1/4
≠現実
2つの、少し似て異なった世界が、ある。
白い壁が、目に入る。
顔を横に動かすと、片方に、少しベージュ色かかった壁と窓。もう片方にも、同じ色の壁。窓はなく、ドアがある。ドアの向こうに、廊下がある。廊下で、白衣を着た人や、車いすに座って移動している人がいる。
誰かが、入ってきた。
「そんなに目を、永く開けてたら、乾燥するよ。」
「確かに乾燥して、目が痛い。」
「まばたきを忘れるほど、この壁に何かあった?」
「何もないけど・・・。」
「私は、どうして、病院にいるの?」
「すみか、足を折って、病院に運ばれたんだよ。記憶もなくなったの?」
「あ、そっか。足、折ったんだった。忘れてた。」
「すみか・・・。まったく・・・。」
たけしは、あきれた表情をした。そして、手に持っていた花を、花瓶に挿した。
「それは、そうと、すみか、大丈夫?」
「大丈夫って?あー、足の事!大丈夫だと思う。」
「[思う]か・・・。骨折した事、忘れてたぐらいだもんな。」
私は、苦笑した。
「じゃ、俺は、帰るわー。」
「ありがとう、たけし。」
たけしは、手を振って、帰って行った。