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前回のあらすじ
レンちゃんはわがまま
「さて、あいつを呼び出すか……」
おれは右手の中指に嵌めている青い宝石が付けられたシルバーのの指輪に魔力を込める。すると淡い輝きが宝石へと宿る。
そして徐々に光が増していき、一瞬だけ目もくらむような閃光とともに現れたのは、おれの契約精霊ルディアであった。
ルディアは前にあった時と変わらずに美しい空色の髪に薄い色の羽衣姿でおれの前に現れた。
「ふふっ、お兄さん、お久しぶりですね」
薄い微笑をおれに見せる。
「あぁ、でもまだ一ヶ月も経っていないんじゃないか? おれたちがあの水辺から離れてから」
おれがそういうと、ルディアは片手で顔を隠し、ううっと泣き真似をする。そして、こちらへと悲しげな視線を向ける。
「……そんな、私はずっと呼んでくれるのを待っていたのに……一ヶ月も放置された私の気持ちも少しは汲み取ってくれても良いではないですか……お兄さんは酷いお方です」
「すまんな、おれも色々と立て込んでいてな。呼ぶ暇がなかったんだよ。許してくれ」
「キスしてくれたら許します」
でた、このキス魔。相変わらずのキス魔のようだ。なんでこの精霊は魔力を渡す方法にキスを選ぶのだろうか? 不思議である。まぁ? おれとしては? 精霊とはいえ見た目はかなりの高レベルな美少女なのでキスをすることに抵抗などあるはずもない。抵抗値ゼロである。オームゼロ。
ルディアは瞳を閉じたまま、口をつぼめ、若干照れた様子でキス待ちしている。
「魔力を渡す前にルディア、頼みたいことがあるんだ」
「……頼みたいこと……ですか?」
おれが声を発すると、キス待ち状態を解除して、目を開けたルディア。コテンと小首を傾げ、頼みとはなんでしょうか? という表情でおれを見上げる。
「これから一時間くらい、あそこに見えるテントの中でやる事があるから、それまでの間、おれたちの見張りをしていてくれないか?」
「……見張りですか」
ルディアは、テントの方へ視線を向けると、きらりとサファイア色の瞳が輝いた。すると納得したように、頷くとおれに視線を戻す。そしておれにこれまでにない極上の微笑みを浮かべると、ほんの少し声を震わしながら、口を開いた。
「……………………なるほど、つまりお兄さんは、あの女と乳繰りあいたいから、私にその間、見張りをしていろ──と、そう言いたいわけですね?」
「──人聞きの悪い言い方するな!?」
いや、本当に人聞きの悪い誰かが聞いていたらどうするんだ全く……。しかし、確かに考えようによっては、そう捉えられなくもない。テントの中で男女が二人きり、そうなると間違いの一つや二つ三つくらい簡単に起こる。起こってしまう。これは必然で自然な事で決して偶然では起こり得ない。そういう風に男女というものはできているのだ。
しかし、ルディアのやつ、テントの中を透視でもしたのか? なんでテントの中にいるレンちゃんの姿が見えるんだよこの精霊は。前に言っていた「私はかなりの上位の精霊なんですよ〜」という言葉に信憑性が出てきたぞ全く。
それにしても、この精霊様はなにやらご機嫌斜めのようである。これはあれか? 久しぶりに呼んだのに、頼みごとがおれとレンちゃんのの見張りで、自分が蔑ろにでもされているとでも感じてるのだろうか? そうだったらフォローをしておかないといけないな。
「……ルディア、怒っているのか?」
「……別に、そのような事はありませんよ? 精霊が人間同士の営みに口を出すなど、あろうはずがありません。お兄さんは気にせずに見張りは私に任せて、ごゆっくりとあの女と楽しんできてください」
ぷいっと、あさっての方向を向き、腕を組んで私怒っていますのポーズを取るルディア。何度かその姿を見て微笑ましい気持ちになる。精霊っていっても人間とあまり変わらないんだなと思って少し笑ってしまう。
おれが笑っているのが面白くないのか、ルディアはこちらを半開きの目で凝視する。見た目二十歳の綺麗系の美女のジト目ってのもまたいいもんだなとついつい思ってしまう。
「……なんですか? お兄さん?」
「すまんすまん、つい、な。ルディアが可愛すぎて思わず笑みがこぼれてしまったようだ」
「……………………そんな事で私の機嫌は直りませんよ? ……………………もっと可愛いを要求します」
機嫌は直りませんよと言いつつ、ルディアの雰囲気はすでに緩み、顔もピクピクと口元が引きつりうれしそうにしていることがバレバレであった。なんかこういう大人の女性がおれの言葉に照れている姿っていうのは、グッとくるものがあるな。すごく嬉しくなってくる。
おれはルディアの期待に応えるために、彼女へと近づき、ギュッと抱き寄せる。ひんやりとした人肌よりかなり冷たい感触がなんだか心地よい。それにすごくいい香りが風に乗っておれの鼻までやってくる。ルディアの匂いはとてもおちつく香りだ。
「……お兄さん? どうしたんですか? 急に抱きしめたりして……」
「いやなに、水の精霊さんがつい可愛くてな。男というのは可愛い女の子を見るとつい抱きしめたくなる生き物なんだよ」
「……そうですか、ふふっ、それはとても嬉しいですね。精霊の私もお兄さんにとっては可愛い女の子って事ですね。……………………しかし何故でしょう? お兄さんに言われると胸に染み入るようにとても嬉しいです」
ルディアは見るもの全ての人を魅了するかの如く、蠱惑的な表情を浮かべている。今この顔を見ることができるのはおれ一人だと思うとなんだかとても誇らしい気分になる。
つい、抱きしめる腕に力が入る。女性特有の柔らかな肢体がおれの感覚を刺激する。
「そうか、それは良かったよ。……………………ルディア、ごめんな。君を蔑ろにするつもりはなかったんだ」
「ふふっ、お兄さん? なにを謝っているのですか? 私は最初から怒ってなどいませんよ?」
「……………………」
とか言いつつ、嬉しそうにグリグリと胸に顔を埋めてくるルディア。いやこれ絶対謝らなかったらもっと面倒になっていたやつだこれ!! 女性の怒っていない発言など信用ならない。ここだけの話をしてくる友人ほど信用ならんわ!!
「……それじゃ許してくれるか?」
「ふふっ、許すもなにも私は最初から怒っていないと言っていますのに……ですがお兄さんがそこまでいうのであれば許さないわけにはいかないですね、今回だけですよ? このようなことは」
「ああ、助かるよ」
誰もが魅了されるような笑顔をこちらへと向けてくるルディア。人では出せない魅力がその微笑みにはあった。おれは改めてこんなに素晴らしい精霊と契約できたことに神に感謝するのであった。
すると精霊ルディアは先ほどと同じように、薄く瞳を閉じ口をつぼんだ。キス待ちである。
「……………………」
ま、まぁ? どちらにしろ魔力は渡さないといけないのだし、キスをする事はすでに確定事項なのである。不変の定めなのである。これはあくまで契約上仕方なくするのであって、決してやましい気持ちでするのではないことをここに表明しておきたい。
おれは意を決して、水の精霊さんの両肩に手をおいた。その際にピクッと肩を震わせる美少女の反応。……自分からキス待ちしておいて、こういざこちらからキスしようとすると緊張している女の子ってすんごい萌える。可愛さの天元突破をおれは見た。
整った顔へと、唇へと自分の唇を寄せていく。吐息がかかる距離、睫毛が長いことも窺える。こんなに近くで見ても透き通るような肌におれは感嘆した。
目を閉じ、触れ合う上唇と下唇。
「……………………ん」
ルディアの艶やかな声が静かな森の中に、ゆっくりを流れる感覚がした。
五秒ください。
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