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頑丈チートで異世界最強!  作者: 瀬戸くろず
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2


 護衛の依頼か。

 まぁ、街に行くことは決定事項だし、ここは受けておいた方がいいな。街にも行けるし。


 


「いいよ、護衛を引き受けるよう。そのかわり町を色々と案内してもらえると助かる」


「はい! ありがとうございます!」


 美少女は、朗らかな笑顔をこちらを振りまく。美少女は笑顔になると三割増しで可愛くなるなぁ。はぁ、かわいい。


 おっとこの美少女の名前を聞いてなかったな。おれも自己紹介してないし。


「君名前なんていうの? おれは学。田代学だ」


「マナブさんですね? 私はシルクと申します。よろしくお願いします」


 シルクちゃんというのか。かわいい名前だ。好き。さぁて名前を聞いたし、無駄に名前を呼びまくるか。


「シルクちゃんは、どうしてクマ公ってか《ビックベアー》に襲われてたの?」


「実は、ここには薬草採集に来ておりまして、プレの森ではここは比較的に浅いところなんであのようなモンスターは滅多に出ないのですが今回は運が悪かったようです」


 なるほどなぁ、シルクチャはラック値があまり良くなのかもなぁ。おれも人のこと言えた感じじゃないけども。


「そっかぁ、それは災難だったね」


「ですが、マナブさんに出会えたので今日はとても運が良かったと思います!」


 両手を胸の前にして、ちょっぴり頬を染め、若干興奮ぎみに声を発する。ちょっと碧眼がウルウルしてるのが可愛さを惹き立たせてる。かわいい。


「お、おう。それはよかった。おれもシルクちゃんと会えて良かったよ。会えなかったらひたすら森の中を探索しなくちゃいけないところだったから」


 最悪、野宿も考えていたからな。

 学生の頃にキャンプをしたことしかないおれが野宿とか無理ゲーすぎる。


「そうなんですか? マナブさんはあの《ビックベアー》を一撃で倒してします程の腕前。さぞかし名高い冒険者様なのではないのですか?」


 なに? あのクマ公ってそんなに強かったのか? おれには子猫がじゃれついているくらいの印象しかないぞ? やっぱり神様チートはスケェな。最高だ!


 っと、いま重要なワードが出てきたな。

 《冒険者》っワード。これは重要だ。やっぱりあったか冒険者。これがなきゃ、おまんま食い上げよ。


「あー、おれはめちゃ遠い東の国の出でね。こっちに来たのは初めてなんだ」


 「そうでしたんですね。初めての場所は緊張しますよね。私も初めての街は行く時は緊張しますもの」


 フフッと笑顔を届ける笑顔天使シルク。

 美少女は3日くらいじゃ飽きないな。誰がそんなことを言い出したのだろう? アホかいな。


 はぁ、もっと語り合いたいが、ここは街へ行ってからでも大丈夫だろう。

 今いる場所は森の中。

 あまり語り合うにはいい場所じゃない。

 なんか日も暮れてきたし。


「っと、シルクちゃん。そろそろ街へ案内してもらっていいかな? なんか日も落ちてきたし」


「あっ! そうですね! 暗くなったらモンスターの動きも活発になりますし、ではいきましょう!」


 ワタワタと、少し慌て気味なのがまたかわいい。助けて良かったぁ。《ビックベアー》とか言うクマ公には感謝しかないな。でも、口の臭さは勘弁だな。もう噛まれたくない。


「では、こちらです!」


 おれは、シルクちゃんと横並びで歩き出す。

 結構早く現地民と会えて良かった。これも神様のおかげかな。こんな美少女と早速知り合えてなんと素晴らしい人生の始まりだ。





「あれが、プレの街です!」


 美少女天使シルクちゃんがおれに笑顔を向けつつ、説明してくれた。かわいい。


「へぇ、なかなかでかい街だなぁ」


 見上げるほどの城壁。

 街をぐるっと囲んでいるらしい。さっきシルクちゃんに聞いた。


「あの城壁のおかげでモンスターが寄ってきても被害が少ないんですよ?」


「確かに立派な壁だもんなぁ」


 シルクちゃんと、のほほんと会話を楽しみつつ、街へ入る列へと並ぶ。というかおれは身分を示すものを全く持ってないのだから通れるのだろうか?ちょっぴり心配。


「シルクちゃん。おれ、身分を証明できるものが無いんだけどこの街に入れるのかな?」


「そうなんですか? ですが大丈夫です! 通行料を払いますし、なんだったら私が身分を保証します」


 豊かな胸を張り、フンスと息を吐く。

 どうでも良く無いけど、少し胸を張っただけでプルンって揺れるのはめちゃ巨乳だよなぁ。なに食ったらこんなにデカくなるのだろうか?不思議である。


「そっかぁ、助かるよ。門番に止められて街へ入れなかったらどうしようと思ったよ」


 いやぁ、良かった良かった。これは一安心だな。よし、これからもシルクちゃんとは仲良くしよう。美少女だし。


「なので、マナブさんは全然心配しなくて大丈夫ですよ?」


 ニコニコっと笑顔が眩しい。

 この子は何でこんなに性格がいいのだろうか? こんな美少女を育んでくれたこの世界に感謝! 感激! 雨霰! 


 と、アホなことを考えていたら、順番が回ってきた。よしよし。結構早かったな。美少女と話していたからかも知れんが。


 特にこれといった問題もなく、門を通れた。通行料さえちゃんと払えば問題ないってさ。簡単だね?


「マナブさんはこれから行くのは冒険者ギルドですか?」


「そうだね。そうしようかと思ってるけど……シルクちゃん、冒険者ギルドの場所ってわかる?」


「はい、大丈夫ですよ。私もこれからギルドへ薬草を納品に行くところでしたから。案内します。こちらです。」


 それはちょうど良かった。ベストタイミングだな。というか、やっぱり異世界って感じだなぁ。コンクリートでできた建物とかないし、全部木造建築か? どの建物も二、三階建てくらいか? 知らんけど。


 食べ物とかもなんかどっかの外国の市場みたいにずらっと並んでるし、日本とは大違いだなぁ。異世界に来たって改めて思うよ。ワクワクする。


「着きました。ここが冒険者ギルドです!」

 

 1人でぼんやり、町並みを眺めているとシルクちゃんから声がかかった。

 お、早速着いたようだ。

 ほうほう、中々の建物だな。三階建ての木造建築。でっかい建物だなぁとしか感想が出てこない。


 一階が冒険者たちがつかう場所みたいだ。ちょっくら入ってみますかね。

 中に入ると、けっこうな喧騒に塗れている。ざわざわうるさい。


 皮の鎧を着た人、フルプレートの人、魔法使いっぽいローブを着た人やら、いまにも、冒険者です! って感じのやつらがゾロゾロ。


「はぁ、いかにも冒険者ギルドって感じだなぁ」


「そうですね。ここには沢山の冒険者の方々がいらっしゃいますから」


 特に、冒険者の人たちに見られることもなく、中に入れた。異世界のテンプレとして冒険者に絡まれると思ったんだけどなぁ。


「マナブさん。あそこに見えるのがギルドの受付です。1番左側の子が受付になりますので、あそこで冒険者登録ができます」


 シルクちゃんが指差す先にいる受付嬢。

 猫耳が生えていた。

 うぉぉおおおおおお!!!!! 

 またまた異世界キタァーーー!!! って感じ!! おっとここはクールにいこう。キミが悪がられるからな。


「あれは、獣人か?」


「はい、マナブさんの国ではいらっしゃらないのですか? あの人は猫の獣人のミミカさんです」


 へぇ、ミミカさんっていうのか。心のメモ帳にメモメモっと。ふぅ、美少女が多すぎて困らないけど困っちゃうぜ。


「いやぁ、何から何までありがとうシルクちゃん! じゃ、ちょっくら登録してくるよ」


 と、颯爽と駆け出そうとしたが、袖をつかまれる。っとと。

 シルクちゃんが、笑顔でこちらに銀色の硬貨を三枚程差し出している。


「シルクちゃん? これは?」

 

「これは、ギルドの登録料です。よかったら使ってください」


 この何から何までやってもらっている感。ヒモまっしぐらだな、あまり良い傾向ではないっぽい。まぁ、気分は悪くないけども。


「いやぁ、ありがとう。ほんと何から何まで。おれ、お金持ってなかったわ。後で返す。助かる」


「いえいえ、助けてもらったお礼みたいなものですよ」


 ニコニコっと笑顔が眩しい。

 天使な笑顔はいつまでも見ていたくなるが、ここは心を鬼にして振り払って受付へと向かおう。


「んじゃ、今度こそ行ってくるよ」


「あ、すみません。わたしも《ビックベアー》の件で一緒について行きたいのですがよろしいですか?」


 あぁ、そうか。あのクマ公そこそこ強いらしいからな。ギルドに報告が必要なのかもな。おれは余裕でブッコロだったけども。


「もちろん! 全然いいよ! むしろ一緒に来て欲しいくらいだよ!」


「それは良かったです。倒した本人のマナブさんが一緒の方が詳しく説明できると思ったので」


「んじゃ、行こっか」


 さてと、登録がてらクマ公のことを報告しますか。




〜シルクside〜




 いつものように、今日もポーションの元とのる薬草を取りに出かけました。


 「今日はいつもより、なんだか多く取れますね」


 なんだか、嬉しくなってしまいついついいつもより森の奥へ来てしまいました。それに夢中で取っていたため、なんだか日も落ちてきたような気がします。


「これだけ取れれば大丈夫でしょう」


 手元にはカゴいっぱいの薬草が所狭しと入っています。だいぶ沢山取れました。最高記録ではないでしょうか?


 さて、そろそろ日が暮れてくると思うので帰ろうとした時、後ろからカザッと音がします。

 何でしょうか?


 気になったので、草木をかき分けて覗いてみるとそこには最近ギルドで噂されていた《ビックベアー》がおりました!


 いま、《ビックベアー》はなにやら食べているようで、こちらには気付いておりません。


 このモンスターはプレの街周辺では敵なしのモンスターです。受付嬢のミミカさんがいっておりました。


「……これは、まずいですね……」


ほんとうにまずいです。気づかれたらおしまいです。へんな汗が出てきます。静かに後退ります。 


 パキッ


「!?」


 うっかり木の枝を踏んでしまいました! 


「ガァァァァァアーーー!!」


 《ビックベアー》の咆哮です! 気づかれてしまいました! 早く逃げなければ!


 なりふり構わず、走り出します。もう後ろを振り向く余裕すらありません。いま、自分がどの方向に歩いているのかもわかりません。


 ただひたすら逃げなければと頭の中にはそれしかありません。


「いたっ」


 ですが、途中で木の根っこに足を引っ掛け、転んでしまいすぐに《ビックベアー》に追い詰められました。


 あぁ、わたしはここで食べられ、死ぬ運命なのですね……。せめてわたしの夢であるあのポーションを完成させたかった……。 


 と、もう絶対死んだと思った時。


「おーーーい!! クマみたいな奴! こっちだ!!」


「!?」


 男の人の声がしました。助けが来たのでしょうか? ここがどこだかわかりませんが、プレの街からそれほど離れてはいないと思います。


 ギルドから《ビックベアー》討伐依頼を受けた冒険者の方々でしょうか?


 男の人の声に反応した《ビックベアー》は、そのまま彼の方にすごいスピードで向かって行きました。


 あんなに早く走れたのであれば、わたしはもしかしたら遊ばれていたのかもしれません。そう思うと、ブルッと震えてしまいました。


 ガシッ!!! ズサササァァァ!!


 そのものすごいスピードののった《ビックベアー》の突進を意図もたやすく彼は受け止めました。何という力でしょう!


 わたしは怖くて腰が抜けて、座り込んでいるのに彼は何て勇敢なのでしょうか!


 ふと、彼と目が合いました。

 ですが《ビックベアー》が彼の頭にかぶりつこうとしています!


「あっ! あの! う、後ろ!」


「ん?」


 ガブリッ!  


 あぁ!? 彼の頭が《ビックベアー》に齧られてしまいました! 何ということでしょう!  わたしなんかのために、


「あぁ……」


 わたしを助けたばっかりに彼が命を落とすことになるなんて……。

 と、思ったその時、


「しゃらくせぇ!」


「!?」


 彼は《ビックベアー》の頭を殴りつけました! すると弾ける《ビックベアー》の頭。あの分厚い皮膚を持つ《ビックベアー》の頭を今もたやすく破壊してしまいました。


 何という力! なんという胆力!

 頭を齧られながらも、諦めず最後まで戦う姿。まるで伝説の勇者様のようでした。


 これはもう誠心誠意、お礼をしなければ末代までの恥です。


 命の恩人ですから、これからわたしが美味しい食事を取れるのも彼のおかげ。ポーション作りに励めるのも彼のおかげです。


 彼に出会えて本当に良かったです。

 





5秒時間をください。


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