4
3
「こんにちは、ミミカさん」
「あら、シルクちゃんなのです? どうしたのですか?」
首を傾げて、可愛らしくてを顎へ当てている。素でこんなポーズをやってのけるとは凄すぎるわ。あとちんまりしていてかわいい。
「ちょっと報告したいことがありまして……」
「報告です? ……何やら訳ありっぽいのです。分かりましたです、少し待つです」
チラリとおれの方へと一瞥するミミカちゃん。すると席を立ち、後ろへ引っ込んだ。どこ行くんだろ? 上司にでも報告が? あとおれをチラ見した理由は?
「シルクちゃん、彼女はどこいったの?」
「はい、多分ですがギルドマスターを呼んでくるのだと思います」
「ギルドマスター? ってこの冒険者ギルドで1番偉いやつか?」
ギルドマスターか、ギルドに来て早々あ偉いさんに会うのは面倒だな。シルクちゃんがいなかったら即退散するところだったぜ。良かったな、ギルドマスター。
「はい。このプレの街の冒険者ギルド一番偉い方ですよ。彼自身も元冒険者で、現役の頃はAランクだったそうですよ?」
へぇ〜Aランクか、ってことはそこそこ強いんかな? 知らんけど。牛肉のAランクは好きだけど。関係ないけど。
「Aランクって強いのか?」
「Aランクは冒険者全体で一%しかいないすごい方々ですよ! 噂ではドラゴンを一人で倒したり、超希少な薬草を単身で採集したり、とてもすごい偉業を数々こなしていると言われています!」
ドラゴンを1人で倒し切るのはすごいかも知れん。まぁ、ドラゴンがどの程度のレベルなのかおれは見たことないからなんとも言えんが。
おれは、自分の目で見たことしか信じないタイプの人間だから、他人の話は話半分くらいに聞いておいた方がよろしいな。
「へぇ〜ドラゴンを一人でってのはすごいかもなぁ」
「でも、わたしはマナブさんがの方がすごいと思います。あの《ビックベアー》を無傷で軽々倒したあの力量は目を見張るものがあります。これは未来のAランク冒険者も夢ではありませんね」
おれをヨイショてしくれるかわいい美少女天使シルクちゃん。彼女はなんでこんなにもおれに好意的なのだろうか?
やはり、あのクマ公から助け出したのが良かったのかもしれんな。はぁ、いまは亡きクマ公様、感謝。
だか、おれはAランク冒険者などにはあまり興味はない。興味があるのはかわいい美少女との触れ合いのみ。それこそ我が人生。
「Aランクかぁ〜。おれはあんまし興味はないかな〜。そんなのになるくらいならシルクちゃんの薬草採集の護衛をしていたいな」
「えぇ!? そ、そんなマナブさんほどを実力者をわたし程度の護衛に使うなんて! も、勿体無いですよ! 宝の持ち腐れですよ! マナブさん!」
ワタワタと慌て出す可愛い美少女がおる。
両手を前に突き出し、パタパタと掌を向けプルプルしている。かわいい。こう美少女はどんな言動をしても美少女だから許されるよなぁ。
美少女は生まれたその時点で人生勝ち組って感じだな。
「いやいや、おれとってはシルクちゃんの方が大事だからさ。また薬草採集するときはおれを呼んでよ。すぐ行くから」
「は、はい。ありがとうございます。ですが薬草採集は二週間に一回くらいのペースでしか行きませんので、そうそうマナブさんのお時間をいただくことはないと思います」
二週間に一回か。
今日がその二週間の一回で良かったぁ! いやぁ運がよろしい! 今日じゃなかったらシルクちゃんに出会えてなかったってことだからな。
「いいよ、わかった。二週間に一回ね。んじゃおれはその間に他の依頼でもこなしてそこそこランクを上げることにするよ」
「はい、マナブさんならすぐにランクアップできます!」
ニコッと可愛らしく笑顔になるシルクちゃん。笑顔大安売りだな。この子常にニコニコ笑ってるぞ。まじ癒されるわ。
シルクチャの笑顔を真正面からガン見しているとミミカちゃんが戻ってしたようだ。
「すみません、お待たせしたです。ではわたしの後についてくるです。ギルドマスターがお待ちですです」
チラリとおれに視線を向けるミミカちゃん。なぜこんなにちらちら見てくるのだろうか? おれは真正面からシルクちゃんを見る度胸があるのに。
彼女もおれを見習って、おれを真正面から、なんだったら至近距離から眺めて欲しいくらいだ。ミミカちゃんならオールOK。
トコトコとちんまい足で歩くミミカちゃんについて行き、とある個室へと入る。なになに? ギルドマスターの部屋? ドアの前にそう看板が書いてあった。
というか、おれこの世界の文字読めるんだな? これも神様チートか?
コンコンッ、ミミカちゃんがノックする。
「どうぞ〜♪」
ガチャリと、ドアの開く音。
「失礼しますです」
そこにいたのは、銀髪の超絶美少女だった。窓から差し込む日の光でキラキラが輝く髪は神の如く神々しい。
一体、どうしたらこんな美少女が生まれてくるんだ? どうなっての!? 異世界! 素晴らしい! ありがとう!
「ミミカちゃーん! つーかまーえた!」
「はわっ! な、何ですか! マスター!」
銀髪美少女がネコ耳美幼女に抱きついている。なんだこれは? おれも混ざりたい。一緒に抱きつかれたい。
いきなりの光景に妄想が若干暴走しつつあった。だが、ここはクールにいこう。ザッツクール。
「ミミカちゃーん。マスターじゃなくてお姉ちゃんって呼んで? お姉ちゃん? いい?」
「……い、嫌なのです」
もじもじと顔をそらすミミカちゃん。あれはあと少し押せばお姉ちゃんって呼んじゃうんじゃないかな?
「うーん、釣れないなぁ。ミミカちゃんは」
プクーっと頬を膨らませる銀髪美少女。これまた再三言うが、美少女はどんな表情をしてもかわいいのだ。これが美少女たる所以である。
「マ、マスター。先ほどお話しした様にシルクちゃんが報告したいことがあるそうなのです。ちゃんとお話を聞いてくださいです」
「おっと、そうだったね! ごめんごめん」
ぺろっと舌を出し誤る銀髪美少女。
「ごめんね? 待たせちゃってミミカちゃがあまりに可愛くてね。ついつい愛でてたんだよ。そうしたらいつのまにか時間が過ぎてってちゃって」
「確かに彼女がかわいいと言うのは同意する」
ミミカちゃんのネコ耳をもふもふしたいです。あと尻尾も。
「おっ! 君もミミカちゃんの可愛さがわかるの? だよね! ミミカちゃん! かわいいよね! マジ天使!」
「あぁ! その通りだ! なんだここのギルドマスターはどんな人かと思えばこんなに話のわかるやつだったのか」
「そうだよ! わたしは話のわかるギルドマスターなんだよ! よく言われるよ、ロココちゃんは「なんでも言うこと聞いてくれて助かるよ」って」
「それって、いい様に使われていませんか? ロココさん?」
どうやら、このギルドマスターはいい様に使われているらしい。こんなにかわいいのに、かわいそうに。おれもいい様に使おうと思う。
「ギルドマスターの名前ってロココって言うのか?」
「そうだよ? 気軽に呼んでね? ロココちゃんって」
ニコニコっと笑うロココちゃんはこれまたかわいい。黄金比の笑顔だな。神の造りしスーパーフェイス。神顔。
「あぁ、わかった。ロココちゃん」
「ふふっ、ロココさんは相変わらず面白いですね」
「ん? シルクちゃんとロココちゃんは知り合いなのか?」
フランクに話す二人。聞くまでもなく知り合いっぽいが聞く。
「はい、ポーションをギルドへ納品するときに少々お話をする機会がありまして」
なるほどなぁ。というかシルクちゃんはポーションが作れるのか。すごいな。あとで売ってもらうか。でも、おれには必要ないかもなぁ。《頑丈》チートがあるし。
「そうそう! シルクちゃんの作るポーションはプレの街一品質がいいんだよ! 味もなかなかいけるし!」
「そ、そんな。わたしなんて。おばあさまが凄いのであってわたしが凄いわけではないですよ。ただのお手伝いですし」
「またまたぁ、謙遜しちゃってぇ〜」
「い、いえ、本当のことですから」
ほー。シルクちゃんはおばあちゃんがいるのか。またひとつシルクちゃんについて賢くなったわ。もっと情報を求む。
5秒時間をください。
もし、よろしければ《評価ボタン》をタップして頂けると助かります。