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33.プライドの高い王子様の企み

 僕は遠野樹とおのいつき、22歳。

 社長である父のIT関連の会社、遠野グループを継ぐ前に、社会勉強の一環として一般企業に勤めることを命じられ今年から通い始めている。

 とは言え、同じ分野なので仕事内容というよりは人間関係などを学ぶための方が目的としては大きい気がするが……

 そういう事情があって、自宅からはかなり距離のある今の会社の近くで独り暮らしをするため、不動産屋巡りをしていたんだが、思わぬ女性ひとと再会できて本当に驚いた。


 なっちゃんとは小学生の頃からよく一緒に遊んだ。

 僕の家は自分で言うのもなんだけど、町でも有名なお金持ちだった。

 けど、皆に羨ましがられてる割には、僕はいつも窮屈な暮らしを強いられていた。

 父と母が二人して厳しかったのだ。

 勉強、習い事などでスケジュールはびっしり詰まり、そんな毎日に嫌気が差して、僕はよく家を抜け出し少し離れた公園までよく遊びに行ったものだ。

 なっちゃんとはそこで初めて出会った。

 いつもポニーテールにして、目がくりくりして、笑顔がとってもかわいい女の子だったのを覚えてる。

 仲良くなって彼女の家にも遊びに行くようになり、よく勉強を教えてあげたりした。

 僕が高校卒業と同時に海外に留学してからはすっかり疎遠になってしまったが……


 久しぶりに再会したなっちゃんはびっくりするくらい大人になっていて……当時より一段と可愛くなっていた。

 昔の記憶が一気に蘇ってくる。

 今思えば初恋だったのかもしれない。

 結婚相手は両親が決めるって話は小さい頃から聞かされていたので、中学も高校も、留学先でも恋人は作ろうとも思わなかった。

 でもなっちゃんの姿は時々僕の頭の中に現れて……

 昔の思い出に浸かっていると、それだけでほんの少し自分の運命が救われるような気がした。


 今年になってから、突然父さんが見合いの話を持ち出してきた。

『すっごい美人で、しっかりしてる人だから申し分ないだろう?』

 父さんはそんなふうに言っていたが、僕はいよいよ自分の人生を左右する人が決まってしまうのかと思ったら、なんだか腰が重たかった。

 お見合い写真を見せられて、確かに凄く綺麗な人だった。

 贅沢は言ってられないなと思い切って彼女に逢うことを決心したんだ。


 ところがお見合い当日、僕はその人に逢ってたった3秒でフラれた。

 今まで告白されたことは何度もあったし、どれだけの数の女性を振ってもフラれることは今まで22年間の人生で一度もなかったのに。

 僕は凄くムッとした。

 別にその人が好きなわけでも何でもない。

 ただ、そこそこ自分に自信があったし、話もせずフラれる理由が全く思い当たらなかった。


 またその彼女の吐いた言葉も癪に障った。

『あなたよりも素敵な人に私恋してるんです』

 だと。

 は?って思ったよ。

 お見合いの場で、どれだけ失礼なことを初対面の僕に投げつければ気が済むんだ?


 そんな女、こっちから願い下げだ!!そう思った。

 思ったんだが、僕より素敵な人って奴が気になった。

 僕は将来有望だし、金もある。見た目だって悪い方じゃない。

 正直モテる。

 それなのに、なんで僕よりもそいつを選ぶんだ?

 全く理解できない。


 だから久しぶりに僕のいたずらな好奇心が顔を出した。

 そいつの住所をどうにか世話係に調べさせて、ようやく居場所を突き止めた。

 どうやらそいつも僕と同じく『金持ちのおぼっちゃま』らしい。

 なおの事どんな奴か気になった。

 僕のスペックを越えられる奴なのか……?

 だったとしたらよっぽどだぞ?


 たまたまこの街に住んでいることがわかり、自分の家探しのついでに、そいつの住んでるところも拝んでやろうと思った。


 そして、今日、そいつの家のマンションの丁度下の階が空室になってるって話を聞きつけて、早速手付金を払ってきたんだ。


 何がしたいのかって?

 僕はその女性を手に入れたいんじゃない。

 その人の好きな男の弱点を見つけて、彼女に晒してやるのが目的だ。


 ちっちゃい男だって思うかもしれない。

 でも、僕にだって男としてのプライドってもんがある。

 だから、みてろ?

 西野美野里。

 僕を簡単に振ったことを、夜な夜な目を泣きはらす位に後悔させてやるからな!!


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