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前回のあらすじ
レンちゃんを待ちぼうけ
「おれのこと覚えているか? マナブって言うのだが、教会であったことがあると思うんだが……」
「……う、うん、覚えてるよ」
「そうか、それは良かった。んで君の名前はなんて言うんだ? それと、こんなところで何をしているんだ? ここは特に屋台とか店があるようなところではないだろう?」
「……………………えっと」
おっと、急に色々と聞きすぎたみたいだ。相手はまだ幼い男の子だ、おれのような歳の男には言いづらいこともあるのだろう。ここは急かすのではなくゆっくりと余裕を持って大海のような心持ちで待ってやるとしよう。あのアホなフラッチェもまだこないし。おれが和かな笑顔を浮かべつつ、待っていると、男の子はゆっくりと事情を話し出した。
「……僕の名前はマット……えっとね、僕の友達がいなくなっちゃったんだ」
「ほう、友達がね」
マットね、よし覚えた。しかし友達を探していたのか、教会の子供だろうか? しかしここから教会まではそこそこ距離があるぞ? こんな子供が一人で出歩くのには不安のある距離だ。
「友達ってのは教会の子供か?」
「ううん」
首を横へと振るマット。なんだ? 教会以外にも友達がいるとは意外と交友関係が広いのだろうか? そうおれが頭で考えていると。
「……精霊さん、なんだ」
「……精霊だって?」
どう言うことだ? 精霊って一体どう言うことなんだ? もしかするとこの子も精霊と契約しているのかもしれない。おれと一緒ってことか?
「……お兄さんは水の精霊さんと友達なんだよね?」
「わかるのか?」
「……うん、生まれた時からずっと、僕にはそういうのがわかるんだ」
「そうなのか……」
あの教会にいる子供たちって何だかすごい子たちがまだまだ沢山いそうで面白そうだな。今度しっかりと皆に挨拶でもしに行こうかな。なんかお菓子でも持って。
「僕も教会で土の精霊さんのイテムと友達になったんだけど、今日朝起きたら、いつの間にかにいなくなっちゃったんだ……それで僕、ここまで探しに来たんだけど……」
「その、なんだ、マット。君は精霊がいる場所がわかるのか?」
「うん……大体の場所は分かるんだけど、ここまで来て気配がなくなっちゃったんだ……もしかしたら街の外まで出ちゃったのかもしれない」
街の外に出てしまったのであれば、マットのような子供では探しに行くことはできないだろう。
「因みにマットはその精霊と契約はしていたのか?」
「……契約かはよくわからないけど、なんかいつもイテムと遊ぶ時、身体の力がすこし抜けたように感じることがあるくらい……かな」
「……そうか」
いや、それ勝手に魔力を抜かれていないか? 結構危ない精霊ではなかろうか? イテムって精霊は。そのことはシスターシアンは知っているのだろうか?
「マット、精霊と遊んでいることはシスターシアンは知っているのか?」
「知ってるよ。だけどイテムは僕が一人の時にしか姿を見せてくれないから……」
そうか、その土の精霊はマットにしか姿を見せないんだな。確かにおれが契約しているルディアも気に入った人間にしか姿は見せなかったもんな。マットもシスターシアンに本当に精霊と遊んでいると思われているのか心配なのだろうな。しかしどうして急にいなくなったのか……。何か理由でもないものか。
「何か、いなくなった理由とかわからないか?」
「……う、うん、そういえば昨日、イテムと遊んだ時にそろそろ僕の誕生日って教えてあげたんだ、それで去年食べたハチミツを使ったパウンドケーキが美味しかったとか、でも今年は養蜂場がモンスター襲われて、全然ハチミツが採れないから無理かもなぁとか話しちゃったから、もしかしたらイテム、何処かでハチミツを探しに行っちゃったのかもしれないんだ」
「……いなくなった理由はそれっぽいな」
「──やっぱり!」
確実にハチミツを採りに街の外でたんだろうな。その精霊は。なんだ、案外まともなやつかもしれないな。勝手に魔力を吸い上げるのはよくないが。しかしこれなら好都合だ、おれのランクアップ試験のついでにマットの精霊探しをやってやるか。
「マット、おそらくその精霊のイテムって言ったか? そいつはスクロースの森に言ったのだろう、あそこにはハチミツが採れる場所があるからな」
「そんな……」
「だが安心しろ、ちょうどおれはそこに用事があるんだ。だからイテムのことはおれに任せて、マット、お前は教会に戻っておけ」
「……お兄さん、いいの?」
「子供がそんなに気を使わなくていい。おれに任せておけって」
そういって金髪をわしゃわしゃする。マットは男の子だが、中性的な顔立ちでまだ女の子みたいにしか見えなかった。マットはここで初めておれに笑顔を見せてくれた。ずっと心配そうな表情だったからな。やっと安心してくれたか。しかし契約しているのであればおれみたいにいつでも呼び出すってことは出来ないのだろうか? ルディアはいつでも呼び出してくれて構わないとかいっていたけど、他の精霊は違うのだろうか?
「なぁ、マット、精霊ってのはいつでも呼び出しに答えてくれないのか?」
「……? イテムはいつも僕が一人になると勝手に出てくるからよくわからないよ? それに僕から呼んでも出てきてくれたことは一度もないんだ。周りに人がいたからかもしれないけど」
ふうん、そんなもんか。同じ精霊でもいろいろと違ってくるんだな。まぁルディアはあれでかなり上位の精霊って自分で言ってたし、それだけ自由が効くんだろうな。そう言うことにしておこう。
「わかった、ありがとうな。じゃあとはおれに任せてお前は帰っておけ。あ、教会まで送るぞ? 一人じゃ危ないだろう」
「ううん、大丈夫、僕こう見えても男だから、教会までの道もちゃんと覚えているから」
「そうか、男だもんな!」
「うん! じゃあね! お兄さん。イテムのことよろしくね!」
元気よくかぶりをふるとマットはしっかりとした足取りでかけだしていった。元気なこった。しかし面白い精霊もいたもんだな、わざわざ自分の好きな人間のためにハチミツを採りに行こうとするなんてな。精霊ってのは気に入った人間にはトコトン尽くすタイプなのだろうか? 少なくともそのイテムっていう精霊はそうなのだろうな。でもおれが契約しているルディアだった負けていないぞ! っと誰も聞いていないのに言い訳をするおれだった。
*
「マナブ!! 待たせたわね!!」
バァァァァァァーーーーーーンっとレンちゃんの後ろに効果音が見えてるが如く。全く悪びれもせずに堂々と戻ってきたレンちゃんことフラットチェスト。こいつ本当にいつまで待たせる気だよ。全く。
マットが去ってから、体感でさらに一時間。待ちくたびれたおれは西門の門番の人と世間話をして暇を潰していた。なんでも最近、スクロースの森からモンスターが現れる頻度があがったらしい。しかもそのモンスター達は何か刺されたような傷跡が多数あり、この街にたどり着く前に絶命しているものも多かったらしいとかなんとか。
あとは、主にエロトークだった。女性のタイプとか胸派? お尻派? とか下世話なトークで意外と盛り上がった。名前も知らぬ西門の門番の人のおかげでおれは暇を潰すことに成功したのであった。そしておれは街から外へ。
「……やっと街から出られた」
さて、場所は変わって西門を抜けた広い草原。
これからスクロースの森まで徒歩で三日はかかる。まずはこの名もなき草原を抜けて、すぐに鬱蒼とした森の中へと入る。
木々の種類などが急に変わってくるのが目印になるのだとか、ミミカちゃんが言っていた。あのネコ耳美少女は本当に優秀である。いつもおれにありがたい情報を与えてくれる。
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