34
33
前回のあらすじ
マリーと串焼き食べに行く
「ここが私のおすすめのお店だよ!」
「ほう、ここが」
昼下がり、幼女に手を引かれ、連れられて来たのは一軒の屋台だった。辺りには他にも何か食べ物の屋台がずらっとがやがや並んでいる。何だか日本の祭りみたいだな。この感じなんだか好きだな。お腹が空きそうないい匂いもするし。
「おじちゃん! 月明かり鳥の串焼きの二本ください!」
「マリー、二本じゃ少ないだろう。遠慮するな、もっと頼もうじゃないか。──おじさん、追加で二十本いいか?」
「あいよ!」
「お兄ちゃん! そんなにたくさんいいの?」
心配そうにこちらを見上げるマリー。おれは頭をポンポンしてやる。
「いいんだよ、それに教会には子供たちがいるんだろ? その子たちにも食べさせてやらんとな」
「ありがとう! お兄ちゃん!!」
またもや、おれの腹あたりに突撃するように抱きついた美幼女マリー。おれは小動物を愛でるようにマリーの髪を撫で撫でする。はぁ、癒しの権化や。一家に一人欲しいところだな。
「ところでマリー、おれは月明かり鳥っていうのは初めて聞いたんだが、どんなモンスターなんだ?」
「マリーも詳しく知らないけど、シスターが言うには、このくらーい大きな鳥さんらしいんだ」
マリーは身体いっぱい使って大きな丸を空間に描く。ふむふむ、マリーの身長は見た目で百二十センチくらいだから、こう両手を目一杯上げて大きさを表現しているところを見ると、月明かり鳥っていうのは、体長が百六十センチくらいはありそうだな。結構でかいな! 月明かり鳥!
というか、身体いっぱい使って教えてくれるマリーめちゃ可愛かった。俺はすぐさま心のハードディスクへと記録した。
「そうか、マリーはよくものを知っているな。ありがとうな、教えてくれて」
「えへへ〜」
撫で撫で。髪を軽く撫でてやると、頬を緩ませ、こちらを信頼し切っているように目を閉じた。こんなに信頼してくれてお兄さん、感無量です。前の世界だと考えられないな。こんな事していたら事案だよ事案。即ピーポーからの豚箱行きだな。
そんなこんなで、美幼女マリーと戯れていると、串焼きがどうやら出来上がったようだ。
「へい、お待ち! 月明かり鳥の串焼き、二十二本ね! 熱いから気をつけて!」
「ん、ありがとうおじちゃん!」
何かの植物の葉っぱに包まれた串焼きを嬉しそうに受け取るマリー。いい笑顔だ。
「おじさん、じゃこれ金な。「まいど!」それじゃマリー、あそこの噴水の前で食べて行こうか」
「うん!!」
マリーと二人、この屋台通りの中央にある噴水の淵に隣同士で腰掛ける。マリーはというと年相応に子供らしくはしゃぎながら串焼きの包みを開けていた。そして一本取り出すと俺に向けて差し出した。
「はい! お兄ちゃんからどうぞ!」
「ありがとうな、マリーもたくさん食べろよ」
「うん!!」
笑顔が可愛かったので、思わず髪を一撫でする事にした。マリーは条件反射で頭を差し出し、嬉しそうに目を閉じる。どうやらおれは無意識のうちにこの美幼女を躾けてしまったらしい。うっかり八兵衛。
受け取った月明かり鳥の串焼きは、改めて見ると結構な大きさだった。これで一本銅貨八枚はかなり安いと思う。だって、一本の大きさがおれの掌より大きいんだぞ? 長さがね。二十センチは軽々と超えているぞ? 精算度外視ってやつだな。応援するために毎回買わせてもらおう。
マリーを見てみると、こんな大きな串焼きを一生懸命小さな口で頬張っていた。食べている姿まで可愛らしい。保護欲を駆り立てられる。この光景を見られるなら何度でも串焼きを奢りたい気分になってくる。なってくるというかもう既になっていた。
「マリー、美味しいか?」
「うん! 美味しいよ! お兄ちゃんが買ってくれたからいつもよりもっと美味しいよ!!」
「──っ、マリーは本当に可愛いなぁ」
わしゃわしゃと撫でるおれ。マリーは本当に可愛いことを言ってくれるなぁ。お兄ちゃん思わずキュンキュンしちゃったよ。
それから、はぐはぐと一心不乱に食べ続け、串焼き一本を完食したマリー。おれは先に食べ終わっていたが結構、量があったな。一本でかなり満足いく量だった。あと二十本もあるが、そういえば教会にいる子供たちの数を聞いていなかったな。数を聞いてから買えばよかったかな? まぁでも、塩漬けにでもすれば保存できるだろ。と思い一旦そのことは棚上げしておいた。
「ところで、マリー聞きたいことがあるんだが、教会には子供たちは何人くらいいるんだ?」
「えっね……エリー、エイミー……カズ、にそれに……………………私を入れて十三人くらいいるよっ!」
ほうほう、まぁまぁいるな。そのくらいいればさっきの串焼きもすぐになくなるだろう。無駄にならずに済んでよかったよかった。
ところで、さっきマリーが男の子っぽい名前を言っていたが、もしかしてそういう関係とかだったりしないのではなかろうか? マリーはおれの娘だぞ!!(勝手すぎる考え)半端な奴にマリーを渡すわけにはいかない! ここはおれが直々に教会へ出向いて見極めてやるしかないようだな。もともと教会へはいくつもりだったけど。
しかし、マリーくらいの年でもう教会でお手伝いをしているくらいだ。他の子供たちも何かやっているのだろう。一体どんな事をやっているんだ?
「他のみんなはいつもどんな事をしているんだ?」
「男の子は教会の裏にある畑仕事とか、女の子はシスターのお手伝いとか、パン作りとかお菓子作りとかしてるよ」
へぇ、やっぱり子供でも働かないと生きていけないんだな。まぁでもマリーも働いているしそんなもんか。この世界は、おれが前にいた世界とは大違いだな。
ところで女の子たちはパンとかお菓子とかを作っているのか……。ちょっと食べてみたいな。でもこの世界は甘いものがあまりないんだよなぁ、だから教会で作っているお菓子も甘くはないかもしれない。そういえば今度のランクアップ試験はハチミツ採集だったな、よし、余ったら教会に持ち込んで子供たちとお菓子作りでもしてみようかな。
と、おれが幼女たちに囲まれて、お菓子作りに励んでいる妄想をしているとマリーから声がかかる。
「そういえば、お兄ちゃん、シスターにどんな用事なの?」
と、食べ終わってすぐ、そう聞いて来たマリー。
「ん? あぁ、マリーが売ってくれたヨドシダ草があるだろ? さっき売っていた白い花」
「うん」
「あれをな? もっと高い値段で買ってくれる人を見つけたから、それを伝えに行きたいと思ってな」
「ほんと!? それを聞いたらシスター喜ぶよ!」
ぴょんぴょんと跳ねるように、腰掛けたその場で嬉しさを身体いっぱい使って表している美幼女。おれは噴水の中に落ちそうで、おれだけが心配だった。しかしマリーは、かなりシスターのことが好きなんだな。これだけ好かれているということは、いいシスターなのだろうな。これから会うのが楽しみになって来た。
この世界の美少女達は会う人会う人、見た目よし、ルックス良し、顔良しの三拍子揃っているからな。
もちろん、性格もいい。
「さて、食べ終わったことだし、そろそろ教会に案内してもらうかな」
「うん! わかった! こっちだよ、お兄ちゃん!!」
またもや、美幼女の小さな手に引かれ、歩き出す。ところで今全く関係ない話だが、美幼女の小さな手とおれの手の大きさは倍くらい違うんだが、おれはこの大きさの違いに非常に高い萌えポイントがあると思うのだがどうだろうか?




