22
バンドリ楽しいですね
21
前回のあらすじ
水精霊のルディアと出会った
「ここにって……その、なんだ。唇じゃないとダメなのか?」
「ダメですね」
ふふっと、また笑う。
いや、おれとしては是非ともさせていただきたいんですがっ! 最初のキスはシルクちゃんとが良かったなぁ〜と思っているおれも心の中に存在する。
困った状況だ、だが、よくよく考えてみると聖霊は人間ではないのだし、良いのではないだろうかと思ったり思わなかったり、でも人の姿をして意思疎通が出来るのであれば、それはもう人として扱うべきなのではないかと思ったり思わなかったり、あぁ! 考えがまとまらない。
「ふふっ、どうしたのですか? ただ唇と唇をくっ付けるだけですよ? 大丈夫です。ただの挨拶ですよ挨拶、精霊との挨拶です」
「……精霊との挨拶か」
あれ? 挨拶なら全然問題ないんじゃないか? 前の世界でだって外国では普通にぶちゅぶちゅと友達とキスしていたし、問題ないのでは? うんうん、全然問題ない。オールオッケー。
でも、シルクちゃんとするファーストキスも捨てがたいよなぁ〜と頭を悩ませていると、
「どうやらお悩みのようですね、でしたら……」
「おぉう」
グイっと、おれの顔に近づき、両手を首に絡ませる。するとゆっくり目を閉じて唇と近づけるとぷにっという感触と共にキスをしてきた。何だろう、精霊なのに良い香りがする。女の子の香りだ。それに唇の感触もふにふにとしていて瑞々しく潤っている。いつまでもしていたくなるキスだった。
すると、何やら俺の身体から力がルディアの方へ移っていく感覚がある。これが魔力を渡すってことなのか……。
「……んぅ」
「…………」
ルディアが気持ち良さそうな声を出す。ふと顔を見てみると、目を閉じて頬を上気させている。何これめちゃ可愛いんだが?
こうなんだろう、脳内麻薬がドバドバ出てきて、今とても良い気分なんだが。キスをすると何でこんなにも気持ちいいのだろうか? 魔力を渡すだけの事なのに、精霊たちは素晴らしい方法を考えついたものだ。その発想に肖りたい。
キスをすること五分。
ぷはぁっと、ルディアが俺から離れる。うっとりと自分の唇を触りながら、満足そうに、ふふっと微笑む。
「どうでした? お兄さん」
「どうでしたって言われてもない……まぁ、悪くなかったよ」
「それはそれは、わたしはすごく気持ちよかったですよ? 初めて人間から魔力を頂いたので加減が分かりませんでしたが、気分は大丈夫ですか?」
「あぁ、特に違和感はないな」
「そうですか、かなり魔力を頂いたと思うのですが、お兄さん程の魔力量であれば、問題ないと言うことですね。さすがです」
ルディアはふんふんっと首を縦を振り、一人納得している。おれの魔力量ってそんなに凄いのか? 魔力っていってもおれはほとんど使う機会がないからな。《頑丈》チートで常に最強だし。
すると、ルディアがまたおれに近づき、腕を両手で組んできた。幸せな、柔らかな感触がおれの左肘を包み込んだ。
「お兄さん、お兄さん。わたしと契約しませんか?」
「契約?」
「はいっ」
契約とはなんだ? 魔法少女にでもしてくれるのだろうか? いやおれは魔法少女とは見守るものであって自分がなるものではないと思っている。だがなりたいって言う人がいるのであればそこは全然否定はしない。いろんな人がいて良いのだ。
さて、アホなことを考えていないで、契約のことをちゃんと考えないとな。
「その、なんだ。ルディア。契約とは一体どういうことなんだ? それをすると何が良いことがあるのか?」
「そうですね〜、契約をすると四六時中わたしがお兄さんにくっ付きますっ!」
「のったっ!」
「はやいっ! というか冗談ですよ、冗談。本気に取らないでくださいよ、お兄さん」
「…………」
いやだって、四六時中この青髪美少女精霊とのくっついていられるのなら、そりゃ間髪入れずに契約するだろ? 十人中九人は即答だな。おれの反応が面白かったのか、またくすくすと笑い出すルディア。
「ふふっ、お兄さんはそんなにわたしを触りたかったんですか?」
「どちらかと言えば、勿論、触りたい」
「正直ものですね、正直もののお兄さんにはご褒美をあげたいですね。ご褒美欲しいですか? お兄さん?」
くすっと蠱惑的な笑みを浮かべるルディア。おれは貰えるものは貰っておく主義者なので当然の如く頂きます。
「ご褒美とは何が貰えるんだ?」
「体液です」
「体液?」
「はいっ」
「…………」
体液とはなんだろう? 何かの隠語か? そういう事を言われても全くわからない。ルディアは微笑を浮かべているだけで特に何も言うわけでもなく佇んでいるだけだし。
おれの様子に何やらやっと気がついたのか、ルディアはぽむっと手を打った。
「あぁ、人間のお兄さんなら知っていると思ったのですが、水の精霊であるわたしの体液はとても希少なポーションを作る際の材料になるらしいですよ。ここでバジリスクと戦っていたあのエルフも欲しがっていましたし、人間にとってはそこそこ良いものだと思いますよ? お兄さん」
「そうなのか……」
いや、希少なポーションを作るための材料も良いけれど、おれには美少女との触れ合いの方が大事なんだ。人によってさまざまな価値観があるとおれは思う。おれの価値観ではポーションより美少女との触れ合いが圧倒的に大事なんだ。
「あれ? お兄さん、あまりうれしそうじゃないですね? もしかしてわたしくっついた方がいいですか?」
ぴたっとおれの腕を触り、肩に頭を乗せてくる青髪美少女精霊ルディア。なんだかひんやりしていてとても気持ちがいい。精霊なのに肌の感触がちゃんとあるのはどういう事なのだろうか? なんかの魔法か? 人化の魔法とか? あるのか知らんけど。
「どうですか? お兄さん、嬉しいですか? お兄さんは女の子とくっつく方がいいだなんて変態さんですね」
「変態かどうかはともかく、誰でも可愛い子とならくっ付きたいと思うのは当然のことだと思うぞ。言うまでもないってことだ」
「ふふっ、お兄さんは面白い人間ですね。えいえい」
左肘にすごく胸が当たっている。いや、これは当てているの間違いか? まぁ正解でも間違いでもこの際どうでもいいことだな。ここで議論する余地なんてない。ただただ気持ちいい、ただそれだけだ。それ以外に必要なものなんてこの世にはないくらいだ。……まぁ嘘ですけど。
「ルディア、それで契約について教えてほしい。契約をすると一体何が起きるんだ?」
「契約をすればいつでもわたしのことを呼び放題、召喚し放題っていうのはどうでしょうか? 魅力的な提案だと自負してます」
手のひらに丁度収まるくらいある胸を張って、ルディアが若干威張りながらそういった。いや、まぁ精霊を召喚し放題っていうのはありかなしで言ったらありよりのありなんじゃないか?
おれがそう考えている間もルディアはぐいぐいと胸を押しつけ、アピールしている。これは一体なんに対してのアピールになるのだろうか?
「つまり、いつでもどこでも何回でも呼び出していいってことか? だが精霊を呼び出すと言うのだから、それ相応の代償とかがあるんだろう?」
「わかっちゃいましたか? ふふっ」
全然申し訳なさそうだ。逆にやっと分かったようだな、ふふっ。みたいな顔をしている。本当にそう思っているかは知らんけれど。
というか、代償とはなんだろうか? おれが払えるものだったら出来れば払いたい。払ってでもこの青髪美少女精霊と契約したい。このチャンスは逃したくないぞ!
「それで? どうなんだ?」
「お兄さん、代償と言ってもそれ程身構えることではないですよ? というか、さっきもやりましたよね? あれですよあれ」
「さっきやった事……? あぁ、魔力を渡せばいいんだな? それなら何も問題はない。よし、契約しよう」
「もうお兄さんは、恥ずかしがって……ちゃんとキスって言ってください、キスって。魔力の受け渡しにはキスが一番効率もいいですし、何より気持ちもいいですからね。特にお兄さんのような波長の合う人間だと」
うっとりと、誘惑しているように微笑むルディア。これはおれでなかったら襲われているのではないだろうか? おれが自制心が天元突破していて良かったな、ルディア。以後気をつけるように。だが、おれの前でする分には支障はないぞ。逆にどんどんやれって感じだ。




