転生直後から最強とはなにごとか!?
「うーん…」
僕は非常に困っていた
僕は 月風 幸人 (つきかぜ ゆきと)
高校二年生だったのだが…
どうやら先ほど死んだらしい
なんでも 野良猫を助けようとして道路に飛び込んでトラックに轢かれたらしい
あまりにもグロッキーだったらしくて記憶から消されたみたいだけど
それで…
「やたら落ち着いてるわねぇ~」
「いや 落ち着いてるというよりまだ現実を飲み込めてないだけだと思うんですよね」
この人は女神様?かな
なんかあまりにも死に方が不憫だからって生き返らせてくれるらしいんだけど…
「なんで異世界なんだ…」
「ごめんね~同じ世界に生き返らせると色々大変なことになって最悪人類滅亡みたいなことにすらなっちゃうことがあるからだめなんだよぉ」
「そんなにおおごと!?」
ちなみに冒頭で悩んでいたことはこの事ではなく…
「向こうの世界だと何かしら特殊じゃないと生きていけないからねぇ」
そう 異世界で生きていくための力を考えていた
「…よし!決めた!」
「おっ!じゃあ教えてくれる?」
「僕は…」
「んー?」
「…死なないステータスです!」
「ステータス?」
「はい 全ステータスを強力にして簡単には死なないようにしてほしいです」
「なるほどねぇ~」
「大丈夫ですか?」
「もちろん!じゃあ後はもういいかな?」
「はい お願いします」
「じゃあ頑張ってねぇ~」
…なんだか展開が早いなぁ
「…ん?」
目が覚めたらベッドで寝ていた
「ここは どこだ?」
見たことない風景…って当たり前か
もう異世界なんだよな
「あっ!気がつきましたか?」
声がする方を見ると 歳は同じくらいで澄んだ青色の目と綺麗な銀色のショートカットの女の子がいた
「あ あなたは?」
「ちょっと待っててくださいね 今皆さんを呼んできます」
「皆さん?」
そもそもなんで目が覚めるのが室内なんだ?
よくある異世界転生なら草原とかの草の上じゃないのか?
「お待たせしました」
「おおっ!目が覚めたのか!」
「あの…大丈夫なんですか?」
さっきの女の子以外にさらに二人女の子が部屋に入ってきた
「ええと…全く状況が飲み込めないんだけど…」
「なんにも覚えてないんですか?」
「えっ?ああ うん」
こんな状況になった記憶はないな
まあ覚えてることはあるけど…
これは言わない方がよさそうだ
「君たちは?」
「自己紹介がまだでしたね 私達は【エターホーリー】という名のパーティーです 私はアイシュ・フリナークと言います 気軽くアイシュと呼んでください」
アイシュが丁寧に自己紹介を終えると後ろにいた赤髪ロングの女の子が進み出てきて…
「私は ナビア・オスクロー ナビアでいいわよ!」
結構大きめな声で自己紹介した
「ほらイリナ あなたも」
アイシュがナビアの後ろに隠れてた子
を前に立たせた
日本人のような綺麗な黒髪で少し茶色がかった目が特徴的だった
「…イリナ・アラベナル…イリナって呼んで…」
みんなの自己紹介が終わったところで
ナビアが
「そういえば あんたの名前まだ聞いてないわね」
「ああごめん 僕は月風 幸人っていうんだ 好きに呼んでいいよ」
「ふーん 珍しい名前ね」
「確かにこのあたりじゃ聞かない名前ですね」
まあこの世界で産まれてないからね
「ゆきと…って呼んで…いい?」
「うん よろしくねイリナ」
「…うん」
イリナは人見知りなのかな?
ナビアとは正反対の性格な感じだなぁ
「そういえば 僕はなぜここに?」
するとアイシュが
「私達はギルドの依頼が終わって帰るときに雷で折れた木を見つけたんですけどそのそばにゆきとさんが倒れてたんです」
女神様だな こっちに移動させるときに落雷でもしたんだろうなぁ
「そうだったんですか それは迷惑をかけました」
「いえいえ 運んだのはナビアですし…」
「ちょっとアイシュ!それは別に言わなくても…」
「ありがとうナビア 助けてくれて」
「べ 別にいいわよ…」
ん?なぜ照れているんだろう
「そ それより…ゆきとさんは これからどうするんですか?」
いきなりイリナが質問してきた
「そういえば 確かにどうしよう…」
するとナビアが
「じゃあさ!私達のパーティーに入らない?」
「あっ!それはいい考えですね!」
「えっ ちょっ…」
「私はかまわない…」
「よし!じゃあ…」
「ちょっと待って!僕の意見は!?」
少々強引に話に割って入って言うと
「あっ…ご ごめん」
「いや 気にしなくていいんだけど…」
するとイリナが
「イリナ達のパーティー…嫌?」
予想外の事を言われてさすがに動揺する
「いやいや そんなことない!むしろ好きだよ!こんな僕を助けてくれたんだから嫌いになんてならないよ!」
「じゃあ…入る?」
…ダメだ これは僕の負けだ
「わかった お願いするよ でも 本当にいいの?」
と聞くと アイシュが笑顔で
「私達が誘ったんですよ?気にすることはありませんよ」
そこじゃなくて…
「いや 僕 男だからさ…」
ボシュッ!と音がしそうな勢いで
顔を真っ赤にしたナビアが
「あ あんた!まさか…」
「いやそういう意味で言ったんじゃないって!誤解だって!」
「ナビア?大丈夫ですか?」
「な なんでもない!」
あぶない…変な誤解されるところだった
「では ゆきとさん 今日からよろしくお願いします!」
「ゆきと…よろしく…」
「頼りにしてるわよ!ゆきと!」
どうしてこうなった…
次の日、あまり寝付けなくて早く起きてしまった…
やることもないので自分について調べてみる
とりあえず転生した時の服のポケットを漁ると
ステータスカード?と書かれたカードを見つけた
文字はどうやら現代の英語やローマ字と変わらないようだ
その他には何も入ってなかった
多分スマホとかの物は女神様?が回収しちゃったんだろうなぁ
カードを見てみると
ツキカゼ ユキト
無所属
ステータス
攻撃力 513
守備力 376
素早さ 245
魔法力 329
使用可能魔術
火術★ 水術★ 風術★ 地術★ 光術★
闇術★ 雷術★ 氷術★ 重術★ 神術★
使用可能戦闘スキル
剣術★
体術★
弓術★
槍術★
詮索術★
隠蔽術★
使用可能生活スキル
etc…
…とりあえず使用可能魔術とスキルは異常なのはわかった(生活スキルに関しては説明するととんでもない数があるため省略させてもらいます…)
多分この★はマスターってことだろう
ステータスは死なないようになっているんだろうけど
基準がわからないからどうなのか
だれかに基準を聞いてみよう
悩んだ結果…
彼女達の部屋に行ってみた
「ごめん アイシュ」
「ゆきとさん どうしたんですか?」
「いや アイシュのステータスカードを見せてもらいたいと思って…」
アイシュは輝くような笑顔で
「構いませんよ♪」
アイシュ・フリナーク
エターホーリー所属
ステータス
攻撃力 76
守備力 69
素早さ 52
魔法力 94
使用可能魔術
水術 光術
使用可能戦闘スキル
剣術
体術
詮索術
治療術
投擲術
スキル未取得
使用可能生活スキル
料理スキル
馬術スキル
etc…
…冷や汗がどっと流れてきた
自分のステータスは異常すぎるということが理解できた
「あ ありがとう…」
「何かありましたか?」
「いえ…なにも…」
この異常ステータスは言わない方がいいと本能的に感じる
女神様… 確かに死なないけどこれは…
「では僕は部屋に…」
「どうしたんでしょう…」
部屋に戻ってきたのだが…
「ばれたら面倒そうだなぁ…」
ステータスカードを見ながら呟いた
(アイシュのステータスを見た感じ
戦闘スキルは成長とともに増えていく感じなのかな?生活スキルは多分日常生活の中で取得するんだろう)
「おーい!ゆきと!」
ナビアが バンッ!と扉を開けてきた
僕はベッドから落ちた
正確にはベッドから落ちたふりをしてカードを隠した
「ゆきと?今なに隠したの?」
速攻ばれた…隠すの下手くそだなぁ…
「あ いやなにも…」
「ちょっと 見せなさいよ!」
ヤバい…なんか獲物を見つけた猫みたいなオーラを出しながら近づいてくる…
「えへへ なにを隠したのかな~♪…ん?なんだステータスカードじゃない」
「あ ああ…」
「どれどれステータスは…」
と言ったところでナビアが固まった
「あの ナビアさん?」
と聞いたら スッ と立ち上がって…
カードを持ったまま自分達の部屋に戻っていった
…僕のカードを持ったまま
「ちょっとナビア!僕のカード返してー!」
30秒ほどで部屋の扉を開けてくれたが
「どういうことか説明してくれる?」
やっぱりこうなるよね…
「ええと…」
何て説明しようか
女神様のことは出さない方がいいような気がするんだけど…
「簡単には説明すると…」
「説明すると?」
「…死んで生き返った?」
「えっ?」
みんなが?を浮かべてこっちを見てくる
「転生した?ということですか?」
「まあ…そんなところかな…」
「なるほどね…」
「前例は…一回だけ…ある」
「前例あるの!?」
驚いた…転生者は自分以外にもいるとは
「でも…その人…すぐ消えた」
すぐ消えた?頭がこんがらがりそうだ…
「そうですね…確かに一度話をして街を案内しようとおもって目を離したら目の前にはもういなかったんです」
「その人の容姿はどんな感じ?」
まさかと思うけど…
「女性で綺麗な金髪で 透き通るようなローブを来ていました とても美人な人でした」
あれ?もしかして
「目の下にほくろがあった?」
「あれどうでしたっけ?ナビア覚えていますか?」
「確かあったような気がするわね」
…女神様 あんたかい
「知ってる人なんですか?」
「うん…まあ そんなとこ?」
「なんか…トラブルに巻き込まれてこっちに来たって感じがしない?」
「ゆきとが…着てた服…珍しい…」
「多分あの異常なステータスも転生した時に前の世界から受け継がれたんじゃないでしょうか?」
「うん まあ…」
そういう事にしておこう
…現代の人は異常ってことになるけど
「はあ…わかったわ とりあえずこれを返すわ」
「ありがとう でも僕はこのパーティーにいない方がいいよね」
「いえそんなことありません!」
「えっ?」
「むしろいてくれた方がね♪」
「心強い…」
僕は直感した
…これ こきつかわれるやつだな
「ゆきと!そっちに行った!」
毒狼と戦闘していたナビアが叫ぶ
「オッケー!」
僕はいつも使っている(こっちに来てからのこと)刀で飛びかかってきた狼を胴から一刀両断にしてナビアのサポートに走った
「それにしてもゆきとさんは強いですね」
「あのステータスは嘘じゃないみたいね」
ため息をつきながらナビアが言う
「武器の出だしが…全然見えない」
ぼそぼそと小さな声でイリナが呟いた言葉に
「確かにそうですね ゆきとさんが剣を抜く瞬間は見えるんですけど 気付いたらもう武器を振り切ってますからね」
「そんなに早いかな?僕は空振らないようにゆっくりめに振ってるつもりなんだけど…」
ナビアが目を丸くして
「あれでゆっくりってあんたやっぱり異常だわ」
「あはは…」
「でも そのおかげで私達は楽ですよね!」
「うん…手間が省けてラッキー…」
それはそれでどうかなって感じだなぁ
「ねぇ この依頼なんだけどさ…」
ナビアが持ってきた依頼書を見ると
「ん?報酬はいいけど…なんだこれ」
「どうしたんですか?」
笑顔でアイシュが近づいてきた
「ほら この依頼少し変なんだ?」
「これって噂になってたシークレットって言うやつじゃないですか?」
「噂?」
初めて聞くなぁ
「はい 最近ギルドに内容不明の依頼があるって噂だったんです」
「じゃあこれって…」
ナビアが楽しそうに
「この依頼 やってやろうじゃない!」