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前回のあらすじ
ルディアの魔法で一瞬で帰還できるかも?
「……ん? それはどういう事だ?」
ルディアがあまりにさらりというものだから思わず聞き返してしまった。……何だって? 私の魔法の出番っていうのは一体どういう事なんだ。
するとルディアは何でもないように、俺に視線を合わせると、先ほどと同じような言葉を吐く。
「ですから、お兄さん。そんなに帰るのに手間がかかるのであれば私の魔法で一瞬で街まで送って差し上げましょうか? と言ったのですよ」
「……え? マジでそんなこと出来るの?」
「はい、それはもちろん。だって私は上位の水の精霊ですからね。そこら辺の有象無象の精霊とは訳が違うのですよ。ですからお兄さんはもっと私を頼るべきだと思うのです。あの土の精霊などでは無く」
「……いや、まあそれは……」
ルディアは体全体で自信満々に私の方が役に立ちますとでも言っているかのように、胸を張っていた。
……いやどんだけイテムに嫉妬しているんだよと思わなくもなかったが、ここでそれを口にしてしまうと、絶対に面倒なことになるのは目に見えていて火を見るよりも明らかだったのでやめておくことにした。
……それに何だが嫉妬しているルディアの様子は何だかいつもの余裕ある時とは違って何だか可愛らしいからな。
「……それなら、ルディア。朝になったらプレの街まで俺とレンちゃんとイテムの3人を瞬間移動してもらってもいいか?」
「そうですね〜、お兄さんだけなら何も問題は無いのですが、あの下等な人間と私のお兄さんの寵愛を奪った土の精霊をもとなると……」
ルディアは頬に軽く手を当て、眉をハの字にし困ったように息を吐く。
……いや、嘘つけ。絶対出来るだろう。と思わなくもなかったが、ここはお口チャックだ。あまり下手なことを言うと厄介な事になりそうだ。沈黙は金、それでいこう。
「……………………」
俺がそのままルディアの次の言葉を待つ事にした。少し間があり、そしてルディアは俺に目線を合わせると口を開いた。
「お兄さん。私、何だか疲れているようです」
「……ああ、そうなのか」
「はい、そうなのです。ですので何か私を癒す事のできる、あの下等な人間にもやっていたマから始まるのをやっていただけたら私も疲れが取れて3人くらい一気に街まで移動させることが出来るかもしれません」
「……………………」
これは一体どう言う状況なんだろうか? ルディアが言っている事をまとめるとレンちゃんにしたように、自分にもマッサージをして欲しいって事だよな?
それは一向に構わないのだがあのマッサージは貧乳の方向けのマッサージだ。まあ嘘なんだがそう言う体でやる事にしている。
だがルディアの胸はどうだ? 薄い空色の羽衣を盛り上げるように立派な存在感を示している2つの双丘。ちょっと表現が重複したような気がするがそれは置いておいて。
あの立派なものだ。俺がマッサージしなくとも、もう十分なのでは無いだろうか? お前にこれ以上教える事は何もないと弟子に言う師匠の気持ちが思わず分かってしまうほどだった。
「……お兄さん、どうしましたか?」
あまりに長い間頭を使い思考をしていたため、ルディアに心配されてしまった。
「……いや、何でもない。ちょっと考えごとをな。しかしルディア、レンちゃんにやっていたマッサージ、あれは小さい胸の子が大きくするためにやるものなんだ。ルディアみたいに、その大きい女性には必要ないのだと思うのだが……」
するとルディアは艶やかに微笑むと、後ろで腕を組みながらゆっくりと俺に近づいてくる。そして目の前で止まった。
「ふふっ、私はお兄さんがする事であれば何だって受け入れられますよ。それに私はお兄さんとただ甘えたいだけなのですよ。そこは言わずとも分かって欲かったのですが」
「……そうなのか」
「はい、そうなのですよ」
ポフっとルディアが俺の胸に手をおき、しだなれてる。そして顔を上げると俺を空色の綺麗に瞳が見つめた。
「……ですのでお兄さん、私にマッサージをしていただけますか?」
「まあ、ルディアがいいのであれば──」
俺がルディアの問いにイエスと答えようとしたその時だった。
「──マナブ、見張り変わるわ……よ」
テントから出てきたレンちゃんは抱き合っている俺達を見ると目を見開き、テントから出てこようとした状態で固まった。なんとも器用なものであると俺はその時、場違いにもそう思った。
しかし、レンちゃんは意外にも早く硬直から抜け出すと、ばっとテントを出ると、俺達へと向かって駆け出すと大声で叫んだ。
「──ちょっと! あんた達なに抱き合ってんのよ!」
ドドドっと効果音が鳴りそうなほどの勢いで詰め寄ってきたレンちゃんはそう口にしながら俺に指を刺す。
「何って見てわからないの下等な人間。お兄さんと私は今、愛し合っているところなの。邪魔しないでもらえる」
そう言うとルディアはレンちゃんへ挑発的な表情を浮かべると俺の胸へとより一層しなだれてくる。……やばい、いい匂いがする。それにこの双丘のマシュマロのような感触は俺を狂わせるぞ。
「……ぐぬぬ、少し胸が大きいからって調子に乗って……どうせあんたの胸なんてすぐに垂れてきちゃうんだから!」
「下等な人間と一緒にしないでくれる? 私のような上位の精霊であれば、胸が垂れるなんて事はありえないんですよ。下等な人間とは違うのですよ、下等な人間は」
ルディアはレンちゃんに向かって、胸を張りながらそう口にする。大きな胸がさらに大きく見える。虫めがねを通して見なくても大きく見えるとはルディアの胸は何やら調べがいがありそうだ。
悔しそうに唇を噛みながら、レンちゃんはドンドンっと地団駄を踏んでいた。相変わらずリアル地団駄はよくする子である。レンちゃん以外にしている人を俺は見たことがなかった。
「──というか、胸の話なんてどうでもいいのよ! 私が言いたいのは何であんた達が抱き合っていたのかって話よ!」
「……胸の話を始めたのはレンちゃんからだったはずだが……?」
「……マナブは少し黙ってて」
「……はいはい」
俺がボソリと呟くとレンちゃんはこちらをジロリとにらみつけた。おおう、怖い。ここは大人しく黙っていよう。
するとルディアがレンちゃんへと近寄ると、腕を組み上から見下ろすようにレンちゃんを鋭い視線を向けた。
「さっきから何度も同じことを聞かないでくれる? 何度も言っているように抱き合っていたのは、お兄さんと私が互いを信頼し愛し合っている仲だからなの。その愛を確かめ合う為、行動として抱き合っていたのよ。下等な人間の下劣な考えでもの考えないでもらえるかしら」
「愛し合っているって、それはあんた一方的な感情じゃないの? マナブはどう見ても戸惑っていたわよ? 私の事を下等な人間呼ばわりするけれどマナブだって同じ人間なのよ? その人間を下等っていうのであるならマナブの事も下等って事になると思うけど? それってどうなんでしょうね!」
バチバチっと火花をちらしながら、互いを睨み合うふたり。
しばらくそうしていたふたりだったが、先に視線を外したのは意外にもルディアの方でだった。
そのルディアはレンちゃんから俺に視線を変えると少し不安げに表情を変化させながら俺に近づいてきた。
「……お兄さん、あ、あの……あの人間がいうように私の独りよがりだったのでしょうか? 私の一方的な愛、なのでしょうか? お兄さんは本当は私の事を愛していないのですか……?」
空色の瞳に涙を溜め、少し震える声でそう呟いたルディア。……何だかレンちゃんに言われたことがめっちゃ聞いたようだな。そんなに気にしなくてもいいのに、レンちゃんのいうことなんてどうせ反射的にでた適当な言葉だと思うし。
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