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前回のあらすじ
シスターシアンとキス寸前
「……何とか出てこれたか」
あれから子供たちが乱入してきて大騒ぎ。シスターシアンはそれを収めるためにてんやわんや。カレンはあの大騒ぎでも目を開ける事はなかった。しかし、シスターシアンの修道服から手を離していたところを見るに、この子確信犯である。だがグッジョブ! 可愛い顔してなかなかやるぜ!
教会を出てすぐの通り、日もだいぶ下がっていた。結構長居していたな。そろそろ戻るかと踵を返す。
すると前方に吸い込まれるような綺麗な金髪の持ち主シルクちゃんの姿を発見した。おれは電球に群がる羽虫の如く、吸い込まれるようにシルクちゃんへと足を運ぶ。近くまで来るとシルクちゃんもおれに気づいたようだ。
「あっ、マナブさんっ」
おれに気づくと、シルクちゃんは満面の笑みを浮かべ、嬉しそうにこちらへ歩いてきた。手には手提げバックみたいなものを持っていて、何やら買い物をしていたみたいだ。
「シルクちゃんは買い物か?」
「はい、そうなんです。今ちょうど野菜が安かったので買ったところなんです。ティギなんですが」
「ティギってあれか、前にスープで出してくれた奴か」
「そうです、あのスープをまた作りたいと思いまして」
シルクちゃんと和やかにお喋りを楽しみつつ、おれ達は通りを進んでいく。シルクちゃんが作るティギのスープは絶品だからな。早く食べたい。因みにティギってのは前の世界の玉ねぎみたいなもんだ。玉ねぎのスープって美味しいだろ? そういうことだ。
「あと他に買うものとかあるのか?」
「そうですね、あとはお肉などを買おうかと」
「肉はいいなぁ、おれもさっき食べたんだよ。月明かり鳥の串焼きをな」
「月明かり鳥って美味しいですよねっ、私も大好きなんですっ!」
こちらへ天使の笑顔を振りまく美少女シルクちゃん。やはり美少女というのは見ているだけで癒しを与えてくれる。一日の疲れが吹き飛ぶようだ(大した仕事はしていないが)。
「あっ、でしたら今日は月明かり鳥とは別のお肉にしないとですねっ、マナブさんはどんなお肉が好みですか?」
おれの思考の中に一瞬、シルクちゃんの胸のお肉が食べたいですと、かなりゲスいセリフがリフレインしたが、おれはそれを口から吐き出す前に飲み込むことに成功した。ふぅ、危ない危ない。危機一髪。こんなセクハラ発言、家を追い出されてしまうぜ。
「そうだな……シルクちゃんのおすすめはどんな肉だ?」
ここは現地の人に聞くが早い、おれは異世界人だからどんな肉や食材があるのなんてさっぱりだ。わからん。
「でしたら、デロックブタのお肉なんてどうでしょうか? 普通に焼くだけで肉本来の甘味がでで美味しいお肉なんですよ、 デロックブタは」
「ほう、デロックブタね……」
「お値段もお手頃ですし、栄養も満点のお肉なので、プレの街ではよく食べられていますよ」
そうだったのか……。おれはこの世界に来てから、自分が食っているものを全然意識していなかったな。人は意識していないものは全然気づけないものだということが改めて認識できた。次からは気をつけてもっと色んなものに意識を向けていこうと思う。
「じゃ、それでいこう」
「はいっ、では精肉店へ行きましょうか」
「そうするか」
っと、おれはうっかりしていた。
おれとしたことが気付くのが遅れてしまったな。あれだあれ、シルクちゃんに手荷物を持たせたままであった。
おれは紳士。ジェントルメンだ。
女性に箸より重たいものを持たせるわけにはいかない。まぁこの世界には箸とか無かったけど。探せばあるかもしれないが、まだおれは見ていない、スプーンとフォークみたいなもんはあったな。まぁどうでもいい話は置いておいて、問題はシルクちゃんの手荷物を早く持ってやらないといけないということだ。
「シルクちゃん、荷物重いだろう? おれが持つよ」
「ふぇ、いいですよっ! マナブさんっ、そんなに重くないですし……」
「いや、なに、一緒に歩いていて女性に思い荷物を持たせるとあっては男として自分が許せなくてな。おれを助けると思って持たせてくれないか?」
「……で、でしたら……半分だけ、持っていただけますか?」
半分だけ、手荷物を持って欲しい。
それはかの有名な同性カップルや新婚さんがやるというお買い物した帰り道の荷物一緒に持とうよイベントではないかっ!
……シルクちゃん、なんて素晴らしいことを思いつくのだろうか……アイディアウーマンだな。革命児だ。
「じゃ、半分だけ持たせてもらうぞ?」
「はい、ありがとうございますっ。助かりますっ、マナブさんっ」
手提げバック持ち手を半分持ってやると、もう片方の持ち手を持った、シルクちゃんはさも機嫌がよさそうに満面の笑みを浮かべた。嬉しそうで何よりである。おれもシルクちゃんにそこまで喜んでもらえて嬉しいよ。
しばらく二人で歩くと、精肉店に辿り着いた。すると、精肉店のおっちゃんの店員がこちらを見てると、声をかけてきた。
「ヒューヒュー、お二人さんお熱いねぇ! シルクちゃんっ、恋人かい?」
「んもうっ、ワタさんっ、からかわないでください! マナブさんとは、そういう関係では無いんですよっ! ……………………まだ」
恋人と言われたシルクちゃんは顔を真っ赤にしてワタワタ慌てていた。
気軽に話し合う二人はどうやら顔見知りらしい。しかし、恋人とは良いことを言ってくれるおっちゃんじゃないか。いいぞ! もっと言え! どんどん言え!
それにシルクちゃん、そういう関係は……まだ、ということはどういう事なの! まだって事はいつかは可能性があるって事!? そういう事なの!? 普段の反応から好意を向けられている事は分かっていたが、改めてそういうことを言われるとますますシルクちゃんのことが好きになりそうだ。
「そうかい、違ったかい! そいじゃシルクちゃんの旦那さんだったかっ! ガハハハハハハ!!」
「……そんな……旦那さんだなんて……まだ、結婚もしていないのに……でも……マナブさんとなら…………気が早いかな……?」
さっきは恋人という言葉に身悶えていたシルクちゃん。今度は旦那さんというキーワードにすじりもじっていた。シルクちゃんのダイナマイトボディがクネクネ動いているとなんだかいやらしい。とても可愛いが、おれ以外の男に積極的に見せたい姿ではないな。
「シルクちゃん、デロックブタを買うのだろう?」
「結婚、同棲……………………はっ! そうでした!」
なんだか頰に手を当て、くねくねと妄想に浸っていたシルクちゃんはおれの声にやっと反応して意識が戻ったようだ。やれやれ、かわいい。美少女は何をやっていてもかわいいから困ったちゃんだよ、全く。
「ワタさん、今日はデロックブタの肩肉ともも肉を三百グラムずつ頂けますか?」
「あいよ! デロックブタだね! あれをこうしてこうやって……はいよ! いっちょ上がり! 持っていきな!」
「ありがとうございます、それじゃこれ、お金です」
「毎度! また来てね!」
「はい、では失礼します」
明るくテンションの高い精肉店のおっちゃんに軽くペコリとお辞儀をするシルクちゃん。しかし中々に気の良いおっちゃんであったな。おれとシルクちゃんの事を恋人やら夫婦やら今まで見てきた中で一番お似合いのカップルだなとか(言ってない)。おれも機会があればまた寄っておこう。
「それでは帰って夕飯にしましょうか、マナブさんっ」
「そうするか、おれも夕飯の準備手伝うよ」
「いえいえ! マナブさんはギルドのお仕事でお疲れでしょうから、私にお任せください! それにお婆さまも手伝ってくれますし、マナブさんはどっしりと座っていてくれたらそれで良いんですよ」
相変わらずシルクちゃんは優しくて、人をダメにしてしまうオーラを出している。このままシルクちゃんの家で生活をしていると、マジでヒモになってしまいそうで若干怖い。だがそれでも良いかなぁ、と思う自分もいるのでより一層気を引きしめ、シルクちゃんと一緒に家へと帰るのであった。
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