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前回のあらすじ
バジリスクを腹パンで倒してしまった主人公。そのバジリスクの近くに美幼女がいたのであった。
「……あ、あの、お主は一体……」
バジリスクを倒して、一息ついていると美幼女から声がかかった。これまた凛とした声色でとても綺麗な声だった。
「おれか? おれはギルドから依頼を受けてきた冒険者だ」
「そ、そうなのか」
「ところで何でこんなところにいるんだ? 君みたいな可愛い幼女が危ないじゃないか。しかも一人で」
「可愛いって……はぅ」
何やら、頰に手を当てもじもじと体を震わせている。この世界の可愛い子達は褒められ慣れていないのだろうか? 前の世界の女の子だったらこんな反応滅多になかったぞ。まず見られない反応だ。
「まぁいいか、ここは危険だからな。取り敢えずおれがプレの街まで送って行ってやる。それでいいか?」
「それは願ってもないことなのじゃが……ごほぅ」
突如、倒れ込む美幼女。
「大丈夫かっ!?」
「……うぅ」
慌てて抱き抱える。見た目通りの軽い体だった。全然重たくない。というか顔がかなり真っ青になってる。やはりバジリスクの毒を食らったのだろう。早く街に降りて治療しなければ!
「待ってろ! 今、街まで送ってやるからっ!」
ぐったりとして動かなくなってしまった美幼女ちゃん。一旦シルクちゃんと合流して早く街へ向かわねばっ!
息も絶え絶えな美幼女を抱えて、シルクちゃんのところへ向かう。するとシルクちゃんもバジリスクが倒されたことに気づいたのか、おれの方へ向かってくるのが見えた。
「マナブさーん!」
「シルクちゃん!」
シルクちゃんが駆けてくるのが見える。そばまでくると、シルクちゃんの目が見開かれた。
「お婆さまっ!?」
「えっ? この子がか!?」
シルクちゃんの言葉にめちゃくちゃ驚いてしまった。え? お婆さま? どう見ても十歳くらいの女の子にしか見えない。どうなっての? 異世界?
「ちょっと待ってくれ、シルクちゃん。この子供がエメさんなのか?」
「は、はいっ。そうですっ」
「でも、どう見ても子供にしか見えないが……」
「それはお婆さまがエルフのクォーターだからです」
な、何だって! エルフのクォーター!? そうか、だからこの見た目なのか。だから見た目と実年齢が合っていないのか。納得したぞ。
「なるほどな。まぁ、今はいいか。シルクちゃん、どうやらエメさんはバジリスクの毒を受けてしまったらしい」
「!? やっぱり! お婆さまの顔色が……」
「シルクちゃん、何か解毒する方法はないのか?」
「私が持ってきた下級解毒ポーションがありますが、ここまで毒が回ってしまってはあまり効果がありません。中級くらいの解毒ポーションでなければ解毒は難しいかと……」
「っ、そうか、なら街まで急ぐしかないな!」
と、エメさんを背負うためにバックを下ろそうとしたら、街で購入した白い花の束が落ちてしまった。
「っと、すまない」
おれが拾い集めようとすると、
「あっ!?」
「?」
シルクちゃんが驚きの声を上げる。
「どうした? 早く行かないとエメさんが助からないぞ」
「マナブさんっ、その花は何処で手に入れたんですかっ!?」
「この花か? これは街で買ったんだよ。なんでもシスターが育てているのを子供が売っていたんだ。それで、この花がどうかしたのか?」
「その花はヨドシダ草といってとても高い解毒効果があるんですっ!」
「なに?」
あぁ、確かにそんなことを言ってたような言ってなかったような気がする。しかしよくわからないが、この花を使えばもしかして助けられるのか?
「その花の花弁があれば、中級解毒ポーションが作れますっ!」
「よしっ、なら今すぐ頼めるか? おれは周りを警戒しておく」
「はいっ、お願いしますっ!」
シルクちゃんはヨドシダ草を拾い上げ、近場の大きな切り株のあるところでポーション造りに取り掛かった。
よしっ、これで何とかなりそうだ。さて、おれもシルクちゃんの近くにエメさんを寝かせる。顔色はやはり青い。額には玉のような汗をかいている。それを布で拭いてやり、水精霊の水辺で浸した布を額に乗せる。なんか精霊の効果でよくなんねぇかな?
「……うぅ、あ」
「安心しろ、エメさん。今あんたの孫が解毒ポーション作っているからな。大丈夫だ」
エメさんの小さな手をギュッと握りしめると、少し安心したような表情が和らいだ気がする。やっぱり人肌ってのは安心するものなのだろうか?
ぬるくなってきたおでこの布をまた水につけ変えたり、顔や体の汗を拭くやらしていると、中級解毒ポーションが完成したらしい。
「できましたっ!」
「おぉ、よしっ、早速エメさんに使うぞ」
「はいっ!」
「おれが抱えているから飲ませてやってくれ」
シルクちゃんにそういうと、おれはエメさんの小さな体を抱き抱える。背中を少し支える感じだ。そして、出来上がったポーションを口元へ運ぶシルクちゃん。
エメさんは苦しそうに呻いている。意識はまだ有るようだ。これならポーションを飲めるかもしれない。
「お婆さまっ、聞こえますかっ? 解毒ポーションが出来ましたので飲んでくださいっ」
「……うぅ、シ、シルク?」
「はいっ、シルクですっ! 大丈夫ですかっ! お婆さまっ! 飲めますかっ?」
シルクちゃんがゆっくりと解毒ポーションを口元に当てる。すると少しずつだがエメさんはコクコクと飲んでいった。ふぅ、これで少しは安心だな。
解毒ポーションを飲んだエメさんの顔色はみるみるうちに良くなり、玉のような汗をかいていたが、それも収まったようだ。呼吸も荒かったが、今は落ち着いていた。
「一先ず、安心だな」
「はい……間に合ってよかったです」
「そうだな、今日は取り敢えずここで野営をするか。まだエメさんを動かすのは厳しいだろうからな」
「そうですね、お婆さまも落ち着いたとはいえ先ほどまではかなり危険な状態でしたから……」
シルクちゃんは心配そうな目でエメさんはを見ている。そりゃそうか、たった一人の家族っぽいもんな。シルクちゃんの家に居候しているが、両親らしき人を見たことがない。
エメさんが居なくなってしまったらシルクちゃんは一人ぼっちになってしまうのだろう。だがしかし、ここはおれが家族に名乗り出ることにしようっ! というかシルクちゃんの家族にならせてくださいっ! お願いしますっ! しゃーっす!
「シルクちゃん、何処かここら辺で野営がしやすい場所とか有る?」
「それなら、水精霊の水辺の近くがよろしいかと思います。あそこで有ればバジリスクのようなモンスターで無ければ、余程のことがない限り問題ないかと」
「そうか、ならそこにするか」
おれたちは水精霊の水辺近くまでやってきた。水辺の近くに先ほど倒したバジリスクがいたので邪魔にならない森の方へ引きずる。ずるずる。めちゃ重いなコイツ。
「マナブさんは、バジリスクでさえも簡単に倒してしまわれるんですね……」
「まぁ、初めて戦ったけどこのモンスターも余裕だったなぁ。腹パン二回で終わったし」
「そ、それはすごいですね……」
シルクちゃんが若干引いている。やはり強すぎるというのも罪なものだな。これが強者の孤独というやつか……。と、アホなことを考えてながら野営の準備をする。てかやべぇ、おれ野営する為の道具とか買ってきてねぇよ! 食糧とあの幼女から買った白い花しかバックの中には入ってねぇ! まずい、これはまずいぞ……。ここはもう美少女天使のシルクちゃんに泣きつくしかねぇ!
「シルクちゃん、すまないがおれは野営の道具を持ってきていないだから……」
「あ、マナブさん、野営の道具ならわたしが用意していますっ」
なにぃ!? 何て準備万端なんだっ! 様々なシチュエーションに対応しているぞこの美少女天使は! あやうく野ざらしで野営するところだったぜ。ふぅ、助かったぁ。




