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前回のあらすじ
水精霊のルディアと契約し、そろそろ街へ戻ります。
プレの街へ帰ったら、あの可愛い幼女マリーに会う口実ができたのでルンルン気分である。あとシスターにも興味がある。シスター服ってなかなかくるものがあるよね。女性の清楚な部分を引き立てるというか。そういう衣装だと思います。
と、話もひと段落してたところで、おれはエメさんの様子を見にテントへと入る。中にはすーすーという寝息が聞こえる、昨日より顔色も良さそうだし呼吸も安定しているな。
これなら、少しくらいおぶっても帰っても体調に変化はないだろう。安心安心。
「こんな小さな身体でよくあんなモンスターと戦えていたな……」
エメさんの綺麗な金髪を撫でる。
サラサラで引っかかりなど皆無、とても触り心地がいい。
こんなに小さいけど、バジリスクと戦えるくらい強いんだよなぁ。異世界は不思議だな、見た目じゃその人の強さはわからないっな。
「……んぅ、あ」
「……おっ?」
おれが 撫で撫でをしていると、エメさんの目がパチクリと開かれる。どうやら目覚めたようだ。
「おはよう、一先ず危険な状態は抜けたが、どうだ? 体調は悪くないか?」
「……え、えと……お、お主は……?」
「おれはマナブだ、Eランク冒険者をしている。あとエメさん、あなたの孫のシルクちゃんとは知り合いだ、安心して欲しい」
「……そ、そうか……あ、バジリスクはどうなったのじゃ……?」
「バジリスクならおれがサクッと倒しておいたから気にすることはない。水精霊の水辺も無事だ、水は一滴も汚れてはいない。エメさん、あなたがおれが来るまで守ってくれたからだ。助かったよ」
「いや……妾など……お主が来てくれなければ死んでおった、本当に助かったのじゃ……」
そう言うと、エメさんは頭を下げる。瞳が潤んでおり、相当、バジリスクとの戦闘が怖かったことが窺える。やっぱり神様チートを持っていない人にとっては脅威なんだろうな、あのモンスター。
「そんなに自分を卑下するな、エメさんは水精霊の水辺と冒険者たちをちゃんと守ったんだよ、おれはただ最後に後始末をしたくらいだ。なんて事はない」
「……うぅ、ありがとうなのじゃ」
潤んだ目を軽く閉じて、感謝を伝えてくるエメさん。おれのなでなでが効いたのか、気持ちよさそうにしている。
と、おれがしている指輪に気がついたのか、少し驚きの表情を浮かべている。
「ん? あぁ、この指輪が気になるのか?」
「……う、うむ。もし差し支えが無ければ、どこで手に入れたか効いてもいいかの?」
「これは精霊から貰ったんだよ、ちょうどそこにいる水精霊の水辺のな」
「水精霊の水辺の主と会えたのかの!?」
寝ていた身体をガバッと起こし、おれの顔まで五センチの距離まで詰めてきた。ふわっと仄かにいい香りがした。なぜ美少女はこんなにも芳しい香りを撒き散らすのか? 何これ男を引き寄せるフェロモンでも出ているんじゃないか? 実際、おれはがっつり引き寄せられています。
エメさんの両肩に手を置き(うわ、何かこう、小さくて可愛い)
「まぁ、落ち着け」
「じゃ、じゃがっ!」
「会ったか会えなかったかと言えば、会えたぞ。というか一晩中話していたよ。見張りをしていたからな」
「一晩中となっ!?」
「何だ? 精霊と話をすることがそんなに珍しいことなのか?」
エメさんは、むむむっと口を一文字にし、興奮したように頬を赤面させている。何をそんなに昂っているのだろうか。やっぱりエメさんは精霊に用があったのか? まぁ、一人で水精霊の水辺に来るくらいだからな。
「珍しいも何も、精霊が人間と話をするなどここ何十年聞いたことがなかったのじゃ!」
「そうか、まぁ、おれは話したがな。ルディアが言うにはおれとは波長が合うらしい」
「なるほどなのじゃ……、お主は精霊術師の才能があるのじゃな……。ちなみにルディアとは精霊の名かの?」
「あぁ、そうだ。ところで精霊術師っていうのは何なんだ?」
「……ん、そうじゃのう……精霊術師というのは……」
ん? 何だがエメさん、まだ少し体調が悪そうだ。まだ安静にしておいた方がいいからな。よし、普通に座って話すより背もたれでもあった方がいいだろう。おれが椅子になる。
「エメさん、きついなら膝の上に乗っておれを背もたれがわりに使ってくれ」
「……あぅ、い、いや……命の恩人にそのような事は……」
「いやいや、今はまだ体調が万全では無いんだから遠慮はいらないぞ。動くのが辛いならおれが抱えてやる……よっと……」
「はわわ……」
強引にエメさんをおれの膝の上に乗せる。体調が万全でないなら寝かせておばいいだろ? という声がおれの頭の中にリフレインしたが、まぁ無視だ。おれは美少女といちゃいちゃ出来るチャンスがあるなら、すかさず、間をおかずにゲットしていく所存です。
「よし、これで良いぞ。さぁ、続きを話してくれ」
「……う、うむ……」
おれの膝の上で、もじもじと居心地を気にしている金髪美少女ロリのじゃエルフ。すっぽりと収まりのいい小さな身体は膝の上にジャストフィットだ。おれはエメさんを後ろから抱きしめるようにギュッと身体を寄せる。
「はわっ……!」
ワタワタと慌て出すロリエルフ。おれの腕の中でワタワタしている姿はなんとも可愛らしい。このままずっと愛でていたい。この子は本当にシルクちゃんのおばあちゃんなのだろうか? 不思議です。
「んじゃ、精霊術師について教えてくれ」
「……う、うむ、わかったのじゃ」
コホンと先払いを一つ。
「精霊術師というのは、文字通り精霊と心を通わし術を行使する者を指すのじゃ。精霊術師の行使する魔法は普通の魔法に比べ、契約した精霊の力が上乗せされる分、強力になるのじゃ」
「なるほど……」
それはいいな、強力な魔法が打てる分には何も問題はない。だがおれは今のところ魔法を使う予定もないし、覚えられるのかもわからない。おれが使える魔法は《挑発》しかないからなぁ。
「因みに精霊には属性があるので、強化される魔法は契約した精霊の属性によって異なるのじゃぞ」
「それでは、水精霊と契約した場合、水の魔法が強化されるってわけか?」
「そうなのじゃ、火精霊なら火属性、風精霊なら風属性みたいな感じじゃ」
そうか、ならおれはルディアと契約しているから水属性の魔法が強化されるわけか。街へ帰ったら水属性の魔法覚えてみようかな。水属性と言えば回復魔法だ。回復魔法とか覚えられたら覚えてみようかな。おれは怪我しないけど誰かが怪我をしたときとか困るからね。
それに治療とか言って合法的に、美少女へお触りが出来るという特典まで回復魔法には付いているのだ。何と素晴らしい魔法なのだろう。治療もできて美少女は嬉しい。おれも美少女と触れ合えて嬉しい。一石二鳥だ。
と、おれの腕の中で、もじもじしているエメさんが何やら聞き出そうにこちらへ顔を向ける。
「ん? どうした?」
「……お、お主、その、精霊とは契約できたのかの?」
「あぁ、もちろんだ。いつでも呼び出していいと言われているな」
「な、なんと!? そこまで精霊と密な関係になれる人間がおるとは……すごいのじゃ……ちなみに《水精霊の体液》は持っておるかの?」
そう言えば、ルディアもなんか言っていたな。エメさんが体液を欲しがっているとかなんとか。でも、おれは体液貰ってなかったなぁ、そういえば。ルディアを呼び出してもらうっていう手もあるけど、ついさっきまで会っていた相手をすぐさま呼び出すのも何だが気がひける。取り敢えず、エメさんの頭でも撫でておくか、なでなで。
「いや、持ってはいないな。欲しいかとは聞かれたが」
「……んぅ、そ、そうなのか……妾も何度か水辺で語りかけてみたのじゃが、全然姿を見せてくれんでな。やはりお主が聞いた通り、精霊には波長が合う人間としか姿を見せてくれんのじゃろうか……」
「まぁ、エメさんがどうしても水精霊のルディアに会いたいっていうのであれば、あとで聞いておいてやるよ」
「ほ、ほんとかの!? ありがとうなのじゃ!」
こちらに顔を向け、満面の笑みを浮かべる金髪ロリエルフ。かなり嬉しいのか、おれの胸に後頭部をグリグリと擦り付けている。やべぇ、これはマーキングされているのか? 全然オッケー、むしろ歓迎、大歓迎。ねんごろにもてなします。




