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前回のあらすじ
助けた女の子は土の精霊イテムだった!
「助けてくれてありがとう! マナブ! レン!」
日もまだ登りきっていない朝。
スクロースの森までの道中におれとレンちゃんは思いがけずに一人の土の精霊を助けてしまう。助けたと言ってもただ干し肉を与えたにすぎないが……。
しかし、こんなにも早く見つかるとはな……。こいつがマットの言っていた土の精霊か、見た目はまだまだ子供だが、将来に大いに期待できそうな幼女である。
さて、とりあえずイテムにはマットが心配していると伝えないとな。
「イテム、お前もハチミツを採りにきたんだろ?」
「も? ってことはマナブもそうなの?」
「ああ、そうだ。おれは今ハチミツ採集の試験をこの後ろの奴と受けていてな」
そう言って親指で指差す。
イテムはその指の先に視線をやる。そして再びおれの方へと戻した。
「じゃじゃあ! お願いがあるんだ! 僕も一緒に連れて行ってくれないかな?」
何やら必死に懇願するイテム。
彼女にはそれほど必死になる理由があるのだろうか? やっぱりマット関係だろうか? 精霊ってのは気に入った相手にはとことん尽くすタイプっぽいからな〜、ルディアとか。
「──だ、ダメよ!!? 精霊なんか連れて行ったらロクなことにならないわ!!」
レンちゃんがビビりながら声をあげた。精霊という言葉に敏感になりすぎである。この様子だとやっぱりルディアはレンちゃんの事をかなり強めに脅したようである。おれの契約精霊ながら恐ろしや。
「……だ、ダメなの?」
「ダメったらダメ!!」
「ただ後ろを付いていくだけでも?」
「ダメ!」
レンちゃんに拒絶されたイテムは、しょんぼりする。しかし、おれはマットと男と男の約束をしている身。このままイテムを放置しておくわけには行かない。いくらレンちゃんが拒否しようが、この旅の権限は実質おれが握っているようなものだ。ここはおれの好きにさせてもらおう。
が、一応はレンちゃんを納得させる努力だけはしておこう。やれやれ……、面倒な奴だ。そう思い、おれはレンちゃんに耳打ちする。近づいた際にふわりとした良い佳芳に思わず、心が和んだ。
「レンちゃん、ちょっといいか?」
「……何よ」
何だろう? 警戒されている気がする。
やっぱり昨日の件がおを引いているのだろうか? ダメだぞ? 過ぎ去った過去の事を気にしていてもしょうがない。今この瞬間に全力を注がねば! 未来ではなく今この瞬間にだ!
「イテムを連れて行けば、夜の見張りが楽になるとは思わないか?」
「──はっ!?」
「どうだ?」
「……た、たしかに、そうね……あのクソ精霊も呼ばなくてすむじゃないの!!」
いやこいつ、どんだけルディアの事が嫌いなんだよ。でも多分ルディアの前ではこういう態度は取らないんだろうな。精霊様とか言っていたし。試しにルディアを今呼んでやろうかなと思ったが、流石に面倒な事になることは自明の理、火を見るより明らかだ。ここはおれの鋼の自制心で自重しよう。
「それにどうやらイテムもキラービーのハチミツが目的のようだし、一緒にいけば戦闘だって楽になるかもしれないぞ?」
「──はっ!? 確かに!?」
「だろ? だから、な? 連れて行っても良いだろ?」
腕組みをしながら、むむむ……、と唸り声を上げつつ悩んでいる美少女。赤髪ツインテールである。眉間にシワを寄せ、かなり悩んでいるようだが、やがて答えが出たのか、絞り出すような声で囁いた。
「……それならいいわ」
よしっ! レンちゃんはおれの巧みな話術で見事に心変わりしたようだ。よしよし、これならイテムも連れて行って問題ないだろう。
おれは早速、イテムへと向き直り、その事を伝える──。
「イテム、一緒に着いてきても良いだとさ」
「──ほ、ほんと!? わぁ! ありがとう!!」
しょんぼりと地面にのの字を描いていたイテムは先ほどとは打って変わって、ぱああっと顔を綻ばすとおれに抱きついてきた。小動物のようで可愛ら良いな、よしよしと頭を撫でてやる。すると心地よさげに瞳を閉じてむふふ〜と声を発する美幼女がそこにはいた。何この可愛い生き物? ずっと撫でて抱きついていたい。
「──で、でも! 連れていくにしても、本当に戦闘で役に立つのか今この目で見ておきたいわ!!」
と、レンちゃんが言い出した。
精霊なのだから、そこそこ強いとは思うが、まぁ確かにレンちゃんの言い分の一理ある。ここは少し実力の程を試させてもらおうか。
と、おれは何処ぞの実力者のように、根拠のない自信を持ってイテムに問いかける。
「イテム、彼女はそう言っているが、いいか?」
「もちろんだよ! 僕の実力ちゃんと見ててね! 精霊はすごいって事を見せてあげるんだからぁ!!」
そういうと、イテムは深く呼吸をすると、集中するように軽く目を閉じた。そして何やら自分に言い聞かせるような声で囁いた。
すると、イテムの周りに魔力の渦ができ始め、彼女を包み込む。鑑定で見てみると、彼女の魔力量はレンちゃんを遥かに凌駕していた。やはり精霊の魔力量はとんでもないな。ルディアといいイテムといい、人間では考えられない量の魔力を内包している。だがおれも負けちゃいないがな! ……とつい誰がいるわけでもないのに言い訳をしてしまった。自重自重。
イテムがバッと前に手をかざすと、その手に魔力が集まっていく。集約された魔力が前方へと伸びていき、地面を激しく揺らす。
「ロックピラー!!」
呪文を言い放つと、かざした手の方向の地面がメキメキと盛り上がっていく。
突如として、岩柱が数本飛び出した。
見上げるほどでかい柱だ。一つ二、三十メートルくらいはありそうだった。
これを食らったら、並のモンスターであれば一撃で葬ることができるだろうな。
レンちゃんはあまりにすごい魔法に、ちょっとアホ顔を晒していた。ホケーとかいってるし……。
「……どうでしょうか?」
こちらへと振り向き、若干不安そうにしているイテム。いや全然すごいからそんなに心配する事ないのにと思った。自信持って行こうぜ! 根拠のない自信をな!! 自信あるように振る舞うだけで、相手は勝手にこの人実はすごい人なのかも!! って勘違いをしてくれるし、なめられもしないからな。根拠のない自信って大事だとおれは思います。
「──あんたすごいのね!? 私驚いちゃったわ!!」
レンちゃんが全身で驚きを表現しつつ、イテムへと詰め寄った。まぁ確かに驚くべき魔法だったな、あれは。おれ自身はあんな派手な攻撃魔法が使えないから、ちょっと羨ましいぞ。
そして、どうやら称賛の言葉は、先にレンちゃんに言われてしまったようだ。
「えへへ〜、そうかな?」
イテムも満更でもないようだ。
後ろに手をやって、少し恥ずかしそうに照れていた。流石は美少女だ、照れている姿はまた一段と可愛かった。撫で撫でしてやりたい!
「流石は精霊と言ったところだな。よしっ、イテム、実力は問題ない。これからよろしくな」
手を差し出す。
なんだか偉そうな感じで言ってしまったが、イテムは全然気にした様子もなく、嬉しそうにその手を握り、可愛らしい顔で微笑んだ。
「うん! こちらこそよろしく!! マナブ!」
「──わ、私にも握手させなさいよ! イテム、よろしくね?」
レンちゃんが慌てて、こちらへ寄ってくる。そんなに慌てなくても多分イテムは逃げないぞ? 最初はびびっていたのにすごい変わりようだった。その変わり身の早さ……見習いたいです。
「レンもよろしく!」
和かな笑顔で握手するイテム。
さてさて、これでとりあえず一つ問題は解決したな。
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