルクちゃんのポーションを飲んだことがない。しょうがない怪我していないけどただただ興味本位で飲ませていただこう。


「わたしのポーション基本的な効果のある中級治癒ポーションですから味はやっぱり苦いですよ。お婆さまの作るポーションであればかなり美味しいですよ」


「シルクちゃんのおばあちゃんは何でもできるね。流石は街一番の錬金術師だ」


「はい! 自慢のお婆さまです」


 シルクちゃんお話をしていたら、どうやら街まで帰ってこれたようだ。街の門を潜り抜けシルの今後の予定でも聞いておこう。


「この後おれはギルドで依頼を一つくらいこなそうと思っているけど、シルクちゃんはどうする?」


「一緒にギルドまで行きましょう。護衛の依頼達成の報告をしたいですし」


「あぁ、そういえばそうだな。じゃ一緒に行くか」


「はい!」


 シルクちゃんと隣り合ってギルドへ向かう。この可愛い女の子の隣を歩ける優越感はなかなかいいものである。





 ギルドへ到着すると、何やらガヤガヤ騒がしい。


「ん? 何か騒がしいがどうしたんだろうか」


「そうですね。何か嫌な予感がします……」


 若干の不安を抱えて、ギルドへと入る。そこには数名の冒険者らしき男たちが何やら焦燥したような顔で膝をついていたり、座り込んでいた。


 と、そこに見知った顔が一つ。


「あっ! シルクちゃん!」


「ミ、ミミカさん、どうしたのですか? この騒ぎは」


「何かあったのか?」


 おれの質問にミミカちゃんが言いづらそうにしている。シルクちゃんも不安そうにミミカちゃんを見ている。


「じ、実は、そこの冒険者の方々の報告なのですがコーポリ山脈で異変が起こったようなのです」


 異変って何だろうか? モンスターでも暴れているのか?


「い、異変ってなんなんですか? どういったことが起こっているのでしょうか?」


「水精霊がいま、とあるモンスターに襲われているそうなのです」


「とあるモンスター? どんな奴だ?」


 おれの言葉にゴクリと喉を鳴らす、ミミカちゃん。どうやらかなり強力なモンスターらしい。


「《バジリスク》なのです!」


「《バジリスク》ですって!?」


 シルクちゃんの驚きようから、どうやら《バジリスク》とはやっぱり強いモンスターらしいな。


「ミミカちゃん、《バジリスク》ってはどんなモンスターなんだ? すまんがモンスターに詳しくなくてな」


「そうなのです? あの《ビックベアー》を倒した冒険者とは思えないです」


「いやいや、あれは運が良かっただけさ。たまたまだよたまたま」


 少し驚いたように身を見開くミミカちゃん。


「わかりましたです。《バジリスク》とは危険度Bランク指定のモンスターなのですが、厄介な特性があるのです」


「? その厄介な特性とはなんだ?」


「はいです。それは《毒》なのです」


 なるほど《毒》ね。確かにそれは厄介だな。おれの丈夫な体には効かんけど。


「《毒》だなんて! もしコーポリ山脈の水精霊の水辺に《バジリスク》が入りでもしたら……!」


「そうなのです! 川の水が《バジリスク》の《毒》で汚染されて街の生活に大打撃なのです!」


 な、なんだと!? じゃぁいつも美味しいを届けてくれるシルクちゃんの手料理が食べられなくなるじゃないか! おれはシルクちゃんの作るシチューに似たような料理が大好きなんだ! これはまずいぞ!


「幸い、いまはまだ、Bランク冒険者であるエメさんが《バジリスク》を足止めしている状態なのです! 時は一刻を争うです!」


「そうなんだよ!」


 バーンっと奥の扉から、ギルドマスターロココちゃんが飛び出してきた。いつものふんわりワンピースではなく、違う服装である。


 頭には白銀の兜、同じ色の全身鎧を身にまとい背中には身の丈以上の戦斧。そして手に持つのはこれまた白銀の大楯。なにこの最強っぽい装備は? 強そう。


「わたしの出番なんだよ! ここは!」


 ろここちゃんが荒ぶっていらっしゃる。


「マ、マスター! 困りますです! マスターが出ていかれると、もし街に何かあったら大変なのです! ここは隣町の冒険者の助けを待つです! もう手配はしてありますです!」


「でも、そんなの待ってたらエメさんがやられちゃうよ! わたし! ギルドマスターとして放って置けないよう!」


「それでもです! ここは抑えてくださいです! 報告に来た冒険者の話ではエメさんは三日は《バジリスク》を拘束できると言っていたので最低、三日は大丈夫です」


「三日も《バジリスク》を拘束出来るわけないじゃない! それは他の冒険者を逃すための嘘だよ! わたしが助けに行く! 今いるランクの冒険者じゃ《バジリスク》と戦うなんて危険だもの!」


 ロココちゃんとミミカちゃんが助けに行く、ダメです、と言い合いを続けている。これはまずいぞ、美少女が困っている。イコール助ける。これ必然。


「ちょっといいか?」


「「何ですか!」」


 おっと二人とも興奮しているなぁ。


「おれが助けに行こうか? そのエメさんを」


「申し出はありがたいのですが、マネブさんはまだEランクです。今回の依頼はBランクになりますです。危険です」


「だがおれはAランクモンスターの《ビックベアー》を単身で討伐している。全然問題ないだろ?」


「それはそんなんですが……」


 モニョモニョと困ったような表情のミミカちゃん。しまった、困らせてしまった。


「マナブくん! 君に決めた!」


 ロココちゃんがおれにビシッと指を差し、キメ顔をしている。


「マ、マスター!」


「マナブくんなら大丈夫だよ。何だって《ビックベアー》を無傷で倒したんだから、しかもシルクちゃんを守りながらね」


「そ、そうなのですが、ギルドの規定に違反しませんですか?」


「大丈夫! わたしが規定だから!」


 なんか謀略無人なことを言い出した。まぁおれとしては、助けに行けるのであれば問題ないが。


「なら、おれが助けにいっても問題ないよな?」


「マスターがそういうのであれば大丈夫だと思いますので、よろしくお願いしますです」


「マナブくん、申し訳ないけど今頼れるのがマナブくんしかいないの。エメさんの事よろしくお願いね」


「あぁ、任せてくれ。必ず助ける」


 ロココちゃんもミミカちゃんも心配そうに見ている。おれは怪我なんてしないのに。まぁスキルのことは隠しているからなぁ〜。しょうがないか。


「ところで、その水精霊の水辺とは何処にあるんだ?」


 場所が分からねば助けに行けない。誰が道案内してくれるのであろうか?


「そう言えばそうです。ですが報告に来た冒険者の方々は疲労困憊で立ち上がることも出来ませんし、マスター何か案はありませんか?」


「そうだね〜」


「あ、あの!」


「ん? どうしたんだ? シルクちゃん」


 シルクちゃんが声を上げる。


「わ、わたしが道案内をします!」


 なに!? それは危険だと思うぞ! 考え直すんだシルクちゃん!


「シルクちゃん! コーポリ山脈は危険だよ? 確かに心配なのはわかるけど……」


「ですが、いまこの中に案内をできるのは、わたしくらいしかいないと思います!」


「そうなんだけど……」


 チラリとおれに視線を向けるロココちゃん。何となく言いたいことはわかる。


「ロココちゃん、大丈夫だ。おれならシルクちゃんを無傷でコーポリ山脈まで行けるし、シルクちゃんのおばあちゃんであるエメさんも助けてこれる。任せてくれ!」


「マナブさん……」


 自信満々で言い放つおれ。《頑丈》チートをシルクちゃんに掛ければ、シルクちゃんを傷つけられるような奴はいないからな。


「マナブさんが、それだけ自信があるなら問題ないかもね! マナブさん! シルクちゃんの護衛にエメさんの救出依頼よろしく頼んだよ!」


「……無事に帰ってきてくださいです」


「あぁ! まかせろ!」


 ミミカちゃんに心配のお言葉をいただきました。ありがとうございました。


「では、マナブさん。早速コーポリ山脈へ向かうための準備をしましょう」


「あぁ、そうだな」


「わたしは一旦、家に帰って装備を整えてきます。マナブさんはその間どうしますか?」


「おれは、食料品なんかを買い足せばすぐに出発できるから買い物が終わり次第、シルクちゃんの家に向かうよ」


 腹さえ満たせれば、おれは装備やらの手入れは要らないし、シルクちゃんの護衛の為に色々と買い込んだか全然出番がなかった道具たちもたくさん余っているからな。


「わかりました。では家でお待ちしております」


「んじゃよろしく。急いで買ってくるから」


「はい、ありがとうございます」


 おれとシルクちゃんは、別々の目的地へと足早に向かっていった。







5秒時間をください。


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