33
32
前回のあらすじ
レンちゃんのおっぱいについて
「おれで良ければ手を貸してやらんでもないぞ?」
「え? いいの!? じゃあ! 今すぐ……………………」
パッと頭を上げ、嬉しそうにこちらを見上げる赤髪ツインテール。両手をギュッと握っている、何この子、可愛い。ていうかおっぱい揉まれるんだよ? 初めて会った男にこの信頼感はおかしいと思うがおれは得するだけなので黙っておく。
「だが、今日のところは無理だな」
「え? なんでよ!?」
この後の予定は特にないが、もう日も若干落ちてきた。そろそろよろず屋で買い物をして帰らないと店が閉まってしまう。レンちゃんの胸は、また今度の楽しみに取っておこうと思う。またすぐにでも会えるだろう。
「この後はちょっと予定が入っていてな。レンちゃんの胸を揉むのはまた後日という事で」
「……少しだけでも、今揉んでくれない?」
もじもじと俯きながら、とんでも発言をするフラッチェ。自分のフラッチェを惜しみなくおれに差し出してくる。何この子、痴女なの? 本人の自覚はないだろうけど、本質として痴女なのかも知れない。そういう才能があるのかも知れない。そういう星の子なんだ、多分。
いや、でもどうしたものか。
揉むのは吝かではないのだが、そろそろ帰らないとよろず屋閉まっちゃうし、周りの視線とかも、なんか結構ちらほら増えてきたし、どうしたもんかな……。
それにおれは露出性癖は無いんで、周りの目があるときに女性に手を出したりはしない。無ければどんどん手を出すが。先ほど、レンちゃんのおっぱいを触った時は人がいなかったので触ったのだ。
しかし、今は周りの視線がある。泣く泣くここは諦めるとしよう。
「レンちゃん、周りを見てみろ。いま胸なんて触ったら変な視線で見られるぞ?」
「えっ!?」
「……………………」
どうやら、このフラッチェ。周りが全然見えていなかったらしい。相当な視野狭窄に陥っていたようだ。どれだけ胸触って欲しかったんだって話だな、これは。
でもまぁ、女性にとって胸の大きさはかなりのコンプレックスなのだろう。男性にとってはあれの大きさを気にするようなものだと思えば、納得できなくも無い。というか納得するしか無い。重要だよ? これは。
「……わかったわ、また今度揉んでもらうからっ!」
ビクッと周りの通行人がレンちゃんの言葉に反応する。この子はわざとやっているのだろうか? 羞恥プレイが好きなのか?
「そんな大きい声で言わなくてもいいだろ……」
「──っ!?」
この赤髪ツインテール、相当、恥ずかしいのか顔がめちゃ真っ赤になっている。両手を頰に当てクネクネと悶えている。うん、見ている分には可愛らしくていいもんだな。どっか部屋の隅にでも飾っておきたい。
一通り悶えて気が済んだのか、レンちゃんはおれに向き直り、きりっと灼眼をきらめかせた。今度は若干小さめの声で呟くように言う。
「……今度必ず揉みなさいよ」
そう言い残し、レンちゃんは踵返し走り去っていった。この世界には電話も無いのにどうやって連絡を取ればいいのだろうかと思ったが、まぁ同じ冒険者だし、ギルドに連絡すればなんとかなるだろうも信じることにする。
しかし、まさか美少女のおっぱいを揉める事になるとは、人生何があるかは分からないもんだな。生きてさえいればこういった幸福が舞い降りてくるんだ。辛い時も幸せな時も同じ人生。どんな時でも楽しんでいきたいもんだな。
「……さて、流石にこのまま放置ってわけにもいかないよな……」
道端に転がっている冒険者の男を抱え、仕方なくギルドへ連れて行くのであった。
〜
「やぁ、マリー」
「あっ! お兄ちゃん!」
「今日もお手伝いか? 偉いぞ」
翌日の昼ごろ、おれは朝イチでギルドの依頼をサクッとこなし、街中をブラブラと探索しているとカゴいっぱいに白い花を詰めて、街ゆく人に声をかけている幼女を発見し、おれは声をかけた。
赤みがかった茶髪をわしゃわしゃと撫で付けると、マリーは気持ちよさそうに目を閉じている。子猫を彷彿とさせる表情だった。何これ? ずっと見ていたいぞ?
マリーはどうやら、今日も白い花《ヨドシダ草》を売っているらしい。マリーの癖っ毛はいつ撫でても良いものだな。一通りこの可愛い幼女の髪を楽しんだおれ。
そう言えば、マリーの保護者であるシスターに、このヨドシダ草の専売の件で用事があることを思い出した。よし、マリーに案内してもらうか。
「マリーはいつも頑張っていて偉いな。ところでシスターに用事があるんだが、いまどこにいるか知っているか?」
「シスターなら、教会にいるよっ! 多分裏の薬草畑のお世話してると思う」
「そうか、なら教会に案内してくれないか?」
「……えっと」
マリーが何やら困ったようにワタワタし始めた。どうしたのだろうか?
「お兄ちゃん、ごめんなさい。マリーはお花が全部売れるまで今日は帰らないって決めてるの!」
「あぁ、そういう事か」
なるほどな。だからマリーは慌てていたんだな。それは済まないことを言ってしまったもんだ。こんな幼女に気を使わせてしまうとはプロの幼女使い(そんな職業はない)として情けない限りだ、全く。
さて、罪滅ぼしというわけでも無いが、ここは先ほどギルドで貰った報酬を早速使うことにしよう。この硬貨も幼女のために使われるのであれば本望だろう。
「それじゃ、おれが全部買っちゃおうかな」
「ふぇ!? いいの!? お兄ちゃん!?」
「もちろんだよ、それだったらマリーが案内してくれるだろ?」
「うん! ありがとうお兄ちゃん!」
ギュッと小柄な身体を、目一杯おれにくっつけるように抱きついたマリー。腹のあたりで顔をグリグリとめり込ましている。何この生き物、可愛すぎるやろ……………………。なんて尊いんだ。おれの中の父性が目覚めてしまう。とついついアホなことを考えてしまう。
「それじゃ、マリー、これでその花を売ってくれるか? お釣りはいらないぞ?」
そっとマリーの手に大銀貨を握らせる。
「お兄ちゃん!? これって大銀貨だよっ!? こんなにもらえないよ!」
前あった時は、銀貨を見て嬉しそうにしていたのに、今度は大銀貨を見て驚いている。シスターにお金について教えてもらったのだろうか? 子供の成長は早いです。まるで竹の子のようだ。
「あぁ、子供がそんな事を気にするな。その金で何かうまいもんでも食わせてやれ。教会には他に子供がいるんだろ?」
「……うん! わかった! でもお兄ちゃん、ありがとう! 大好きっ!!」
再び、幼女に抱きつかれるおれ。子供特有の高い体温がじんわりと伝わってくる。しかしやっぱり痩せているんだよなぁ、マリーはちゃんと食べているのだろうか? ここはギルドで稼いだ金がまた火を吹くべき時が来たようだな!
「マリー、案内してもらう前に何か食べて行かないか? おれが奢ってやる」
くっつき虫とかしているマリーの肩に手を乗せ、しゃがみ込み目線を合わせる。離れるときに名残惜しそうにしていたマリーはめちゃ可愛かった。
「いいの!? お兄ちゃん!?」
「あぁ、いいに決まっている。何でも好きなものを言うといい」
「じゃあね! じゃあね! マリー、月明かり鳥の串焼きが食べたいっ!」
「わかった、じゃあ買いに行くか」
「うん!!」
マリーは満面の笑顔で頷いた。
その笑顔を見るだけで、おれは嬉しさが込み上がってきた。これはもう、この子を養子にするしか無いのではなかろうか?
と、心の中のおれの父性が声高々にそう叫び声を上げている。まぁまぁ、落ち着け、おれも同じ気持ちだ。おれがマリーを養子にする妄想をしていると、きゅっとマリーに手を握られる。
「こっちだよ、お兄ちゃん! ついて来て!」
おれはほんのりと暖かい小さな手の感触を感じながら、幼女に連れられ、串焼きの店まで行くのであった。




