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頑丈チートで異世界最強!  作者: 瀬戸くろず
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「わ、わたしのことはいいですから! ロココさん! 今日は少しお話しがあってきたんです」


 自分が褒められるのが苦手なのか、頬をほんのり染めて話題を逸らすシルクちゃん。かわいい。


「そうだったね。シルクちゃんの本能があまりに可愛くてちょっと忘れてたよ〜♪」


「マスターはわかっててやっていると思うです」


 ミミカちゃんが嘆息してる。


「あり? バレちゃった?」


「はいはいです」


「まぁ、ごめんね? んじゃ話を聞くよ!」


 コホンッと咳払いをしつつ、少し顔を引き締めるギルドマスターロココちゃん。真面目なお顔もこれまたいいね!


「はい、実は……薬草採集の際にモンスターに襲われたのですか……」


「!? モンスターに襲われたの!? 怪我とかしてない!? シルクちゃん!?」


「はい、怪我とかは全くないですよ? ここにいらっしゃるマナブさんに助けて頂きましたから」


 シルクちゃんはそういうと、おれの方を見てニコリとかわいい笑顔を向ける。ずっと見ていたい。


「はぇ〜それはよかったよ〜。怪我がなくて。でもシルクちゃんそんなに深いところまで潜ったの?」


「いえ、いつも通りプレの森の浅いところで採集をしていたのですが何やらモンスターの気配がすると思い、少し木々を掻き分けて見に行ったらモンスターがいたんです」


「そっかぁ〜。でも危ないよ? 本当に。今回は何にもなかったからよかったけど……次からは一人じゃ危ないからギルドに薬草採集の依頼を出すといいよ?」


 確かに自衛の手段なく街の外へ出るのは危険なのかもな。実際にモンスターに襲われていたし。


「はい、ご心配をおかけしました。ですが今度からはマナブさんと一緒に採集することになりましたので安心です」


 そうそう、マナブさんは安心安全ですよー。


「そうなんだ? マナブくんがね。ふむふむ」


 ロココちゃんがおれに、視線を向けている。なにか調べられている感じからする。やべぇ、おれの《頑丈》チートがバレるかも。


 おれを一頻り見て満足したのか、うんうんと頷き、なにやら納得した様に。


「なるほどね〜♪ 確かにマナブくんなら全然問題なさそうだね!」


「見ただけでわかるもんなのか?」


 なにその能力教えてプリーズ?


「あれ? 知らない? スキル《鑑定》だよ? 結構ポピュラーなスキルなんだけど」


「いや、知らないな。少なくともおれの国ではそういうスキルはなかった」


 スキルって言葉自体。今初めて聞いたくらいだし。まぁ、黙っておこう。というか、《鑑定》か見ただけでなにやら能力とか見破る系かな?


「《鑑定》はね? 人や物の真偽・良否などを判定したり、またこの人がどのくらい強いのいってのもなんとな〜くわかるって感じかな?」


「へぇ〜、便利なもんがあるんだなぁ」


「《鑑定》は便利だよ? まぁでもなかなかスキルロールが出回らないからね。覚えるの難しいかも? あと無駄に高いし」


 スキルロールね。そんなもんが売ってんのか〜。しかも高いと? 無一文のおれには覚えられないじゃないか!


「ロココちゃん。今度手に入ったら売ってくれない? 《鑑定》のスキルロール」


 やっぱり欲しいよね。《鑑定》のスキルは。モンスターの力量もわかるし。


「いいよ〜もちろんだよ! シルクちゃんの恩人だからね!」


 やはり、ロココちゃんはいい美少女である。この世界は美少女がやさしい世界である。


「ありがとう! んじゃ手に入ったらよろしくな!」


「わかったよ〜♪ ところで襲われたモンスターはなんだったの?」


「そう! それなんですが! いまギルドで警戒している《ビックベアー》なんですよ! 私が襲われたモンスターは!」


 ポカンと、なにがなにやら分からないって顔をするミミカちゃんとロココちゃんの美少女二人。そういった表情もまたいい。可愛らしい。


「え? 聞き間違いです? シルクさんが遭遇したモンスターはなんです?」


「ですから! 《ビックベアー》なんですよ! 《ビックベアー》!」


 シルクちゃんが、ワタワタと説明する。


「で、でも、あのモンスターは並の冒険者じゃ倒せないですよ? それこそAランクの冒険者くらいじゃないと単身では倒せないと思うです」


「だから、それを倒したマナブくんはAランク相当の冒険者になるってことかな?」


 ニヤリとどこか楽しそうに笑うロココちゃん。ニヤニヤしている。なにやら本当に楽しそうだ。いい事あったのかい?


「しかも、シルクちゃんを守りながら倒すなんてAランク冒険者でも、なかなかできないよ? 凄腕だね〜。どこに隠れてたの? ホント」


「別に隠れてたわけじゃないさ。おれはここにきたのは今日が初めてだからな。あの《ビックベアー》ってモンスターも初めて見たし」


 あのクマ公ってそんなに強かったのか? おれはワンパンで沈めたけど。あれが強いのであれば他のモンスターなんてデコピンで一撃だなこれは。


 ふと、そんなことを考えていると、ロココちゃんがなにやら机の引き出しをガサゴソしだした。なにを探しているんだ?


「じゃじゃーん! Eランク冒険者の証! カッパーの指輪だよー!」

 

 なにをゴソゴソしてるのかと思えば、指輪を探していたようだ。


「なんだそれは?」


「これはねぇ〜、Eランクの冒険者であることを示す指輪なんだよ。これがあれば大体の街での身分証明とかになるしあったら便利だよ?」


「へぇ〜、なに? それくれるのか?」


「そうだよ? だって冒険者登録に来たんでしょ? シルクちゃんの報告するのと一緒に? 《ビックベアー》を倒せるほどの腕前だったら試験なんてする事なくいきなりEランクでも問題なし! 私が保証します!」


 フンスと鼻息を荒くする美少女ギルドマスターロココちゃん。

 なるほどなぁ、あのクマ公はこんな所でも役に立ったようだ。クマ公一発でFランク飛ばしていきなりEランクとはほんとラッキーだわ。


「ありがとな! いやぁ〜助かるよ。身分証明書とかなくてさ」


「それはよかったよ〜。あげて正解だね♪ マナブくんならすぐに、Aランク冒険者の証のオリハルコンの指輪も貰えるかもね」


 キラリと、ロココちゃんの指元に光る指輪。あれがオリハルコンの指輪か。とても綺麗な金色をしている。すげぇ高そう。


「そういえばロココちゃんは元Aランクだったな。その指輪は辞めても返さなくていいのか?」


「普通はやめたら返却だけど、わたしはギルドマスターだからね。ギルドマスターには指輪の返却義務はないんだ。この指輪を見せれば大抵の面倒ごとは片付くしね?」


 あのオリハルコンの指輪は確かにわざわざ実力を示さなくても相手が勝手に恐れ慄いてくれるってわけか。便利だな。おれも欲しい。


「へぇ〜それはいいことを聞いた。ボチボチ頑張ることにするよ」


「うん、期待してるよ? マナブくんならちょちょいのちょいでしょ! わたしの目に狂いはない! じゃ、これどうぞ」


 おれの手を取り、指輪を渡してきた。ひんやりとした手の感触に少しドキッとした。いきなり手を握ってくるのはなかなか緊張するな。美少女だから、悪い気はしないけど。


「これが、Eランクのカッパーの指輪か」


 カッパーってのは確か銅だったよな? なかなか艶があって綺麗だな。とりあえず、はめておくか。


「似合ってますよ、マナブさん」


 シルクちゃんがキラキラした目で褒めてくれる。嬉しい。


「あぁ、ありがとう。これでこの街でもなんとか暮らしていけそうだ」


 身分証明出来ないとなると面倒だからな。この指輪を見せるだけでいいのは簡単でいい。ありがたい。


「さて、あとは《ビックベアー》討伐の報酬の話だけど、ギルドで調査してからになるから少し時間かかるけどいいかな?」


 お? 報酬までもらえるのかラッキー。


「あぁ、全然大丈……」


 って待てよ? おれいま無一文じゃないか? このままでは今日は野宿になっちまう! それはいただけない!


「すまんが、宿代を貸してくれないか? いまおれは無一文なんだ。こっちの国の金は持ってなくて」


「それなら、わたしの家に泊まりませんか?」


 ここで鶴の一声。シルクちゃん。なんだって? シルクちゃんの家にお泊まり? いいんですか? 遠慮なく止まっちゃうよ?


「いいのか?」


「はい! もちろんです! 命の恩人を下手なところに泊めるわけにはいきませんから!」


 ポヨンッと胸を叩く。すんごい揺れるね。なに食ったらそんなに育つの?


「それは助かる。でもいいのか? おばあちゃんがいるんじゃないのか? 許可とか取らなくていいのか?」


「それは大丈夫です。いま、おばあさまは希少な薬草採集のため遠方へ出かけていますから」


 へぇ〜ずいぶんアグレッシブなおばあちゃんだな。有名な冒険者かも知れんな。


「金が貯まったらすぐに別の宿へ引っ越すからしばらくよろしく頼む」


「そんな! いつまでもいついただいて大丈夫ですよ! 部屋はたくさん余っていますし、家に誰もいないのは寂しいですから」


 部屋そんなに余ってるんだ。結構広いのかな? 豪邸か? ポーション作りは儲かるのかな?


「慌てちゃってかわいいなぁ♪ シルクちゃんは。そんなにマナブくんと一緒に暮らしたいのかな?」


「い、いや! わたしはそんなつもりで行ったのでは……」


 ワタワタと慌て出すシルクちゃん。顔を真っ赤にして俯いている。頭から湯気が出そうだ。恥ずかしがり屋らしい。


「シルクちゃんは相変わらず恥ずかしがり屋なのです」


 ミミカちゃんがそう言うと。


「わたしはそんなに恥ずかしがり屋じゃありません!」


 顔を真っ赤にして、そんなことをいうシルクちゃん。どう見ても恥ずかしがり屋でした。ありがとうございました。


「まぁまぁ、シルクちゃん。今日からよろしくな。んじゃそろそろ帰ろうか。あまり長居するのも悪いし」


「マナブくんなら、いつでも歓迎するよ?」


「マスターはちゃんと仕事を終わらせてからにして下さいです。今日だってまだかなり仕事は残っていますですよ?」


「えー! ミミカちゃんがつめたーい!」


「冷たくないです」


 美少女のじゃれあいを和やかな目で見つつ、


「じゃ、また明日なんか依頼を受けるくるよ」


「はーい♪ またね〜」


「今日はお疲れ様でしたです」


 手をぶんぶん振るロココちゃんと、ペコリと頭を下げて、ネコ耳をピンッとはってお辞儀をするミミカちゃん。


 彼女たちが冒険者ギルドにいるのであれば、ちょくちょく来ておしゃべりでもしたいなぁ、と思う。


 とまぁ、いきなりEランクとは幸先いいな。



〜ロココside〜



「は〜、今日もギルドマスターのお仕事は大変だよ〜」


 執務室で、独り言を言うほど仕事がつまらないい今日この頃。ミミカちゃんは受付で忙しくて全然お姉ちゃんは構ってもらえない。


「仕事は毎日やってるのに溜まる一方だよ〜。どうして仕事はふえるのかぁ〜」


 机に突っ伏し、グデーっとなる。


 コンコンッと、ノックがする。


「は〜い、どちらさま〜?」


「わたしです、ミミカです」


 やった! 声の主はミミカちゃん! 妹成分を吸収しよう!


「入っていいよ〜♪」


「失礼しますです」


 ガチャリと開くドア。そこには可愛らしいネコ耳が目に眩しいネコ獣人のミミカちゃん。今日こそはお姉ちゃんと呼ばせたい!


「どーしたの? ミミカちゃん? お姉ちゃんって呼ぶ気になったの?」


「違うのです。意味がわからないのです。わたしとマスターに血のつながりはないのですよ?」


 まぁ、確かにそうだけど私は可愛いミミカちゃんにたお姉ちゃんと呼んで欲しいだけなの!     ただそれだけなの!


「そうだけど、わたしはお姉ちゃんって呼ばれたいの! 読んでもらえたら、なんか……こう嬉しくなっちゃうの!」


「……難儀な性格なのです」


 なんか、ミミカちゃんに憐まれました。


「まぁ、そんなことはどうでもいいのです。マスターにお客さんなのですよ?」


「お客さん?」


「はいなのです。いつもポーションを卸してくれているシルクちゃんなのです」


「シルクちゃんか……どうしたんだろ? 私に用があるなんて」


 さてさて、なんだろう? ポーションの値上げ交渉だろうか? 確かに品質もいいし、冒険者の人たちからはなかなか好評だから、別に交渉に応じても問題ないけど。


「なにやらあったみたいですよ? あと男の方を連れていました」


「男の方? 冒険者?」


「冒険者ではないと思うのです。手を見ましたが指輪をつけていませんでしたので」


 うーん。本当になんだろ? まぁ話を聞いたほうが悩むより早いよね! 


「そっかそっか、じゃ今から呼んできて! 気になるし」


「分りましたです、では呼んでくるです」


「よろしくね〜♪」


 バタンッと扉を出ていくミミカちゃん。その数分後、シルクちゃんとその例の彼を連れて入ってきた。


「ミミカちゃーん! つーかまーえた!」


「はわっ! な、何ですか! マスター!」


 ミミカちゃんに抱きつきながら、例の彼を一瞬見て少し《鑑定》してみる。なるほどなるほど、一瞬だったのであまり大量の情報を見られなかったけど少し分かった。


 彼からは実力者の雰囲気を感じ取れた。

 少なくともCランク以上は確実。

 この《鑑定》のスキルがあれば相手がどのくらいの強さなのかなんとなくわかるようになる。


 あとは話してみて人となりを見てみないとね。ミミカちゃんを一頻り楽しんだ後、シルクちゃんの話を聞く。


「はい、実は……薬草採集の際にモンスターに襲われたのですか……」


「!? モンスターに襲われたの!? 怪我とかしてない!? シルクちゃん!?」


 モンスターに襲われたって!? シルクちゃんがいつも薬草を取っている場所は街からそれをほど離れていないはず。


 町の近くにはモンスターはほとんど近づかない。モンスターも本能的に人の街は危ないと思っているのだろう。


 だが、たまに生まれる強いモンスターたちはそういう通常のモンスターの常識を覆す。だから街の近くにたまにくるモンスターはかなり強いことが多い。


 襲われたらひとたまりもないだろう。


「はい、怪我とかは全くないですよ? ここにいらっしゃるマナブさんに助けて頂きましたから」


 確かに、見る限り怪我とかはしていない。だけど街の近くで出没したモンスターだからかなり強かったはず、命からがら逃げ出したのだと思う。


 マナブくんって言うんだね〜。《鑑定》でみた感じだとCランク相当のモンスターであれば彼には余裕で対処できそうな気がするよ。


「わかったよ〜♪ ところで襲われたモンスターはなんだったの?」


「そう! それなんですが! いまギルドで警戒している《ビックベアー》なんですよ! 私が襲われたモンスターは!」


 え? いま《ビックベアー》って言ったの? シルクちゃんは? あのAランク相当に匹敵するモンスターの!? 


 あのモンスターは確かBランクの冒険者パーティを壊滅に追い込み、プレの森周辺に逃げたとついさっき報告があったばかりだ。


 ミミカちゃんもポカンとびっくり仰天って感じの顔をしている。わたしもびっくりしてるよ。でも、これでもギルドマスターだし冷静な感じでいきたいよね。


「で、でも、あのモンスターは並の冒険者じゃ倒せないですよ? それこそAランクの冒険者くらいじゃないと単身では倒せないと思うです」


「だから、それを倒したマナブくんはAランク相当の冒険者になるってことかな?」


 やっぱり、わたしの《鑑定》じゃある程度までしかわからないようだった。まさか倒したモンスターがあのAランク相当の《ビックベアー》だとは思いもしなかったよ。


 マナブくんには、ぜひうちのギルドで活躍してほしいな。冒険者として今後一緒にやっていきたい。よし! 《ビックベアー》を倒せる実力があるなら最初からEランクでも全然問題ないでしょ! 


 確か、机の中にEランク冒険者の証のカッパーの指輪があったはず……どこにしまったっけな。あったあった。


「じゃじゃーん! Eランク冒険者の証! カッパーの指輪だよー!」


 マナブくんは、喜んで受け取ってくれたみたいだ。身分証明は大事だからね〜。よかったよかった。


 どうやら、マナブくんはシルクちゃんの家に泊まるみたいだ。なら報酬の件はシルクちゃんの家に報告に行けばいいかな。


 いやぁープレの街に優秀な冒険者が増えてギルドマスターとして嬉しい限りだよ!





 シルクちゃんを伴って、ギルドを出たおれたち。次に向かうのはシルクちゃんの家だ。もうすぐ日も落ちるし、


 おれも異世界転生して初日からクマ公倒したりとエキサイティングしすぎた。あと顔がクマ公の口臭い気がする。


 お風呂とかないよなぁ〜。この世界は。だって水とか大切そうだし。


「シルクちゃん、この街ってお風呂とかってないかな?」


「お風呂ですか? 街の中央に大浴場がありますが、わたしの家からはかなり遠くて帰りに湯冷めしてしまうかもしれません」


「そっか〜遠いのであればしょうがないかなぁ〜」


 まぁ、最悪、水の入った桶をもらって布で拭くしかないか。


「汚れが気になるのであれば、生活魔法《洗浄》をかけましょうか?」


「え? 《洗浄》ってどんな魔法なの?」

 

「えと、《洗浄》は汚れを落とす生活魔法になります。簡単な汚れであればすぐに落とせますし、かけるとさっぱりしますよ」


「へぇ〜便利な魔法があるんだね。それってスキルロールで覚えられるの?」


「はい、スキルロールで覚えられますよ。ですがかなり高いですよ。確かスキルロール一枚金貨五枚くらいだったかと思います」

 

 いろんな魔法があるなぁ。お金が貯まったら買おっかなぁ。というか金貨五枚ってのは高いのか安いのかわからんな。相場がわからん。


「金貨五枚って、おれには高いのか安いのかわからないんだけどどんなもんなんだ?」


「そうですね。マナブさんは今、Eランク冒険者ですから、Eランクの方々は一回の依頼で大体銀貨五枚から十枚くらいですから、銀貨十枚の依頼を五十回くらいこなさないと買えないくらい高いです」


「そんなに!?」


 たけぇ!! スキルロールたけぇ!! 

 そのたけぇスキルロールを買ったシルクちゃんめちゃ金持ちやん! どんだけポーション売れてんだ!


 まぁ、ランクが上がれば一回の依頼料も上がるはずだし、気長にやりますか。あっち世界ではせこせこ毎日働いていたが、こちらの世界ではまったりと過ごしたいからな。


「もし宜しければ、わたしが《洗浄》をお掛けしますがどうでしょうか?」


「え? いいの? ならぜひお願い」


 美少女自ら魔法をかけてもらうなんて、なんてありがたいのか。毎日が幸せじゃん。


「はい! お任せください!」


 ポヨンっと胸を叩くシルクちゃん。この子は、狙ってやっているのだろうか? 自分の武器の扱い方をよく心得ていらっしゃる。


 しばらく美少女天使シルクちゃんと会話を楽しんでいたら、目的地に着いたようだ。


「ここがわたしの家です。どうぞ中へ」


 内開きのドアを開けて、中へと招いてくれるシルクちゃん。こう言った気遣いがうれしいな。


「ありがとう。じゃ、しばらくの間よろしくな」


「はい、こちらこそ宜しくお願いします」


 軽くお辞儀をして、にこりと笑顔を振りまく天使。うーん、この子を一つ屋根の下で生活ができるとはこの出会いに感謝だな。


「好きな場所でくつろいでください」


「あぁ、そうさせてもらうよ」


 中に入ると、そこはお店件自宅のような作りの家だった。一階がお店、二階が住居って感じだ。


「その前に、、一階のお店を見学させてもらってもいいか?」


「はい、どうぞ。好きにみてもらっていいですよ」


 家主の許可を得て、店内を物色する。

 へぇ〜ポーションって傷を回復させるものだけじゃないのか? なになに? 力が上げるのに素早さが上がるってものある。


 バリエーション豊富だなぁ〜。

 

「ポーションっておれは傷を癒すやつしか知らなかったけど、いろんな種類のがあるんだな」

 

「そうですね。主に出回っているのは治癒のポーションですから、それがやはり有名でしょうか。力のポーションや俊敏のポーションなんかは使う方も冒険者の方々に限られますし」


 なるほどね〜。ざっとみたところまだまだ違う種類のポーションがあるようだが全部見ていたら、日が暮れるわ。もう暮れてるけど。


「ちなみに、一個いくら? これは?」


「治癒のポーションが大銅貨五枚、力のポーションと俊敏のポーションが大銅貨八枚ってところですね」


 この世界の通貨の単位がいまいちわからないな。ここは聞くが早い。聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥だな。


「シルクちゃん、聞きたいのだけど、この国の通貨単位って銀貨、大銅貨、銅貨の他に何があるの?」


「えっと……あとは大金貨、金貨、大銀貨ですね」


 ほうほう、大金貨、金貨、大銀貨ね。


「これは銅貨十枚で大銅貨一枚って認識でいいの?」


「そうです。あとは大銅貨十枚で銀貨一枚という感じで順々に増えていきます」


 なるほどな〜。んじゃ、銀貨十枚で大銀貨一枚、大銀貨十枚で金貨一枚、金貨十枚で大金貨一枚ってところか。はぁ〜勉強になったわ。


 興味あることだと、頭にスルスル入っていく感じがするよなぁ〜。


「ありがとう、シルクちゃん。またひとつ賢くなったわ」


「お役に立ててなりよりです。またご質問があればお答えしますね」


 この美少女は、性格までいい最強の美少女であった。もうすでに知ってることでも質問したくなる。でも流石に申し訳ないからしないけど。


「この店って、いつ開店するの?」


「一様、お店の形を取ってはいますが基本的にはギルドへポーションを委託して販売していますので、ここのお店はただの在庫置き場のようなものですね。たまに知り合いが買いに来る程度で」


「へぇ〜ギルドにね」


 まぁ、確かに今はシルクちゃん一人しかいないし、その方が面倒がなくていいのかもな。ポーションを買う客はほとんど冒険者だろうし。


「ギルドへは、どのくらいの頻度で卸してるの? ポーション」


「そうですね。大体月に一回くらいですね。ギルドの方が大体の要望数を提示してくるのでその数をまとめてという感じですか」


「それ一人で大丈夫なの? 結構数があるんじゃないか?」


 こんな美少女がギルドにこき使われていたら、ちょっと文句を言いにいかねばならないな。


「あ、それは全然大丈夫です。わたしの他にも錬金術師の方はいらっしゃるので、一人当たりの負担はそれほどでもないんですよ?」


 そうなのか。ならばよし。シルクちゃんに負担がないのであればなんの問題もないな。うんうん。


 ぐぅ〜っと、可愛らしい音が鳴る。

 カァァっと頬を染める。美少女天使シルクちゃん。どうやら、腹が減ったらしい。


「マ、マナブさんっ、す、すみませんっ、いまのは……き、聞かなかったことに……」


「……ちょうどお腹が空いたところだったからよかったよ、シルクちゃん、食事ってどこか食べにいくの? それとも作るの?」


「は、はい。今日はわたしが作ろうかなと思ってて、昨日たくさん買っておいたんです」


 なに? シルクちゃん手料理とはまた神様はいい仕事をする。まさに神業。感謝。


「シルクちゃんが作ってくれるの? 楽しみだなぁ。どんな料理なの?」

 

「今日は、パンとボアの干し肉、ティギのスープを作ろうかと」


 ボアの干し肉ってのは、多分猪っぽいモンスターの肉だろうな。おれの第六感がそう言っている。


 だが、ティギのスープってのがわからん。おれの第六感をもってしても。


「ティギのスープってのはどんな料理なんだ?」


「ティギはこう地方でよく取れる野菜の一種で、なんといいますか、形はこうふんわりとした三角形をしているといいますか、食感はシャキシャキして、切ると涙が止まらないんですよ」


 シルクちゃんは、両手を使ってふんわりとした三角形を形作っている。

 ふんふん、話を聞く限りこれはもう、タネネギしかありえないな。おれの第六感が以下略。


「なるほどな、よくわかったよ。またひとつ賢くなった」


「すみません。あまり説明が上手じゃなくて」


「いやいや、だいぶわかりやすかったぞ? おれはすぐにわかったし」


「それであれば、よかったです」


 ニコッと、微笑を浮かべる。マイエンジェルシルクちゃん。勝手に自分のものにしました。大丈夫。妄想の中だけですから。


 はぁ〜いつまでも眺めていられるわぁ〜。この笑顔。切り取って額縁に飾っておきたいわぁ〜。


 その後いただいたシルクちゃんの手料理は非常に美味でありました。ここを出ても毎日通う所存です。

5秒時間をください。


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