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頑丈チートで異世界最強!  作者: 瀬戸くろず
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前回のあらすじ

 レンちゃんの魔法発動







「……あ〜、全くダメージは無いとはいえ、こう周りをブンブン飛ばれるとかなりイラッとしてくるな……」


 イテムの土魔法により作り出された岩の柱の上で俺は、ブンブンと飛び回る羽音が煩わしいハイキラービー達の大合唱を耳に一人佇んでいた。

 

 時折、というかかなりの頻度で毒針での攻撃や体当たり、気色の悪い細長い足とかで掴まれそうになる。そのたびに毒針は毟り取って、取ったやつの頭へ投げ返す、体当たりは軽くよけ、掴まれそうになったら俺の伝家の宝刀《腹パン》が火をふく。


 ……しかし、こうして相手をしていてかれこれ体感で三十分は経過しているだろう。……果たして俺はあと何ターン待てばいいのだろうか? このままではつかれきってしまうぞ……。


「──っと、あぶねぇっ」


 正面から透明な液体のようなものが飛んでくる。ハイキラービーの毒針から放出された毒液だ。……おいおい、俺は今、この足場が人一人がやっと立てるくらいしかないのに、そんな範囲攻撃は反則だろうが……。


 ──瞬時に判断をし、俺は岩の柱から飛び降りる。そして毒液を回避、がこのまま落ちるわけにはいかない──すぐさま岩の柱に向かって拳を叩き込みと重力による落下は止まる。


「……足場がないってだけで、こうも戦いづらいとはなぁ……」


 拳を岩の柱に突き刺しながらそう呟く。宙ぶらりんになりながら俺は空を飛べたらどんなにいいのだろうかとふと妄想をしてしまう。

 ……空を飛べたら、わざわざこのような足場の上で戦わなくてもよくなるのになぁ〜とハイキラービー達との戦闘が長引き過ぎて、ついそのようなことを考えてしまう。


「……今度、街へ帰ったらロココちゃんに相談してみるか……」


 あのギルドマスターなら何か空を飛べるようになるスキルの存在とか知っていそうだ。……よしっ! そう考えたらなんだかやる気が復活してきたっ、俺は自分の感情は自分一人でコントロール出来る男マナブ。すぐにカッとなって周りに当たり散らす人間的に小さい奴とは違うのだよ! 奴とは!


「──さてとっ」


 腕に力を込め、グイッと上へと飛び上がる。そして俺は再び岩の柱の天辺に足つけた。……しかし改めて周りを見渡すとすごい光景だ。ハイキラービー達がおれの《挑発》スキルで群がり過ぎて、全然周りの空とか森とかが見えない。……これ、外からみたら、黒い塊にでも見えてるんじゃ無いか?


「──っと、ん? あれは……?」


 周りの視界はほぼハイキラービー達で埋め尽くされている中、俺はとある方向に巨大なあるものを目にする。


「……なるほどな、あそこから飛んできているのか」


 俺の目に映ったのは、俺達が探していた念願のもの、ハチミツがある場所である。……よしっ、この戦闘が終わり次第、あそこへ向かうか。


 しかし、まだまだ少なくなる気配を見せないハイキラービー達、うんざりしながらも俺は自分で立てた作戦のためにこの場と止まり続け、奴らを引きつけ続ける。

 

 ──すると、突如として辺りにひんやりとした冷たい冷気が頬を撫でる。


「──っ、やっとかよ、レンちゃん!!」


 俺はすぐさま《挑発》スキルを解除し、岩の柱から飛び降りる。重力に従って急速加速しその場から瞬時に離脱した。


 ──その瞬間。


『フロスト・プリズン』


 一瞬での決着──。


 レンちゃんの氷魔法が炸裂し、俺が先ほどまでいた場所に馬鹿でかい氷塊が姿を現す。日の光に照らされキラキラと輝くその氷の塊には、まるで遥か昔、数千万年前の虫達を内包した琥珀のような不思議な魅力を感じた。


「……まぁ実際に内包しているのは、ハイキラービーだけどな」


 頬を撫でる冷たい風を感じながら、俺は仰向けになりながら落下している。……なんだか疲れたし、このまま地面に叩きつけられてもいいかな〜と思っていたら──。


 ドゴォォォーーーン!

  

 という、衝撃音と共に地面へと叩き付けられた。もくもくと砂埃を上げる中俺はまぁそうだよなと頭の中で考える。

 三十メートルの高さからだったら、地面に落ちるまでの時間はわずか二秒弱、そんだけの時間しかないのであれば、飛び降りた瞬間に色々と考える時間なんてないよな〜と今更ながら思った。


 俺がしばらくそのまま地面にめり込みながら、三十メートル級の氷塊を眺めていると、頭の上の方からダダダッっと、二つの駆け足が聞こえてくる。


「──マナブっ!! 無事ーっ!?」


「マナブーっ! 怪我してない!?」


 レンちゃんとイテムの心配するような声で俺に駆け寄ってきた。それに気づいた俺はゆっくりと地面に嵌っていた身体を起こすと彼女達へと向き直る。


「……ああ、ご覧の通り、ピンピンしているぞ?」


「──よ、よかったぁ!!!」


 今にも泣き出しそうに顔を歪めたレンちゃんが俺に抱きついてきた。ふわりとした女の子特有の甘くいい香りが俺の鼻をかすめる。そして柔らかな二の腕や微かに感じることのできるレンちゃんの慎ましやかな胸の感触。


 この感触を感じることが出来たなら、先ほどまでのハイキラービー達との戦闘もやってよかったなとそう思えてきた。……いや、それにしても美少女というものは何故こうも男を惑わせるのか……不思議な生き物である。


「マナブ! やったね! ハイキラービー達はあの氷の魔法でやっつけられたよ!! マナブの作戦通りだよ!!」


「ああ、よかったよ、ちゃんと成功して」


 イテムは爛々と目を輝かせ、俺に称賛の言葉を投げかけた。先ほどからイテムはあの馬鹿でかい氷塊にしか目がいっていない。……なんだろうか? 精霊にとっては珍しいものなのだろうか?


「……そうね、本当に成功してよかったわよ……マ、マナブを巻き込まなくてすんだし……」


「だからいっただろ? ちゃんと逃げるって。それにな、俺なら例え氷の中に閉じ込められても出てこれるっての」


「──な、なによっ、人がせっかく心配してあげているってのに! ──そ、それに私の強力な氷魔法をあんたなんかが壊せるわけないじゃない! 舐めないでよね!!」


「はいはい、舐めない舐めない」


 そう言って俺はいまだに抱きついて離れようとしないレンちゃんの背中を軽く撫で、落ち着かせようとする。するとレンちゃんは大人しく撫でられたまま微動だにしない、されるがままである。


 それを不思議に思った俺は、彼女へと語りかけた。


「……レンちゃん、どうした?」


「……で、でも私の魔法で……マナブが怪我しなくて……本当によかった……」


「……………………」


 レンちゃんにしては珍しく素直な感情を俺に出してくれた。恥ずかしいのか俺の胸に顔を埋めて何やらもぞもぞと悶えていた。……可愛い。


 と、俺がレンちゃんの可愛さに見惚れていると──。


「マナブ、レンったらすごい心配ようだったんだよ? 魔法を発動するやいなや、すぐにマナブの元に凄い速さで駆け出していったんだよ! しかもものすごく心配そうな顔でね!」


「──ちょ! ちょっとイテム! あんた何デタラメいってんのよ!!! 私がそんな顔するわけっ!!?」


 ガバッと俺の胸から顔をあげたレンちゃんが土の精霊さんに顔を真っ赤にして講義を申し立てていた。……うん、すごく顔が真っ赤だ。


「えっ? マナブに抱きつくまで、ずっと心配そうにしていたのに何今更恥ずかしがってるんだよ。レンは素直じゃないなぁ」


「──うっさい! この馬鹿精霊!」


 レンちゃんは俺から離れると、イテムの方に向かい、口を塞ぎにかかる。その様子は美少女と美幼女がポコポコと可愛く喧嘩をしているようだった。


 その可愛い光景を眺めつつ、俺は二人へと話しかけた。


「……なぁ、俺、ハイキラービーの巣を見つけたんだけど」

読了ありがとうございます。


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